大人のまなび(11)非認知能力

「非認知能力」という言葉をご存知でしょうか。

 

今後、人財や組織の能力開発で重要となってくる能力です。

では、まず「認知能力」、そして「非認知能力」

 

認知能力とは、

知識・思考・経験を獲得し、解釈して表現する能力

(例 読む、書く、論理的に考える能力など)

 

非認知能力とは、

認知能力以外の能力

(例 達成、協働、自制、創造性など)

 

OECD(経済協力開発機構)の調査によると、非認知能力を身につけた方が「将来の経済的な安定も含め心身の健康につながる可能性が非常に高い」としています。
認知能力よりも非認知能力を身につけた方が大人になって生き残れるということです。

(OECDの調査では、非認知スキル=社会情動的スキルとして、認知スキルと対比されています)

さらに、非認知能力は大人になっても向上が図れるとされています。
そして、非認知能力の向上が認知能力の向上を加速させることも判ってきています。
つまり、創造性や協働などの能力を高めることが論理的に考える力を育むということです。

 

 

今、教育の分野(学習指導要領も含めて)では非認知能力の向上が重要視されています。

これは、大人の学びにおいても同様です。

最近の若者は、協働ができない、自制心が無い、自主的ではない、指示待ち、達成するしつこさが無い、といったことが(極端に表現しましたが)叫ばれてきており、記憶や知識偏重の教育が影響しているのでは無いかとされてきていました。
これが、最近では認知能力と非認知能力との比較として様々な研究によって影響が判ってきています。

 

経済的にも社会的にも成功する人財となるためには、大人にも非認知能力を向上させることが重要です。

大人の学びにおける非認知能力への注目は「GRID(やり抜く力)」(米心理学者、アンジェラ・ダックワース著)の日本における30万部以上の売上にも表れています。

 

 

では、非認知能力を向上させるには、どのようにすれば良いでしょうか。

社会人の人財開発を行う上で、認知能力だけへのアプローチではなく非認知能力も含めたバランスの良いアプローチが重要となります。

 

例えば、論理的な手法(認知手法)に加えて、対話手法の活用、五感の活用、アート手法の活用、感情の活用、心理手法の活用、経験の活用などです。

 

具体的には、問題の解決手法を学ぶ時、問題解決手法を使って一人で考えるのでは無く、数人で率直な意見が出る工夫をしながら協働して問題解決を図るといった方法などです。また、思いを絵として表現して共有を図る方法もあります。相手と自分の感情を理解し、伝え方を心理的な側面から工夫することも良いかもしれません。

 

ちなみにジーシフトの人財開発は、認知、非認知に加えて、メタ認知も重要視しています。
メタ認知を意識することで、モノゴトの目的感や、今の仕事、働くこと、成長することなどへの意味を探究し見つけることができるようになります。

 

認知・非認知・メタ認知のトライアングルモデルで学びを構成することによって、自主的で、協働し、創造的な人財が生まれます。

大人のまなび(12)メタ認知

前回、「非認知能力」に触れました。

ジーシフトでは、人財育成を考える上で大切にしている考え方があります。

 

それが、「認知」「非認知」そして「メタ認知」です。

 

メタ認知とは、

自分自身を客観視する能力のことです。

 

自分自身を客観視できると次のような良い点があります

 

・自分の行動の目的・意図が判る
何のために自分は行うのか、行ったのかが判り、行動の修正がたやすくなります。
失敗から学べるようになり、成功からも学べます。

 

・相手の意図・目的が判る
自分の意図が判るということは、相手の行動や結果から相手の意図や目的を汲んで
意図や目的に適合した対応が取れるようになります。
自分の立場(主観)と相手の立場や客観的な立場の考え方もできます。
協働する力も高まります。

 

・自分自身が判る
自分の長所、短所、役割、できること、できないことが判り、
現在や将来の活動に活かすことができます。
短所を克服する、長所を伸ばす、できないことにあえて挑戦する、
今はできないことは避ける等の判断ができるようになります。
自主性や自制心も高まります。

 

・自分の将来を描ける
現在の自分が判り、過去の傾向や好みが理解でき、自分の望ましい方向が
理解できるようになり、自分が何のためにどのようになりたいかといった
自分の将来を描けるようになります。

 

メタ認知は、非認知能力に分類する説もあります。

ジーシフトでは、認知・非認知というくくりと同例にメタ認知を置いています。
これは、何事にも認知・非認知の能力による実施・実行が大切なだけではなく、目的の設定や結果からの振り返りが重要との考え方に基づいています。

認知能力と非認知能力そしてメタ認知のバランスを持った学びや活動を行うことで人財そして組織も、個性を持った自分自身を理解した上で向上していくと考えています。

ちなみに、これが「役を立てる」という、人と組織の役割・個性可能性の発揮というジーシフトの造語につながっています。