ハラスメント(07)大人のいじめ

今日、クローズアップ現代+で、「大人のいじめ」を特集していました。

神戸の小学校の件や介護の現場でもいじめは頻発していると報道されています。

多忙が一つの要因とされており、多忙によるストレスからいじめが多発しやすいということでした。

確かに多忙は重要な一つの要因だと考えられます。番組の終盤で正社員の店長とアルバイトのスタッフ達でたくさんの業務の押し付け合いもあるというコメントがされていました。

そして、業務量が過多の場合も含めた対策としては、まず窓口に相談、というものでした。

間違いではなく、緊急避難として、対処療法としては正しい対策でしょう。

大切なのは、その後緊急避難以外の根本に迫る対策ができるかというところにかかっています。

業務量も含めて、心に余裕を持てる状況ができないといじめが多発する状況は改善しないと考えられます。

では業務量を単純に減らせば良いか、どうかは、当事者の方々の知恵が必要なところとなります。
ハラスメントが起こる状況の問題の根っこの探究ですね。
軽々と問題の根っこはこれです、とはなりません。

もう1点、多忙な状況でいじめをする人もいれば、しない人もいます。
元気を無くしていく人もいれば、そこそこ元気な人もいます。

多分、多忙なのはいじめの起こるきっかけで、いじめを行ってしまったところに焦点を当てるのが良いと考えられます。

いじめを起こさないという「してはならない」は踏まえておいて、「望ましい職場」のあり方を共に思い描いて浸透させて、いじめが起こりにくくなる方が良いアプローチだと考えます。
ビジョンアプローチです。

望ましい職場、どのようなものでしょうか。
自分たちで見いだして、言葉にしないとあまり意味がありませんが、お互いの「尊重」は大切でしょう。

もしも「尊重」などの望ましい状況における考え方と、「尊重」に沿った行動様式を皆ですり合わせていけたならば、組織としてはハラスメントが起こりにくくなるでしょう。
このような活動は、その組織の多くの人が携わると考えられるので、コトを進めるにはパワーも必要でやり方に工夫も必要となるでしょう。

このように、環境を変化させてでハラスメントが起こりにくくする外側からのアプローチ方法がありますが、これだけでは難しい場合もあります。

それは、いじめる側の「悪意」と「心の傷」です。

「心の傷」は、例えば小さな頃いじめられた経験のある人は、されたことをしてしまう、いじめてしまうことがあります。
この場合は、本格的にはカウンセリングの領域になってしまいます。
「悪意」も「心の傷」も、望ましい行動様式へと組織が変わってくると、多少は軽減される可能性もあるでしょう。
いじめる人の心や行動へのこだわりが見えるとさらに別の対応ができるでしょう。

いじめ、ハラスメントは大なり小なり人権侵害と考えられます。

神戸のような状況になったら、処罰や懲戒、いじめを受けた人は避難も重要です。
しかしこれだけでは、職場の風土や関わりはそのままかもしれません。

起こらなくするような衆知を集めることと、多くの人がセルフコントロールができれば、いじめられることも、いじめることも少なくなってくるでしょう。

ハラスメント(06)パワハラの判断基準

前回、ハラスメントの様々な名前を挙げました。
今後、さらに○○ハラスメントは増えてくることでしょう。

 

厚生労働省では、パワーハラスメントの判断基準を次のように挙げています。

 

同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や職場での人間関係などの優位性を背景に、業
務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える行為。

 

これを分解すると、3要素に分かれます。

 

優位的な関係を背景とした言動である

業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

労働者の就業環境が害されること

 

そして、この判断によるパワーハラスメントの行為を6種類挙げています。

 

・身体的な攻撃
・精神的な攻撃
・人間関係からの切り離し
・過大な要求
・過小な要求
・個の侵害

 

さて、この判断基準でも判らないことが出てきます。

 

優位的な関係とは何?
業務上必要かつ相当な範囲とはどこまで?
等々

 

後の記事に譲るのですが、リーダーや管理職、幹部の方の悩みのひとつに
「強制的に言ったら、パワハラに当たるかも」という思いがあります。

 

また、社員や職員の立場では「強制的に言われたからパワハラだろう」と考えてしまうこともあります。

 

厚生労働省では、パワハラには当たらない事例なども出てきています。
多くのハラスメントが定義され叫ばれるようになり、多くの例も出てくるようになりました。
基本的な考え方や事例に触れることでハラスメント対応への理解も進んできます。

 

パワハラの判断基準や対応を実践的に活かすには、基礎的な知識や事例の理解だけでは足りません。
上記の判断基準を実際に検討してみることが有効です。
大人数で考えをぶつけて、実際の事例などを仕分けることで、実践的な判断や基準の共有につながります。

 

さて、対処療法としてハラスメントの判断基準や事例を理解するのも、ハラスメントに対応する方法の一つではあります。

しかし、根本的には人と人との関わりや会社や組織における仕事への関わり、人や仕事、お客様への尊重といった心構えに行き着きます。

 

会社の現状はすぐには変わりません。
また、法令への適応も必須になってきています。

 

法令など定められた対応だけ行い、ハラスメントが起こった時の対処だけ行えれば良いという考え方もあります。
しかし、これでは働きやすい職場への道は遠くなってしまうでしょう。

 

ハラスメントへの対応が叫ばれている現状を良い機会として、働きやすい職場づくりに取り組む方法もあります。
対処もきちんと行い、人や仕事へのかかわりから見直すことで、働きやすい職場に近づいてきます。

 

ハラスメントは症状、表われの一つです。
症状を判断する知識を身につけ、さらに根本の原因を探求してみてはいかがでしょうか。
基礎知識や判断の実践、根本の原因への探求など、ジーシフトの取り組みもご参考として下さい。

ハラスメント(05)いろいろなハラスメント

ハラスメントと聞いて、何のハラスメントをイメージするでしょうか。

パワハラ、良く聞きます。  パワーハラスメントですね。

セクハラ、これがハラスメント関係の最初の言葉かもしれません。セクシャルハラスメントですね。

そして、

マタハラ、妊娠などに起因する不利益な扱いですね。マタニティハラスメントです。

他にも色々あります。上記3つも含めると、

パワーハラスメント
セクシャルハラスメント
マタニティーハラスメント
モラルハラスメント
ドクターハラスメント
リストラハラスメント
スモークハラスメント
アカデミックハラスメント
カスタマーハラスメント

キリがありません。

状況によって、ハラスメントは出てきます。
嫌がらせだと感じたら、いろいろな名前がついてハラスメントとなるでしょう。

現象が起こるので対応、も必要ではありますが、重要な取り組みではないでしょう。

そもそもハラスメントがおこる環境や関わりからアプローチすることが大切だと考えてます。

ハラスメント(04)ハラスメントの法令

ハラスメントという言葉が、報道などでも数多く出てくるようになりました。

来年2020年4月からは、大企業はハラスメントの対策が必要となってきます。

対策が必要になるということは、法律で定められています。

その法律とは、

労働施策総合推進法

です。

正式名称は、

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律

となります。(長いです)

この法律が2019年5月に改正され「改正労働施策総合推進法」となりました。

この中でパワハラの定義と防止も義務づけられるようになり「パワハラ防止法」とも呼ばれています。

改正労働施策総合推進法の30条の2第1項の条文です。

パワハラの定義は、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって,

業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」

となります。

就業環境が害されるといったこととないように、相談などの措置を講じることが規定されています。

ハラスメント(03)ハラスメントへのお悩み

ハラスメント研修などで伺うお悩みや問題意識には、様々なものがあります。

実際にハラスメント、パワハラなどがあるのであれば、それは重大事です。
研修やコンサルティングではなく、別の緊急対処が必要となるでしょう。

しかし例えば、次のようなことに悩んでいる方もいらっしゃいます。

「言いたいことが言えなくなった」などの悩みです。

これはパワハラになるのだろうか

昔の対応ではだめなのだろうか

と感じて、「どうしよう」と悩む状況になってしまいます。

他にも、状況によっては体制整備やメンタル面などで悩む方もいらっしゃいます。

お悩みには多くの場合共通点がありますが、素直に解決に向かうことができる悩みもあります。

基本的な知識の理解はもとより、ご自身の考え方、言動、判断、相手からの言動の感じ方、相手や環境への働きかけを変えることで解消出来る悩みも多くあります。

自分の行動変容で悩みが消える、軽くなる、悩まないで、相手や取り組む仕事と向き合えるようになるでしょう。

自分が働きかけることで、相手や環境も少しずつ変わることでしょう。
少なくとも相手や環境への自分のものの見方は変わってきます。

ハラスメント(02)ハラスメントとは

ハラスメントとは何でしょうか?

最近では、パワハラ、セクハラなど、報道やドラマなど多く目にするようになってきました。

一般用語としては次となります。

ハラスメント Harassment   迷惑行為や嫌がらせ

意図して行ったとすればもちろんのこと、意図しないで行ったことでもハラスメントにはなり得ます。

そして、暗黙で隠れていることがあります。

実は行ったことを指すのではありません。

行為をされた側が、嫌がらせと感じるとハラスメントとなってしまいます。

行為の受け手の感じ方、考え方に多くが委ねられていることが注意点となります。

行為する人、される人、そして職場などの環境、こういった要素がハラスメントには関係してきます。

ハラスメントと言われたらどうしよう、といった悩みを伺います。
知識としてのハラスメントの理解も大切ですが、受取り方、感じ方、関係性、考え方が理解できると、むやみに悩まないようになります。

対処療法や緊急避難的な対策も大切ですが、同時にハラスメントが起こらない本来望むべき姿となる対策を重ねることも大切です。

人には欲求や感情があります。社会人生活を送る上ではそれぞれに役割や責任もあります。日々の仕事は量や難しさ、納期や協力関係も必要となります。

法令で定められた整備は行った上で、人との向き合い方、仕事との向き合い方、組織や上司の考え方や習慣・特性などを振り返って、明るく働きがいのある職場を目指すことは、ハラスメントを気づかないうちに克服できる急がば回れの手法となるでしょう。

ハラスメント(01)ハラスメントの起こらない職場へ

ハラスメントへの対応へのご相談、研修を多く伺うようになりました。

働く場、会社や組織で働く皆さんの様々な思考や、行動、協力手法、コミュニケーションなどの向上、働きやすい職場へのサポートを15年続ける中で、ハラスメントへの対応も多くなってきております。

ハラスメントが起こる職場は、働きづらい職場と言っても良いでしょう。
ハラスメントが起こらない、働きやすい組織や職場へのヒントとなればうれしいです。

実際の弊社のハラスメント研修で、ハラスメントに関する問題点や困り事も元に綴って参ります。

G・Shiftの得意分野は実際の思考と行動、つまり現場実践です。

知識や法令の情報の伝達だけではなく、実際の考え方や行動、そして人と人との関わりの感じ方や捉え方、といった側面の話題もお伝えします。

SDGs(持続可能な開発目標)においても、働きがいのある人間らしい仕事が行えるというところに目標が置かれています。国際的にも働きやすさは重要視されてきています。

.組織風土づくり(05)心理的安全をつくる

組織風土づくりの5回目です。

組織風土を自分たちでつくる際、土台となる大切なことがあります。

 

信頼

 

です。

 

お互いを信じることができ、安心して働くことができる環境を少しずつ創り上げていくことです。

 

これは、最近注目されている「心理的安全性」でもあります≪参考:心理的安全性

 

また、心理的安全性を高めることは、成功循環モデルにおける第一歩「関係の質」を高めることに他なりません。

では、どのように心理的安全性・関係の質を高めるのが良いでしょうか。

 

まずは、自分たちがどの程度の心理的安全を持てているかを理解することが大切です。

 

お互いが安全とは感じられない、落ち着かない、とげとげしい環境である時は、心理的な安全を感じられるちょっとした第一歩を広めるところから始めるのが良いでしょう。
例えば、毎日周りの状況を確認しあうアイスブレイクの様な手法で関係性を徐々に育むといったことです。

 

また、対話型の組織開発手法を活用して、全員やリーダー層など大人数でお互いの状況や思い、目的などを共有すると同時に信頼感を一気に醸成するのも、スタートアップやスキル習得などの勢いをつける一つの方法です。
例えば、関係性を育み思いやビジョン、悩みなどを共有したい人が集まり思いを率直に伝え合うといったことです。

 

さらに、継続的な取り組みに向けて個々人のコミュニケーション手法やリーダーシップのあり方など、関係性に関わる方法を見直し変えていくことも有効です。

 

大切なのは
・段階を踏んで関わりを深める
・一人でなく仲間を増やす
・ワークショップや研修だけでなく、普段の業務を通じて地道に行う
ことです。

 

組織などの状況や、何のためにいつまでにどのような関係性(心理的な安全)となっていたいかによって、とりうる手段は様々です。

 

メンバーとして、リーダーとして、管理職として、社長としてなど、どのような立場で心理的安全、関係性の向上にかかわるかを意識して取り組んでいくのが良いでしょう。

組織の習い性(22)自分から行動しない

組織の習い性組織の習い性、第22弾です。

今回は、 自分から行動しない といった習い性です。

「部下が自分から動かないので、自主的・主体的に行動できるようしてほしい」

リーダーや経営者から良く伺う悩みの一つです。

 部下が動かない   のが問題だ、ということです。

この場合、部下のやる気を引き出すのが良いでしょうか。
それとも、上司の指導力を強化するのが良いでしょうか。
さらには、別の何かでしょうか。

「部下が動かない」と感じたとしても、部下を教育すれば大丈夫、とは限りません。

部下の教育では済まない、もっと別の原因が存在する可能性もあります。

例えば、次の様なことは無いでしょうか。

新人の頃は、質問が多かったり、やり過ぎの失敗も良くあったが、大人しくなった。

自分から行動するという社員が、圧倒的に少数派だ。

職場でほめられた記憶が無い。

他の現象もありますが、例えばこのような現象がある職場では

 「部下が動かない」といったことが問題として浮かび上がってきます。

そして、その問題の原因は、部下の素質やスキルではなく、

「自主的・主体的でなくても良い」という、職場の環境・考えや上司の行動・指導パターンに原因があることが多いです。

この場合は、どのようにすれば良いでしょうか。

ヒントは、スキルとモチベート、そして広がりといったところになります。

.組織風土づくり(04)組織風土づくりへの手法

組織風土づくりの4回目です。

組織風土づくり、に自分たちで取り組んで行くにはどのような手法が考えられるでしょうか。

大規模に組織的なアセスメントを行った上で、分析を任せて取り組むのも一つの方法です。

しかし、自ら継続的に取り組んでいく方法としてお勧めの方法があります。

自分たちで悩みや問題を受けとめ、自分たちで取り組みを考える、という方法です。

これは、取り組みや継続の手法、関わりの手法を学び、自ら考え、行動策、継続策を考える方法です。

具体的には、次のような考え方や取り組み方となります。

・成功循環モデル
・対話型組織開発手法
・関係性向上手法

成功循環モデルは、MIT教授のダニエル・キムが提唱している組織の成功を継続的に進めるモデルです。
組織変革などの他のモデルよりも取り組みやすいものです。

対話型組織開発手法は、近年浸透してきている、より自然な意識変容や問題解決への手法です。
AI(アプリシエイティブ・インクワイアリ)やワールドカフェ、OST、フューチャーサーチや
システム思考など必要に応じて手法を組み合わせます。

関係性向上手法は、自分や相手の心理面なども考慮したコミュニケーションや思考の手法です。
組織風土によっては、心理面やコミュニケーションに一定の傾向がみられる場合もあります。
モチベーションやセルフコントロールも含めて、自分や相手、広くはモノゴトとの関わりも考える手法です。

ジーシフトでは、上記のような様々な手法を15年活用していますが、手法の良さやポイントなどについても機会があれば触れていきます。

また、上記の手法に加えて

・バランススコアカード(BSC)といった経営的な手法

の活用も組織風土づくりには有効です。
取り組むことができるのであれば、最終的にはBSCに落とし込むのも良いでしょう。

いくつか手法をご紹介しましたが、次のように言い換える事もできます。

「自分たちの未来のために、学び方を学ぶ」そのための手法。