組織の習い性3回目です。
「・・・のはず」といった言葉を言ったり聞いたりしたことはありませんか。
言っている本人は、記憶が曖昧か、確定的なことではない事(事実ではない事)、もしくは行っていないことを行っていると確信犯的に言っているかもしれません。
「はず」を言い換えると『思いこみ』になります。
言ったはずだ → 言っていると思いこんでいる
行ったはずだ → 行ったと思いこんでいる
確実に行ったのであれば、「行った」です。
思いこみや確認を行わずに物事が進み、行き違いが生じる習い性かもしれません。
「・・・のはず」の前に『一言確認』しましょう。
一言で良いのです。
大人が学ぶ、ということを考える上で非常に重要なのは
経験
です。
経験無くして、習熟はありません。
ただ、経験だけに頼るとそれはそれで学習する組織で言う学習障害などなどになりますが、まずはそこに行く前段階の話しです。
このブログをご覧になっている方は、社会人の方が多いと思います。
日々生活や仕事に勤しんでいると、
腕が上がった
判った
コツを掴んだ
という感覚になる時があると思います。
また、
こんなことしたら失敗した
とんでもない失敗をした(どんなことをしたかは、良く思い出せない)
ちょっとした失敗をした、このままだと△△がひどいことになる
こんな失敗も経験のうちです。
以前こんな事をした、こんな事があった
→ そしたらこうだった、こうなった
大人はこういった体験の塊を持っています。
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経験の語義を見てみましょう。広辞苑です。
けい‐けん【経験】
(1)人間が外界との相互作用の過程を意識化し自分のものとすること。人間のあらゆる個人的・社会的実践を含むが、人間が外界を変革するとともに自己自身を変化させる活動が基本的なもの。
(2)感覚・知覚から始まって、道徳的行為や知的活動までを含む体験の自覚されたもの。
ちょっと掴みづらいので、明鏡国語辞典で、
けい‐けん【経験】
自分で実際に見たり聞いたり行ったりすること。また、それによって得た知識や技能。
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体験との相違は、より自分で行う事柄は体験、修得した知識・技能寄りになる場合は経験となります。
語義は踏まえて、書籍「経験からの学習」から引用すると
経験とは
人間と外部環境との相互作用
としています。
さらに、経験と学習は密接に関連しています。
とある知識・スキル・信念
↓
経験
↓
知識・スキル・信念の修正や追加
この流れが「学習」となります。
日々の仕事や一瞬の判断も、こういった流れを経た学習となります。
学びには経験が非常に大切です。
では、経験をどのように捉え活用すれば良いかというところに話しは進みます。
企業など社会人向けの研修やワークショップ、社員育成のお手伝いをしております。
やり方や技術、考え方をお伝えしている側面もあります。
これを、もっと抽象化すると
まなび
の機会を作っていると言えます。
小学校や中学校では無いので、
成人のまなび、社会人のまなび、大人のまなび
の機会を作っています。
ファシリテーション研修の場合は、支援と促進の技術への学びです。
話し合いだったり、ワークショップ進行だったり、研修だったり、、、
コミュニケーション研修の場合は、基本的な聞く力、見る力などです。
品質管理だと、品質をどう考えているか、品質向上へのプロセスとなります。
様々な形で、「大人のまなび」に関わって来ています。
まなびの機会を作るという意味では、教育に携わっています。
ちなみに、教育を辞書で引いてみましょう。
教育 (広辞苑)
教え育てること。望ましい知識・技能・規範などの学習を促進する意図的な働きかけの諸活動。
ついでに、学習も
学習 (広辞苑)
まなびならうこと。
経験によって新しい知識・技能・態度・行動傾向・認知様式などを習得すること、およびそのための活動。
ファシリテーションにこと寄せると、「支援」についての技術、と言うより「考え方」や「姿勢」を理解していただく機会を作り続けています。
支援・・・・他の人やコトを支え助ける ということです。
支え助けると、相手はどのようになってゆくでしょうか。
例えば、のびのび育つようなイメージがしてきます。それは、個々の伸び方でしょう。
個性を伸ばすという言葉があります。
二宮尊徳の言う、そのものの良い所「徳」を見いだすというところに通じます。
まなびから始まって個性、言い方によっては徳にまでジャンプしてきました。
支援がうまく機能すると、学びにつながります。
「自分」が学んだり向上したりするには、本当のところではタイミング・時機など重要なことがあります。
子どもの教育でもこういった点が重要視されてきています。
大人の学びでは、より一層「学ぶ」と言うより「学んでしまう」という点、そしてそのために「どう教える」かといった点に一層留意することが大切です。
大人のまなび、少し堅く表現すると教育ファシリテーションについて、実践で培ってきたところなど少しずつ整理してゆきます。
身の回りに「かかわり」どのようなものが有るでしょうか。
「あっしにはかかわり合いの無いことでござんす」と言えば、木枯らし紋次郎ですね。
事件とのかかわり
あの人とのかかわり
職場へのかかわり
問題へのかかわり
時間とのかかわり
自分とのかかわり
上司部下のかかわり
関係性のあるところ、という言い換えをするならば、それこそ数限りなく上がってくるようですね。
人は、何かと関連性を持ちながら生活しています。
ちなみに関連性をとる境界の部分の形をどのように考えるかをデザインと言うことができるでしょう。
と言うことは、かかわりのデザインという表現は、しっくり来るかもしれません。
何かのかかわりがあること、かかわりをとある意味に取れるようにするためにデザインするということ。
などなど、、、、、
かかわりに戻りましょうか。
人と人
人と人々
人とコト
一個人
このような中でも様々なかかわりが出てきそうです。
私達は、コミュニケーションに注目した活動を行っています。
一対一のコミュニケーションもあるでしょう。
グループ、複数人のコミュニケーションもあります。
もっと大人数で一度期のコミュニケーション、企業活動などで日々職場が動いているようなコミュニケーションもあります。
こういったコミュニケーションを様々な考え方ややり方で良くしたり、変化するきっかけとなるようにと活動しています。
コミュニケーションとは何か、なかなか難しい問いです。
カタカナなものは、和語にすると判りが良いかもしれません。
コミュニケーションとは何かへの一つのこたえは、
かかわり
ではないでしょうか。
広辞苑では、
かかわり
関係、つながり。
です。
様々なコミュニケーション、 かかわり という言葉を鍵に考えてみます。
ファシリテーターになろうと考えた場合に身につけたいスキルは、例えば次のようになります。
1.コミュニケーションスキル
(傾聴、観察、伝達、質問 等)
2.心理的なスキル
(NLPや交流分析等)
3.基本的なファシリテーションスキル
4.問題解決スキル
5.ビジョン形成スキル
6.対立解消スキル
7.板書スキル
8.プロセスデザインスキル(ワークショップ、ミーティングデザイン等)
細かく挙げれば、質問や発想法等も入ってくるでしょう。
ファシリテーターになるためのスキルは、言い換えるとファシリテーターを育成する際に身につけるスキルとなります。
上記のスキルを一気に身につけるのは難しいかもしれませんが、順を追って広く深く学ぶと良いでしょう。
チーム力や組織力をアップさせるために、コーチングやメンタリングとは別に「ファシリテーション」のスキルを学ぶ企業様が増えてきています。
そして、学んだ方はは様々な場面でファシリテーションを活用するようになってきます。
こうなってくると、立派なファシリテーターですね。
肩書きはリーダーや管理職、一社員や企業のトップの方の場合もあると思います。
さて、ファシリテーションスキルを使っていると「もっと深いところを理解して活用したい」とか「さらに基本的なところは何をすれば良いか」といった疑問が起こるようになってきます。
また、「自分以外にもファシリテーターを増やしたい」「部下をファシリテーターとして育成したい」という考えも膨らんできたりします。
さて、ファシリテーターを育成するにはどうすれば良いでしょうか。
「スキルを身につける」まず思いつくところだと思います。それだけでは片手落ちかもしれません。
ファシリテーター育成のポイントは、以下のようにまとめても良いのではないでしょうか。
1.スキル
2.経験
3.姿勢・行動指針(クレドなど)
研修では、様々なスキルについて身に付くようになっているものが多いと思います。
そして、学んだスキルは身に付くように使って「経験を重ね」、スキルを使う際にはやはり「自分を磨かないと」と考えたりします。
一言にすると、スキルと経験そして行動への考え方がかみ合うようにするのがファシリテーター育成のポイントではないでしょうか。
自分を磨くといった話題ですと、まだまだ私では手に負えないところも多々あります。
ですが、こういったところも踏まえて少しずつ解説して行きます。
現場の声を伺う機会もしばしばあります。
「XXが問題」「改善点はここ」などなど、熱意のある方も多くいらっしゃいます。
場合によっては気になる傾向のコメントが多くあるコトがあります。
「XXのせいで○○できないのが問題」
など、自分ではない 「他者」 のせい 『 他責 』 にしてしまうことです。
例えば「相互に□□の連携が取れておらず、○○できない」という表現であれば、お互いの関係性も考えながら責務を担おうとする態度です。
考え方は、行動やこういった問題を表現する言葉に出てきます。これが習い性かもしれません。
さて、他責の傾向は自分を防衛しているのかもしれません。
そして自分を防衛する原因の多くは「合意」のとれていないこと(業務命令や指示、目標、ビジョン)を無理に「押しつけ」られていることが多いようです。
上意下達で、合意の取れていない押しつけが起こっていることが原因かもしれません。
ちなみに、上意下達が悪い訳ではありません。
職位が上の人ほど業務命令や指示が押しつけを誘発しやすいといった状況があるのかもしれません。
では、この対処法ですが
・職分を考え
・合意や共感(迎合ではありません)を取れるようなコミュニケーションを行い
・自ら動けるような環境を作る
概念的にはこういったことになると考えています。
但し、表題にもある通り「習い性」です。
個人的な「習い性」もあると思います。行動が伴わないかもしれません。
押しつけが『歪み』を生じさせる。職位が上の人が押しつけるほど、全体に歪みが出ることを留意するのが良いでしょう。
では、留意するには、、、と続きます。
留意法(訓練法でも良いでしょう)もありますが、別の機会にお伝えできるかもしれません。
習い性、誰にでもあると思います。
会社や組織にも「慣例」や「クセ」、「行動特性」といった「組織の習い性」があるようです。
慣例自体は、必ずしも悪いところばかりではありません。
ただ、悪影響が出ているのであれば、行動を直さなければなりません。
そして、直したくてもなかなか治らないのが習い性です。
気付いてゆけば、少しずつ変化できるかもしれません。
直したいのについつい出てしまう 「組織の習い性」 挙げてみます。
●社員の『自主性』を重んじている、自立した行動ができるよう奨励している、といった職場です。
○お話を伺うと、社員の方の意志の忖度があまり感じられず、「XXさせたい。XXさせている。」とのこと。
○社員の方との対話を伺うと、「これは、XXだ。」と決めつけや断定の言葉。
上意下達の習い性が出ているかもしれません。
上意下達も含めて、習い性はいろいろな現象で出てきます。今後も少しずつ挙げていきますね。
ちなみに、習い性が気になって直したいのであれば、行動を自分で意識できれば変化できるでしょう。
あとは、変化を促進させるのに研修を受けるといった選択肢もあります。
ファシリテーションを行う場合、何を意識するでしょう?
会議のファシリテーションでも、組織のファシリテーションでも、少し抽象的に協働のファシリテーションでも結構です。
スキル、プロセス、、、、そうですね。
人、、、それも当然です。
場作り、、、場、、、、大切ですよね。
さて、ファシリテーションを行うとき、次の3点を注目してはいかがでしょうか。
『時間』『空間』『人間』
時間・・・・時と時の間ですね。
時間制限がいつまである、とか。次はいつである、とか。自分がしゃべり過ぎると他人の時間を盗んでしまう、、、とか。
空間・・・・モノとモノの間ですね。
物理空間だったり、配置だったり、順列だったり。
人間・・・・当然、人と人の間です。
ファシリテーターと皆さんの間だったり、参加している皆さんの間だったり、物理的な間、そして目に見えない間かもしれません。
ファシリテーションでは、こういった間を意識した上でその場に関わるとモノゴトが動いていくきっかけにもなります。
目には見えない プロセスやコトとコトとの間にも気を遣います。
例えば、テーマや目的、背景などなど、
ファシリテーターは、様々な 間やかかわりに留意し調整してゆきます。