.組織風土づくり(01)組織風土づくりを考える

最近では「学習する組織」という言葉を耳にするようになってきました。また、組織風土についても語られてきています。

変革の時期だから、悩みや問題があるからこそ・・・ということも関係あるのかもしれません。

急にはやり始めたようにも見えますが、よく考えるとはるか江戸時代においても「学習する組織」や「組織風土づくり」を行ってきています。

例えば、二宮尊徳の農村改革や山田方谷の取り組みなど、外部や内部の環境が変化しても必死に自分の土地を自分の組織を変えることで対応してゆく姿。

組織風土づくりはいつまでたっても完璧な成果が出せず、正解が見つからないようにも思えてきます。
だからこそ、描く未来への飽くなき活動こそが組織には求められているような気がします。

生存し続けている生物は、進化し続けているそうです。
組織も生存し続けるには、進化し続けることが必要と言われてきています。

 

「組織風土づくり」とは一体何でしょう?

 

組織風土、組織文化、社風  似たような言葉もあります。

ちなみに英訳すると、

組織風土は、organizational climate

組織文化は、 corporate culture

社風も、corporate culture

となります。さらに

風土 とは、生活や文化に影響を及ぼす環境

文化 は、つくり出され、共有し受け継がれてきた行動様式、生活様式

となります。(明鏡国語辞典を参照)

組織風土や組織文化は、どちらの表現であったとしても組織に居る人々の思考・行動・価値観の総体と言えます。

組織風土づくりとは、思考・行動・価値観の総体をひとりひとりを元にして全体を望む方向へと動かしていくこととなります。

さて、組織風土や組織文化を「何とか」しようと考えた時、どのように取り組みますか?

変革を目指す?
改革する?
開発?

それぞれ、組織風土変革、組織風土改革、組織開発 といった用語にまとまってきます。

ここで素朴な質問です。会社の、組織の多くの職員や従業員、そして経営者の方々は、「変革」されたいでしょうか?それとも「改革」されたいでしょうか。

人の健康状態に例えるなら、健康と思っている人が、医者に診てもらって、あれこれ言われるのと似ています。

組織風土を「何とか」したいとするならば、おすすめは「皆で、自分たちで取り組む」ことです。

つまり、組織変革をしたいならば、取り組み方や普段使う言葉としても「組織風土づくり」、自分たちで行う組織風土づくりがおすすめになります。

自分たちで創っていくと、結果としては変革であり改革であり、組織開発となってきます。

組織風土づくりをコンサルティングファームで大がかりに任せて良い状況であれば、それも良いかもしれません。

しかし、組織風土を、身近では職場の雰囲気やコミュニケーション、ハラスメントのような嫌がらせが起こってきそうな状況を自分たちで「何とか」したいのであれば、自らが取り組むことのできる手法の習得や意識向上、活動、制度の整備を行うのが良いでしょう。

最近では、対話型の組織開発なども様々に言われ始めており、オフサイトミーティングといった対話の機会も導入が進んできています。

手法や段取りを考えた小規模や大規模な対話、ひとりひとりの思考や行動や心理面に対するスキル、リーダーシップや支援の手法、信頼を得られるコミュニケーションや論理的な手法なども組織風土づくりへのカギとなります。

組織風土づくりへの取り組みとして、ひとりひとりを大切にして活動を継続すると、明るく働きやすい職場となります。

そして、生み出すサービスや製品といった価値も高まります。結果として財務面でも良い結果が期待できるでしょう。

組織風土づくりへの取り組み方や成功循環モデルや学習する組織といった考えの取り入れにも触れていきましょう。

.組織風土づくり(02)組織風土を捉える

組織風土づくりの第2回目、組織風土を考えてみます。

組織風土をどのように捉えれば良いでしょうか。

前回、組織風土、組織文化、社風について簡単に触れました。

言葉の細かな定義よりも、まずは端的に表現してみましょう。

組織風土とは、

 組織に居る人々の思考・行動・価値観

となります。

企業や組織には、始まりがあります。

立ち上げた人、社長、中心人物が何かの思いを持って活動を行います。

それは、社長やカギになる人達の考えや感じ方に基づいたものになっているでしょう。

考え、思考や感じ方、価値観、それに基づく行動が組織の価値を生み出しています。

組織で行動するために、社則や事業計画、商品への考え方、販売の仕方、関係者との関わり方、描く未来、様々なことが共有されたり、独断などで進められます。

事業の日々の積み重ねの中では、様々な武勇伝も起こります。
朝礼などの儀式もあることでしょう。
コミュニケーションを重ねるうちに短縮語や隠語なども出てきます。
賞賛される言動や結果、さらには非難される言動や結果も出てきます。

このような積み重ねが組織風土となってきます。

これを従業員や職員の立場から捉えると、社風と表現されるかもしれません。
また、組織風土と組織文化を分ける考え方もあります。

暗黙や明示的なきまりに基づいて人は考え判断し行動します。

組織風土を自ら創ることを考える時、風土や文化といった言葉の違いよりも、どんな考えや何を大切にしているかを明らかにしていくことが大切です。

.組織風土づくり(03)組織風土の表われ

 

組織風土づくりの3回目です。

組織風土は、「組織に居る人々の思考・行動・価値観」としています。

 

但し、人の思考や価値観は見た目では判りません。
判るのは行動とその結果です。

行動の基になるのが、思考そして価値観です。

見えない思考や価値観を定めるのは何でしょうか。

 

それは、 「きまり」 と 「思い込み」 です。

 

明示的な規範、暗黙的な規範と言い換えても良いのですが、教科書的ですね。
規範とは規則、手本、従うものといった意味で使っています。

 

そして、組織風土の表われとしては例えば、

 

◎ビジョン
我が社は◎◎を目指す!
といったビジョン(目指す将来像)に表われます。

 

ビジョンで何が表現されているか
ビジョンはどのくらい共有できているか
も大切な視点です。

ビジョンは、提示されているのであれば明示的な規範、「きまり」です。

ちなみに、事業計画でも未来像が描かれます。
売上○割アップとか、業界ナンバーワンなど色々な表現があります。
ビジョンとして何を表現するかは様々ですが、会社や組織の社会的意義や意味を
捉えると皆さんやお客様との共感が広がるかもしれません。

ビジョンに加えて、会社の理念やポリシーも組織風土の表れです。
但し、その意味するところ、具体的な行動がどのように共有されているかも重要です。

 

○会話
雑談を含めて、職場での会話にも組織風土が表れます。

 

指示や報告以外あまり会話が無い組織もあります。
ふざけすぎる会話や電話越しにも聞こえるような笑い声。
仕事の内容や進め方の確認、前向きな情報共有や頻繁な報連相。
会社や仕事がより良くなる思いをもった雑談。

 

○仕事の進め方
仕事の進め方や意思決定の祭の自分の裁量にも組織風土が表れます。

上司の立場で表現すると、完全掌握、必要なポイントのみ押さえる
放任や無関心、部下の意見に流される などです。

個々の人、そして会社や組織としての仕事の進め方へのこだわりが
あればそれも組織風土ですね。

 

他にも、評価制度や賞罰規定など、行動を促し規制するものに組織風土は表れます。

 

また、「きまり」や様々な指示などから形作られる「思い込み」も組織風土の土台となります。

 

きまりや思い込みは、考え方や価値観が反映されています。

組織風土づくりに取り組む際は、組織の悩みや問題について自ら取り組み、未来に向けて決まりや思い込みを変化させる行動につなげることが重要です。

.組織風土づくり(04)組織風土づくりへの手法

組織風土づくりの4回目です。

組織風土づくり、に自分たちで取り組んで行くにはどのような手法が考えられるでしょうか。

大規模に組織的なアセスメントを行った上で、分析を任せて取り組むのも一つの方法です。

しかし、自ら継続的に取り組んでいく方法としてお勧めの方法があります。

自分たちで悩みや問題を受けとめ、自分たちで取り組みを考える、という方法です。

これは、取り組みや継続の手法、関わりの手法を学び、自ら考え、行動策、継続策を考える方法です。

具体的には、次のような考え方や取り組み方となります。

・成功循環モデル
・対話型組織開発手法
・関係性向上手法

成功循環モデルは、MIT教授のダニエル・キムが提唱している組織の成功を継続的に進めるモデルです。
組織変革などの他のモデルよりも取り組みやすいものです。

対話型組織開発手法は、近年浸透してきている、より自然な意識変容や問題解決への手法です。
AI(アプリシエイティブ・インクワイアリ)やワールドカフェ、OST、フューチャーサーチや
システム思考など必要に応じて手法を組み合わせます。

関係性向上手法は、自分や相手の心理面なども考慮したコミュニケーションや思考の手法です。
組織風土によっては、心理面やコミュニケーションに一定の傾向がみられる場合もあります。
モチベーションやセルフコントロールも含めて、自分や相手、広くはモノゴトとの関わりも考える手法です。

ジーシフトでは、上記のような様々な手法を15年活用していますが、手法の良さやポイントなどについても機会があれば触れていきます。

また、上記の手法に加えて

・バランススコアカード(BSC)といった経営的な手法

の活用も組織風土づくりには有効です。
取り組むことができるのであれば、最終的にはBSCに落とし込むのも良いでしょう。

いくつか手法をご紹介しましたが、次のように言い換える事もできます。

「自分たちの未来のために、学び方を学ぶ」そのための手法。

.組織風土づくり(05)心理的安全をつくる

組織風土づくりの5回目です。

組織風土を自分たちでつくる際、土台となる大切なことがあります。

 

信頼

 

です。

 

お互いを信じることができ、安心して働くことができる環境を少しずつ創り上げていくことです。

 

これは、最近注目されている「心理的安全性」でもあります≪参考:心理的安全性

 

また、心理的安全性を高めることは、成功循環モデルにおける第一歩「関係の質」を高めることに他なりません。

では、どのように心理的安全性・関係の質を高めるのが良いでしょうか。

 

まずは、自分たちがどの程度の心理的安全を持てているかを理解することが大切です。

 

お互いが安全とは感じられない、落ち着かない、とげとげしい環境である時は、心理的な安全を感じられるちょっとした第一歩を広めるところから始めるのが良いでしょう。
例えば、毎日周りの状況を確認しあうアイスブレイクの様な手法で関係性を徐々に育むといったことです。

 

また、対話型の組織開発手法を活用して、全員やリーダー層など大人数でお互いの状況や思い、目的などを共有すると同時に信頼感を一気に醸成するのも、スタートアップやスキル習得などの勢いをつける一つの方法です。
例えば、関係性を育み思いやビジョン、悩みなどを共有したい人が集まり思いを率直に伝え合うといったことです。

 

さらに、継続的な取り組みに向けて個々人のコミュニケーション手法やリーダーシップのあり方など、関係性に関わる方法を見直し変えていくことも有効です。

 

大切なのは
・段階を踏んで関わりを深める
・一人でなく仲間を増やす
・ワークショップや研修だけでなく、普段の業務を通じて地道に行う
ことです。

 

組織などの状況や、何のためにいつまでにどのような関係性(心理的な安全)となっていたいかによって、とりうる手段は様々です。

 

メンバーとして、リーダーとして、管理職として、社長としてなど、どのような立場で心理的安全、関係性の向上にかかわるかを意識して取り組んでいくのが良いでしょう。

ハラスメント(01)ハラスメントの起こらない職場へ

ハラスメントへの対応へのご相談、研修を多く伺うようになりました。

働く場、会社や組織で働く皆さんの様々な思考や、行動、協力手法、コミュニケーションなどの向上、働きやすい職場へのサポートを15年続ける中で、ハラスメントへの対応も多くなってきております。

ハラスメントが起こる職場は、働きづらい職場と言っても良いでしょう。
ハラスメントが起こらない、働きやすい組織や職場へのヒントとなればうれしいです。

実際の弊社のハラスメント研修で、ハラスメントに関する問題点や困り事も元に綴って参ります。

G・Shiftの得意分野は実際の思考と行動、つまり現場実践です。

知識や法令の情報の伝達だけではなく、実際の考え方や行動、そして人と人との関わりの感じ方や捉え方、といった側面の話題もお伝えします。

SDGs(持続可能な開発目標)においても、働きがいのある人間らしい仕事が行えるというところに目標が置かれています。国際的にも働きやすさは重要視されてきています。

ハラスメント(02)ハラスメントとは

ハラスメントとは何でしょうか?

最近では、パワハラ、セクハラなど、報道やドラマなど多く目にするようになってきました。

一般用語としては次となります。

ハラスメント Harassment   迷惑行為や嫌がらせ

意図して行ったとすればもちろんのこと、意図しないで行ったことでもハラスメントにはなり得ます。

そして、暗黙で隠れていることがあります。

実は行ったことを指すのではありません。

行為をされた側が、嫌がらせと感じるとハラスメントとなってしまいます。

行為の受け手の感じ方、考え方に多くが委ねられていることが注意点となります。

行為する人、される人、そして職場などの環境、こういった要素がハラスメントには関係してきます。

ハラスメントと言われたらどうしよう、といった悩みを伺います。
知識としてのハラスメントの理解も大切ですが、受取り方、感じ方、関係性、考え方が理解できると、むやみに悩まないようになります。

対処療法や緊急避難的な対策も大切ですが、同時にハラスメントが起こらない本来望むべき姿となる対策を重ねることも大切です。

人には欲求や感情があります。社会人生活を送る上ではそれぞれに役割や責任もあります。日々の仕事は量や難しさ、納期や協力関係も必要となります。

法令で定められた整備は行った上で、人との向き合い方、仕事との向き合い方、組織や上司の考え方や習慣・特性などを振り返って、明るく働きがいのある職場を目指すことは、ハラスメントを気づかないうちに克服できる急がば回れの手法となるでしょう。

ハラスメント(03)ハラスメントへのお悩み

ハラスメント研修などで伺うお悩みや問題意識には、様々なものがあります。

実際にハラスメント、パワハラなどがあるのであれば、それは重大事です。
研修やコンサルティングではなく、別の緊急対処が必要となるでしょう。

しかし例えば、次のようなことに悩んでいる方もいらっしゃいます。

「言いたいことが言えなくなった」などの悩みです。

これはパワハラになるのだろうか

昔の対応ではだめなのだろうか

と感じて、「どうしよう」と悩む状況になってしまいます。

他にも、状況によっては体制整備やメンタル面などで悩む方もいらっしゃいます。

お悩みには多くの場合共通点がありますが、素直に解決に向かうことができる悩みもあります。

基本的な知識の理解はもとより、ご自身の考え方、言動、判断、相手からの言動の感じ方、相手や環境への働きかけを変えることで解消出来る悩みも多くあります。

自分の行動変容で悩みが消える、軽くなる、悩まないで、相手や取り組む仕事と向き合えるようになるでしょう。

自分が働きかけることで、相手や環境も少しずつ変わることでしょう。
少なくとも相手や環境への自分のものの見方は変わってきます。

ハラスメント(04)ハラスメントの法令

ハラスメントという言葉が、報道などでも数多く出てくるようになりました。

来年2020年4月からは、大企業はハラスメントの対策が必要となってきます。

対策が必要になるということは、法律で定められています。

その法律とは、

労働施策総合推進法

です。

正式名称は、

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律

となります。(長いです)

この法律が2019年5月に改正され「改正労働施策総合推進法」となりました。

この中でパワハラの定義と防止も義務づけられるようになり「パワハラ防止法」とも呼ばれています。

改正労働施策総合推進法の30条の2第1項の条文です。

パワハラの定義は、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって,

業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」

となります。

就業環境が害されるといったこととないように、相談などの措置を講じることが規定されています。

ハラスメント(05)いろいろなハラスメント

ハラスメントと聞いて、何のハラスメントをイメージするでしょうか。

パワハラ、良く聞きます。  パワーハラスメントですね。

セクハラ、これがハラスメント関係の最初の言葉かもしれません。セクシャルハラスメントですね。

そして、

マタハラ、妊娠などに起因する不利益な扱いですね。マタニティハラスメントです。

他にも色々あります。上記3つも含めると、

パワーハラスメント
セクシャルハラスメント
マタニティーハラスメント
モラルハラスメント
ドクターハラスメント
リストラハラスメント
スモークハラスメント
アカデミックハラスメント
カスタマーハラスメント

キリがありません。

状況によって、ハラスメントは出てきます。
嫌がらせだと感じたら、いろいろな名前がついてハラスメントとなるでしょう。

現象が起こるので対応、も必要ではありますが、重要な取り組みではないでしょう。

そもそもハラスメントがおこる環境や関わりからアプローチすることが大切だと考えてます。