ハラスメント(06)パワハラの判断基準

前回、ハラスメントの様々な名前を挙げました。
今後、さらに○○ハラスメントは増えてくることでしょう。

 

厚生労働省では、パワーハラスメントの判断基準を次のように挙げています。

 

同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や職場での人間関係などの優位性を背景に、業
務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える行為。

 

これを分解すると、3要素に分かれます。

 

優位的な関係を背景とした言動である

業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

労働者の就業環境が害されること

 

そして、この判断によるパワーハラスメントの行為を6種類挙げています。

 

・身体的な攻撃
・精神的な攻撃
・人間関係からの切り離し
・過大な要求
・過小な要求
・個の侵害

 

さて、この判断基準でも判らないことが出てきます。

 

優位的な関係とは何?
業務上必要かつ相当な範囲とはどこまで?
等々

 

後の記事に譲るのですが、リーダーや管理職、幹部の方の悩みのひとつに
「強制的に言ったら、パワハラに当たるかも」という思いがあります。

 

また、社員や職員の立場では「強制的に言われたからパワハラだろう」と考えてしまうこともあります。

 

厚生労働省では、パワハラには当たらない事例なども出てきています。
多くのハラスメントが定義され叫ばれるようになり、多くの例も出てくるようになりました。
基本的な考え方や事例に触れることでハラスメント対応への理解も進んできます。

 

パワハラの判断基準や対応を実践的に活かすには、基礎的な知識や事例の理解だけでは足りません。
上記の判断基準を実際に検討してみることが有効です。
大人数で考えをぶつけて、実際の事例などを仕分けることで、実践的な判断や基準の共有につながります。

 

さて、対処療法としてハラスメントの判断基準や事例を理解するのも、ハラスメントに対応する方法の一つではあります。

しかし、根本的には人と人との関わりや会社や組織における仕事への関わり、人や仕事、お客様への尊重といった心構えに行き着きます。

 

会社の現状はすぐには変わりません。
また、法令への適応も必須になってきています。

 

法令など定められた対応だけ行い、ハラスメントが起こった時の対処だけ行えれば良いという考え方もあります。
しかし、これでは働きやすい職場への道は遠くなってしまうでしょう。

 

ハラスメントへの対応が叫ばれている現状を良い機会として、働きやすい職場づくりに取り組む方法もあります。
対処もきちんと行い、人や仕事へのかかわりから見直すことで、働きやすい職場に近づいてきます。

 

ハラスメントは症状、表われの一つです。
症状を判断する知識を身につけ、さらに根本の原因を探求してみてはいかがでしょうか。
基礎知識や判断の実践、根本の原因への探求など、ジーシフトの取り組みもご参考として下さい。

ハラスメント(07)大人のいじめ

今日、クローズアップ現代+で、「大人のいじめ」を特集していました。

神戸の小学校の件や介護の現場でもいじめは頻発していると報道されています。

多忙が一つの要因とされており、多忙によるストレスからいじめが多発しやすいということでした。

確かに多忙は重要な一つの要因だと考えられます。番組の終盤で正社員の店長とアルバイトのスタッフ達でたくさんの業務の押し付け合いもあるというコメントがされていました。

そして、業務量が過多の場合も含めた対策としては、まず窓口に相談、というものでした。

間違いではなく、緊急避難として、対処療法としては正しい対策でしょう。

大切なのは、その後緊急避難以外の根本に迫る対策ができるかというところにかかっています。

業務量も含めて、心に余裕を持てる状況ができないといじめが多発する状況は改善しないと考えられます。

では業務量を単純に減らせば良いか、どうかは、当事者の方々の知恵が必要なところとなります。
ハラスメントが起こる状況の問題の根っこの探究ですね。
軽々と問題の根っこはこれです、とはなりません。

もう1点、多忙な状況でいじめをする人もいれば、しない人もいます。
元気を無くしていく人もいれば、そこそこ元気な人もいます。

多分、多忙なのはいじめの起こるきっかけで、いじめを行ってしまったところに焦点を当てるのが良いと考えられます。

いじめを起こさないという「してはならない」は踏まえておいて、「望ましい職場」のあり方を共に思い描いて浸透させて、いじめが起こりにくくなる方が良いアプローチだと考えます。
ビジョンアプローチです。

望ましい職場、どのようなものでしょうか。
自分たちで見いだして、言葉にしないとあまり意味がありませんが、お互いの「尊重」は大切でしょう。

もしも「尊重」などの望ましい状況における考え方と、「尊重」に沿った行動様式を皆ですり合わせていけたならば、組織としてはハラスメントが起こりにくくなるでしょう。
このような活動は、その組織の多くの人が携わると考えられるので、コトを進めるにはパワーも必要でやり方に工夫も必要となるでしょう。

このように、環境を変化させてでハラスメントが起こりにくくする外側からのアプローチ方法がありますが、これだけでは難しい場合もあります。

それは、いじめる側の「悪意」と「心の傷」です。

「心の傷」は、例えば小さな頃いじめられた経験のある人は、されたことをしてしまう、いじめてしまうことがあります。
この場合は、本格的にはカウンセリングの領域になってしまいます。
「悪意」も「心の傷」も、望ましい行動様式へと組織が変わってくると、多少は軽減される可能性もあるでしょう。
いじめる人の心や行動へのこだわりが見えるとさらに別の対応ができるでしょう。

いじめ、ハラスメントは大なり小なり人権侵害と考えられます。

神戸のような状況になったら、処罰や懲戒、いじめを受けた人は避難も重要です。
しかしこれだけでは、職場の風土や関わりはそのままかもしれません。

起こらなくするような衆知を集めることと、多くの人がセルフコントロールができれば、いじめられることも、いじめることも少なくなってくるでしょう。

組織の習い性(01)自主性

組織の習い性習い性、誰にでもあると思います。

会社や組織にも「慣例」や「クセ」、「行動特性」といった「組織の習い性」があるようです。

慣例自体は、必ずしも悪いところばかりではありません。

ただ、悪影響が出ているのであれば、行動を直さなければなりません。

そして、直したくてもなかなか治らないのが習い性です。

気付いてゆけば、少しずつ変化できるかもしれません。

直したいのについつい出てしまう 「組織の習い性」 挙げてみます。

●社員の『自主性』を重んじている、自立した行動ができるよう奨励している、といった職場です。

○お話を伺うと、社員の方の意志の忖度があまり感じられず、「XXさせたい。XXさせている。」とのこと。
○社員の方との対話を伺うと、「これは、XXだ。」と決めつけや断定の言葉。

上意下達の習い性が出ているかもしれません。

上意下達も含めて、習い性はいろいろな現象で出てきます。今後も少しずつ挙げていきますね。

ちなみに、習い性が気になって直したいのであれば、行動を自分で意識できれば変化できるでしょう。
あとは、変化を促進させるのに研修を受けるといった選択肢もあります。

組織の習い性(02)他責

組織の習い性現場の声を伺う機会もしばしばあります。
「XXが問題」「改善点はここ」などなど、熱意のある方も多くいらっしゃいます。

場合によっては気になる傾向のコメントが多くあるコトがあります。

「XXのせいで○○できないのが問題」

など、自分ではない 「他者」 のせい  『 他責 』 にしてしまうことです。

例えば「相互に□□の連携が取れておらず、○○できない」という表現であれば、お互いの関係性も考えながら責務を担おうとする態度です。

考え方は、行動やこういった問題を表現する言葉に出てきます。これが習い性かもしれません。

さて、他責の傾向は自分を防衛しているのかもしれません。
そして自分を防衛する原因の多くは「合意」のとれていないこと(業務命令や指示、目標、ビジョン)を無理に「押しつけ」られていることが多いようです。

上意下達で、合意の取れていない押しつけが起こっていることが原因かもしれません。

ちなみに、上意下達が悪い訳ではありません。
職位が上の人ほど業務命令や指示が押しつけを誘発しやすいといった状況があるのかもしれません。

では、この対処法ですが
・職分を考え
・合意や共感(迎合ではありません)を取れるようなコミュニケーションを行い
・自ら動けるような環境を作る

概念的にはこういったことになると考えています。

但し、表題にもある通り「習い性」です。
個人的な「習い性」もあると思います。行動が伴わないかもしれません。
押しつけが『歪み』を生じさせる。職位が上の人が押しつけるほど、全体に歪みが出ることを留意するのが良いでしょう。

では、留意するには、、、と続きます。
留意法(訓練法でも良いでしょう)もありますが、別の機会にお伝えできるかもしれません。

組織の習い性(03)はず

組織の習い性組織の習い性3回目です。

「・・・のはず」といった言葉を言ったり聞いたりしたことはありませんか。

言っている本人は、記憶が曖昧か、確定的なことではない事(事実ではない事)、もしくは行っていないことを行っていると確信犯的に言っているかもしれません。

「はず」を言い換えると『思いこみ』になります。

言ったはずだ → 言っていると思いこんでいる
行ったはずだ → 行ったと思いこんでいる

確実に行ったのであれば、「行った」です。

思いこみや確認を行わずに物事が進み、行き違いが生じる習い性かもしれません。

「・・・のはず」の前に『一言確認』しましょう。

一言で良いのです。

組織の習い性(04)許可

組織の習い性組織の習い性4回目です。

社内で、「・・・しても良いですか?」といった言葉、耳にすると思います。

許可の問い合わせですね。
良くある話です。

しかし、『非常に多く』許可の問い合わせが行き交うチーム・組織とはどのような状態でしょうか。

許可を得なければ、もしくは事を起こすのに誰かに責任を負ってもらうことを証明してもらわないと動けない状態が想像できます。

これは、裁量が狭い状態、さらには上長などの職務権力が高圧的な可能性が大きい状態です。

いわゆる「上意下達の習い性」です。

ちなみに、何度もコメントしますが、上意下達が悪いわけではありません。

「上意下達などで『抑圧』されている時の習い性」がより正確な表現でしょう。

こうなると、

メンバーの裁量や動きが許可を得ないと動けないので、動きが遅くなる狭くなる
  ↓
組織が動きが制限される
  ↓
会社の動きが遅くなる、制限される。

といった構図になってきます。

こんな時は、どうすれば良いでしょうか。

「いいよ」 とか 「イイね!」 と言ってみて下さい。
許可をどんどん与える訳です。
当然許可する責任は負うことを意識して下さい。

さらに進むと、「許可をとらずにどんどんやれ」とするのが良いでしょう。
但し、メンバーが自分の職務範囲でやることについてです。
職務範囲を逸脱しそうな、した場合は、、、、上長の腹のくくり方次第です。

さらに改善の状態を進めるには、、、、その時は考えてみて下さい。
すでに許可も出して、腹もくくっていると思います。いろいろな道があることでしょう。

組織の習い性(05)過ぎる従順

組織の習い性組織の習い性、今回は「従順」です。

皆さんの職場では、指示は行き渡っていますか?
そして実行されていますか?

指示が行き渡る、そして実行される。これはこれで、良いようにも思えます。

しかし、指示が行き渡り、実行はされるけど、、、、、、

  それ以上の事がない。

ということは無いでしょうか。

こういった時は、上意下達で抑圧されている状態、の可能性があります。

もっと創造的に、上司の指示をも飲み込んだ動き、が出てこない。
自分の守備範囲で良い、他の部署とのコミュニケーションも無くて良い、というように普段から感じている場合もあります。

自分にもまわりにも、様々な「許可」が大切なのかもしれません。

言われたことだけを行っているという状態は、
・変化に対応できなくなる
・指示が目的などを汲んだ自主的な動きができない
・他人の責任を指摘しがちとなる
などの症状も併発している可能性があります。

気がつけば個人レベル、チームレベルなどで様々な対処ができます。

組織の習い性(06)思考停止

組織の習い性組織の習い性、今回は思考停止です。

あまりに「××過ぎると」考えるのもままならない、という状態になってしまいがちです。

忙しすぎると、厳しすぎると、変化がなさ過ぎると、、、、

「だめだめ」「だめじゃないか」といった『否定』の言葉が過ぎるとどうなるでしょう。

何をやって良いか判らなくなってきます。
そして、考えるのをやめようかとしてしまいます。
思考停止です。

思考停止は、行動の停止も呼びます。
さらに、目的や理由を考えない行動も呼び起こします。

思考停止の組織では、抑圧的な環境のことが多くあります。

だめだしをしても不屈の闘志を持つ人や、愛情を持って厳しくして何かのサポートを行っている職場やリーダーも多くいらっしゃいます。
しかし、「だめ」といった否定が思考停止の悪循環、生産性の妨げとなっている例が多くあります。
そして、コミュニケーションが比較的苦手な人への多くの否定的な言葉は、立ち直るきっかけさえ無くなってしまう可能性があります。

優しくしすぎる甘えの環境が良い訳ではありませんが、職位が上の方であればあるほど相手のことを慮る、優しさや理性に基づいた行動が必要です。
逆に、理性や思いやりの無い感情のみの言葉、投げかけていませんか。
省みても良いかもしれません。

組織の習い性(07)静か

組織の習い性組織の習い性 今回は「静か」です。

皆様の職場には、会話はあふれていますか?

ちょとしたことが判らなくて「ここが判らないんですが・・・」とか、「どーしたの?」。
はたまた「それは、XXさんが良く知っているんじゃないかな」「それは、僕がやっておこうか」等々

静か、  静かなのは、例えば会話、行動、自分から行うちょっとした協力などなど、

音量もありますし、消極性と表現されるものもあります。

もしも、新入社員の時、積極的で会話の多かった人が、あまりしゃべらなくなり、行動も消極的になったとすれば、、、、

諸先輩方が、積極さを消極へと行動変容させてしまう何かを行っている可能性があります。

押さえつけ、任せない、、、、典型的な言葉としては、「だめだね」といった否定の言葉。
これが繰り返されると、積極的に行っても「甲斐がない」と学習して、、、

 静かな職場 になります。

 言い換えると、活気のない職場です。

組織活動としても、上司が思うほどには部下が動かない、こういった職場になります。

職場は、静か、、、、ですか?  それは、消極性を表してはいませんか?

観察してみても良いかもしれません。

組織の習い性(08)鈍感

組織の習い性組織の習い性 今回は「鈍感」です。

皆様の職場の言葉、どのような言葉が多いですか?

厳しい言葉、盛り上がる言葉、励まし合う言葉、などなど飛び交っていると思います。

「いいや、、、、、」
「だめなんじゃない、、、、」
「だめだね、、」

否定的な言葉が、まず、おもわず出てしまう職場もあります。

真っ当な指摘がある時もあるでしょう。

ただし、否定的で刺激的な言葉ばかりつづく職場だとどうなるでしょうか。

自分の家庭で、自分が子どもの頃、両親が否定的な言葉ばかりだと想像してみて下さい。
どのように反応しますか?

言葉にはしませんが、「判ったけど、もう黙っていてくれ」と自分からは黙り込んでしまう。
このような反応にもなるでしょう。

そして、否定的な言葉に対して表面的には鈍感に見えてしまう、ということになります。

職場でも同様で、否定的な言葉のオンパレードの場合は、表面的には否定的な言葉に鈍感になってしまうようになります。
従って、上司がきつく叱ったように考えても、部下としてはいつも否定的な言葉を聞いているので、それほど動かないようになります。

リーダー、管理職の皆様、叱咤激励しても部下が動かない、言葉に鈍感だと思ったら、

否定言葉を連発する

習い性が無いか、思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。