ジーシフト[株式会社 グローバル・シフト・コミュニケーション]

2012年8月1日 

 

防災メルマガ SignalNow通信(地震・防災への第一歩)


 1.2011/11/ 4 正しい妄想をしよう
 2.2011/11/17 正しい情報を手に入れるために
 3.2011/12/ 1 無理せず話そう
 4.2011/12/15 "火"は用心
 5.2012/ 1/ 5 かかわりを見直そう
 6.2012/ 1/19 見直す機会
 7.2012/ 2/ 2 地震情報の概要を知る
 8.2012/ 2/16 身近な減災対策
 9.2012/ 3/ 1 あなどるな!震度7
 10.2012/ 3/16 明日への振り返り
 11.2012/ 4/ 5 自分で振り返る
 12.2012/ 4/18 行動への言葉
 13.2012/ 5/ 2 不安に取り組む
 14.2012/ 5/17 不安を測る
 15.2012/ 6/ 7 古きを訪ねる
 16.2012/ 6/21 避難を判断するために
 17.2012/ 7/ 5 防災を意識する
 18.2012/ 7/17 ハザードマップ
 19.2012/ 8/1 非常持出品


  防災スマホアプリについて

  「地震・防災への第一歩」がスマホアプリとしてリリースされるようになりました。
  少しずつアプリは増えて参ります。
  皆様の防災の活動への道具=「動具」として活用いただければうれしいです。

  対応スマートフォン(アンドロイド)
  検索方法  GooglePlay にて検索 「防災動具」

  リリース状況  ・ 防災動具Free 非常持出品    (〜2012年8月末まで無料で公開)
              PC板説明画面は ≪ こちら

  GooglePlay は ≪こちら≫ から




1.正しい妄想をしよう  (2011/11/4)

 東日本大震災以降、地震や防災に関する様々な情報を目にするようになりました。例えば、科学的な解説、復旧の状況、コミュニティの活動、さらには原子力に放射能など、気になる情報であふれかえっています。
 
 ただし、やみくもに多くの情報を取り入れても消化不良で収拾がつかなくなってしまいます。
 
 そこで、地震と防災へのお勧めの第一歩です。
 それは、「正しい妄想」です。
 
 今ここで地震が起こったなら、と妄想でも良いので空想の翼を大きく広げる。しかも、できる限りで正しく。
 
 これが、地震や災害に備える第一歩となります。
 正しく妄想できると、次への行動、必要な情報や知識が見えてきます。



2.正しい情報を手に入れるために  (2011/11/17)

 正しく想像し、行動するには正しい考えと情報が大切です。
 
 地震や防災の情報は様々あります。「この情報が正しい」と焦って判断する前に、まず「自分にとって正しい情報」を知ることが大切です。
 
 1)≪目的を持つ≫
  それは何のための情報でしょうか。例えば、家で震災に遭っても3日生き延びるため等、目的を明確にすると必要な情報が判ります。

 2)≪基本と事実を押さえる≫
  災害時直後3日は自助が必要、震度5程度でタンスは倒れる等、常識的な基本や事実は正しい判断の基準になります。

 3)≪実情に合わせる≫
  地域や地形によって危険度は変わります。地震時と洪水時では対応が変わる場合があります。実情に合わせた情報が必要です。

 4)≪いつもアンテナを高く≫
  活断層の状況や震源域の連動など考慮した方が良い新たな情報は今後も出てきます。新たな情報と新たな対処は必要と考えましょう。

 5)≪過去の経験・失敗に学ぶ≫
  過去の経験や失敗は貴重な宝物です。積極的に取り入れると、同じ間違いをしません。また、自分の失敗からも学ぶことが大切です。

 6)≪ウソとデマは見抜く≫
  虚偽のウソと根拠の無いデマは出回ることがあります。これを見抜くには、裏を取る、常識を押さえるなどを普段から心掛けましょう。



3.無理せず話そう  (2011/12/1)

 今回の大震災に限らず大きな災害などの後には、生活する環境が長期変わってしまうことが多くあります。

 今回は、災害時などの「こころのケア」につながるヒントです。
 生活環境などが変わった方、支援する方にもお勧めなのが『無理せず話す』ことです。

 1)≪心の重荷を降ろす≫
 一人で抱え込んでいると気持ちも行動も重荷のように感じてしまいます。話すことは重荷や塞がった思い・感情の解消になります。

 2)≪自分のペースで話す≫
 話す時には、無理に何かを語ろうとしなくても大丈夫です。また、人に対しては話しを無理に促さないようにしましょう。話したいことを自分のタイミングで話せるようにすることが大切です。

 3)≪決めつけない≫
 話しを聞いている人は、急いで事の善悪などを決めつけないようにしましょう。決めつけより一旦何も考えずに受け取る事が良いです。

 4)≪できたことを確認する≫
 今までと比較すると、足りない・できていない事は目に付き不安になります。しかし、一足飛びの成果ばかりを無理して考えなくても、できたことを互いに確認できれば少しずつ安心感が増していきます。




4."火"は用心  (2011/12/15)

 冬は火災の多い季節です。乾燥し暖房器具を使うことも多くなります。
 今回は、冬だからこそ気をつけたい火災と地震についてのヒントです。

 1)≪大地震では身を守ってから、火を止める≫
  揺れている最中に慌てて火の始末をする方が危険です。大地震の時はまず身を守ってから、使用している火の始末をしましょう。

 2)≪火災対処は通報、消火、避難を柔軟に≫
  火災を見つけたら、1に通報、2に消火、対応できなければ3に避難です。ただし、大火事の場合は直ちに避難です。

 3)≪初期消火は天井まで≫
  火が小さなうちは消し止めることができるかもしれません。初期消火の限界は、炎が天井に達するまで。これ以上は避難が優先です。

 4)≪バケツ1杯よりコップ10回≫
  水が十分にない時は、少ない水を一気にかけるより、コップで何回も水をかける方が効果があります。

 5)≪液体なら牛乳、ジュースでも火は消える≫
  冷蔵庫にある紙パックの牛乳やジュースも初期消火には有効です。
  パックを持って火の方に振ると、何回かに分けて放出できます。

 6)≪避難は床をなめるように≫
  煙を絶対に吸わないように息は止めて避難します。煙が充満していても、床に空気が残って視界が効くことも多くあります。息を吸う時は床をなめるような体勢で、ポリ袋に空気を入れておくのも有効です。

 7)≪普段の注意と訓練≫
  どこに行っても避難路は確認する。消化器の使い方、バケツリレーや避難の方法、息は何分止められるかなど普段の注意と訓練が大切です。



5.かかわりを見直そう  (2012/1/5)

 元旦早々に、関東などの広い地域で最大震度4の地震がありました。
 帰省や旅行先で地震に遭った方も多かったのではないでしょうか。

 さて、年の初めは今までのことを見直して新たなことを始めるチャンスです。今回は、周りの人とのかかわりを見直すヒントです。

 「遠い親戚より近くの他人」ということわざがあります。また大災害で助かるためには、90%は自分の力と近所で助け合うようにすることがポイントです。
 防災のためだけではありませんが、年の初めをきっかけとして周りの人とのかかわりを見直してみてはいかがでしょうか。ご近所の方とのつき合いが深い方やまだ薄い方も、たとえば以下のようなきっかけがあります。

 1)防災訓練
  地域ごとなどで防災訓練がある際は、参加するだけでなくお互いにどうやって助け合うか話始めてみることも良いでしょう。

 2)自治会・学校活動
  自治会やPTA、お母さんの会、地域の祭りの会など、さまざまなコミュニティがあります。これも近所の方とかかわる第一歩になります。無理せずにできることをできる時に行い、参加するようにしてみてはどうでしょうか。

 3)普段の声かけ
  近所の方とのちょっとした挨拶はかかわりの第一歩であり、かかわりが深まるチャンスです。

 4)祭り
  近所の神社に初詣、参拝しましたか?同級生に出会ったり、顔見知りが増えたりします。神社などへの参拝や、祭りを見るのも近所の方とのかかわりを深めるチャンスです。

 深い絆へとつながるきっかけは、案外近くにあります。



6.見直す機会  (2012/1/19)

 年末に大掃除をした方も多いと思います。掃除をすると不思議なもので、普段は気が回らないところに気がつきます。
 大掃除や新年などの機会を活用した、防災対策見直しへのヒントです。
 
 1)転倒防止具
  大掃除の時、転倒防止具に異常はありませんでしたか。ゆるみ、はずれなどの不調に気づいたのであれば、「まあいいや」とやり過ごさずに対処することが大切です。

 2)戸棚
  地震が起こっても、戸棚・書棚・食器棚からモノは落ちてこないですか。1年もするとモノが増えたり配置が変わることもあります。

 3)避難袋
  水にラジオに懐中電灯、防災用品をいつでも持ち出せるよう避難袋を作っているご家庭も多いと思います。その水や電池は大丈夫ですか?

 4)地域情報
  活断層の最新状況、近所で危険な崖や排水路、地域の危険情報、防災情報も随時変わってきます。新しい情報にもアンテナを張りましょう。

 5)事業継続計画(BCP)
  会社も毎年事業や状況が変化します。災害などイザという時のために、年頭のこの機会に事業継続計画を見直すのも一手です。

 6)防災ルール
  家族・職場の防災ルールはそのままで良いですか?学校や勤め先など生活環境が変わると、避難場所や連絡方法も変わります。
  家族や職場の防災会議で確認しましょう。

 7)振り返り
  新しい年に向けた決意表明、今年はどのように決意をしましたか?
  この機会に、防災上やっておけば良いと思ったことなどを振り返って共有しましょう。振り返りの機会は防災意識を高めます。

 一旦防災への備えをしても、何らかの事情で不調に陥ることもあります。新年や大掃除、防災の日などの機会で状態をチェックするだけで防災への備えは万全となります。



7.地震情報の概要を知る (2012/2/2)

 東京大学地震研究所の研究チームから、マグニチュード7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生するという試算が出ました。

 また、震度4以上の地震も頻繁に起こっており、緊急地震速報の警戒音も良く聞きます。地震の情報は気になるところです。

 今回は、テレビ報道などで目にする地震の情報について、情報の伝え方から見た地震の規模や概要についてまとめてみます。
 地震が発生した際は、おおよそ次の順番で地震の情報が発表されていきます。

 1)緊急地震速報
  SignalNowは、高度利用者向け緊急地震速報(予報)を活用しています。
  テレビなどでこの情報に基づく警報見聞きしたこともあると思います。
  緊急地震速報が出る時は、「震度5弱」以上の地震を予測した時です。

 2)震度速報
  起こった地震が震度3以上の場合は、震度3以上の地域名を速報します。

 3)津波警報・注意報
  津波による災害のおそれがあると予想される場合は、津波警報・注意報
  が発表されます。

 4)震源・震度に関する情報
  震源(地震の発生場所)、規模(マグニチュード)、震度3以上の地域

 5)各地の震度
  震度1以上の各地の震度

 6)推計震度分布図
  震度5弱以上の場合の、地震データを元にした震度4以上の地点地図
  情報。地震発生後短時間(15分程度)で発表。
  被災地の広がりの指標として活用可能。
  http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/suikei/index.html

  例えば、2012/1/28 7:43の山梨県東部・富士五湖 M5.5の地震の場合
  11分後の7:54には、推計震度分布図の情報ができあがっています。
  2011/3/11の東日本大震災の場合も、15分後に分布図ができています。

 報道で見聞きする情報も、伝わってくる順番などが地震の規模などの理解へ
 の参考となります。また、インターネット環境が使える方は、地震発生から
 15分後には震度4以上の速報的な地図情報を手に入れて、被災地の広がり
 などへの参考として、行動することができます。
 PCやスマートフォンですぐにチェックできるようにしても良いでしょう。



8.身近な減災対策 (2012/2/16)

 被害を出さない取り組みが防災です。最近では被害を最小限に抑えるための対策である『減災』も重要視されてきています。

 東京都防災会議の「首都直下地震による被害想定」によると、想定負傷者の約34%、5万人以上の方が「家具類の転倒・落下」によって負傷するだろうとされています。
 身近で効果の高い減災対策は、家具類の転倒・落下被害への対策です。

 1)家具を固定する
  「家具が動かない、倒れない」ための対策です。L字金具やワイヤーなど様々な方法があります。

 2)家具の向きを変更する
  「家具が動いても、被害がなるべく出ない」減災の対策です。

 3)家具・食器棚・本棚の中身が出ない
  「家具の中身を出さない」ための対策です。ベルト器具や耐震ラッチなどがあります。
  また、ガラス飛散防止フィルムは家の中のガラスや食器が凶器になることを防ぎます。

 4)家具・食器棚・本棚の中身を少し出にくくする
  「多少の揺れでは、中身が出にくくする」減災の対策です。
  扉のない食器棚などで棚の端にゴムのストッパーなどを貼り付ける、縦方向にゴムチューブをつけるなどの方法があります。
  また、底板を手前の方を高く、奥側を低くする工夫をすると食器の飛び出し防止になります。

 5)テレビとパソコンも対策を
  テレビやパソコンも倒れることを想定して、耐震固定ベルトや耐震マットなどで対策をしましょう。

 倒れない防災対策、倒れても被害を少なくする減災対策、できるところから取り組みましょう。



9.あなどるな!震度7 (2012/3/1)

 首都直下地震が震度6強ではなく、震度7となる可能性が指摘されています。これは、最近の文部科学省の
 プロジェクトチームの調査で、従来の想定よりも浅いところが震源域になる可能性を反映したものです。

 震度7という言葉に漠然と不安を覚えるかもしれません。もしくは、今までの想定と大差は無いと感じいるかも
 知れません。今回は、震度7をあなどらないためのヒントです。

 1.震度7は東日本大震災レベル
  震度7レベルの地震とは、阪神・淡路大震災、東日本大震災、新潟県中越地震レベルの地震です。
  このレベルの地震が首都圏で起こることが想定されています。

 2.家具は飛ぶ
  震度7では立つことができず、這っても身動きが取れなくなってきます。また、固定していない家具はほとんど
  移動し、飛んでくる場合もあります。重たい家具や機器も凶器と化してきます。

 3.耐震性の高い建物まで傾く
  耐震性の低い木造建物や鉄筋コンクリートの建物で倒れるものが多くなり、耐震性の高い木造建物も傾く
  場合がまれにあります。

 ≪震度7に出くわしたら≫
  震度7に限らず家で酷い地震が来た時には、頭を保護して丈夫な机の下などの安全な場所に避難しましょう。
  そして、可能な場合はすぐにドアを空けて脱出路を確保しましょう。

 ≪震度7を体感する≫
  言葉や文字では震度7の大変さはなかなか伝わりません。
  震度7の地震体験など防災体験学習のできる施設(東京都では、池袋防災館など)を活用して地震への理解
  を深めて、家族や職場での防災活動に活かしていきましょう。




10.明日への振り返り (2012/3/15)

 東日本大震災から1年が経ちました。
 1年という節目で様々な報道や情報を目にします。
 例えば、当時の被害の全体像やその後の経過、問題や課題、被災された方の当時の状況や現在、復興の現状
 などです。
 被災をされた方、報道などを見た方、それぞれに1年前を思い出したのではないでしょうか。

 今回は、振り返ることについて触れてみます。

 南三陸町の佐藤仁町長は、高台移転をいち早く決めて実現を推進しています。南三陸町では、震災まで毎年
 津波を想定した防災訓練を行っており、防潮堤も充実していました。しかし、甚大な被害が出たことはご承知の
 通りです。「うちの町の防災のあり方考え方は、防潮堤を当てにしない、高台避難をする。」町長はこのように
 コメントしていました。

 もう一つ、ある防災グッズのマニアのお話です。
 震災までは色々と防災グッズを揃えて、揃えることで十分に対策をしていると考え満足していました。大震災を
 目の当たりにして、防災グッズを集めて満足するのではなく、生き延びるために防災グッズを使わなくてはと
 考えを変えたということです。最近では防災グッズは2種類に分けているそうです。一つ目は、とにかく逃げる時
 に必要なもの。そして二つ目は、生き延びた後に必要になるものです。

 振り返りとは、過去を顧みることです。何のために顧みるのでしょうか。
 今回の例は、何か自分でできることを変えて、以前とは違う結果となることを期待し行動しています。

 明日何か良くなるため良くするため、自分でできること自分からできることを見つけるために、震災を振り返って
 みてはいかがでしょうか。
 但し、振り返るのが苦痛であるときは無理はしないようにしましょう。



11.自分で振り返る (2012/4/5)

 前回は、東日本大震災を振り返った行動の変化がテーマでした。
 今回は、振り返りを自分で活かす方法です。
 振り返りは、自分がその気になったら行いましょう。そして、無理をせず気分が悪くなったらすぐにやめましょう。

 1)一つに絞る
  振り返りたいこと、反省したいことはたくさんあるかもしれません。
  しかし、一気にたくさん思い出しても気持ちがいっぱいになるだけで明日良くなるきっかけを冷静に考えること
  ができません。
  振り返りる時は一つのことに絞る方が取り組み易いです。

 2)映画のように思い出す
  振り返る対象については、可能な限り事細かに思い出してみましょう。
  映画ように見たこと、聞いたこと、肌で感じたこと、行動したことを順を追って思い出しましょう。

 3)事実と感情を分ける
  「見た」ことと、「見て危険と思った」ということには大きな違いがあります。
  振り返りを行う中で、見た・聞いた・触れた・行動したなどの「事実」と、事実の前後で思った・考えたなどの
  「感情・判断」を分けましょう。
  事実と感情・判断を分けることは、振り返りのカギです。

 4)原因を探る
  振り返りたいことに対する原因を探ります。
  探るポイントは感情と判断の理由です。なぜそのような感情を持ったのか、なぜそのような判断をしたのかを
  考えてみましょう。思いつい
  た理由には、もっと深い理由があるかもしれません。理由を深めてゆくと原因に行き着きます。

 5)原因に取り組む
  原因が見つかればより良くするような取り組みを行います。
  自分からできること、協力が必要なことなど考えて取り組みましょう。

 何かが少しでも良くなるため、自分なりに振り返ることも大切です。

 振り返ることがつらい時は時期を変えましょう。

 ≪振り返り・反省の方法 掲載ページ




12.行動への言葉 (2012/4/18)

 今年2月に津波警報の発表基準などに関する提言が気象庁から発表されました。そして、津波警報時におけるNHK
 などの放送文言が変更されるということです。
 例えば、大津波警報時の「高いところに逃げて下さい」というアナウンスは、今後「高いところに逃げること」と変わり
 ます。
 これはどういうことでしょうか。

 津波ではありませんが、このような話しがあります。
 自分の子どもが不注意で車道の真ん中に出てしまいました。そこに迫ってくる車。子どもが危ない!自分は少し
 離れているのですぐに駆け寄れません。今できることは大声で叫ぶことです。
 この時子どもが危険を回避するための良い言葉は、つい言いがちな「危ない!」より「走れ!」となります。
 行動を短く端的に促す言葉です。

 津波警報の目的は、津波から生き延びる、逃げ延びることです。
 そのために、逃げるという行動を促す工夫が盛り込まれ始めたということになります。
 この提言は、津波の避難に限らず地震や日常生活における行動への助けになります。

 1)とるべき行動を表現する
  「走れ」「逃げろ」など動作表現が行動を促します。

 2)表現は短く
  初動でとにかく早く逃げるのであれば、「巨大津波だ、逃げろ」の方が、「マグニチュード9の地震で震源が△△、
  15mの津波が来るから逃げよう」よりも早く行動ができます。

 3)断定で表現する
  「逃げた方が良いです」よりも「逃げろ」と言い切ります。
  断定で表現するには、普段から判断基準を知って観察力を磨いておくことも大切です。

 4)タイミングに応じた情報で
  東日本大震災では、過小評価したマグニチュードで津波の高さが過小評価され避難が遅れたと指摘されています。
  また、津波の高さの計算には時間がかかります。
  初動で素早く逃げる時には、「巨大津波だから危険である」程度のすぐに理解できる要約された情報が大切です。
  これを補足する形で詳しい情報があると判断を補強できます。

 生き延びるために情報を聞く時、そして自分から声がけをする時の参
 考になるのではないでしょうか。



13.不安に取り組む (2012/5/2)

 不安とは未来に対する恐れです。
 これから起こる事態を恐ろしく感じ、気持ちが落ち着かないことです。
 地震被害や避難生活から回復する上での不安、新しい地震予測や津波予測への不安。様々な不安があります。

 今回は、不安と折り合う、取り組むヒントです。

 1)笑う
  薬を10錠飲むよりも笑った方が良いと言ったのはアンネフランクです。不安にとらわれていると何もできなくなっ
  てしまいます。笑う、深呼吸する、今することに立ち戻る、などで不安へのはまり込みを断ち切ることができます。

 2)書く
  幽霊の正体見たり枯れ尾花。ススキが幽霊に見えたという話しです。
  何を不安と感じているのでしょうか。それは、本当に恐ろしいことなのでしょうか。よくよく確認してみると案外恐ろし
  くないこともあります。
  確認する良い手段は、書くことです。何が不安か、何故不安かを書いてみましょう。不安解消へのきっかけとなり
  ます。
  友人に自分の不安を話すことも同様の効果があります。

 3)取り組む
  思い込みではなく、何か起こるのであれば真正面で受け止めて取り組むことが大切です。この場合、漠然とした
  不安ではなく明確に取り組む事柄(問題)として、何を・いつまでに・どうすると計画や段取りを決めることが不安
  の解消につながります。
  そして誰かの協力が必要なのであれば協力を求めることも大切です。

 4)リラックス
  最後に、お茶を飲む、伸びやストレッチをする、風呂に入る、散歩をする、寝るなど自分をいたわりリラックスする、
  自分が心地よいと感じる自分だけの習慣・得意技があると思います。
  不安を感じた時は、まず自分の得意技でリラックスしてみても良いでしょう。




14.不安を測る (2012/5/17)

 今回も不安に関する話題です。まずは、一つ質問を。
 昨日の不安と今の不安、どちらが大きいでしょうか。それはどの位?
 
 不安に取り組む方法の一つが「書く」ことでした。これは、不安を見えるよう可視化することです。見えると理解でき、
 明確になることで不安は薄れてゆきます。そして、内容を書く以外の可視化の方法もあります。それは、
 「不安の程度」をそのまま書き留める、測る方法です。

 最近公表された、不安や安心、ワクワクやイライラといった心の動きを数値化する方法があります。
 理化学研究所の「KOKOROスケール」という方法です。

 この方法は、安心/不安感、ワクワク/イライラ感といった気分の尺度を計測する方法です。数値化できることも
 あり、集団でも計測でき、統計解析し対処ができる点がすぐれています。

 この方法で、偶然にも東日本大震災前後のこころの動きを計測していました。震災前後で試していた方々は
 震災被災者の方ではありません。
 しかし、普段の生活に不安を覚え、そこから以前の状態に戻るまで一定の時間(2週間〜1ヶ月)がかかることが
 判ってきています。

 不安は可視化すると薄れてゆきます。可視化せず妄想が膨らむままでは不安はいつまでも大きくなります。
 KOKOROスケールのような方法で、単純に測定・確認することだけでも不安が薄らぐ、断ち切る、立ち戻るきっ
 かけとなることでしょう。

 また、不安や安心といった心の動きが見えるようになると自分だけでなくも周りも(行政や会社など)対応がしや
 すくなります。
 時間の変化や地域・職域の変化や傾向も判るようになります。

 KOKOROスケールは、紙だけではなくタッチパネルも使うことができるそうです。
 また、一人で活用する際は日記などに記載しても良いでしょう。
 さらに、気になる人に対して「今の気分はどれくらいかな」とスケールを指さして会話のきっかけとする活用なども
 考えられます。

 不安を妄想にとどめず、少しでも見えるようにすることが対処への近道となります。

 最後に、運動をすることで安心感が上昇するということがKOKOROスケールを使うことで判ってきています。
 安心感を取り戻すためにはちょっとした運動が良いようです。


15.古きを訪ねる (2012/6/7)

 地震や津波など起こる可能性のある災害には、普段からの心がけや準備が大切です。
 では、自分の住んでいる地域のどこの何に心がけ、気をつければ良いでしょうか?まずは、行政や自治会
 からの注意喚起も大きな情報源です。
 今回は、少し気をつけると自分で見つけることのできる災害注意地域の発見ポイントです。

 1.石碑に気をつける
  東日本大震災で、過去の津波被害の教訓を記した石碑が話題になりました。岩手県宮古市の「大津浪記念碑」
  です。
  身近に石碑はありませんか?
  そこには石碑を建立するほどの強い動機の何かがあるかもしれません。

 2.神社に気をつける
  仙台市若林区の「浪分神社」、東日本大震災ではこの手前まで津波が押し寄せました。過去の津波で
  ここまで浪が来て分かれて(引いて)いったことが伝えられています。
  身近にある神社の由緒を調べると判ることがあるかもしれません。
  ちなみに、愛宕神社、秋葉神社は防火の神様です。水神社など水にまつわる名前の神社は雨乞い(水不足)や
  水への感謝や畏れに関係があるかもしれません。

 3.地名に気をつける
  渋谷は地形的には谷にできている街です。地下鉄の銀座線が地上に見えていることからも想像しやすいかも
  しれません。
  地名に谷があると低地、浜があると以前は海岸、沼があると沼を埋め立て、○○が丘は山を造成して新しく
  できた土地の可能性があります。
  土地の特性、過去の地形が地名からある程度類推できます。

 教わらなくても防災へとつながる情報・お知らせは日常の中で案外目にしています。
 少し気をつけて周りを見ることは、防災への温故知新となるでしょう。



16.避難を判断するために (2012/6/21)

 台風4号が列島を直撃、縦断しました。
 各地での被害や交通機関への影響も多く出ました。
 一方、早くから避難を開始したり、帰宅や帰社を判断した職場や学校もありました。
 今回は、台風など災害時の避難を判断するためのヒントです。

 災害時の避難勧告・避難指示といった防災情報は市町村長の判断で発信されます。

 ・防災情報の種類
  避難を促す強さによって3段階程度に分かれています。
  (1)避難準備情報
    避難の準備開始を勧める情報です。
    体の不自由な方は避難を開始しましょう。
  (2)避難勧告
    避難の開始を促す情報です。
    通常の避難行動ができる方も含めて、避難を始めましょう。
  (3)避難指示
    災害の危険が迫っていることを示す情報です。
    直ちに避難するか、最低限身を守るようにしましょう。

 ・防災情報を受け取るには
  防災情報はインターネットや報道など多様な入手方法があります。
  但し、災害時には通常の方法が使えない可能性があります。
  防災無線や自治組織の連絡、最近では携帯メールでも災害情報を入手できる市町村も多くあります。
  防災情報の入手先を普段から確認しておきましょう。

 特に体の不自由な方などは、他の方からの支援が必要なことも多くあります。普段からの支援体制、連絡や
  意思確認の方法などを取り決めておくことも大切です。

 早めの避難、状況に応じた避難を判断するためのアンテナは高く持っておきましょう。



17.防災を意識する (2012/7/5)

 防災、日ごろから意識できていますか?

 「大震災から意識するようになった」「ちょっとは気にしている」などいろいろな意識をしていると思います。

 では、ちょっと立ち戻ってみましょう。
 「防災意識」とは何でしょうか。

 字を見ると「災害を防ぐための意識」といったことが連想できます。

 地震の場合は、地震災害を防ぐための意識となります。最近では災害を軽減する減災も含めて防災という
 言葉を使う場合も多くあります。

 防災意識とは、災害で被害に遭わない、被害を小さくするために意識することです。つまり、「災害で死なないため」
 「地震で死なないため」に気をつけることです。

 防災を意識するポイントは、数多くあります。その基本となる考え方は、おおよそ次の3種となります。
 地震を例にまとめてみましょう。

 1.知る
  地震の危険性、しくみ、近所の危険地帯(地震ハザードマップ)など

 2.準備
  自宅や職場での対策(予防)、行動準備(避難・非常時持ち出し品、避難場所・避難路確認 など、どんな時
  何をするか)

 3.協力
  自主防災組織、自治会や隣近所との普段からの連携、防災訓練の参加

 地震で死なないためには、自分のことは自分で行う「自助」が最も大切です。そして、隣近所で助け合う「共助」
 が次に大切です。大災害で頼りになるのは、自助と共助で9割です。国や自治体の助けは1割しか頼りになり
 ません。

 地震防災への意識は、一人ではなかなか高まらないかもしれません。
 そういった時に頼りになるのは、隣近所や職場の仲間です。
 防災訓練などで、多くの方と共にまなび、意見交換をし、訓練を行うことで「知る・準備・協力」の3つが同時に
 高まります。

 雑談でも良いので、ご近所や職場で「地震への備え、どんなことしているの?」と聞いてみてはいかがでしょうか。
 何を危険と考え、どう準備をしているか参考になるかもしれません。

 防災訓練などの際には、「我が家の備え」を皆で共有しあうところから始めても良いでしょう。
 共有や意識向上のやり方はいろいろあります。

 地震防災について様々な形で触れることで防災意識は高まります。



18.ハザードマップ (2012/7/19)

 地震を知ることは防災意識の向上につながります。
 地震の危険性が判る情報源として「ハザードマップ」があります。
 これは、災害の発生を想定して被害の影響と区域や避難などに関する情報を地図化して判りやすくしたものです。
 今回はハザードマップ活用へのヒントです。

 ハザードマップは、洪水、土砂災害、そして地震など災害の種類によって地図化されています。

 1.地元のハザードマップ
  国土交通省のサイトから地元のハザードマップが参照できます。
  公表されているハザードマップの情報は日本地図から選択できます。
   http://disapotal.gsi.go.jp

  ハザードマップの注意点
   ハザードマップは「特定の災害を想定」した影響などの予想図です。いつも必ずこのようなことが起こることを
   示してはいません。
   地震や雨の大きさや発生場所によっては、マップで示した通りに起こったり起こらなかったりします。あくまでも
   傾向や影響、可能性を考える参考情報とするのが良いでしょう。

 2.我が家の近所のハザードマップ
  近所の壁や崖、地震や大雨になると危険になるかも知れないと感じたことはありませんか。
  「お隣のあの壁は大きな地震が来たら崩れそう」といったことです。
  普段は安全でも災害が起こると一転して危険となるところは数多くあります。近所の危険、自分の町の危険を
  頭に入れておきましょう。
  例えば、近所の防災訓練、家族の防災会議で近所の地図を広げて危険だと思った所に印をつけてゆきましょう。

  「何となく危険と思うけど、実際にどうなるのか疑問」こんな時は防災意識をさらに高めるチャンスです。
  地震の仕組みや影響を学んでハザードマップに活かしましょう。

 自分・家族が助かるためにという目的意識を持つと、ハザードマップもより一層活きてきます。



19.非常持出品 (2012/8/2)

 地震や災害が発生した時、身を守り生き延びるために必要な道具を準備
 しておくことが大切です。

 これは、災害などの非常時に活用する道具として「非常持出品」と呼ば
 れている防災用品です。
 今回は防災用品、特に「緊急・非常持出品」に関するヒントです。

 防災用品は、通常は2種類もしくは3種類に分けて考えると良いです。
  @ 非常持出品(一次持出品) 持出向け防災用品(通常の持出品)
  A 非常備蓄品(二次持出品) かさばる備蓄向けの防災用品
  B 緊急持出品(〇次持出品) 最低限、常時向け、軽量の非常持出品
   さらに、余裕があれば次の準備を行っておくと良いでしょう。
  C 防災資機材 救出救護、消火機材、家の中の整理

 1)持出品は持ち出せる重さで
  重たすぎるといざというときに持ち出せません。
  男性で15キロ、女性で10キロまでにまとめましょう。

 2)持ち出し袋を工夫する
  持ち出し袋は、丈夫なリュックなどを選びましょう。
  また、釣り用のベストの活用も良いでしょう。両手が使えるので
  緊急持出品や小さな子ども連れのお母さん向けの持出品に便利です。

 3)持出品の構成と量は各家庭で考える
  必要な防災用品は、各家庭の人数や年齢構成、地域特性、集合住宅か
  戸建てかなどによって変わってきます。
  非常持出品、備蓄品リストなどを参考にして各家庭で必要なもの、
  必要な量を考えて用意するようにしましょう。

 4)防災用品は普段から使う
  いざというときに役に立つのは、普段から準備して普段から使ってい
  るものです。普段から使っていないものは非常時には使えません。
  保存食は定期的に消費する、道具も定期的に使ってみることが大切
  です。

 5)防災用品は取り出しやすいところに
  持出品はすぐに持ち出せないと意味がありません。
  玄関脇に置いておく、分散して置いておく、ベストに最低限入れて
  つり下げておく、などの工夫をしていつでも使えることが大切です。

 6)非常持出品リストを活用しよう
  例えば次のような非常持出品リストなどを活用しましょう。
  a)装備 非常持出袋・リュック、運動靴・厚底サンダル、ホイッスル、
      ヘルメット・防災頭巾、筆記用具、軍手、ビニール袋(大)、
      懐中電灯(予備電池)、携帯ラジオ(予備電池)
  b)水   飲料水(緊急持出は500ml×1、1人1日3リットル目安)
  c)食料品 非常食(ゼリーなど)
  d)食事用品 皿・コップ
  e)貴重品  現金・小銭、預金通帳(写)、身分証明書(写)、認印
  f)医療品  救急用品、常備薬
  g)衛生品  マスク、ティッシュペーパー、ウェットテッシュ、タオル、
        トイレパック(簡易トイレ)、ハンカチ
  h)その他  女性向け用品、赤ちゃん用品、高齢者用品 など


非常持出品のうち、り絞ったものを下表にまとめました。(上記の内容を下表へ)
また、さらに追加して 「非常持出品(一次持出品)」 としたリストをスマホアプリにまとめています。良ければご活用下さい。

【緊急持出品(〇次・携帯)】 (非常持出品で携帯・重要なもの)
装備・日用品非常持出袋・リュック
運動靴・厚底サンダル
ホイッスル
ヘルメット・防災頭巾
筆記用具
軍手
ビニール袋(大)
懐中電灯(予備電池)
携帯ラジオ(予備電池)
雨具(軽・小)
万能ナイフ
連絡メモ
飲料水
(緊急持出 500mlなど)
食料品非常食・携行食(ゼリー、キャンディーなど)
食事用品皿・コップ
缶切り・ハサミ
貴重品現金・小銭
預金通帳(写)
身分証明書(写)
認印
医療品救急用品(絆創膏など)
常備薬(お薬手帳)
衛生品マスク
ティッシュペーパー
ウェットテッシュ
ハンカチ
タオル
トイレパック
 (簡易トイレ)
その他女性向け用品
赤ちゃん用品
高齢者用品 など



 非常持出品リストがアンドロイドスマホアプリになりました。

  「防災動具Free 非常持出品」 (〜2012年8月末まで無料公開)
    (緊急持出品+非常持出品)

  GooglePlay は ≪こちら≫ から。(「防災動具」 で検索)






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