古典の力(63)リーダーの資質

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第六三弾、翁問答から

諸侯卿大夫の第一に守りおこなひてよき事は、謙の一字なり。

諸侯卿大夫、大名や朝臣のことです。現代に言い換えるとざっくりとリーダーでしょう。

リーダーが第一に守るべきことは「謙」である。

このように説いています。

謙、謙譲、謙虚、謙遜ですね。

役どころとして高位にあればこその「謙」なのでしょう。

翁問答、問答部分ををちょっと変えています。その続きです。

我くらいたかきにおごり自満する魔心の根をたちすて、義理の本心をあきらかにし、かりそめにも人をあなどりかろしめず、慈悲ふかく万民をあはれみ、諸士に無礼をなさず、家老、出頭のいさめをよく聞き入れ、我知恵をさきだてず、善をこのむ事は公職をこのむごとく、悪をにくむことは悪臭をにくむごとくなるを謙と言うなり。

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2022年4月14日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(62)リーダーの役割

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第六二弾、易経から

大有(だいゆう)は柔尊位を得、大中にして上下これに応ずるを大有と曰う。

リーダーが謙虚で、部下や上司がリーダーに呼応してのびのびと活躍する。リーダーがチームの大いなる力を所有するが故に大有という。

易経は、様々な変化の法則を説いた中国の古典です。
変化の法則の中には、組織論も出てきます。

易経が言う、チームワークを発揮している時のリーダー像、易経が勧めるリーダー像は、この「火天大有」の卦で表現されています。

それは、謙虚で他の部下や上司の活躍を引き出す役割となることです。

それでいてリーダーとしてチームがまとまっている、そのようなチームのリーダーが理想と説いています。

現代にすると、サーバントリーダーシップというところでしょう。

三千年も前のリーダー像と現代最新のリーダー像、なぜだか似たものになってきたようです。

状況別リーダーシップという表現もありますね。
状況別、、、、変化に対応するということです。
変化には易経ともなります。

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2022年4月8日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(61)リーダーの姿勢

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第六一弾、論語から

士は以て弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し。

士人はおおらかで強くなければならない。任務は重くて道は遠い。

士は上位にある人、リーダーです。

リーダーは度量がひろくておおらかで強い、そんな人でなくてはならない。

リーダーの任務は重くて、その道は遠いから。

古典から見たリーダーの姿勢、その第二弾です。
徳川家康も似たような表現をしていますね。
 重き荷物を負うて、、という感じです。

上に立つ人、上に行けば行くほど、その任務は重いものだと意識が必要です。

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2022年4月2日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(60)言わずに

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第六〇弾、雑阿含経から

良馬は鞭の影を見て走り出す

良い馬は、鞭の影を見て走る

「一を聞いて十を知る」ということわざがあります。
ちょっとしたことを聞いただけで、たちまちいくつものことを理解了解してしまうということです。

易経では、兆しを観るという考え方もあります。

二宮尊徳も、米の不出来をちょっとしたことで悟って芋を作らせるように指導をしました。

何かの影みたいなことに反応して、考え動くことはリーダーにとって大切なことです。

この話四馬という話です。もう少し取り上げたいですね。

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2022年3月25日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(59)セルフコントロール

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第五九弾、論語から

子、四を絶つ。意なく、必なく、固なく、我なし。

先生は四つのことを絶たれた。勝手な心を持たず、無理押しをせず、執着をせず、我を張らない。

わがままの心を持たず、無理強いもしない。執着もしない。

孔子は、こういった点に気をつけて自分を律してコントロールしていたということです。

そのまま現代にも通じるのではないでしょうか。

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2022年3月19日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(58)積善

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第五八弾、易経から

善を積むの家には、必ず余慶(よけい)あり。不善を積むの家には、必ず余殃(よおう)あり。

善を積んだ家ではかならず福が子孫に及ぶ。不善を積んだ家ではかならず災いが子孫に及ぶ。

因果応報、善因善果、悪因悪果です。
より正確には、善の積み重ね、日々の善の行いが福を呼ぶということです。

自分を省みると、思うところがじわっと出てくるかもしれませんね。

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2022年3月5日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

組織文化を育む基盤

組織文化を育む上で大切なことがあります。

それは、  目的  (最近では パーパス の英語で有名になってきました)

を意識化、共有化することです。

そのためには、多人数で 目的に関する思いを共有することが大切です。

難しいようですが、シンプルに

 大切なことは何だろう  

といった問いかけから始めることができます。

2022年2月21日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(56)お天道様

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第五六弾、老子から

天網恢恢疎にして失わず  (てんもうかいかい そにしてうしなわず)

天網恢恢疎にして漏らさず  とも言います。

天の法網は広々と大きく、目は粗いが、なにごとも見逃すことはない。

「悪いことをしていてもお天道様が見ているよ」と子どもの頃聞いたおぼえがあります。

悪いことをすると、何より自分が悪いことをしたのを知っている。そして天も見ているという訳です。
そして悪いことをすると天罰が下る訳ですね。

悪は栄える試しは無い、といった脈絡で良く使われます。

そこも含んだ上で「天の道理は計り知れなくうまくできている、大切なものは漏らさない。」ということです。

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2022年2月8日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

古典の力(55)情熱

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第五五弾、言志四録から

憤の一字は、是れ進学の機関なり。舜何人ぞや、予(われ)何人ぞやとは、方(まさ)に是れ憤なり。

発憤の「憤」という字は成長のエネルギー源である。舜も人である自分も人である何するものぞ、こういった考えはまさに、発憤しているということである。

成長するのに、物事をすすめるのに、何が一番必要かと問われるとどのように答えますか?

理性、知識、学習欲、などなど上がるかもしれません。

ここでは進学としていますが、物事を進め成長する機関、エンジンとなるものは

 情熱

であると指摘しています。

この時代(江戸後期)の言葉で一字にすると「憤」となります。

古代中国の聖人君子には、舜という偉大な人がいたそうです。
偉大な舜も何するものぞ、自分も何かの人になる。という情熱、心意気が動くためのエンジンになります。エンジンへの燃料かもしれません。

理性や知識も、「何かになるぞ」「するぞ」「自分から動くぞ」といった情熱の上で活用されてこそ、より輝くのではないでしょうか。

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2022年1月27日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko

組織文化とは

組織は様々な目的や目標、価値観を持って日々事業活動を行っています。

事業活動を行うのは人です。

組織の人々は、組織の価値観に影響された行動や判断に基づいて活動を行います。

ひとつの組織においても、営業部と開発部の価値観は少し違うかもしれません。
違っていた方が営業部が有効に機能する、開発部が有効に機能することにつながり、さらに組織としての共通の価値観を持つことで会社としての一体感が育まれます。

組織が目的に沿って一体感を持って活動するには、自分の組織の価値観や行動様式、つまり「組織文化」を計測して組織としての共通の価値観を理解することが重要です。
さらに、各部署として理想的な組織文化やマネジメントスキルを醸成すると、各部署が効果的に連携できます。

さて、自分の組織の「組織文化」がどのようなものであるか理解する方法は世の中に各種あります。

世界的に数多く活用されている組織文化の考え方の一つに、アメリカ ミシガン大学のキム・キャメロン教授の方法があります。

キャメロン教授は、組織文化を次の4種類の強弱と規定しています。

家族文化      組織の柔軟性や人々・顧客への気遣い、組織内部の維持の重視
イノベーション文化 柔軟性・革新性が特徴的な組織外でのポジションを重視
官僚文化      安定と統制の必要性を強く認める、組織内部の維持を重視
マーケット文化   安定と統制の必要性を強く認める、組織外でのポジションを重視

キャメロン教授の手法の優れた点は、比較的シンプルな質問手法で組織文化を計測し、その組織の理想的な組織文化に向けたマネジメントスキルを定めて人員を育成し、組織文化の変革を目指すことができる点になります。
計測した組織文化やマネジメントスキルは、現状や理想、業種の平均像との図示による比較で直感的に理解し実践に活かすことができます。

例えば、チーム活動を重要視したい部署では、「家族的文化」の側面として「支援的な態度で相談に乗ることができているか」に注目して不足しているようであれば、支援的な態度や相談の能力を向上施策に力を入れる対応を行う、といった具合です。
そして、一定期間後に再度組織の状況評価や計測を行うことで理想的な会社や部署としての組織文化が醸成されたか否かを理解することができます。

この手法は、組織の成功循環モデルに沿ったマネジメントも行うことができます。
さらに、倫理性を高めた組織やリーダーを目指すのであれば、倫理的な組織環境で世の中の役に立つ事業活動を行うためのリーダーシップとなる「コモングッド型リーダーシップ」を導入することができます。

組織文化の種類やマネジメントスキルなど、別の機会に解説を進めていきましょう。

2022年1月10日 | カテゴリー : 基礎知識 | 投稿者 : hiko