ハラスメント(04)ハラスメントの法令

ハラスメントという言葉が、報道などでも数多く出てくるようになりました。

来年2020年4月からは、大企業はハラスメントの対策が必要となってきます。

対策が必要になるということは、法律で定められています。

その法律とは、

労働施策総合推進法

です。

正式名称は、

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律

となります。(長いです)

この法律が2019年5月に改正され「改正労働施策総合推進法」となりました。

この中でパワハラの定義と防止も義務づけられるようになり「パワハラ防止法」とも呼ばれています。

改正労働施策総合推進法の30条の2第1項の条文です。

パワハラの定義は、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって,

業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」

となります。

就業環境が害されるといったこととないように、相談などの措置を講じることが規定されています。

2019年10月14日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

ハラスメント研修

ハラスメント対策への研修を担当させていただくことが多くなりました。

長年、研修やコンサルティングを通して、一人一人の方のコミュニケーション力や思考・行動力、そして協力の手法としてのファシリテーション、創発や合意の場としての大人数でのビジョン共有や問題意識の共有などに取り組んできています。

多くの会社や組織で、コミュニケーションや協働のためのスキルを担当させていただいていると、実はハラスメントの予防を望まれている場合もあります。

ハラスメントは、こじれて表面化すると事件となり、法律家などに任せないといけなくなってしまいます。

このように悪化し露見して、組織としてもダメージが大きくなる前の対処としては、ハラスメントが起こらない、起こりにくくする職場の風土作りが有効だと考えます。

風土作りと言っても難しく考えることはありません。

始めの一歩としては、普段の職場の業務コミュニケーションが、相手を尊重して、相手と自分の役割を果たせるものとなるところから始めれば、良くなってきます。

あとは、率直なコミュニケーションや協働が続くよう、学習する組織や成功循環モデルなどを踏まえた継続の工夫をすれば、個人としての働きがいや組織としての良い結果の出る活動ができるようになります。

このような活動を続けることで、ハラスメントは自然と少なくなってくるでしょう。

ハラスメントに関する法律も施行され、体制を整えることも急務ですが、根本的に起こらないようにする工夫も大切でしょう。

ジーシフトのハラスメント対策は、法令の理解だけではなく、法令などの理解を基礎にした実際の判断や、具体的な思考・行動・協力・コミュニケーション手法が得意分野となります。

法令の知識だけで終わるのでは無く、実践していただけるとうれしいですね。

2019年10月10日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

気になる言葉(16)経済合理性

気になる言葉、今回は 「 経済合理性 」です。

原発事故、終息が見えません。まだまだ心配な時が続きます。

原子力発電所は経済合理性に優れているということが言われていました。

経済合理性、判るようであまり判りません。

いろいろと紐解くと次のような意味が読み取れます。

ある行動をとるときの判断基準として、「便益」が「費用」よりも高い時に行動し、逆に便益が費用よりも低い時は行動しないこと。
複数の選択肢があるときは、「便益-費用」が最大の行動を選択する。

言葉が難しいのであとでまとめるとして、次のような意味でしょう。

最も自分の金銭が儲かる行動をする

原子力発電所が最も儲かるか、誰にとって儲かるのかは少しずつ見えてきているようです。
気になる言葉の解説なので、言葉の解説を続けましょう。広辞苑などからです。

経済
 人間の共同生活の基礎をなす財・サービスの生産・分配・消費の行為・過程、ならびにそれを通じて形成される人と人との社会関係の総体。転じて、金銭のやりくり。

合理性
 道理にかなっていること。論理の法則にかなっていること。
 行為が無駄なく能率的に行われること。

便益
 都合が良く利益のあること

費用
 物を買い、または使用するために要する金銭。いりめ。
 特に、企業が収益をあげるために消費した財の価値や借りた資本の利子などの総称。

経済用語を広辞苑というのも何なのですが、一つの参考です。

さて、経済合理性に戻ります。
金銭が儲かれば良いのか、そして誰の金銭が、、というところに焦点が当たって来ているようです。
しかも、儲かっているのは幻想であったのかもしれません。

2019年9月27日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(50)富と名声

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第五十弾、論語から

富と貴きとは、是れ人の欲する所なり。其の道を以てこれを得ざれば、処らざるなり。

富と貴い身分とは、これは誰でも欲しがるものだ。しかしそれ相当の正しい方法(正しい勤勉や高潔な人格)で得たのでなければ、そこに安住できない。

商売や活動をすると富や名声を得られるでしょう。必ず得られるとは限らないのですが、、、
得られるには、正しい方法が必要だと指摘しています。そして、そうでなければ一旦得られても続かないとも指摘しています。

自分の状況や世間の状況で真っ当であるかを問い続けることが、よい商売の秘訣と論語もしてきしています。

2019年9月25日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

ハラスメント(03)ハラスメントへのお悩み

ハラスメント研修などで伺うお悩みや問題意識には、様々なものがあります。

実際にハラスメント、パワハラなどがあるのであれば、それは重大事です。
研修やコンサルティングではなく、別の緊急対処が必要となるでしょう。

しかし例えば、次のようなことに悩んでいる方もいらっしゃいます。

「言いたいことが言えなくなった」などの悩みです。

これはパワハラになるのだろうか

昔の対応ではだめなのだろうか

と感じて、「どうしよう」と悩む状況になってしまいます。

他にも、状況によっては体制整備やメンタル面などで悩む方もいらっしゃいます。

お悩みには多くの場合共通点がありますが、素直に解決に向かうことができる悩みもあります。

基本的な知識の理解はもとより、ご自身の考え方、言動、判断、相手からの言動の感じ方、相手や環境への働きかけを変えることで解消出来る悩みも多くあります。

自分の行動変容で悩みが消える、軽くなる、悩まないで、相手や取り組む仕事と向き合えるようになるでしょう。

自分が働きかけることで、相手や環境も少しずつ変わることでしょう。
少なくとも相手や環境への自分のものの見方は変わってきます。

2019年8月31日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

問題(09)視点

問題の現状を捉える時、

視点を変える

といった方法があります。

傍目八目のように第三者目線になると、ものごとがよく見えるといったことがあります。

それを意識的に行います。

例えば、
プロジェクトの進捗が遅れていて大問題になっている、、、

当事者として考えると、あれも問題これも問題と、なかなかげんなりしてしまいます。

そこで、 視点を変えて 『俯瞰』してみてはどうでしょうか。

言い方を変えると

上空5000メートルから見下ろしてみたら
鳥の目線になってみたら

この問題はどのように目に映るか

を考えてみてはどうでしょうか。

問題の現状がもっと見えてくるかもしれません。

この方法、問題の発見に使えるだけではありません。
視点を変える、いろいろと便利です。

2019年8月5日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

気になる言葉(15)がんば

気になる言葉、今回は 「 がんば 」です。

「がんば」末尾がありませんね、、、

日本中で、年々様々な災害が起こり何とか対応しようとしています。

被災した方も、そして被災はしていない自分たちも、やり遂げよう心を奮い立たそうという気遣いの言葉があふれてきています。

がんばれ、 がんばろう、 がんばりましょう、 がんばって、 がんばっていこう

どんな言葉が良いのでしょうか。

上記の言葉、どれも正解だと考えます。

「えっ、でもこの言葉はダメだと聞いた」という突っ込みがすぐに来そうですね。

ということは、どれも不正解かもしれません。

がんばっている人に、「がんばれ」と言うのは良くないという話しだと思います。

言葉掛け、言葉掛けをした相手にどうなって欲しいのでしょうか。

いろいろ考えた上で言葉掛けすると思います。

正解・不正解は、ひとつは相手の状況によるのではないでしょうか。

大変なことがあった直後の段階では「がんばれ」も有効でしょう。
放心している場合ではなく、気付けとして励ますための「がんばれ」ですね。
声をかけてくれる人がいるだけでも安心するかもしれません。

ただ、何日もずっと大変な状況だと「がんばれ」は反感を持たれる言葉に早変わりする可能性が大きくなります。
その場合は、そのままで良いといった思いが伝わる方が良いのではないでしょうか。

自分の思いは相手には届いているだろうか。役に立っているだろうか。

一人一人相手の境遇や状態が違います。自分の境遇も違います。

それでも、相手を慮って言葉を発することは大切なことだと考えます。

同じように声をかけても、伝わる場合伝わらない場合もあると思います。
それでもめげてられないので、相手を慮って言葉をかけ続ける、行動し続けるのだと思います。

で、「がんばれ」が良いのか「がんばっていこう」が良いのか、、、、

日本中の人がそれぞれの持ち場で十分にがんばっていることを頭に入れておいて、自然体で「がんばっていこう」くらいが今は良いのではないでしょうか。それぞれの持ち場で自分のできることでがんばり続けるのでしょうから。

言葉掛けをする時に、その言葉で思いが伝わるのか、ちょっとだけ考えてみても良いかもしれません。

2019年7月22日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(48)仕える

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第四八弾、孝経から

孝を以て君に事(つか)ふればすなはち忠、弟(てい)を以て長(ちょう)に事ふればすなはち順。

父に事える孝を移して君に事えると、君に対する忠となり、兄に事える弟を移して長上に事えると、長上に対する従順となる。

親に孝行の気持ちで事える、接するポイントは、愛することと、敬うこととと孝経では記されています。その孝から発展させて、自分の主人・職場のボスに仕える(事える)ポイントは、敬うことである。これが「忠」であるとしています。
そして、先輩に事えるポイントは、自分が弟だとして家族に兄がいるとして兄に従うようにすること、これが長上(年上)に対する従順となり、言い換えると「順」であるとしています。

現代社会で、そのまま押しつけても拒否されてしまいそうです。
しかし、親や兄弟、家族に愛情があって、その考え方感じ方を職場に推し及ぼすと、よりよい職場、よりよい仕事ができるのでは無いでしょうか。

そして、忠も順も、ただ単に従順なわけではありません。

君が、長上が間違っていると感じたならば、諫言することが孝です。

2019年7月19日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

実践コミュニティ(07)実践への工夫

学習する組織の実践コミュニティについて解説しています。

実践コミュニティについては、エティエンヌ・ウェンガーなどが次のように定めています。

あるテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技能を、持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団

私なりに要約すると、「知恵の共有・伝承ができる集団」となります。

カタカナにはなりますが、ナレッジマネジメントに使える技術とも言えるでしょう。

技術や顧客環境の急激な推移、徒弟のような長いつき合いのできない仕事の体制、が進むとどうなるでしょうか。

落ち着いて後輩や他部署に自分の知恵を転移させようとせずに、自分だけ、自部署だけで仕事を完結しようとする傾向があらわれます。個々の能力や経験の総和は小さくなります。隣の部署のAさんに聞けば良かっただけなのに、調査や検証に1週間もかかったりしてしまうことになりまs。

こういった時に実は利他的に動けると実は自分や自組織が良くなるということは「利他性の経済学」でも触れられているところです。

自分が向上するために、ひいては自社自組織が向上するための仕掛けの一つが、実践コミュニティとなります。

コミュニティということは、集団で活動を長期間行うイメージです。活動が続くとどうなるでしょうか。
実践コミュニティが続くことで、お互いに学び合い高め合う「学習する組織」にもつながります。

さて、前回までで実践コミュニティの流れについて触れました。

今回は、実際に実践コミュニティを続ける時、意識して実践コミュニティを作り上げよう・やり続けようとする時のハードルについて取り挙げます。

私たちの実践などによる教訓です。

・長い目で見ることが必要

  「自分だけでよい」といった雰囲気から、「みんなで、自分も学び合おうよ」
   といった状況となるには、やはり時間が必要です。

・無理強いしても動かない(自分で見つかると動く)

  実践コミュニティを作るから参加しなさい、学習する組織を目指すので
  するようにしなさい、と言われてもまず動きません、動けません。
  自分の目の前の仕事や生活が重要となってしまいます。
  ではどうするか、自分で意欲のわく方向が自分から見つかるように工夫
  をすることが重要です。自分を見つめる振り返ることや、自分の得意分野
  を意識できる機会を上手に利用すると良いでしょう。
  実践コミュニティや学習する組織を構想・企図する人以外の実際の会社の
  皆さんには、活動したり集まったりする動機付け(言い訳)ができるような
  環境づくりをすると良いです。

・適切な支援

  実践コミュニティ、何か機会を与えれば全部自分で自動的にできてゆくモノ、
  ではありません。
  キャンプファイヤーで小さな火を自分で熾して大きくしてゆくことを考えて
  みて下さい。燃えやすいモノを集めて、着火します。火が付いたら「ふー、ふー」
  として広げます。そして種火を薪の方に移します。さらに、キャンプファイヤー
  になるように様々工夫します。
  実践コミュニティへの各人の火が付いた、と企画者が感じたならば、適時・適切に
  「ふーふー」としないと、、、、火は消えます。
  ふーふーは、育成の原則やプロセスに沿った様々な制度や問いかけかもしれません。
  仮説を立てて準備をし、何が起こっているのかを注視対処してゆけば、実践コミュティ
  への火は自分で燃えさかってゆきます。自分で燃えてくると、企画者の手間は激減
  します。
  適時の適切な支援、これが無いのであれば火は自然消滅します。

・テーマへの魅力を磨き上げる

  実践コミュニティ、そもそも何かに非常に興味があって仲間が集まってきます。
  そのテーマ、その内容、魅力があるものになっているでしょうか。
  魅力があるように、磨き上げる工夫を皆でしているでしょうか。
  テーマに魅力が無いと、そしてお互いに期待に応えられないと、炎はしぼんで
  ゆきます。
  どうやったら磨き上げられるか、テーマの魅力、範囲、有効性、そして会のビジョンなど
  を皆でかかわり合いながら共有してゆくのが良いです。
  今回は「XXの魅力について考えます。」と直接的に広報しても集まらない可能性も
  あります。実施には時期や状況に応じた工夫が必要です。

・相互の信頼

  実践コミュニティは、テーマについての知識・知恵・経験・技術・知識へのリンク
  などの「大切な」自分の資源を「お互いに」出したり受け取ったりして成り立ちます。
  ここで、「あいつは、情報を取ってばかりだ」となると信頼は崩れてきます。
  取ってばかりでも良いけど、使った結果をフィードバックする、など様々に関わり合う
  ことができます。これを一例として、相手を信じることができなくなればコミュニティは
  うまく行きません。
  どうしたら、信頼感が出るか。意識してダイアログ(対話)の機会を作る。参加よりも
  さらに何かをする参画することに価値をおけるように話したりマナー化するなどが考え
  られます。

・運営への工夫

  実践コミュニティは、多くの場合制度化されない組織です。
  支援の環境は作れても、強制はできません。また、機械ではなく関わっているのは人です。
  好不調や繁忙の波もあります。運営の工夫をするのが良いでしょう。
  では、どうすれば良いでしょうか。
  例えば、「極端に気をつける」「思いやる」「状況を見極める」ことが有効でしょう。
  それは、コミュニティの方針で文書化することとなっても極端に文書化すると時間も手間もかか
  りすぎるだけで使う楽しさが無くなるので、もっと軽いところから実践するなどです。

実践コミュニティと言わずとも、自分の会社の知恵を共有してもっと良くなりたい。
共有すると部下が育つ、知恵を融合して新たなことが生まれる、効率良くして別の事に挑戦したい。

こういった動機の「仕事向上の活動」をしてゆこうよ、ということでも良いかもしれません。

そこへの手法は、あります。

2019年7月9日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

ハラスメント(02)ハラスメントとは

ハラスメントとは何でしょうか?

最近では、パワハラ、セクハラなど、報道やドラマなど多く目にするようになってきました。

一般用語としては次となります。

ハラスメント Harassment   迷惑行為や嫌がらせ

意図して行ったとすればもちろんのこと、意図しないで行ったことでもハラスメントにはなり得ます。

そして、暗黙で隠れていることがあります。

実は行ったことを指すのではありません。

行為をされた側が、嫌がらせと感じるとハラスメントとなってしまいます。

行為の受け手の感じ方、考え方に多くが委ねられていることが注意点となります。

行為する人、される人、そして職場などの環境、こういった要素がハラスメントには関係してきます。

ハラスメントと言われたらどうしよう、といった悩みを伺います。
知識としてのハラスメントの理解も大切ですが、受取り方、感じ方、関係性、考え方が理解できると、むやみに悩まないようになります。

対処療法や緊急避難的な対策も大切ですが、同時にハラスメントが起こらない本来望むべき姿となる対策を重ねることも大切です。

人には欲求や感情があります。社会人生活を送る上ではそれぞれに役割や責任もあります。日々の仕事は量や難しさ、納期や協力関係も必要となります。

法令で定められた整備は行った上で、人との向き合い方、仕事との向き合い方、組織や上司の考え方や習慣・特性などを振り返って、明るく働きがいのある職場を目指すことは、ハラスメントを気づかないうちに克服できる急がば回れの手法となるでしょう。

2019年7月2日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko