育つ嬉しさ・育てる楽しさ(01)北里大学病院の6年間(1)序

看護職向けファシリテーション北里大学病院様の看護職の皆様の育成に、6年間関わらせていただいております。

それは、ファシリテーションスキルに関する研修から始まって、スタッフ育成のためのコーチングであったり、ワークショップタイプの研修方法であったり、ビジョンの共有であったりしました。

そして、6年の間育成の一部に関わらせて頂く中で、見えてくること、変わってきていることもいろいろとあります。

何より、主任クラスの育成担当の方から「人を育てるのが楽しい」というコメントが出始めていることに、驚きとともに嬉しさを感じています。

当初、問題だと感じていたことも、見違えるような変化を遂げたところもあります。

スキルアップとしてファシリテーションに取り組み始めた看護教育の現場で、自分の成長、スタッフの育成の変わっていく様を、少しばかり綴ってまいります。

育つ嬉しさ・育てる楽しさ(02)北里大学病院の6年間(2)はじまり

看護職向けファシリテーション北里大学病院の看護職育成の6年について、一部研修を担当させて頂く中で判ったきたこと、変わってきたことなど綴っています。

はじまりは、6年前の2010年の秋でした。

中堅看護師に、新人教育を担当してもらうためのスキルとしてファシリテーションを学びたいというご要望で5年間は始まりました。

実はこの時、多くの看護職の現場で見られるような悩みも抱えていらっしゃいました。

それは、新人看護職員の離職や、中堅看護職員の育成力の不足といったところです。

新人看護職員は、早く一人前に育って欲しい。

育てるには、教育担当の中堅看護職員の育てる能力を高めたい。

1対1のコーチングならまだしも、振り返りの会といった大人数の話し合いを進行させるには、何をしたら良いか判らない。

はじまりはこのような動機、特に新人看護職員との大人数での話し合い進行のためのファシリテーションスキルの習得、といったところから始まりました。

これが次へとつながってきます。

育つ嬉しさ・育てる楽しさ(03)ファシリテーションとコーチング

看護職向けファシリテーションファシリテーションとコーチングは、比較されることがよくあります。

大きく違うのは、相手が一人なのか、二人以上なのかということになります。

一対一で、コーチとクライアント(相手)で相手を導くのがコーチングです。

多くの場合、コーチはリーダーや教育担当となり、クライアントはスタッフや新人ということになります。

ファシリテーションは、大人数で話しを進めます。

進行役がファシリテーターです。ファシリテーター以外の参加者は、主役となる話す人となります。

近年では、グループコーチングという形式も出て来ており、人数では単純に区別ができなくなってきています。

実は、コーチングとファシリテーションの大きな違いは、大人数といったところに隠されたところにあります。

それは、「自主性」です。

言い方を変えると、主体は誰かと言うことです。

コーチングでも、主体は相手と言うと思います。但し、積極的に導いていくのがコーチングです。
ファシリテーションでは、相手や場が動くように促すのが基本です。
導くと動くように促し助けるのは、ちょっと違うようで大きく違ってきます。

しかも、ファシリテーションでは、グループの力で個人が助かるという作用も大いに活用しています。

このような特性が、北里大学病院でも数年の後に、うれしい結果が生み出される基盤となってきます。

ちょっと違うことを継続的に続けていると、、、、なかなか違った結果が出て来ます。

育つ嬉しさ・育てる楽しさ(04)北里大学病院の6年間(3)当惑

看護職向けファシリテーション北里大学病院の看護職育成の6年について、研修を担当させて頂く中で判ったきたこと、変わってきたことなど綴っています。

ファシリテーションは、話し合いの進め方の技術として知られています。

確かにその側面は大きいのですが、大きくはものごとの促進や支援に関する技術です。

特に、大人数での話し合いなどのグループワークで、よく使われています。

大人数での話し合いで、参加者の話しが盛り上がって欲しい。
話し合いが、時間内にまとまって欲しい。
多くの人から意見が出てほしい。

といったことに対応できる技術です。

特に今回は、中堅看護職の方がすぐに指導してしまいがちになって発言が出てこない
といった悩みも出て来ていました。

さて、ファシリテーションのスキルを学ぶ研修です。

研修は、滞りなく終わりました。

参加された方も、体験を通してやり方が体の中を一巡りしたところです。

次からは、現場でも使えるぞとなったのですが、、、、、

実は、次に参加された方が覚えた感覚は、当惑でした。

これを聞いたのは、つい先日のことでした。

「そうだったのか、、、、」当時のお話を伺っていて、私たちも当惑し、かつ興味深い状況であったことを知ることができました。

どうなっていたのかは、次回です。

育つ嬉しさ・育てる楽しさ(05)北里大学病院の5年間(4)再挑戦

看護職向けファシリテーション北里大学病院の看護職育成の6年について、研修を担当させて頂く中で判ったきたこと、変わってきたことなど綴っています。

ファシリテーション研修を受講して「当惑」したとは、

   判ったのにどうしたら良いか判らない

といったことでした。

参加した方は、ファシリテーションが、話し合いを進める技術として有用であると理解ができ、研修では方法についても理解ができていました。

しかし、いざ現場で実践しようとすると、具体的にどのように取り組めば良いかが見えてこない、といった状況に陥っていました。

「使える技術であるはずなのに、現場で使えない」といった状況に「当惑」していたということでした。

この状況に対して下した対応は、、、、、再挑戦でした。

育つ嬉しさ・育てる楽しさ(06)体感・経験の学び

看護職向けファシリテーションファシリテーション研修を最初に受講された時、

 判ったのに使えない

といった状況に陥るときがあります。

これはファシリテーション研修に限ったことではなく、新しい分野などで参加型や体感型のスキル修得の研修などで起こることがある現象です。

人は、自分の経験をモノサシにして、新しい知識や技能を追加していきます。
学習して自分の理解に加える形で学んだ事を追加していきます。

これが、全く経験の無い分野や考え方に基づく内容であった場合はどうなるでしょう。

考えられるのは、「学んだのに判らない」という状況です。

今回は、これとは違い「学んで判ったのに、使えない」という状況に陥って、当惑していました。

学んで判ったことを使えるようにするにはどうすれば良いでしょうか。

北里大学病院では、3つの工夫をして、長い目で見たスキル修得、能力向上を図っていました。

3つの工夫は、追って触れる機会もあると思います。

その結果、5年後では結果が花開いています。

さてこれとは別に、研修における学びの方法として、今回はファシリテーションという「未知の新たなことを使えるようにする」工夫をしていました。

それが、体感型の理解、経験型の学習法の活用です。

簡単な定型的な流れから理解し、自らの経験と照らし合わせて理解を深めます。

知識を得て論理的に頭脳だけで理解するのではなく、スキルを何度も使い体を通して経験するというプロセスを繰り返します。

このスタイルは、未知のスキル・事柄を短期間で理解するのに適した学習法となります。

この学習法で学ぶと、「体感で判る」ようになります。これが、今回の「学んで判った」というところの根底にあります。

さて、「判った後で使える」ようになるには研修プロセスの工夫もしてあるのですが、学んだ方のその後の取り組みも大切となってきます。

北里大学病院では、3つの工夫で取り組んだことで、結果が伴ってきています。

育つ嬉しさ・育てる楽しさ(07)北里大学病院の6年間(5)育成へのシナリオ

看護職向けファシリテーション北里大学病院の看護職育成の6年について、研修を担当させて頂く中で判ったきたこと、変わってきたことなど綴っています。

私たちが関わって来たことは、看護職の育成の中でもヒューマンスキルに関する部分です。

特に、コミュニケーションに関する能力を向上させ、人を育てるといったベーシックなところを担当させていただきました。

ここで、育って欲しい職員は、新人看護職員でした。
職場への定着も気になります。
早く一人前になっても欲しいです。

こういった時、誰から育成を図るのが良いでしょうか。

新人看護職員からでしょうか?

北里大学病院では、教育担当の能力向上を優先させて、新人の育成を図るというシナリオで取り組みました。

そしてこの取り組みのシナリオは、思惑の通りに良い結果が出て来ています。

育てる人を育てる、教育担当をまず育てる。

急がば回れで、全体の力が向上するシナリオです。

幸運なことに、私たちはこういったシナリオの中で、新人看護職員の皆様の能力向上を直接担当するのでは無く、教育担当の皆様の能力向上に携わっています。

実は、このシナリオを推し進める工夫をいくつか組み込んで、研修を担当しています。

育つ嬉しさ・育てる楽しさ(08)シナリオで考える

看護職向けファシリテーション職員や社員、リーダー、管理職など、人を育てることを考え企画立案する時、どのようなことを考えたら良いでしょうか。

足りない能力を向上させる

・・・ そうですね、足りていないと感じているところの向上ですね。

では、その能力は本当に足りていないのか、職位職層役割や職場の状況に合った能力はどのようなものなのでしょうか。

足りていないということは、そこが「問題」だと感じていることでしょう。

研修や育成の環境を企画立案するには、この「問題」を捉えることが大切になります。

そして、研修の場に参加する参加者も、この「問題」を自分のこととして意識して、研修による方法や内容で向上できると実感できることが大切になってきます。

ここで、シナリオが大切になってきます。

「問題」と感じたことは、そもそもなぜ問題と感じたのか、問題を掘り下げて考えた結果の原因は何かを、研修を主催・企画する人が考える。

そして、研修などの中で、参加者が問題や原因を自分のこととして意識することができ、研修で学んだことで今の自分を少し変えて行動できる。

このようなシナリオで考えることが大切です。

表出している問題に対して的を射た原因を想定でき、納得できる能力向上となるシナリオができれば、研修やその後の活動による結果はどんどん良くなってきます。