大人のまなび(11)非認知能力

「非認知能力」という言葉をご存知でしょうか。

 

今後、人財や組織の能力開発で重要となってくる能力です。

では、まず「認知能力」、そして「非認知能力」

 

認知能力とは、

知識・思考・経験を獲得し、解釈して表現する能力

(例 読む、書く、論理的に考える)

 

非認知能力とは、

認知能力以外の能力

(例 達成、協働、自制、創造性)

 

社会的・経済的成功に関わりがあるのは、認知能力よりは非認知能力であるとことが判ってきています。

さらに、非認知能力は大人になっても向上が図れるとされてきています。
そして、非認知能力の向上が認知能力の向上を加速させることが判ってきています。

 

今、教育の分野(学習指導要領も含めて)では非認知的能力の向上が重要視されています。

これは、大人の学びにおいても同様です。

 

最近の若者は、協働ができない、自制心が無い、自主的ではない、指示待ち、達成するしつこさが無い、といったことが(極端に表現しましたが)叫ばれてきており、記憶や知識偏重の教育が影響しているのでは無いかとされてきていました。
これが、最近では認知能力と非認知能力との比較として様々な研究によって影響が判ってきています。

 

経済的にも社会的にも成功する人財となるためには、大人にも非認知能力を向上させることが重要です。

 

では、非認知能力を向上させるには、どのようにすれば良いでしょうか。

社会人の人財開発を行う上で、認知能力だけへのアプローチではなく非認知能力も含めたバランスの良いアプローチが重要となります。

 

例えば、論理的な手法(認知手法)に加えて、対話手法の活用、五感の活用、アート手法の活用、感情の活用、心理手法の活用、経験の活用などです。

 

具体的には、問題の解決手法を考える時、問題解決手法を使って一人で考えるのでは無く、数人で率直な意見が出る工夫をしながら協働して問題解決を図るといった方法などです。また、思いを絵として表現して共有を図る方法もあるでしょう。相手と自分の感情を理解し、伝え方を心理的な側面から工夫することも良いかもしれません。

 

ちなみにジーシフトの人財開発は、認知、非認知に加えて、メタ認知も重要視しています。
メタ認知を意識することで、モノゴトの目的感や、今の仕事、働くこと、成長や生きることへの意味が理解できるようになります。

 

認知・非認知・メタ認知のトライアングルモデルで学びを構成することによって、自主的で、協働し、創造的な人財が生まれます。

2019年6月28日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

ハラスメント(01)ハラスメントの起こらない職場へ

ハラスメントへの対応へのご相談、研修を多く伺うようになりました。

働く場、会社や組織で働く皆さんの様々な思考や、行動、協力手法、コミュニケーションなどの向上、働きやすい職場へのサポートを15年続ける中で、ハラスメントへの対応も多くなってきております。

ハラスメントが起こる職場は、働きづらい職場と言っても良いでしょう。
ハラスメントが起こらない、働きやすい組織や職場へのヒントとなればうれしいです。

実際の弊社のハラスメント研修で、ハラスメントに関する問題点や困り事も元に綴って参ります。

G・Shiftの得意分野は実際の思考と行動、つまり現場実践です。

知識や法令の情報の伝達だけではなく、実際の考え方や行動、そして人と人との関わりの感じ方や捉え方、といった側面の話題もお伝えします。

SDGs(持続可能な開発目標)においても、働きがいのある人間らしい仕事が行えるというところに目標が置かれています。国際的にも働きやすさは重要視されてきています。

2019年6月21日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(47)発揮させる

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第四七弾、中庸から

能くその性を尽くせば、則ち能く人の性を尽くす。能く人の性を尽くせば、則ち能く物の性を尽くす。

自分の本性を十分に発揮することができると、それを推し及ぼして他人にもその本性を十分に発揮させることができ、他人の本性も十分に発揮させることができると、物についてもその本性をそれぞれ十分に働かせることができる。

チームで動くとき部下と仲間と一緒に働くとき、仲間が部下が力を発揮して、さらにプロジェクト全体が力を発揮するにはどうすれば良いのでしょうか。

中庸では、自分の果たすべき役割を理解して果たしなさい。そうすることで、同様に仲間や部下にも役割の理解と行動ができるようになり、人では無い物までも役割を果たせるようになると説きます。

チーム作業やプロジェクトにおける成果も同じでは無いでしょうか。
自分の果たすべき役割を理解し果たす。仲間や部下にも役割を理解して動いてもらうようにする。そうすると、プロジェクトの果たすべき役割も判り、プロジェクトが動くようになります。

2019年6月10日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

気になる言葉(14)だめ

気になる言葉、今回は 「 だめ 」です。

だめ、否定語ですね。

何かをすると、提案すると「だめだねぇ」「違うよ」という言葉を聞くことがあります。

ややもするとめげてしまいます。

「だめ」と否定されるのが、それこそ全てだめな訳ではありません。

信念や基準があって「だめ」なものは、基準を満たしていない、信念や理念に沿っていないのでだめなのです。

理由のわかる 「だめ」 ですね。

もっとも混乱するのは、理由もなく、そして相手への思いやりや育てようという気もない「だめ」です。

この場合は、なぜ「だめ」と言うのでしょうか。
理由がわからないのでわからない、、、、というのもトンチのようで正解なのですが、ちょっとだけ推理してみます。

この「だめ」を少し補足すると、「私はだめと思った」くらいになるでしょう。

私には肯定できなかった。私には受け入れられなかったとも言えます。

肯定できない、受け入れられないものは何でしょうか。

例えば、好き嫌い、の嫌いなもの。
理解ができないもの。
脅威を感じるもの。

こんな感じになります。

理由も思いやりもなく「だめ」という言葉が出る背景には、「嫌い、理解不能、脅威」このような感じ方をついしてしまうこともあります。

では、「うちの上司は理由もなくダメだしする」とめげている人には、、、、、

少し上司を観察して、好悪か理解か脅威など何が「だめ」の言葉の引き金になるかを見てみましょう。
好悪であれば、好きなことと理論とをセットで対処する、などの手があります。

2019年5月27日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

サーバントリーダーシップ(16)育む(癒し)

サーバントリーダーに見られる特性を伸ばす。

特性に着目して、伸ばす方法について触れて行きます。

今回は、癒し について。

サーバントリーダーの特性として、一人一人のコトや、チームなどのうまく行っていないところを手当てすることが挙げられます。

この特性は、どのようにすれば伸びるでしょうか。

癒すから何がイメージできるでしょうか。

一つの答えは、慈愛に満ちた母の心持ち、といったところでしょう。

TA(交流分析)で言うところの、NP(NutueringParet)「優しいお母さん」の心の状態です。

他にも、癒しからどのような言葉が出来るでしょうか。

例えば、思いやり、いたわり といった言葉が連想出来るでしょう。

優しい、思いやり、いたわり  といったことをキーワードどしてこういった心持ちになる気持ちや行動が出来るような配慮を行うと、癒しの特性は伸ばせます。

具体的には、
「~してあげましょうか?」などの問いかけを増やす。
他人が求めていること、して欲しいこと(ニーズなど)を自分のして欲しいことと同じくらい大切に考える。

など、様々なアプローチがあります。

2019年5月20日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(46)道理

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第四六弾、中庸から

誠なる者は、天の道なり。これを誠にする者は、人の道なり。

誠とは天の働きとしての窮極の道である。その誠を地上に実現しようとつとめるのが、人としてなすべき道である。

雲が密集すれば雨が降ります。雨が降れば地にしみこみます。川を流れます。判りきった道理です。
中庸では、天の道理、天の道を「誠」と呼んでいます。

天の道理である誠を現実の世界で実現しようと努力するのが、人としてのなすべき道であると説いています。

天の道理を自分がどう体現するか???宗教問答のようです。

道理と目の前の業務との関連性、ちょっとピンと来ないでしょう。

ただ、ちょっとした仕事がうまくいったり、チームワークがうまく行かなかったり、これも道理が関係しているかもしれません。
そして、古くから伝わっている道理、参考にしても良いのではないでしょうか。

2019年5月15日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(45)四端

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第四五弾、孟子から

惻(あわ)れ隠(いた)む心は仁の端(はじめ)なり。羞じ悪(にく)む心は義の端なり。辞(くだ)り譲る心は礼の端なり。是非(よしあし)の心は智の端なり。

あわれにいたましくおもう「惻隠の心」は仁の芽生えである。悪しきことをはじにくむ「羞悪の心」は義の芽生えである。へり下り人をすすめる「辞譲の心」は礼の芽生えである。よしあしを見分ける「是非の心」は智の芽生えである。

仁義礼智が人には必ず備わっているという「四端」についての説です。

2019年4月22日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

メンタリング(07)ほめる1

メンタリングには、若手が育つ支援のためのスキルとして「ほめる」「叱る」といったことも含まれます。

部下が育つために、「ほめる」ことへのヒントです。

褒める時、何をほめていますか?

「この仕事を頑張った」とか「○○をして、良く気が付いた」といったことをほめることもあると思います。

これもほめるの一つですが、さらに良いほめ方があります。

 《 意図をほめる 》

というほめ方です。

行動ではなく、意図や目的を読み取って、意図や目的の方をほめるということです。

人は、何かの目的を持ち、目標感を持って行動をします。そして結果が出て来ます。
失敗の時もありますが、当然成功の時もあります。

部下を育てる意図であれば、成功した時、成功した結果に対して、その意図をほめて見ましょう。

例えば
「Aさんを手伝ってくれてありがとう。良く気が付いたね、よかったよ。」

 は単純に行動をほめています。

これを、
「Aさんを手伝ってくれてありがとう。おかげで、午後には企画書が提出できたよ。」

 は、Aさんを手伝った理由、意図を企画書提出を間に合わせるためと推定して、
 意図をほめています。

繰り返しになりますが、人は行動する際、目的・目標を持って行います。

どの程度明確に目的観・目標感を持っているかは人それぞれですが、行動をほめられるよりも、見えづらい目的・意図・行動の存在意義をほめられた方が良いほめ方となります。

2019年4月10日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

.組織風土づくり(05)心理的安全をつくる

組織風土づくりの5回目です。

組織風土を自分たちでつくる際、土台となる大切なことがあります。

 

信頼

 

です。

 

お互いを信じることができ、安心して働くことができる環境を少しずつ創り上げていくことです。

 

これは、最近注目されている「心理的安全性」でもあります≪参考:心理的安全性

 

また、心理的安全性を高めることは、成功循環モデルにおける第一歩「関係の質」を高めることに他なりません。

では、どのように心理的安全性・関係の質を高めるのが良いでしょうか。

 

まずは、自分たちがどの程度の心理的安全を持てているかを理解することが大切です。

 

お互いが安全とは感じられない、落ち着かない、とげとげしい環境である時は、心理的な安全を感じられるちょっとした第一歩を広めるところから始めるのが良いでしょう。
例えば、毎日周りの状況を確認しあうアイスブレイクの様な手法で関係性を徐々に育むといったことです。

 

また、対話型の組織開発手法を活用して、全員やリーダー層など大人数でお互いの状況や思い、目的などを共有すると同時に信頼感を一気に醸成するのも、スタートアップやスキル習得などの勢いをつける一つの方法です。
例えば、関係性を育み思いやビジョン、悩みなどを共有したい人が集まり思いを率直に伝え合うといったことです。

 

さらに、継続的な取り組みに向けて個々人のコミュニケーション手法やリーダーシップのあり方など、関係性に関わる方法を見直し変えていくことも有効です。

 

大切なのは
・段階を踏んで関わりを深める
・一人でなく仲間を増やす
・ワークショップや研修だけでなく、普段の業務を通じて地道に行う
ことです。

 

組織などの状況や、何のためにいつまでにどのような関係性(心理的な安全)となっていたいかによって、とりうる手段は様々です。

 

メンバーとして、リーダーとして、管理職として、社長としてなど、どのような立場で心理的安全、関係性の向上にかかわるかを意識して取り組んでいくのが良いでしょう。

2019年3月20日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(44)忍びざるの心

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第四四弾、孟子から

人には皆、人に忍びざるの心あり。

人には皆、他人に対して「忍びざるの心」がある。

「人に忍びざるの心」とは、他人の不幸や苦痛を見過ごしにはできない同情心を指します。
この心が、誰にも備わっているとしています。

これが、孟子の性善説のきっかけ、根本の言葉となります。

菅首相の「最小不幸の世の中」を目指すのも、不幸を見過ごさず可能な限り不幸を小さくしようとする「人に忍びざるの心」のような考えに見えます。

さて、人を性善説として捉えるか、性悪説として捉えるか、理屈では判然としない部分もあると思います。
動物行動学から考えると、他人の不幸を見過ごさず共感する行動から、性善説の方に分があるように感じられます。また、どちらか一色ということも考えづらいでしょう。

世の中の言説に対して、自分がどうありたいかを選ぶことはできるのではないでしょうか。

2019年3月14日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko