古典の力(18)五事を正す

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第十八弾、近江聖人 中江藤樹の教えから

五事を正す

貌(ぼう) ・・・ 和やかな顔つきで人と接する

言(げん) ・・・ 温かく思いやりのある言葉で話しかける

視(し)  ・・・ 温かいまなざしで人を見、物を見る

聴(ちょう)・・・ 相手の話に心をかたむけてよく聞く

思(し)  ・・・ まごころをこめて相手のことを思う

中江藤樹は、琵琶湖の西北のほとり、近江国高島郡小川村(滋賀県高島市安曇川町)に生まれた、江戸時代初期の儒学者です。日本の陽明学の祖とも言われています。

中江藤樹は、近江聖人とも呼ばれ、現在でも藤樹先生と親しまれています。

五事とは、中江藤樹の教え、良い知恵に至るための道として説かれた、普段行うことができる五つのことです。

言われてみれば普通のことかもしれません。

しかし、彼の考え方の浸透した当時の小川村では、忘れた財布を拾った馬子が落とし主を捜し出して渡し、礼さえも受け取らないといったことまで普通に行われていました。

貌言視聴思(ぼう げん し ちょう し)を気をつける雰囲気が広がると他人を思いやる風土ができてきます。

漢語風の言葉で難しそうであれば、自分たちでなじめる言葉にしても良いでしょう。

2017年1月10日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

コーチング(11)素の自分でいる

コーチングでは、いろいろな悩み、問題の解決を図っていきます。
日ごろ、このようなことを感じたことはありませんか?

問い) 素の自分でいるということは、どういうことですか?

答え) 自分の「苦しい」「重たい」という鎧を脱ぐことです。

「素の自分でいる」と状態を想像してみましょう。

  ・気取らない自分
  ・家にいて、リラックスしている時の自分
  ・何もしない、何も考えていない時の自分
色々な自分を想像できるのではないでしょうか?

逆に、「素」ではない自分とは?
きっと鎧をまとった自分と同じでしょう。
  ・「プライド」という鎧
  ・「価値観」という鎧
  ・「役割」という鎧
鎧にも色々ありますが、それは結局は「つくろった自分」なのです。

鎧をまとっていると、重さのあまり
  押しつぶされたり、
  肩がこったり、
  重圧感を感じたり、、、
と色々な弊害が出てきます。

そんな自分を想像してみてください。

どうでしょう?
「楽しい」ですか? それとも「嬉しい」ですか?

おそらく「苦しい」とか「重たい」とか思われる方が多いのではないでしょうか?

鎧をまとえば、まとうほどどんどん鎧が厚くなり、重くなり、苦しくなるばかりです。
そんなあなたを周りから見ると、とても気の毒に思うでしょう。

さあ、「多様化」と言われている昨今、こんな重たい鎧なんか必要ありません。
ありのままの自分(素の自分)を、どんどん周りの人に見せて
「他とは違う自分」をアプローチしていきましょう!

2017年1月5日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

メンタリング(06)自主性が湧き出る動機づけ

メンタリングの話題、第6弾です。

メンタリングでは、提案やアドバイスなどを行う事で、後輩・部下が自立・自律するための支援を行います。

つまり、自主性が湧き出るようにして自分から動くように促します。

では、メンター (上司や先輩)は、どのようにして自主性が湧き出るようにするのでしょうか。

行動を起こすきっかけは、「動機」です。

そして、「動機づけ」には、2種類あります。(もっと多く分類される場合もあります)

内発的動機づけ

 自分の内面に湧き起こった行動への要因

  好奇心、関心、信念など

外発的動機づけ

 人為的な外部からの刺激による行動への要因

  義務、賞罰など

自主性が高まり、成長が促されるのは「内発的動機づけ」です。

メンターは、内発的な動機づけができるように支援することで自主性を高めていきます。

また、外発的な動機づけを一切使わないのではありません。
傍目から見ても判る外発的な動機づけだけに偏るのではなく、相手の内面に湧き起こる行動への要因を大切にするようにします。

では、内発的動機づけを高めるにはどうすれば良いでしょうか。

それは、内発的動機づけの説明に表れています。

例えば、「好奇心」を判ってあげる、ということになります。

さらに、「好奇心」を判ってあげるには、と続きます。

自主性が湧き出る動機づけ、としました。
自主性を「引き出す」という言葉を使うこともありますが、「引き出す」はいかにも上位者・権力者が外部から操作することを意味するようです。
上司が「引き出す」と、部下から「湧き出る」、言葉遣いに注意を払っても良いかもしれません。
同じ意味だと感じるようであれば、ちょっと立ち止まって何が違うのかを感じてみましょう。

2016年12月20日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(17)機を見る

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第十七弾、易経 繋辞下伝から

君子は機を見て作(た)つ。日を終うるを俟(ま)たず。

君子は機(事のきざし)を見て機敏に行動を起こし、一日もぐずぐずしてはいない。

リーダー、経営者が問題に対処する、よくあることだと思います。

問題が起こってから対処する、問題への対応として一般的な流れです。

病にも予防策があります。
問題への対処も、事前予防をするようになります。起こりやすいパターンに対して防護策を準備するといったことです。

問題への対応、さらに別の考え方があります。
ものごとへの兆し、事前にわずかに見えること、雨の前触れの夕焼けのようなことがらを察知して手を打つ。

先行指標(KPI:KeyPerformanceIndicator)に異常を感知したら行動に移る。

ものごとへの兆しを察知したら、洞察して手を打つ。
リーダーの観察力、洞察力の重要性を説いています。

2016年12月5日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

バランススコアカード(06)業績評価指標の設定

バランススコアカード(BSC)の5番目のステップは、

業績評価指標の設定になります。

前のステップで、戦略目標に沿ったCSF(重要成功要因)が導き出せれていると思います。

その内容に従って、CSFを計測できる指標を選びます。

例えば、顧客の視点の
戦略目標    感動する品質でのサービス提供
重要成功要因  期待以上のサービス提供

と、仮になっている場合は、アンケートやお客さまの振るまい、XX提供率や稼働率といったCSFを測定できる業績評価指標を選びます。

どのような指標がCSFを計測できる結果となるか、自分達が可能なことか、戦略に合致しているかといった事項は、再度衆知を結集するのが良いでしょう。

各CSFや組織の状況そして事業の構造によって、似たようなCSFでも違う業績評価指標が出てきます。

2016年11月25日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(16)上善

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第十六弾、老子から

上善は水の若し。水は善く万物を利して争わず、衆人の悪む所に拠る、故に道に幾(ちか)し。

最上の善なるあり方は水のようなものだ。水は、あらゆる物に恵みを与えながら、争うことなく、誰もがみな厭だと思う低いところに落ち着く。だから道に近いのだ。

仕事の進行や上司やメンバーとのやりとり、「自然に、うまくいっているな」と感じることはないでしょうか。
逆に、「物事が進むのに、ぎくしゃくしてうまく進まない、進みづらい。」と感じることはないでしょうか。

ポイントを押さえて考える、指示する、行動するとうまく行くことが多いです。

ポイントとは、本質であったり、5W1Hだったり、誰かが言ったマーケティングの理論だったりします。

ポイントを押さえるととたんに流れるように動きます。

老子では、よいあり方は水のようと表現されています。
うまく進むよう、水のように流れるには、、、と考えるとものごとが動くヒントになるでしょう。

この章、次のように続きます、一部ご紹介します。

心は淵を善しとし、与(まじわ)るは仁を善しとし、言は信を善しとし、事は能を善しとし、動は時を善しとす。

心の持ち方は静かで深いのがよく、人とのつき合い方は思いやりを持つのがよく、言葉は信(まこと)であるのがよく、ものごとは成り行きに任せるのがよく、行動は時宜にかなっているのがよい。

2016年11月18日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

対話(06)沈黙

対話について、ちょっと久しぶりです。

対話とは、 向き合って、伝え合って、理解し合う話し合い です。

さて、話をしていると「沈黙」する、「沈黙」が起こることがあります。
もしかすると居心地の悪い瞬間かもしれません。

沈黙が起こると、どのようにしていますか?
話をしている相手や状況によっても当然違うでしょう。

こんな時、つい言葉を継いでしまうということはありませんか?

日常的な会話、指示や報連相、商談、そして職場から離れた雑談でも沈黙は起こります。

沈黙の起こるきっかけも様々あります。

ここで、深く話をしている、対話しているときの事を思い浮かべてみて下さい。
キャンプファイヤーを囲んだ時といったことでも良いでしょう。

何だか、心の奥底の深い所まで話せているかなと感じている時、

ふっ、と静かになることがあると思います。
沈黙です。

何だか自分から言葉を継ぐのをためらってしまう気持ちになるかもしれません。

少しでも理解し合いたい、対話したいと感じた時は、対話の中で浮かび上がった「沈黙」を大切にした方が良い時があります。

何の脈絡もなく押し黙る訳ではありません。
また、どんな沈黙でもいつも大切にした方が良い、という訳でもないでしょう。

「沈黙」の瞬間を大切にする理由、答えと言うか、考えはまた後日にしてみましょう。

「沈黙が起こったら、その瞬間を大切にするかどうするか考えてみようか」などなどと試してみると、案外すぐに判ると思います。

2016年11月13日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(15)道徳VS強権

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第十五弾、孟子 公孫丑篇から

力を以て仁を仮る者は覇たらん。覇は必ず大国に有(よ)るべし。徳を以て仁を行う者は王たらん。王は大を持たず。

力を背景にして仁政のまねをするものが覇者である。従って、覇者は大きな国土を地盤とする必要がある。徳によって仁政を行う者が王者である。王者になるには大きな国土による必要は無い。

強権高圧的な統治を行っている国は大国志向、そして道徳的な統治をしている国は必ずしも大きな土地を必要としない。ことを言っています。

この話の続きとして、強権的なところでは本心から従っていない、そして徳のあるところでは本心から従っている、と続きます。

強権 ・・・ 膨張志向         ・・・ 心からは従っていない ・・・ 覇者
道徳 ・・・ 膨張はどちらでも良い ・・・ 心から従っている    ・・・ 王者

単純化するとこのようになるでしょうか。

2000年以上昔のいつも戦争をしていた頃から、リーダーシップのありかたはこのように対比されてきています。

現代のチームや組織のありようにおいても参考となるでしょう。

2016年10月13日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

サーバントリーダーシップ(11)人々の成長

サーバントリーダーの10の特徴についてコメントしています。

9番目は、人々の成長に関わる Commitment to growth of people です。

言葉を確認してみましょう。

commit  コミット は、英和辞典だと、関わる、罪を犯す、確約する といった意味です。

コウビルドでは、この使い方がしっくりきます。

If you commit yourself to something, you say that you will definitely do it. If you commit yourself to someone, you decide that you want to have a long-term relationship with them.

長いつきあいをしようと決める、考える、といった感じです。

ということは、9番目の特徴は、

人が成長するということに対して気長に、地道に関わるということですね。

サーバントリーダーの特徴、いくつも見てきました。
先頭を切ると言うより、後ろからサポートして皆が自分の力を発揮できるように立ち回る。

それは、メンバーの潜在能力を信じて、潜在能力を発揮できるようにもしています。
それはとりもなおさず、メンバーが成長して、伸びて成果が上がるということです。

リーダーは、よい後継者を育てるのも仕事です。

社長の仕事は次の社長を育てること、ということも良く聞きます。

サーバントリーダーの特徴として、スピアーズは人を育てるといった部分にも着目しています。

2016年10月10日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

問題(06)問題と課題

「問題」と「課題」似ているようで違います。 (違うととらえています)

まずは語源から

問題 : 問いかけて答えさせる題。解答を要する問。等
課題 : 課せられた題・問題。任務

(広辞苑、角川類語新辞典)

以下のようにも言えるのではないでしょうか。

問題 : 解決策が不明である解決すべき事柄
課題 : 解決策のある解決すべき事柄

問題は、まだ解決策、解決方法が見つかっていない状態です。
問われている状態ですね。

課題は、解決策や解決方法が見つかっている状態です。
さらに字義からして、課せられているような義務感の伴う状態です。

問題(2)で問題の語源に当たってみました。
加えて、問題と課題の違いを踏まえてみてはいかがでしょうか。

2016年9月22日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko