システム思考(01)システム思考とは

システム思考梅の木は根も梅なれば種も梅 枝も葉も梅花も実も梅

いきなり梅の木の話になりました。
二宮尊徳が自分の考え方を短歌にして伝えたもの(道歌)の一つです。

なんだ当然のことと思えますが一応解説を、、、、

梅の木というものは、根っこも梅である。種も梅である。枝も梅である。葉も梅である。実も梅である。

当たり前です。
種だけ見ると、桃だか梅だか判らなくても、全体を見れば間違い無く梅だと判ります。
一部だけ見ると見間違う可能性もあります。

その問題は、どの部分で見た時の問題でしょうか。

二宮先生の道歌からもう一つ、

天地(あめつち)の和して一輪福寿草 さくやこの花幾代経(ふ)るとも

天気の様々な影響、土地の様々な状態、その影響が一つとなって福寿草が咲いている。一年草の福寿草が来年も再来年も様々な天気と土地の環境で育つ結果、毎年咲いてゆく。

二宮尊徳は、農村の復興、農業改革家の一面を持っています。
米を育てる、人を育てる、村を復興することに生涯取り組んでいます。

そして、物事や問題を捉えるには、「全体」をがあること「変化」があること、「相互」に影響しあって「結果」が出ることを示しています。

全体のことを「一円」とも表現します。

二宮尊徳は、「全てのものはお互いに働き合い、一体となって結果が出る」ことを『一円融合』という考え方として今に伝えています。

そして、ようやくシステム思考です。

最近、地球環境問題などを、大局的全体的な視点で捉える考え方が使われています。

システム思考です。

システム思考とは、「ものごとをシステムで捉えられる考え方」です。

システムで捉えるので、
  一面的なものの見方になりません。
  短期的な見方になりません。
  浅い見方になりません。

ひっくり返すと
  多面的な見方で
  長期でも短期でもどのようになるか判り
  本質的な見方になります

(上手にシステム思考としての考え方をした時ですが、、、)

システム思考は、「成長の限界」などの報告・著作でデニス・メドウズ、ドネラ・メドウズを始めとした人達の活躍で広まってきています。
学習する組織、もしくは組織学習を促す道具、手法としての側面も持っています。

システムとは(広辞苑)
  複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。組織。系統。仕組み。

システム思考は、弊社開催のセミナーでもお世話になったチェンジ・エージェントの小田さん、枝廣さんが日本のトップランナーですね。

ここでも、小田さん、枝廣さんや海外の文献なども踏まえてご紹介して参ります。

システム思考(02)分析と全体

システム思考アクアリウムをご存じですか?
水槽で水生生物を飼って楽しむことですね。

喫茶店で、見事なアクアリウムを見かけることがあります。水藻と淡水魚と小さなエビなどなど、見ていると落ち着きます。

アクアリウム、自分で作るとなるとなかなか大変です。
私は、小さな頃に金魚を飼った事ぐらいなのですが、お話を聞くとバランスがかなり大変だということです。

このアクアリウムは、一つの世界、一つのシステムと考えることができるでしょう。

この水槽で、魚を生き延びさせるには、と考えるとしましょう。

「魚が生き延びる」のを『魚』に注目すると、
魚の重さ、大きさ、どの位食べるか、運動量は、、、、などなど考えられるかもしれません。

こういった考えの方式は、分析的と言えるでしょう。

一方、「魚を生き延びさせる」ということを、『水槽全体で』考えてみると、
魚が食べるもの、酸素も生み出す、糞はどうなる、水が汚くなると住みにくい、、、

といった感じで、大きな視点、魚以外の様々な視点からも考え始めます

この考え方は『システム的』もしくは、全体的、俯瞰的とも言えるでしょう。

システム思考のお話をしているので、システム的とでもしておきます。

システム思考による物事のとらえ方、分析的と言うよりは、全体的俯瞰的に物事を捉える見方となります。

システム思考(03)氷山モデル

システム思考元大リーガー 松井秀喜選手の座右の銘があります。

心が変われば、態度が変わる。
態度が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、習慣が変わる。
習慣が変われば、人格が変わる。
人格が変われば、運命が変わる。
運命が変われば、人生が変わる。

松井選手は、高校時代の恩師・山下監督からこの言葉を贈られたということです。

この言葉、アメリカの心理学者 ウイリアム・ジェームスの言葉です。1900年代初頭に活躍し、「経験と教育」でも有名なジョン・デューイと並ぶプラグマティストの代表です。

さて、この話図示してみましょう。心を出発点にして人生が変わってしまうよ、という箴言です。

人生
 ↑
運命
 ↑
人格
 ↑
習慣
 ↑
行動
 ↑
態度
 ↑
 心

下から出発して、上に当たるものが変わってくるという構造になります。

人生という結果が心という見えないところを変えることで変わってくると読むことができます。

目に見えているところが、実は目に見えないところに立脚していて、目に見えないところを変えることで見えるところが変わる。

こういった例えを  氷山モデル  と呼びます。

人材畑の方は、コンピテンシーの氷山モデルでご存じかもしれません。

さて、システム思考では、

 表面に顕れる事象(問題・課題)には、下に隠れたものがある 

という考え方をしています。

この、システム思考の氷山モデルの構造は、

  事象
   ↑
 行動パターン
   ↑
  構造
   ↑
意識・無意識の前提

と表現されます。

つまり、今一瞬の事象は、行動パターンの結果だという考え方をします。
そして、事象(問題)をモグラたたきするよりも、行動パターンを捕まえて、構造から変えよう。
構造の前の、意識・無意識の前提を見直すことで、事象を変化させようとします。

この方法で問題解決を進めると面白いことが起こります。

事象が問題だと思っていると、
行動パターンを見ようと行動パターンを分析して、構造が見つかります。
よーし、構造を変えるために、◎◎な考え方を変えるかと意識・無意識の前提を変えたりします。

そうすると、問題が解決、、、したのではなく、消滅したりします。

実は、問題は問題ではなく現象で、意識・無意識の前提の「◎◎」な考え方が問題の根っことなります。

問題はそもそも本当の問題か、問題への問い方と問題の表現を適切にすることで、問題の解決は近づきます。

こうなると、問題を様々な見方をして、図示することが有効になるのがあぶり出されてくると思います。

さて、ウイリアム・ジェームスのことば、ちょっとむりやりにシステム思考の氷山モデルに当てはめてみましょう。(表示が崩れなければ良いのですが、、、、)

人生 —+
 ↑   |→  事象
運命 —+    ↑
 ↑       ↑
人格 —+    ↑
 ↑   |→ 行動パターン
習慣 —+    ↑
 ↑       ↑
行動 —+    ↑
 ↑   |→  構造
態度 —+    ↑
 ↑       ↑
 心    意識・無意識の前提

案外と相似形のようにも感じます。
結果が(問題が)過去の行動の、過去の考えに対する当然の帰結であるのであれば、これも当然のように思います。

システム思考(04)時系列変化パターン図

システム思考柱に背丈を刻み入れたことはありますか?
小さな頃だと、半年で数センチ伸びます。柱の刻みが高くなって行きます。
中学から高校ともなると、1年でもそれほど身長は伸びないかもしれません。

さて、理想の身長があるかどうかは判らないのですが、私も含めて理想の体重といった数字があったりします。
健康診断とか、温泉に入りに行った時にそぉ~っと計ります。
愕然としたり、ちょっとうれしかったり、、、、

システム思考の話です。

システム思考は、物事を全体的にシステムとして捉えて問題解決を図る方法です。

物事をシステムとして捉えるために、システム思考ではいくつかのツールがあります。

その一つが 『 時系列変化パターン図 』 です。

これは何か、要はグラフです。

気になるモノを対象とした時系列グラフです。

1年毎の身長グラフ
ひと月ごとの体重グラフ

前回水槽のお話をしました。週毎の水の濁り具合のグラフ
月ごとの売上グラフ

などなど、、、、

時系列変化パターン図を作る際は、例えば次のようなステップで作ります。

1.気になるモノ(変数)を決めます
2.縦軸に気になるモノ、横軸に時間をとったグラフを考えます(縦軸、横軸)
3.左を過去として今までの傾向や実測値を記します(過去のパターン)
  (どの位過去かは自分で選びます、3年、10年、12ヶ月なり、、、)
4.真ん中あたりに現在の値を記します
5.今から未来について2パターン記します(未来のパターン)
   ① このままで起こってしまうパターン(対策を取らないパターン)
   ② 目標とするパターン(対策をとるパターン)

ここまで書いて、じーっと見ると、、、、

過去は変えられないのですが、未来には、、、、、可能性が広がっています。

対策を取らないパターン と  対策をとったパターンが!

不作為であったとしても、対策を取らない時はどうなるでしょうか?
対策を取らないパターンになります。

「単に妄想の絵じゃないか」と思うかもしれません。
過去も未来も精度も良くないかもしれません。

精度が悪ければ精度を良くする、妄想で無いようにすれば、対策もとりやすくなります。

さらに、精度を良くしたり妄想で無いように皆で考えれば、どうなるでしょうか?

皆で同じ方向への問題意識やビジョンと言った思いを持てます。
皆とのコミュニケーションが良くなり、お互いの考え方が判ります。
そして、仲間意識や信頼関係が深まります。

時系列変化パターングラフ、、、、私も体重について書いて、、みましょうか。