ファシリテーター育成(08)ビジョンアプローチ

ファシリテーターに必要なスキル、次は『ビジョンアプローチ』のスキルです。

何かしらの問題が起こることは多いと思います。
そして、起こっている問題に焦点を当てて、問題を中心に解決を図ろうとするのが、前回触れたギャップアプローチです。

今回は、AI等で出てくるようになりました『ビジョンアプローチ』のスキルについてです。

例えば以下のような流れになります。

1.関係者が集まり

2.現状を共有します(問題、強み、特徴を含めて)

3.価値観を共有します。

4.どうなりたいか(ビジョン)を探究します

5.ビジョンを実現するための方法を考えます

6.方法を具体化した最初の行動計画を立案します

ビジョンに焦点を当てて考えると言うことでビジョンアプローチと表現しています。

上記の流れを本格的に一通り行った上で結果を得るには3~4日の日数が必要な場合も多いです。
ちなみに、ギャップアプローチで問題の本質を踏まえた行動計画の策定も2~3日かかります。

重要なのは、「どうなっているのか」(現状認識)、「どうしたいのか」(夢)です。
夢を語るには、徹底的に肯定的な問いかけで考えるのが良いでしょう。

深刻な、重大な問題を考える場合も、現状認識の一つと考えます。問題が起こったのが問題なのではなくて、何かを行おうとして問題が起こったわけです。その「何か」の方に焦点を当てて行動を起こすことで、結果的に問題が無くなるというアプローチをとっています。
「急がば回れ」を地で行っています。

注意点です。ギャップアプローチができない方や問題への認識が薄い人だと、問題を含む現状への認識が浅くなり
ビジョンや実現方法も浅くなる可能性が大きくなります。
問題解決(ギャップアプローチ)に慣れた方は、まどろっこしさを感じるかもしれません。
「理想と現実は違うのではないですか。」というお話を伺うときもあります。しかし、現状を正確に意識して夢に向かって進むというアプローチはそれほど不思議でないように思えます。

過去・現在・未来といった時間軸、そして個人や集団での思考を繰り返すことで、未来を作るアプローチとも言えるでしょう。
AIやFutureSearchのタイムラインを再度このような視点で考えると、様々な発見があるかもしれません。

大きな蛇足ですが、ビジョンアプローチにおいては未来を語る際にはナラティブな方法をとることが多いです。工作、絵画、歌、語り、演劇等です。夢ははっきりと体感出来た方が実現に向かいやすいということでしょう。さらに、聴覚や視覚、体感覚といった得意な感覚器に合わせて表現した方が良いでしょう。

ギャップアプローチもビジョンアプローチも本格的に取り組んで結果を出そうとすると、日数がかかったりします。
しかし、短時間の会議やワークショップにおいても、「どの部分」を「どの程度」「どのような効果を狙って」というようにプロセスを設計して使うと、良い結果がえられるでしょう。