コモングッド

コモングッド(common good)という言葉を聞いたことはありますか?

共通善  もしくは 公益 とも訳されるものです。

多くの人が「よい」と考えたものですね。

共通善の考えは、野中郁次郎 一橋大学名誉教授 が有名です。

書籍の「知識創造企業」や「ワイズカンパニー」など、数多くの書籍などで、知識創造の基本・判断基準にあるものが「共通善」としています。

野中教授は知識を単純な情報とは考えずに、実際に使う知識「実践知」が重要であり、実践知の判断基準となるものがこの共通善としています。
この実践知、古くはアリストテレスの「フロネシス」のことを指しています。

スキルやフレームワークなどを解説するだけではなく、職場での活用を自ら考え活動することは、やはり大切ですね。

まさに実践の上での知恵、情報や理屈だけではなく実践知が身にしみるのだと考えます。

さてコモングッドですが、「社会全体にとってよいこと」とも表現できると思います。

では何がコモングッドか、と言われると実はなかなか難しくなります。
時代や文化、組織などによっても変わってくることでしょう。

実際問題として扱う場合は、「共通性を持つどの程度の広がり」で考えるかである程度は語ることができるかもしれません。

例えば「人権」などです。

国連グローバル・コンパクトという取組があります。

企業の人権や労働などに関する取組を取り決めたものです。

このような取組、宣言はコモングッドであると言えるかもしれません。

ちなみに野中教授は、どのようなものがコモングッドであるかは、あまり述べてはいません。
「みんなにとって善いこと」のようなまとめとして、参画する人たちで考えるのが良いとしているようです。

日本では、コモングッドも共通善、そして公益もなかなか抽象度が高く腑に落ちないように感じます。

時代劇のような言葉になりますが、「天下」のため、「天下太平」のため、「世間」のため、がコモングッドに近い印象を持ちます。

アメリカでは、コモングッドは「政府 ガバメント」を指すという、割り切り方もあるということのようです。

コモングッド、和訳して共通善としたところで、なかなか捉えどころが難しいようですが、倫理道徳的な考え方や感じ方にとって大切になるでしょう。
自分自身の「善」に対する感じ方を振り返ってみるのも良いかもしれません。

2021年8月4日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko