古典の力(38)口出し

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十八弾、老子から

大国を治むるは、小鮮を烹(に)るが若し。

大国を治めるのは、小魚を煮るようにする。

煮魚、調理したことはありますか?
鍋に水、みりん、醤油、みりんでしょうか。
ことこと煮ます。汁が行き渡るようにします。
ひっくり返したりもするかもしれません。

魚が小さいと、ひっくり返す時に頭が取れてしまったり、崩れてしまったりします。
大きな魚よりも、小さな魚の方が扱いが難しいです。

小さな魚は、ひっくり返すなど余計なちょっかいをせずに、じんわりしみこむようする方が良いでしょう。

大国、国だけでなく、会社や組織、自分のチームを治める時も、リーダーが「やいのやいの」とつついてばかりでは、じっくりとのびのびと良い活動ができません。結果、創造性も生産性も上がらないでしょう。

口出しをするのではなく、小魚を煮るように、味付けをしたらじっくりとうまくできあがるのを待ちましょう。

2018年9月13日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(37)体験学習

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十七弾、論語から

子の曰わく、学んで思わざれば則ち罔(くら)し。思うて学ばざれば則ち殆(あや)うし。

先生がいわれた、学んでも考えなければ、ものごとははっきりしない。考えても学ばなければ危険である。

本や外部からの情報だけで判ったような気がしても、自分で考えなければ借り物の知識です。
また、自分の独断だけで考えたものを盲信するだけでも危険であると言っています。

知識を実践する。実践を知識や情報と照らし合わせる。

知識と実践とで自分を高めるためには、両輪が必要です。
体験から学ぶ体験学習の神髄も見いだされます。

2018年8月20日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

組織風土づくり(02)組織風土を捉える

組織風土づくりの第2回目、組織風土を考えてみます。

組織風土をどのように捉えれば良いでしょうか。

前回、組織風土、組織文化、社風について簡単に触れました。

言葉の細かな定義よりも、まずは端的に表現してみましょう。

組織風土とは、

 組織に居る人々の思考・行動・価値観

となります。

企業や組織には、始まりがあります。

立ち上げた人、社長、中心人物が何かの思いを持って活動を行います。

それは、社長やカギになる人達の考えや感じ方に基づいたものになっているでしょう。

考え、思考や感じ方、価値観、それに基づく行動が組織の価値を生み出しています。

組織で行動するために、社則や事業計画、商品への考え方、販売の仕方、関係者との関わり方、描く未来、様々なことが共有されたり、独断などで進められます。

事業の日々の積み重ねの中では、様々な武勇伝も起こります。
朝礼などの儀式もあることでしょう。
コミュニケーションを重ねるうちに短縮語や隠語なども出てきます。
賞賛される言動や結果、さらには非難される言動や結果も出てきます。

このような積み重ねが組織風土となってきます。

これを従業員や職員の立場から捉えると、社風と表現されるかもしれません。
また、組織風土と組織文化を分ける考え方もあります。

暗黙や明示的なきまりに基づいて人は考え判断し行動します。

組織風土を自ら創ることを考える時、風土や文化といった言葉の違いよりも、どんな考えや何を大切にしているかを明らかにしていくことが大切です。

2018年8月10日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

実践コミュニティ(06)発展段階5(変容)

学習する組織の実践コミュニティ、その発展段階を解説しています。

 潜在 → 結託 → 成熟 → 維持・向上 → 変容

今回は、第五段階 『 変容 』です。

一言にすると「別なあり方への脱皮」の段階です。

多くの仲間、専門家と続いてきた実践コミュニティ。集会や掲示板、メーリングリスト。

参加する人たちの業務の環境や生活の環境、そして実践コミュニティをとりまく外部環境の変化、コミュニティの様々な成果、徐々に状況が変わってきます。

実践コミュニティの発展段階の第五番目は、コミュニティの 『 寿命 』に着目しています。

どのような健全なコミュニティでも寿命を迎えます。

強固な地域コミュニティが疎遠になってしまう、などなどあるでしょう。

寿命を迎えた実践コミュニティは次のように推移するとのことです。

・衰弱する
 メンバーの活力が失われて、活動そのものが無くなってくる

・社交クラブとなる
 そもそもの目的・目標を目指さずに「集まること」が目的となる。実践も行われない。

・分裂や合併
 似たようなテーマのコミュニティが合わさったり分裂する。

・制度化
 公的な組織などに組み込まれて、コミュニティとしてあった繋がりが変わる。

できたものは他のものになるという点では、まさに諸行無常です。

悪い、といったことではなく、必要とされて続いてゆく時期が過ぎてゆくようです。

炭鉱の町が寂れてゆく、のようでもあります。

但し、なんとなく終わってしまうのではなく、「自分で終わらせる、区切りをつける」「手放す、引き継いでゆくものを明らかにする」ことも重要です。

2018年7月23日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(36)足元

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十六弾、孟子から

道は爾(ちか)きに在り、而(しか)るにこれを遠きに求む。事は易(やす)きに在り、而るにこれを難きに求む。

遠大で困難なことより、足元の身近なことにこそ、真の道の出発点はある。

学習する組織、も良いのですが、身近な報連相はできていますか?

報連相の前に、あいさつはわき起こっていますか?

あいさつの前に、、、、、

遠くの目標や夢、難しそうな事も、身近に始められる事から続いています。
言い方を変えると、今出来ることから始められない目標には行けません。そして、一足飛びにも行けません。

2018年7月18日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(35)基準

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十五弾、二宮先生道歌選から

見渡せば遠き近きはなかりけり 己おのれが住処にぞある

遠いと言っても、近いと言っても、東西南北と言っても、自分を基準にした表現です。

自分基準の利害得失だけではなく、それぞれがそれぞれの基準で考えています。

と言うことは、相手の基準や物差し、距離感もあります。
全体を見渡して、様々な基準、多様な基準があることを意識することが必要です。

2018年6月11日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(34)浸食

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十四弾、易経から

臣その君を弑(しい)し、子その父を弑(しい)する、一朝一夕の故にあらず。

部下がその主君を殺害したり、子がその父親を殺害する、こういったことは一朝一夕に起こることではなく、かならず悪い積み重ねがあって起こることである。

最悪の結果は、いきなり起こるという訳では無いこともあります。
日々の積み重ねで、少しの行き違いや悪いことが、積み重なり積み重なりして最悪の結果へと繋がってゆきます。
従って、少し悪い、霜が積み重なり固く踏み重ねられるようなことに気が付いて、正すことが必要になってきます。

2018年5月25日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

サーバントリーダーシップ(14)育む(傾聴)

サーバントリーダーを育てる、増やす、こんな動きが広がってきています。

放っておけば育つか、、、と言われると、そうではないでしょう。

サーバントリーダーを育てるため、、、と大上段にならなくても、

活力のある職場にするためのリーダーシップ を学ぶ会とか勉強会、研修会などで

例えば、サーバントリーダーの特徴の第1である、傾聴を学ぶのであれば、

傾聴とは何か
自分たちの職場では、人の話をどのように聴いているのか
聴くと何が良くなるのか、
我が社ではどのような変化が起こりそうか

こういった話題に加えて、 具体的な傾聴の方法 と 現場での実践計画

といった感じで、学んで、実践することを繰り返すことでサーバントリーダーは育ってゆきます。

別にサーバントリーダーになるのが、業務の目的では無いとも思います。
カタカナが判りづらければ奉仕型でも支援型でも現場活性型でも結構です。

サーバントリーダーになるための学びを行うと、自分が引っ張るのではなく、みんなで自律的に活躍できる、そして結果として会社が伸びる組織となる、このようなタイプのリーダーが育ちます。

傾聴の方法だけをスキル研修するよりも、育ってゆくためには以下をポイントとした学びが大きくなります。
・リーダーとして傾聴することで周りがどのように変わるのか
・知識(今回は傾聴)と現在の職場を結びつける機会
・実践に結びつく具体的な行動を促す工夫(計画や行動への動機付け)
・実際の行動へのフォローアップ(実践後の振り返りを共有する

勉強会などを実施する際は、留意した方が良いでしょう。

サーバントリーダーを育てる、ための勉強会のプラン案を10の特徴に従って展開してみましょう。
今回は傾聴でした、次は共感ですね。

2018年5月10日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(33)徳治

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十三弾、翁問答から

徳治は先我が心を正しくして人の心をただしくするもの也。たとへば大工のすみがね、その体ろくにして、もののゆがみをなをすがごとし、法治は我心は正しからずして、人の心をただしくせんとするものなり。

徳治とは、まずは自分の心を正しくして人の心を正しくする治め方である。たとえば、大工の墨曲尺というまっすぐな道具をもちいて、もののゆがみを直すようなものである。法治は自分の心は正しくは無いけど、人のこころを正しくしようとするものである。

自分が出来ていないことは、なかなか人に注意できるものではありません。
自分の心を正しくすると、大工の定規のようにゆがみを直すがごとく、人のゆがみを直すことができます。

では、その定規とは、、、、翁問答や藤樹先生の言説に触れると分かりますが、一つは孝行となります。
また、触れる機会もあるでしょう。

2018年4月17日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(32)法治

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十二弾、翁問答から

本をすてて末ばかりにておせむるを法治といひて、よろしからず。法治はかならず箇条あまたありてきびしきものなり。法治はきびしきほどみだるるものなり。

本質を見ないで枝葉末節のようなことで治めることを法治と言って、良くない。法治は、かならず多くの条文があり厳しくこれを守らせる治め方である。法治が厳しいほど世の中は乱れる。

ルールがありすぎるところ、そのルールを金科玉条のようにかならず守れ守れとするようなところは、ルールで縛り治めようとする姿勢のあるところです。これを法治と呼んでいます。

厳しすぎる、多すぎるルールでは、ルールを憶える、ルールに気を遣う、ルールを守ることに消耗してしまいます。
また、多すぎるが故に普通の生活ができず、「まぁいいや」とルール違反を犯します。

多すぎるルール、厳しすぎる治め方には問題があります。

2018年3月9日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko