ファシリテーション(01)ファシリテーションとは

Facilitationファシリテーション・ファシリテーターとは、何でしょう。

ファシリテーション(facilitation)とは、
物事を容易にすること、物事を容易にする技法のことを指します。

この動詞形の facilitateは、以下の意味があります。

To facilitate an action or process, especially one that you would like to happen, means to make it easier or more likely to happen.
(Collins COUBUILD)

少し固い言葉ですが、日本語ですと「促進する」といったところでしょうか。
もう少しピンと来る日本語が欲しいところですね。

私たちの定義としては、何かを「支援」と「促進」することをファシリテーションとしています。

さて、ではこの技法を使う人、もしくは容易にすることを行う人は、
ファシリテーター(facilitator)と呼ばれます。

そして、ファシリテーターは何を促進しているのでしょうか。
ワークショップファシリテーターという表現で、ワークショップを促進させるのは割と有名です。

最近特に注目されているのは、会議、組織運営、協働、問題解決 等の分野です。

ファシリテーターは、会議等を促進させるために、どんなことを行うのでしょうか。
 ・場の管理
 ・流れ(プロセス)の管理
こういったことです。

物事や話し合いなどのファシリテーションは、進め方やプロセス、支援に対する知識や技術だけあれば良い、、、、訳ではありません。

自分の個性(スタイル)を使って、自分の考え方(マインド)に基づいて、その場に対する立場(スタンス)をわきまえて、技術を使うなり準備をするなり進行するなりします。

対話の中で対立が起これば対立を解消させることも必要かもしれません。

と言うことで、ファシリテーションについて、少し筆を進めていきたいと思います。

ファシリテーション(02)種類

Facilitationファシリテーションと言っても幅が広いです。

ワークショップファシリテーション
会議ファシリテーション
研修のファシリテーション
組織もファシリテーションするものでしょう。

また、ワークショップや会議と言っても内容が千差万別です。

ファシリテーション、ワークショップというキーワードでは、市民活動をされている方、教育関係の方、医療関係、等々の先達もいらっしゃいます。

活動の数だけ、ファシリテーションは存在すると思います。

また、いろいろなワークショップに参加された方はファシリテーターの方を思い起こしてみてください。もしくは、学校の先生でも良いです。

特に先生は、教えている内容は同じはずなのに、よくわかる先生、判らない先生、面白い先生がいると思います。教え方・生徒への伝え方がうまいのだと思います。

ファシリテーターや、先生にも伝え方の個性があります。

さて、ファシリテーションの種類ですが、敢えて分けるとすれば、ファシリテートする対象で分けても良いかもしれません。

会議、教育、チーム、組織、市民活動、国際開発、医療、、、等々。

このようなところでファシリテーションが活かされていることが判っていただければと思います。

特にここでは、ビジネス向けのファシリテーションというで、解説を続けてまいります。

ファシリテーション(03)3つの間

Facilitationファシリテーションを行う場合、何を意識するでしょう?

会議のファシリテーションでも、組織のファシリテーションでも、少し抽象的に協働のファシリテーションでも結構です。

スキル、プロセス、、、、そうですね。

人、、、それも当然です。

場作り、、、場、、、、大切ですよね。

さて、ファシリテーションを行うとき、次の3点を注目してはいかがでしょうか。

『時間』『空間』『人間』

時間・・・・時と時の間ですね。

時間制限がいつまである、とか。次はいつである、とか。自分がしゃべり過ぎると他人の時間を盗んでしまう、、、とか。

空間・・・・モノとモノの間ですね。

物理空間だったり、配置だったり、順列だったり。

人間・・・・当然、人と人の間です。

ファシリテーターと皆さんの間だったり、参加している皆さんの間だったり、物理的な間、そして目に見えない間かもしれません。

ファシリテーションでは、こういった間を意識した上でその場に関わるとモノゴトが動いていくきっかけにもなります。

目には見えない プロセスやコトとコトとの間にも気を遣います。

例えば、テーマや目的、背景などなど、

ファシリテーターは、様々な 間やかかわりに留意し調整してゆきます。

ファシリテーション(04)プロセス

Facilitationファシリテーションのプロセス(流れ)は、4つのステップに分けて考えると整理しやすいです。

1.準備をする ステップ
 今から行うコトに対する共有と場の雰囲気作りを行います

2.広げる ステップ
 行うコトに対して広がりを出すステップです

3.まとめる ステップ
 広がったコトに対して、ゴールに向かう整理を行うステップです

4.終了する ステップ
 整理をし終えたコトを結論づけて、分かち合うステップです

上記は、全てのステップを踏まなくてもファシリテーションになります。
ポイントは
①今回のゴールをどこに想定するか
②参加者が何に合意をするか
ということになります。

ファシリテーションは話し合いの技術の側面も多く持ちます。
上記はその視点で考えても結構ですし気付きを共有するワークショップのプロセスと考えても結構です。

ということで、ファシリテーションへの解説へのチャレンジが続きます。

例えば
 リーダーがファシリテーションスキルを活用する
 ファシリテーションスキルを活用する立ち位置
   (ファシリテーターの立ち位置)
 等々、、、

ファシリテーション(05)事前準備

Facilitation会議に焦点を当てた時、ファシリテーションの準備は次のようになります。

会議運営の段取りと言っても良いかもしれません。

段取り八分という言葉の通り、段取りがきちんと済んでいると八分方ものごとが完了しているのかもしれません。

さて、会議の場合例えば以下の段取りとなります。

①目的、テーマ、ゴールを決める

 何のために(目的)、何を(テーマ)、どの範囲まで(ゴール)

②参加者を決める

 深く話すのであれば6人程度+進行役・書記・タイムキーパーの3名程度です。
 ①を踏まえて、人数・人選が決まります。
 また、人数と人選によっては①が達成できない場合もあります。

③日時、場所を決める

 参加者の日程と時間調整です。
 開催場所は会議室である必然性は無いかもしれません。
 板書が出来る環境、広さ、照明の程度も踏まえた方が良いです。

 1回の会議(休憩まで)は、最長で90分~120分が良いでしょう。
 これも、①を踏まえて時間のデザインが必要です。

④通達する

 主催要項や事前資料等を連絡します。
 プロセスの設計や、会議の特徴によっては、事前調整も必要かもしれません。

⑤配付資料を作成する

 配付資料や情報のとりまとめが必要な場合作業を行います。

会議の主催者としては、上記踏まえてさらに以下のポイントを検討した方が良いですね。
・進め方(プロセス、流れ)の設計
・進め方の手法や文房具等の道具立て
・会議の特徴

さて、上記は会議に焦点を当てた準備ですが、何か目的をもった場を作る時も、同様の準備が必要になります。

場の開催のための準備ですね。場をファシリテートするための準備と言い換えても良いと思います。

例えば、社内研修会等の教育ファシリテーションの場合は、参加者の興味範囲や問題意識の事前情報があった方がゴール設計(仮説の設定)が行いやすいです。

ということで、ファシリテーションの事前準備の解説でした。

ファシリテーション(06)ルール

Facilitation会議やチーム運営等ファシリテーションを行う際に、
活動の『ルール』を定めた方が良いです。

そして、ルールを守ることに心を砕いた方が良いです。

ルールは、ファシリテーターを救いますし、会議を救います。ということは、メンバーも救います。

ルールを制定するなんて、そんな「大げさな」、とか「面倒」、「ルールを言えない雰囲気」等あると思います。
周知して守ってもらえるのが主旨ですので、守れる状況や自然なチェックができるようになれば良いです。

ただ、「ルールがあって、守ろうと努力する会議」と「ルールが無い、守ろうとしない会議」では、会議の生産性に差が出ます。
一度比べてみてはいかがでしょうか。

さて、ルールの内容やポイントは例えば以下の通りです。
皆さんで合意して、追加したり削ったり、表現を変えたりしてみてください。

●ルール例
・秘密を守る
・話しを最後まで聴く
・犯人捜しをしない
・端的に話す
・全員が発言する
(その他、グループで決めたルール等)

●ポイント
・周知する、合意する、使えるようにする
・「ルール」といわず、「規範」「エチケット」でも良い
・周知・合意のため、会議前に皆やファシリテーターが読み上げても良い
・会議中に意識するために、大きく印刷して掲げておいても良い
・何か脱線が始まったら、ルールに言及したり、指し示すと効果を発揮

ぜひ使ってみてください。

ファシリテーション(07)役割

Facilitationビジネスシーンにおけるファシリテーションに触れています。

今回は、役割についてです。

ビジネスにおけるファシリテーションは、会議形式のファシリテーションが多いでしょう。
ビジョン共有等のワークショップファシリテーションや研修系のファシリテーションもありますね。

さて、会議等のファシリテーションにおける役割は、例えば以下の通りです。

ファシリテーター

 場の促進・支援役です。
 専任のファシリテーターがいる場面はあまり無いと思います。
 議長やリーダーが役割を担っても良いですし、ファシリテーターと名乗らなくても良いでしょう。
 ファシリテーターになりたい訳ではなく、ファシリテーションのもたらす自律性や全員参画
 のメリットを享受する等の目的に沿って動ければ良いと思います。

書記
 
 板書係と言っても良いです。
 板書の目的は、その場・その時点での共有です。
 場の進行と同時に、内容を要約、要約した内容の記載を主に行います。
 労力的には、一番大変かもしれません。
 そして、裏のファシリテーターともなります。

 共有するというコトが非常に重要となりますので、書記は重要な役割です。

 事後に議事録を作る役割は書記の方が担っても良いですが、可能であれば
 別の方が良いと思います。

タイムキーパー

 時間について、報告をする役割です。
 これも、役割を決めて時間を意識できた方が、良い流れの会議になります。

メンバー

 メンバーも大切な役割です。
 実質的な発案や、会議の流れはメンバーが行います。
 メンバー以外の役割の方は、全員メンバーをサポートしています。
 メンバーが場の主役です。

役割の総覧をしてみました。
もう少し詳しく触れてみようと思います。

ファシリテーション(08)ファシリテーター1

Facilitationファシリテーターの役割について解説します。

ファシリテーターの役割は、大まかには

「場の促進」
「参加者の支援」

となります。

もう少しかみ砕く前に、場とスタイルに留意する必要があります。

○前提

・場
 場の内容、理想とする雰囲気、ゴールは明確にしてください。

・スタイル
 ご自分の通常のスタイルを意識しておいてください。
  (指示が多いタイプだとか、雰囲気を盛り上げるのが得意とか、、)

以下、とりあえず次のコトを前提にして解説します。

・ビジネスで何かを検討する会議の場
  (教育とか、論争の場とか、屋外での活動等ではないです)

・参加者が自分たちから、自発的に参画して実行する雰囲気を理想
  (連絡会、報告会、講演会等ではありません。
   ファシリテーターが自分から内容に入ったり、引っ張ったりしません)

○役割

1.場のプロセスを設計します

  内容の行き着く先を設計するのではなく、どのような流れだと場としての目的とゴールが
  達成できるかを設計します。

  設計する内容は、以下のようなコトです。
   構造的なコト  目的、テーマ、ゴール、参加者等
   手法的なコト  プロセス、手法、ルール、役割等

 会議の主催者(オーナー)が別にいる場合は、主催者と調整します。

 その他、通達等の事前準備を行います。

ファシリテーション(09)ファシリテーター2

Facilitationファシリテーターの役割の続きです。

○役割

2.プロセスを流します

 ファシリテーターの活躍場面として、目につくところです。
 華々しい場面でもありますね。

 場のプロセスを運営するという表現でも結構ですが、運営という概念ほど
 コントロールは行いません。

 ダンスに例えると、場の流れと一緒にステップを踏む感じです。足を踏ん
 ではいけませんね。
 ジャズセッションの例えでも結構です。セッションがうまくゆくよう何か
 サポートする感じです。
 このようになるのは理想だとして、目安になる型は例えば以下の通りです。

①準備

参加への雰囲気作り、各種の事項を共有できるようにします。
説明や共有、確認を行うのに多少入り気味になります。

②広げる

目的やゴールに沿って議論を広げるようにします
議論を広がるように促した後は、ほとんど何も介入しません。
但し、自発性は平等性等のルールを見て場が流れていないと感じた場合は、
言葉かけ等で介入して流れを進めるようにします。
何か助け(手法や知識、基準等)を求められたら、流れを創り出すにの留意
して答えます。

③まとめる

広げた議論を整理します
参加者に、整理するように促します。
整理する手助けをします。
多少入り気味になります。

④終了

まとめたものに対して結論づけます。
場合によってはPDCAのPを行います。
分かち合いを行います
最後の締めの部分は、割合強く入っても良いです。
場の目的に応じた今回のゴールを明確にします。

○コメント

上記は、基本のプロセスにおける役割です。

場(会議)の内容やファシリテーターのスタイルによっては、役割が変わっ
てきます。

人や方法によっては、最初にプロセスを規定して極端に関与しない方法をとるコト
もあります。(本当に部屋から出たり、側で別のコトをしていたりします)

立ち位置はプロセスや場の状態に応じて変えた方が効果的です。

ファシリテーション(10)ファシリテーター3

Facilitationファシリテーターの役割の続きです。

○役割

3.支援

場の目的、プロセスのその時点の流れを円滑にさせる支援を行います。

支援の対象は、いくつかあります。

それは、人や場所、時間といったリソースへの支援となります。
時の間、モノの間、人の間、つまり「時間」「空間」「人間」ですね。

全てを包括して『場の支援』と言っても差し支えないと思います。

1.空間

 メンバーや書記の配置、机や椅子、道具、その他環境(光、音等)等の
 空間に関して場の目的に沿えるように支援します。

2.時間

 時間に関する支援を行います。
 例えば、時間の使い方や目的、時間延長や時間短縮等についての支援となります。

 一部タイムキーパーに任せている部分もあります。

3.人

 場の目的を果たすために、助けを求められたことに対して支援を行います。

 場の目的を果たす為に、はずれた行いがある場合の支援を行います。
 (対立状態や逸脱状態への介入等)

 援助、つまり自分ができることを自分のタイミングで行うコトや押しつけは行
 わない方が良いです。自立性が削がれます。
 支援が必要そうだけどとまどっているような場合は、思考を促進させてあげて
 支援が必要かを表明してもらった方が良いです。

 人への直接的な支援より、支援が不要となるプロセスづくり、仕組みづくりを
 する方が目的を自立的に果たすことができるようになります。

○コメント
 プロセスの設計や促進も支援と捉えられますが、ここでは少し砕いて説明
 しています。
 ファシリテーターの直接的な支援は、各自のスタイルによっても方法が変わって
 きます。

 ファシリテーターが直接行う「支援」を「戦術」と例えると、上位レベルには
 「戦略」相当の「プロセスの設計」が当てはまります。
 戦略の失敗は戦術では取り戻しづらいです。
 戦略への工夫を毎回少しづつでも行って、戦術に頼らなくても場の目的を遂げら
 れるように考えると、ファシリテーターの役割も果たせるようになります。

 戦争用語でぶっそうなので、支援を「演出」とすれば、プロセスの設計は「脚本」
 となるでしょう。場の目的を達成できる(感動を呼ぶ?)脚本を作って、良い演出
 を行えるように心がけるとと、表現しても良いかもしれません。