メンタリングには、若手が育つ支援のためのスキルとして「ほめる」「叱る」といったことも含まれます。
部下が育つために、「ほめる」ことへのヒントです。
褒める時、何をほめていますか?
「この仕事を頑張った」とか「○○をして、良く気が付いた」といったことをほめることもあると思います。
これもほめるの一つですが、さらに良いほめ方があります。
《 意図をほめる 》
というほめ方です。
行動ではなく、意図や目的を読み取って、意図や目的の方をほめるということです。
人は、何かの目的を持ち、目標感を持って行動をします。そして結果が出て来ます。
失敗の時もありますが、当然成功の時もあります。
部下を育てる意図であれば、成功した時、成功した結果に対して、その意図をほめて見ましょう。
例えば
「Aさんを手伝ってくれてありがとう。良く気が付いたね、よかったよ。」
は単純に行動をほめています。
これを、
「Aさんを手伝ってくれてありがとう。おかげで、午後には企画書が提出できたよ。」
は、Aさんを手伝った理由、意図を企画書提出を間に合わせるためと推定して、
意図をほめています。
繰り返しになりますが、人は行動する際、目的・目標を持って行います。
どの程度明確に目的観・目標感を持っているかは人それぞれですが、行動をほめられるよりも、見えづらい目的・意図・行動の存在意義をほめられた方が良いほめ方となります。
メンタリングの話題、第6弾です。
メンタリングでは、提案やアドバイスなどを行う事で、後輩・部下が自立・自律するための支援を行います。
つまり、自主性が湧き出るようにして自分から動くように促します。
では、メンター (上司や先輩)は、どのようにして自主性が湧き出るようにするのでしょうか。
行動を起こすきっかけは、「動機」です。
そして、「動機づけ」には、2種類あります。(もっと多く分類される場合もあります)
内発的動機づけ
自分の内面に湧き起こった行動への要因
好奇心、関心、信念など
外発的動機づけ
人為的な外部からの刺激による行動への要因
義務、賞罰など
自主性が高まり、成長が促されるのは「内発的動機づけ」です。
メンターは、内発的な動機づけができるように支援することで自主性を高めていきます。
また、外発的な動機づけを一切使わないのではありません。
傍目から見ても判る外発的な動機づけだけに偏るのではなく、相手の内面に湧き起こる行動への要因を大切にするようにします。
では、内発的動機づけを高めるにはどうすれば良いでしょうか。
それは、内発的動機づけの説明に表れています。
例えば、「好奇心」を判ってあげる、ということになります。
さらに、「好奇心」を判ってあげるには、と続きます。
自主性が湧き出る動機づけ、としました。
自主性を「引き出す」という言葉を使うこともありますが、「引き出す」はいかにも上位者・権力者が外部から操作することを意味するようです。
上司が「引き出す」と、部下から「湧き出る」、言葉遣いに注意を払っても良いかもしれません。
同じ意味だと感じるようであれば、ちょっと立ち止まって何が違うのかを感じてみましょう。
メンタリングの話題、第5弾です。
メンタリングには、「キャリア的機能」と「社会的・心理的機能」があります。
社会的・心理的機能は次の通りです。
役割モデリング
受容する
相談する
友好を深める
(クラムの定義を元に独自作成)
この中で、受容・相談・友好については、
「メンタリングに必要なヒューマンスキル」もしくは
「メンターのコミュニケーションスキル」と定義しています。
ここで、少し立ち止まってみましょう。
メンターとは、 良き先輩 です。
言い換えると
良き支援者・指導者・理解者 です。
良き先輩であるには、スキル以外にも大切なことがあります。
それは、 心の成長 もしくは 心の成熟 です。
例えば、権力を振りかざして従わせる人と、周りと協力関係を築ける人と、どちらが良き先輩と言えるでしょうか。
ここで、折角メンタリングの定義があるので、照らし合わせてみましょう。
受容・相談・友好などメンタリングの社会的・心理的機能をより満たす人は、「権力で従わせる人」と、「協力関係を築ける人」のどちらでしょうか。
「協力関係を築ける人」となるでしょう。
さて、「権力の振りかざし」と「協力」をどのように評価すれば良いでしょうか。
ここで一つの考え方を取り入れてみましょう。
心が成長すると(もしくは、人間が成長すると)、行動も成長して変わってくる。
それは、「自分だけ」や「力で従わせる」といった行動パターンから、「周りと協力する」という行動パターンに成長するといった考え方です。
言い換えると、権力が大切と考えていた心が、協力が大切と感じる心へと変わることが、心の成長であるとする考え方です。
E.H.エリクソンなどの考えを元にすると、「心の成長レベル」 が理解できます。
そして、日ごろの行動によって成長レベルが判ります。
さらに、心の成長レベルを高めるヒントが得られます。
メンターとして恥ずかしく無い、スキルと心の成長が「心の成長レベル」で計測でき、向上させることができます。
メンタリングには、「キャリア的機能」と「社会的・心理的機能」があります。
今回は、キャリア的機能について触れていきます。
キャリア的機能とは、「能力向上や昇進への支援」です。
その支援は、次の様に分類されています。
・昇進や昇格
・活躍の機会への推薦
・業務力の向上
・目標設定と達成
・リスク回避
・やりがいのある仕事の割当て
若手が業務能力を身につけて一人前になるために、上司・先輩としてできることととなります。
キャリア機能の分類を少し言い換えてみましょう。
キャリア機能とは、若手に
仕事の場を設け、(やりがいのある仕事の割当て)
仕事の方法を教え、(業務力の向上)
目標を設定させ達成に導き、(目標設定と達成)
他からの危険があれば防ぎ、(リスク回避)
自分の管轄外で活躍できそうな機会があれば推薦し、(活躍の機会への推薦)
昇進や昇格を後押しする、(昇進や昇格)
こういった機能になります。
職業人、企業人としての経歴や専門的技能(キャリア)を高める側面を持っています。
会社の制度に関わる事柄も含まれ、会社の制度や上司の職務として定める事柄も含まれます。
メンタリングの導入を図る際は、まず若手の能力向上や昇進が、自社でどのように行われているかを振り返ってみることも大切でしょう。
メンタリングの話題、第3弾です。
メンタリングには、「キャリア的機能」と「社会的・心理的機能」があります。
キャリア的機能は、制度や服務規程で定めることも多くあります。そして、社会的・心理的機能は、コミュニケーション能力や関係性のスキルと言い換えることもできます。
社会的・心理的機能には、もう一つあります。
「役割モデリング」です。
先輩としての、役割モデル(ロールモデル)、お手本を示すことです。
後輩は、先輩や上司の背中を見て育ちます。
そこで、普段の業務の様々な場面での行動や反応が全て後輩のお手本になってきます。
また、自分の体験を雑談などで話す時も、若手にとってはお手本を学ぶ場になっているでしょう。
ロールモデルをどのように考えれれば良いか、導入すれば良いかについては、次の資料も参考になります。
厚生労働省
女性社員の活躍を推進するための「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」
メンタリングの第2回です。
メンタリングとは、
「良き先輩として、対話を通して若手が育つ支援をする」ことです。
良き先輩は、メンターという呼ばれ方をします。
若手は、メンティー、もしくはプロテジェと呼ばれます。
(判りにくいのですが、、、、)
さて、良き先輩として、メンターとしてあるべき機能・役割はいくつか定義されています。
この中で、良き先輩として身につけるべきヒューマンスキルは次のようになります。
1.気づかせて・導くスキル
心を開き、気づきを促進させ、自分や相手のメンタルケアなども行う
カウンセリングスキル
2.自分で考え行動するよう促すスキル
傾聴や観察、質問、問題の整理や解決などを支援する
コーチングスキル
3.教え補足するスキル
相手に合わせた教え方を行う
ティーチングスキル
4.行動が円滑に進むよう促すスキル
行動が進む環境や関係性、目標や目的の設定、改善への支援
ファシリテーションスキル
そして、4種類のスキルを横断する形で、「対話」のスキルも活用していくようになります。
これが完全にできることがメンターである、となると敷居が高いように感じるかもしれません。
しかし、良い先輩を思い返してみると、相談にも乗ってくれる、知らない知識は指導してもらえる、自分の話を良く聞いてもらえる、といったことに気づくかもしれません。
やはり、このようなヒューマンスキルがあることを理解し、徐々にでも身につけるのが、良き先輩への早道となるでしょう。
後輩を先輩が育てるスキルとして 「 メンタリング 」 が改めて注目されてきています。
メンタリングとは、
「良き先輩として、対話を通して若手が育つ支援をする」
ことです。
メンタリングを研究した、K.クラムの少し難解な定義としては、
「より経験を積んだ年長者が、若年層が重要な任務を遂行することを支援し、導き、助言を与える」
ということになります。
クラムの研究によると、良き先輩(メンター)は、次の様なことを行っています。
1.キャリア的機能
仕事・業務に関する支援
スキル向上や業務遂行の支援や機会を与えるなど
2.社会的・心理的機能
人として関わる支援
人としての模範を見せる、交流のためのスキルや機会を作る
ひと言にすると、
良い仕事ができるような支援 と
良き社会人であるための支援
と、おおまかに表現できるでしょう。
メンタリングは、ダイバーシティ・女性の活躍の観点からも厚生労働省でも制度の導入やロールモデルの普及などが図られています。
今後さらに広まっていくことでしょう。
女性の活躍の視点からだけではなく、若手を育てる、もしくは、自分が育っていくために何が必要かといった視点で見ても有用でしょう。
次は、メンタリングで抜けがちとなる、「良き社会人であるための支援」ができるようになるスキルについて触れてみます。