対話(01)対話のプロセス

対話近「対話」が注目されはじめています。

書籍「手ごわい問題は対話で解決する」 から

対話のプロセスについて触れてみましょう。

アダム・カヘン氏そしてオットー・シャーマー氏は、対話における聴き方に着目して次のように聴き方の状態があることを指摘しています。

一つ目の聴き方  ダウンローディング

 自分からのものの見方だけ(自分の枠組み、価値観)で聴いている状態
 

二番目の聴き方  ディベーティング(討論)

 討論会や法廷のように、外側、第三者的に話しを聴いている状態

三番目の聴き方  リフレクティブ・ダイアローグ(内省的対話)

 自分自身の話を内省的に聴き、他の人の話を共感的に聴いている状態
 
 
四番目の聴き方  ジェネレーティブ・ダイアローグ(生成的な対話)

 リフレクティブに加えて、全体から聴いている状態

三番目までは判りやすいかもしれません。
四番目の聴き方は、お互いが話さなくてもわかり合っていると感じていて、言葉を発する度に創造的な対話になっている状態です。

オットー・シャーマー氏は、この考え方も踏まえて『U理論』まで発展させています。

U理論の原書は、今翻訳されているという噂を聞いています。

偶然にも感じている生成的・創造的な対話の流れ、これは作り出せるようです。

2016年6月12日 | カテゴリー :

対話(02)対話の定義

e0007672_1225273.jpgビジネスの現場で、組織開発で、そしてワークショップやワールドカフェといった取り組みで、『対話』(ダイアログ、ダイアローグ)が注目されています。

今回は、その定義から。

対話(ダイアログ)の定義、それほど定まったものはありません。
ごくごく一般的にも、「対話」と呼んでる話し合いは行われています。

ここでは、学習する組織や組織開発、人材開発などの分野で、注目されてきている「対話」「ダイアログ」について触れます。

デビッド・ボーム は、

 共通理解を探し出す行為

アダム・カヘン は、

 対話には、一方的に話す対話、討論の対話、内省的な対話、生成的な対話があるとしています。

中原淳、長岡健(東京大学、産業能率大学) によると、

 共有可能なゆるやかなテーマのもとで、聞き手と話し手で担われる、創造的なコミュニケーション行為

広辞苑では、

対話 向かい合って話すこと。相対して話すこと。二人の人がことばを交わすこと。会話。対談。

そして、ここでは、

対話とは、

 テーマを持った率直で深く自由な話し合い  と定義します。

さらに表現を変えると、

 向き合って、伝え合って、理解し合う話し合い とも言えます。

形を表現するか、結果を表現するかなどによって、変わってくることもあるでしょう。

職場で人が動くことを考えると、
 指示命令では部下が動かない
 上司から指示命令されても自分は動くのに納得できない
 言われて動いても事態は複雑で困難
など、現在では様々な事態が起こっています。

私たちの行うワークショップや研修も多くの対話、対話の技術を活用しています。
対話という行動・行為は人が成長する場を作り出しやすいものにします。

対話の解説続けてゆきます。

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対話のまとめ ≪こちらのページです!≫

2016年6月12日 | カテゴリー :

対話(03)人数

対話対話する。
対話とは、何人くらいで行うのが良いのでしょうか。

対話と言ったら二人だよ、、、という方もいらっしゃるかもしれません。

様々な見解がありますが、一つの答えは 10人程度 です。

但し、急いで補足をします。
私見ですが  何人でも  というところが本当ではないかと考えています。

なぜか。
「向き合って、伝え合って、理解し合う話し合い」ができれば対話だと考えています。

どの程度の話題に対する深さ、
どんな場所で、
どんな長さの時間でなどなど
は定めていません。

と言うことは、世界中でインターネットを使って1年間かける話し合いも対話となり得るでしょう。

とは言え、『やった感』、参加者がその場で声を交わして対話を実施したと実感できるのは、 10名くらいの話し合いとなります。
お互いが信頼、理解できている状況では、20人程度でも良い対話ができます。

では、50人100人、1000人では無理なのか、、、無理ではありません。

そこで、近年の様々な手法的な工夫を活かしてもよいでしょう。

ここにおいては、対話の場づくりの組み立て・設計が重要になってきます。
それは、とあるテーマ、とある時間で、何人の人が、どのようになっていたいかなどを検討することです。

本当に99人とは話せなかったけど、なんとなく全員と話したような対話の実感が持てる。そして対話した内容を全員が共有している。
このようなことも可能です。

問題意識を共有する、社の理念やビジョンを共有する、今思っていることを共にして仲間意識を深める。
どのような人数でも可能です。かけられる時間や場所、制限そしてゴールなどによって設計してゆきます。

じっくり話して、お互いが十分に何も言わないでもわかり合うような状態にまでなりたいのであれば、10人でも非常に時間のかかることでしょう。

日本人が古くから、十分に対話をしてきた、そんな痕跡があります。
宮本常一の忘れられた日本人に出てくる、寄り合いでじっくりと話をしている場面です。
お互いに、言い足りないことが何もなくなるまで言って、聴いて、そして考えて結論を出しています。

今だからこそ活用できる手法を織り交ぜながら、様々な人数で対話してみても良いでしょう。

2016年6月13日 | カテゴリー :

対話(04)向き合う

対話対話とは、

 向き合って、伝え合って、理解し合う話し合い

と、私たちは定義しています。

なぜこのように考えているのか

今回は、 向き合う について

話をするとき、

部下と、上司と、同僚と、お客様と、出入りの業者の人と、パートナーと、、、、

向き合えていますか?

何かの理由で、相手の方がそこにいることを尊重できているででょうか。
敬意を払えているでしょうか。

言い換えると、「自分はこうだ・・・」という思いが強すぎることはありませんか。

話しをする場には、当然ながら自分以外の人がいます。

相手がいてこその対話です。
対話とは理解し合う、というところまでができて対話と考えています。

言いっぱなしだったり、命令、高圧、傲岸、、、、そして結果として自分しか見えていない、相手がいないとの同じ(無意識の無視とでも言えるでしょう)といった状態では、理解し合うといった対話にはなりません。

何かの伝達会議では、言いっぱなしといった状態もあるでしょう。

向き合っている状態とは、例えば、

お互いが受け入れられ、尊重されていて、お互いの発することを快く受け止めるよう、心の準備ができている状態

と考えています。

向き合えているとお互いに信頼関係が育まれます。

対話の環境が器という表現をされることがあります。
対話の場にいる人たちのお互いの信頼関係、受け入れれている、何かしゃべっても良いのだという感覚が強くなると、器ができるといった表現となります。

対話の場、器は、向き合うことで育まれます。

では、向き合う、対話できるようになるにはどうすれば良いでしょうか。
意識できるようにして場数を踏む、、、のが一つの手段でしょう。
やり方を学んで実践するのも一つの手段です。

2016年6月13日 | カテゴリー :

対話(05)伝え合う

対話対話とは、

 向き合って、伝え合って、理解し合う話し合い

と、定義しています。

今回は、 伝え合う について

言葉を発すれば話しはできます。
それこそ発語できる方はだれでも話はできます。

その話は伝わっていますか?
伝わらなくても、言って満足する話でしょうか。

話すだけであれば、 会話 という言葉があります

一応広辞苑で確認します。

会話  二人あるいは小人数で、向かいあって話しあうこと。また、その話。

私たちは、会話とは、話をし合う くらいの意味で使っています。

内容や話をする姿勢、向き合い方、理解の程度はそれほど気にしていません。
言葉の用い方としてこのように使っています。

さて、話したからといって伝わるとは限りません。そもそも伝えたいかといったことも関係します。

対話のポイントとして「伝え合う」としているのは、

・伝える意図を持って話しをして
・相手に伝わって
・相手も自分に伝える意図を持って話しを伝える
・自分にも伝わる

こういったことを意味しています。
伝え合うことが進んでくると、独白のようになりつつも、皆で伝え合っているようにもなります。
そういった意味では、

「自分が」話す・伝える という段階
「相手に」伝える     という段階
(敢えて表現すると)「その場に」伝える   段階(話の流れに全員で乗っるような段階)

こういった段階を経て対話が成熟する、良い対話になってゆきます。

さて、最近、対話や話し合いの関する技術が種々でてきています。
ビジネスでも会議を含めた話し合いの進め方、会議ほどテーマを設定しないで、わかり合うことを重視した対話の重要性も叫ばれてきています。話すには、伝えるには、自分や相手の心の状態も関わって来ます。

そう考えると、対話に関係する技術は、どのくらいあるでしょうか。
例えば、次のような技術になります。

話し合いの進め方(ファシリテーション)、話し合いの見える化(ファシリテーショングラフィック)、AI、NLP、TA、ワールドカフェ、OST、フューチャーサーチ、アクションラーニング、アサーション、対立解消、U理論、・・・・

きりがありませんが、敢えて区分けすると次のようになるでしょう。

・心に関係する技術
・話の仕方に関係する技術
・小集団の話し合いの進め方に関する技術
・大集団の話し合いに関する技術
・合意形成に関する技術
・未来を描くことに関する技術
・深い理解に至る技術
・集団による学びの技術
 (敢えて重複を許した区分をしています。)

実際の対話環境は、目的や目標(やりたいことやゴール)を想定すると、実施できます。
別項でお話しましょう。

さて、 対話における 「伝え合う」 簡単な言葉で言い換えると

 ちゃんと聴いて、相手に配慮してちゃんと伝える

このようにも表現できます。

2016年6月13日 | カテゴリー :

対話(06)沈黙

対話について、ちょっと久しぶりです。

対話とは、 向き合って、伝え合って、理解し合う話し合い です。

さて、話をしていると「沈黙」する、「沈黙」が起こることがあります。
もしかすると居心地の悪い瞬間かもしれません。

沈黙が起こると、どのようにしていますか?
話をしている相手や状況によっても当然違うでしょう。

こんな時、つい言葉を継いでしまうということはありませんか?

日常的な会話、指示や報連相、商談、そして職場から離れた雑談でも沈黙は起こります。

沈黙の起こるきっかけも様々あります。

ここで、深く話をしている、対話しているときの事を思い浮かべてみて下さい。
キャンプファイヤーを囲んだ時といったことでも良いでしょう。

何だか、心の奥底の深い所まで話せているかなと感じている時、

ふっ、と静かになることがあると思います。
沈黙です。

何だか自分から言葉を継ぐのをためらってしまう気持ちになるかもしれません。

少しでも理解し合いたい、対話したいと感じた時は、対話の中で浮かび上がった「沈黙」を大切にした方が良い時があります。

何の脈絡もなく押し黙る訳ではありません。
また、どんな沈黙でもいつも大切にした方が良い、という訳でもないでしょう。

「沈黙」の瞬間を大切にする理由、答えと言うか、考えはまた後日にしてみましょう。

「沈黙が起こったら、その瞬間を大切にするかどうするか考えてみようか」などなどと試してみると、案外すぐに判ると思います。

2016年11月13日 | カテゴリー :