ファシリテーショングラフィック(09)箇条書き

ファシリテーショングラフィック、最もよく使われる書き方は、

「箇条書き」型です。

議論していることを、上から下へずらっと書きます。

何点か注意していると、書きやすく、判りやすくなります。

1.横幅を決める

  広いホワイトボード、1行目は50文字くらい、2行目は10文字
  という使い方をすると、後で使いづらく、見づらいです。
  ざっと、横幅を決めた方が良いでしょう。

2.スペースを空ける

 右や下、行間を意識して空けるようにしておきます。
 議論の経緯を行間に書けるようにします。

3.表題や番号を書く

 話題や項目の先頭は、番号や点を表記すると判りやすいです。

4.強調と色遣い

 他の項目にも書きましたが、強調するときは太字、意味を変える時は色を
 変えて書くと一目でわかります。

5.まっすぐに書く

 なるべくまっすぐ、水平に書いた方が見やすいです。
 でも、話題に追いつくために斜めにどんどん書くときもあります。

箇条書き、板書をするとき迷ったらこれで書くと思います。
横幅、スペース、表題、これだけでも違ってきます。
日常の板書で気をつけてみてはいかがでしょうか。

ファシリテーショングラフィック(08)文字

ファシリテーショングラフィック板書では当然ながら文字を書きます。

文字の大きさ、太さ、色はどのように使い分けていますか。

文字の大きさや太さ等は、以下のような点に気をつけてみてはいかがでしょうか。

文字の大きさ

 板書を見る方は何人ですか?
 もしくは、会議、研修、ワークショップ、状況に応じて大きさを考えてください。

 どの大きさが正解ということはありません。
 会議の場合は、「会議内容が共有できる」大きさであれば結構です。
 研修の場合は、「研修時に発した言葉・キーワード」が判る大きさかもしれません。

文字の太さ

 太くて大きい文字の方が視認性が高まります。
 但し、多量の文字は書けません。
 また、筆記具の細い・太い、丸芯・角芯によって太さが変わります。
 良い板書を意識するのであれば、筆記具に応じた書きぶりを試すのも良いでしょう。

文字の色

 板書と言うと、ホワイトボードが多いのではないでしょうか。
 以下、ホワイトボードに話しを限ります。
 ホワイトボードマーカーというと、色数が少ないです。

 黒、青、赤   ・・・  ここまではあるかもしれません。
 緑        ・・・  これは少なくなるかも
 橙        ・・・  ここまであるのは稀です。

 上記で5色です。ブラックボードマーカーですと、非常にバリエーションがあります。
 但し、ホワイトボードイレイザでは消せない顔料が多いです。

 5色で、極太と太いホワイトボードマーカーを用意した方が、良い板書ができるでしょう。

 また、色の使い分けの一例です。

①列記、箇条書きが多い時
 黒  ・・・・  タイトル
 青  ・・・・  内容
 赤  ・・・・  重要な点のライン、囲み、注記
 緑  ・・・・  線、弱めの注記
 橙  ・・・・  赤よりも軽い内容のポイントのライン、囲み、注記

 注 青、緑、橙は 顔料によっては、見えづらいです。
   ペンの種類によって変えた方が良いでしょう。

②情報が数種類(例 3種類)の時
 黒  ・・・・  1種類目の内容
 青  ・・・・  2種類目
 赤  ・・・・  3種類目
 緑  ・・・・  ラインや、マーク
 橙  ・・・・  ライン、重要点(①の赤ペンの位置づけ)

③タイムライン
 黒  ・・・・  時間軸や基準
 青  ・・・・  内容

④SWOT図
 黒  ・・・・  タイトル
 青  ・・・・  内容
 緑  ・・・・  SWOTのライン
  (線を注視させない使い方)

例えば以上のようです。
この例では、青で内容を書いています。これは、黒を使っても構いません。
黒がどちらかと言うと、確定されている内容に見えるようですので、青を使っています。

綺麗な文字

 板書で字をきれいに書けない。
 私も悩んでいるところです。

 対策としては、例えば以下です。
  量をこなす(書く機会を意識的に持つ)
  判りやすい文字を書く練習をする(例 「六度法」はお勧めです)
  硬筆でなく、軟筆で書く機会を持つ(筆などですね。お正月にも役立ちそうです)

上記は踏まえますが、まずは 「聞きながらキーワードをすくい上げる」 ことができるようになるのが重要です。

ファシリテーショングラフィック(07)道具

ファシリテーショングラフィック板書を行う時、道具にも気を配った方が良いです。

個人でノートを取る際にも、ペンとノートにはこだわるかたも多いと思います。
最近ですと、お気に入りで使いやすいキーボードというのもありますね。

使いやすいペンとノートですと仕事がはかどります。板書もそれと同じでしょう。

どのような道具があるか挙げてみましょう。

●筆記対象
◎ホワイトボード

①可動式ホワイトボード
②据え付け式ホワイトボード(黒板の代わり)
③壁面ホワイトボード
④ライティングシート(ホワイトボードシート)

◎紙

⑤模造紙
⑥イーゼルパット
⑦A4,A3等の紙

●筆記具
◎ホワイトボード

(1)ホワイトボードマーカー
 A【コクヨ ホワイトボードマーカー 太字角芯,PM-B113N黒赤青,B103N緑】
 B【パイロット ホワイトボードマーカー 極太角芯 WBML-40J黒赤青】
 C【パイロット ホワイトボードマーカー 太丸芯 WBMAR-L黒赤青緑橙】
(2)ホワイトボード・ブラックボードマーカー
 (濡れぞうきん拭き取りタイプ)

◎紙

(3)水性顔料マーカー
 D【uni PROCEY 太】
(4)油性マーカー
(5)サインペン
(6)ボールペン

●その他
ホワイトボードイレイザー
メンディングテープ
ガムテープ(布、できれば白)

板書を行おうと思っても、道具が無いと始まりません。
良い会議となるために、板書は行った方が良いでしょう。
さらに、良い板書を行うには少し道具に気配りをした方が良いです。
括弧にお勧めのものを記載しました。参考にしてください。

一言にすると、『マイペン・マイボード』を持ってはいかがでしょうか。

以下のようなセットを持っておくと、本当に何かと便利です。

A【コクヨ ホワイトボードマーカー 太字角芯,PM-B113N黒赤青,B103N緑】
B【パイロット ホワイトボードマーカー 極太角芯 WBML-40J黒赤青】+Cの橙
D【uni PROCEY 太8色】
a【コーワライティングシート】

他の道具も用途を考えて使ってみてください。
まずは、「共有しよう」と思い立って使ってみるのが良いと思います。

ファシリテーショングラフィック(06)強調

ファシリテーショングラフィック板書をするとき、気になったキーワード等を強調することも多いのではないでしょうか。

強調するにも色々な方法があります。

太字にする
色を変える
下線を引く
丸などで囲う
近くに、目を引きそうなアイコンを書く

会議の流れに乗りながら強調するには、シンプルな書き方の方が良いでしょう。

会議の流れに応じて、キーワードを強調すると理解の助けになります。
また、書記が気がついたキーワードを何気なく強調しておくと、会議の流れを助けるかもしれません。
書記が第二の進行役(ファシリテーター)となる所以は、こういった行動がとれることにもよります。

ファシリテーショングラフィック(05)分割

ファシリテーショングラフィック会議で書記役、板書を行っている際、または自分でメモをとっている際、話題のキーワードを書いていると思います。

そして、板書をしながら話しの流れ、話題の構造が見えてくるときがあります。

例えば、
 A社とB社の関係で・・・
 良い点、悪い点・・・
 自社とお客さま・・・・
 製造部門と設計部門、営業部門・・・

こういった時には自然と分けて書くようにしていると思います。

そこで、

 分かれる構造となる話題 の時には  『分割』

して表記するのが判りやすいでしょう。

2つの項目に分割の場合は
 → 縦に1本線を入れる

3つの項目の場合は
 → 三角形のような構造で、下段に縦1本線と上下の区切りで横1本線

といった配置にしてみると、話題の構造が表記しやすいかもしれません。

2つに分ける場合は、縦に一本線で左右に分けるのが良いようです。
これは、ちなみに人間の目の配置の関係で横方向にあるものの方が別物と認識しやすいからです。

項目を4つに分ける場合は、縦1本に加えて横一本で十字の形で区切るのが良いでしょう。

話題のが分かれる構造の場合は、キーワードをリアルタイムで分割して記載するだけで見方が広がったり、深まったりしてきます。

活用してみてください。

ファシリテーショングラフィック(04)要約

ファシリテーショングラフィック書記を仰せつかって板書をする時、まず困る、戸惑うことは何でしょう。

要約 です。

板書、もしくはファシリテーショングラフィック時の要約は、

場を円滑に進めるための共有の一要素 です。

そのポイントとは、

1.話しの流れについてゆき

2.話しの文脈をすくい取り

3.その人の意見を表現する

となります。論文の要約とはちょっと違ってきます。

実は、会議の板書では会議のゴールを板書することをお勧めしています。
これは、ゴールの形を要約しています。(内容は今から話す内容です)
また、ゴールへの流れを要約によって創り出しています。

さて、会議の発言を書記として要約すると以上の3ポイントが達成できなくてストレスがたまることも多いと思います。

対処方法は、

①キーワード化

②慣れる

③適度に特権を活用する です。

日頃から人の話を聞いていると「このようなことだな」(要約)、「こういう流れかな」(文脈の想像)をすると思います。これは、2つともキーワード化です。
日頃からキーワード化を意識しておくと良いでしょう。要約トレーニング等様々なトレーニング方法があります。日常的な「ラベリング」も有効な練習方法です。

また、話しを聞きながら要約して板書してゆくことは、本番(板書の体験)によって慣れてゆく部分もあります。積極的に板書してみてはいかがでしょうか。
自分がノートをとる際もキーワード化を意識すると良いと思います。

適度な特権の活用とは、「書記が会議のために皆さんのお話を間違い無く書く」ことをサポートしてもらうということです。
早すぎる発言については、「少しゆっくりしゃべっていただけますか」
長すぎる発言に対しては、「このように板書しましたが間違いないですか」
ポイントが多い発言は、「ポイントは絞れますか」 等、発言者を責め立てるのではなく、発言者をサポートして、会議の場をサポートする意識で発言の確認を行うと良いでしょう。

発言を要約して板書できれば、板書した内容の配置が気になってきますね。
そこで、図示になってきます。

ファシリテーショングラフィック(03)流れ

ファシリテーショングラフィック会議で板書はしていますか?

非常に会議促進の効果があるので、ぜひ板書してみてはいかがでしょうか。

さて、ファシリテーションは話し合いの促進手法、言い換えると会議の促進手法と言えます。

その中の道具の一つとして板書技術をファシリテーショングラフィックと呼んでくくり直した表現をします。

何らかのファシリテーションで有用なグラフィック表現をまとめた側面もあるので、見たような技術もたくさんあります。

ファシリテーショングラフィック(呼びづらければ、「板書」で結構です)を行う際に、何を書いたら良いでしょうか。

こうした方が良いのでは、という案はいろいろあります。

e0007672_11484491.jpgまずはずせないのは、『会議の概要』です。
会議の概要と言っているのは、

テーマ、ゴール、時間・流れ、役割、ルール となります。

続けて、会議の本題を『流れ』に従って書いていきます。
この場合、発言者の「キーワード」を書くと良いです。

何故このようなことをするかというと、『共有』のためです。
副産物として議事録の元ネタにもなると思いますが、主要目的はあくまでも共有です。

会議のプロセスにおいて、議論の経過が全員で共有できていると、会議の生産性が劇的に上がります。

この記事では、グラフィックに絞ってお話をしています。
会議体の定義や進め方のテクニックは別に触れる機会もあると思います。

会議の生産性が上がった結果どのような板書になるかは、写真を参照してください。
弊社の研修等の写真です。

話しの流れに従って書いて、非常に生産的な会議になりました。

ところで、ホワイトボードに書いているとすぐに消さなくてはならなくなります。
こんなところで思考を停止させるのは参加者の時間の無駄遣いですね。大損失です。

写真では、ホワイトボードだけでなく、壁やブラインドにも紙らしきものが貼ってあると思います。
写真例では静電気方式の簡易ホワイトボードを使っています。
ライティングシートと言います。このような道具も使うと会議の生産性が上がります。

ファシリテーショングラフィック(02)事始め

ファシリテーショングラフィックファシリテーショングラフィックを意識して使ったことはありますか?

これは、ファシリテーションをしながらグラフィカルに(図形的に)、参加の皆さんが意識共有をしやすく書くことを言います。

面倒なので、記述するところだけを意識して、「図示」でもいいと思います。「板書技法」と言っても良いかもしれません。

「マインドマップ」という、色とアイコンを使って、タコの足のような線を書いていく図示の方法もあります。
マインドマップのメリットとして謳われているひとつに、脳神経(ニューロン)の構造と似ており、記憶・理解しやすいという特徴があります。
これは、図示全般に言えることでもあるとも思います。

ということは、情報の記述や板書方法に図示を入れていくと、理解・共有がしやすいということですね

さて、図示しましょう、と言ってもなかなか始められるものではありません。

そこで1案です。
ファシリテーショングラフィックに慣れるのに、
「他人の特徴を捉えるのに、真ん中に人型を書いてその人の特徴を周りに書き出す」というのはどうでしょうか。

肉が好きそうだったら、肉の絵を描いてみるとか。
ゲーム感覚ですがこういったところから図示に慣れるのも良いと思います。

一度おためし下さい。

ファシリテーション(30)身につける

ファシリテーションファシリテーションを身につけるにはどうすれば良いでしょうか

このように聞かれることが良くあります。

説明してきたファシリテーションの流れは、かなりシンプルなものです。

話題の共有 → 話を広げる → 話を整理する → きちっと終わる

この流れ、4つのプロセスを意識するだけでもかなり違ってきます。
また、このプロセスが成立する前提、このプロセスを促進するツールが各種あるという言い方ができます。

この流れが基本になります。

では、基本になるものがあって、まずは基本を身につけるとするならばどのようにすれば良いでしょうか。

一例としては、自転車の乗り方が身につく、方法のように思えます。

自転車に乗るのを教わるとき、教える人が付いてくれたりします。
最初は補助輪があったりします。
いろいろ口で言われたりして体がうまく動きません。
そして、少し動かして調子よく前に進むようになってきます。
補助輪もはずして転んだりしながら慣れてきます。

いろいろな思い出があるかもしれません。

ファシリテーションを身につけるのも、ほぼ同様なことのように感じています。

シンプルな流れ、まずはこれを実践できること。
使えるようになると別の疑問が湧いてきたりします。そして応用編や細かな技術など。

茶道に「守、破、離」という習熟の流れについての説明があります。
まずは、基本を学んで繰り返し使ってみるのが守です。

ファシリテーションの流れ、役割、ルールなどを、まずは自分の職場に合うように自分で考えて使ってみる。
これが第一歩でしょう。

易経には、想像上の生物の龍が成長する過程が描かれています。リーダーの成長、ものごとの習熟とも読める過程です。
その過程の3番目に、「基本を忠実に繰り返して毎回反省する」時がある、と書かれています。
学んだら繰り返して身につけると言うことです。

さらに、日本舞踏を学んだ方のお話です。
やはり型を学んで、最初は型が体になじまなかったそうです。そして、「手取り足取り教わら『ない』」で繰り返すうちに、『型を自分で解釈するプロセス』が大事だと気づいたということです。
これが、体を通して工夫する、つまり「体で考える」ことだと気づいたということです。

使いながら自分で考えて、自分で気づいて、自分で使えるようになる。

この流れは、まさにファシリテーションを学ぶ、身につける流れのように考えています。

さて、上級のスキルは無いのかとも質問があります。

場の観察や介入なども含めて、ファシリテーター育成上のいろいろなスキルや心理学的なスキルがそれに相当するでしょう。

ファシリテーション(29)立場

ファシリテーションファシリテーション研修を受講されると、非常に悩まれる方がいます。

例えば、

私の立場は課長(リーダー)です。 (部長等々別の立場の方も)

会議は私が主催して、私が仕切らなければなりません。
ファシリテーションは使いたいのですが、どうしたら良いか判りません。

この悩み(疑問)に対しては、いくつか対処案(導入案)があります。

一つは、
使えるところだけいいとこ取りしてみてはどうですか
ということです。

会議を(ファシリテーション)プロセスに沿って流してみる。
板書してみる。
 等々、参加される皆様の立場で得るところがあります。

これはこれで、「それでも良いんだ」ということで良いのですが、ちょっとひねった答えでした。

悩みは、
・ファシリテーターは内容には入らない
・立場上(課長としては等)内容に入らざるを得ない
でした。

対処の一例です。

・立場を明言する
  「今は進行役として発言する」
  「今は、リーダーとして発言」
 ただし、冷静に進行をする信頼感が必要です。

・不要なときは場をはずす
  いなくても良い状況では、席を外すのも一手です。

・会議の進行役は他人に任せてみる
 中堅メンバーなどに進行を任せてみても良いでしょう

・1回は、自らが進行役(ファシリテーター)に徹してみる
  メンバーに対して「進行役に徹してみる」と明言して、
  まずは進行役に徹してから考えるのも一案です。

・そのままプロセスの進行と内容への介入を行う
  率直にものが言える、信頼感が醸成されている場合です。上級編の感じです。

つまり、
内容に入らない方が良い状況であれば入らない。
入っても良い状況であれば入る。

場の目的・目標が達成できるのであれば、いろいろな対処案が考えられるでしょう。