ジーシフトのブログです。
基礎知識やお知らせなど、いろいろと投稿していきます。
株式会社ジーシフト(G・Shift)
Communication Entertainment
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「ベネボレントリーダーシップ」というリーダーシップがあります。
英語では、
benevolent leadership : 慈悲、慈愛、博愛のリーダーシップ
となります。
このリーダーシップも、オーセンティックリーダーシップと同様にいくつかの考え方が存在しています。
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ファーリ・カラカス博士による、ベネボレントリーダーシップ
2009年 カナダのマギル大学で、ファーリ・カラカス博士が提唱
(現 英ノーリッチビジネススクール 准教授 ビジネス&リーダーシップ)
コモングッド(共通善、公益)を目的としたリーダーシップです。
コモングッドにつながる組織研究の様々な領域を総覧して4領域を定義し、リーダー個人からチーム・組織を経て社会のコモングッドの実現へとつながるリーダーシップとなります。
4領域とは、精神性、道徳性、革新性、社会性となります。
それぞれの領域では、組織研究(学術分野、手法)のエッセンスによるポイント、リーダーの強みやカギとなる行動や態度が示されています。
例えば、精神性の領域におけるポイントは「精神性の深み(Spiritual Depth)」と定義されています。
カラカス博士のベネボレントリーダーシップは、現在までの間で教育の実践(カナダなど38カ国)やインド・トルコ・パキスタン・ロシアなどにおける調査や活用がなされています。
最近では、アメリカのリーダーシップ倫理教育手法書籍でカラカス博士のベネボレントリーダーシップの概要が掲載され、一般書籍での普及が始まっています。
Meeting the Ethical Challenges of Leadership7版(2020年)
(初版が2001年で20年間で7版が出ている倫理教育手法の書籍、他の倫理的手法も掲載)
ジーシフトでは、カラカス博士の定義となる、ベネボレントリーダーシップを取り入れています。
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Jiing-Lih Farh などによる、ベネボレントリーダーシップ
2000年 香港科技大学 Jiing-Lih Farh などによって提唱
東アジアなど儒教圏などにおける家父長型のリーダーシップの1要素としてベネボレントリーダーシップを定義。
博愛主義的リーダーシップとも訳されています。
個人として全人的な関与を示すリーダーシップを表しています。
家父長型のリーダーシップは、「強い権威と部下への関心や配慮が結びついた父性的なリーダーシップ・スタイル」とされています。
家父長型のリーダーシップを分析する際に利用されることがあります。
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Corinna Stoeffl による、ベネボレントリーダー
アメリカのライフコーチ、Corinna Stoefflは、ベネボレントリーダーを次のように語っています。(抜粋)
ベネボレントリーダーは、
・周りで起こることを理解しており、人生の創造者である。
・実用的で寛大な精神を持ち、無限の可能性がある未来を見る。
スピリチュアル(精神性)を中心としたリーダーの定義となります。
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Chutisa Bowman , Gary Douglas による、ベネボレントリーダー
2015年 Benevolent Leadership for a Better World の書籍出版
ベネボレントリーダーシップ と ベネボレントキャピタリズム を提唱
本の出版後、この考え方は広まっていないようです。
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以上、世の中のベネボレントリーダーシップ(Benevolent Leadership)についてのまとめとなります。
今年の大河ドラマ「 青天を衝け 」、渋沢栄一 が主役です。
渋沢栄一は、新一万円札の顔になりますね、2024年が待ち遠しいです。
さて渋沢栄一は、江戸時代末期からの人というのは大河ドラマの通りです。
そして、新一万円札の顔になるまでの功績というのは、、、
日本の資本主義の父 とも呼ばれ、銀行や保険会社など様々な企業500社以上の設立に携わったことによります。
日本の資本主義の父は、どのような考え方を持っていたのでしょうか。
それが判る本があります。
「 論語と算盤 」です。ご存じの方も多いことでしょう。
渋沢栄一が様々なところで行った訓話を元に、昭和2年に出版されたものです。
(渋沢栄一は天保11年(1840年)生まれで、昭和6年(1931年)に逝去しています。)
なぜこのような本が生まれたのか。
渋沢栄一が活躍した江戸末期から明治にかけては、商人は拝金主義に陥ることが多く、道徳は儒教しかも朱子学を学ぶ武士のものであることが多かったようです。
朱子学で、中国古典に基づいた道徳は学ぶのですが、実際の生活に活きるというものではありませんでした。
現実を見ない道徳のための道徳ですね。
渋沢栄一は、商人の拝金主義と武士の原理主義的道徳による商業(商人)蔑視を目の当たりにして、
「現実社会で活かせる道徳に基づいた商業」
を目指しました。
大河ドラマでも、論語が出てきていますね。
さて、渋沢栄一の道徳に基づいた商業のことは「道徳経済合一説」とも呼ばれます。
この考え方は、さらに遡ることができます。
小田原は二宮尊徳(二宮金次郎)の生誕地ですが、ここに報徳二宮神社という二宮尊徳を主祭神とした神社があります。
神社の敷地に二宮尊徳像があり、そこには
「経済なき道徳は戯言(たわごと)であり、道徳なき経済は犯罪」との言葉が記されています。
まさに道徳と経済がひとつであるということを示しています。
二宮尊徳は、1856年の没です。明治を迎えてもいません。渋沢栄一との接点が二宮尊徳の報徳の思想にあったのかもしれませんが、確たる証拠もありません。
そして、江戸初期まで遡ると、三方よしという近江商人の言葉があります。これも道徳と経済の両立を指しています。
三方よしは、中江藤樹まで遡ることもできるでしょう。
近年、企業の不祥事、倫理道徳的な振る舞いがないがしろにされ、企業が拝金主義に走りすぎていることへの反省からCSRやSDGsなどの流れがあります。
英字の概念、カタカナの概念も多くありますが、日本では古くからなじみのある考え方となるでしょう。
海外から、整理されたものを取り入れて現代風に活用しやすくするとしても、温故知新で核となるところにも注目するのもよいかもしれません。
無意識もしくは物事をつい軽く考える際に倫理的な違反・過誤が起こることがあります。
例えば、何か数量を報告しなければならないとき、
「多めに言った方が自分に有利」
「少なめに言った方が有利」
とつい思いがちになりそうな場合が、日常のちょっとした場面であると思います。
何も害がなければ、話を盛った ということで笑い話程度で済むかもしれません。
しかし、その数量が正確でないと、報告された側の判断に影響したり、公平では無くなったり、罪を負うことになることもあります。
この 「 ちょっとした気まぐれや出来心 」で倫理違反をしてしまう、
ことに対する防御策があります。
完全に防ぐことは難しいようですが、「気まぐれや出来心」を起こりにくくする方法です。
それは、署名をさせるという方法です。
「倫理違反をしていない」といった文言に続いて、自筆の署名をさせることで防御します。
さらに、その署名の書き方を工夫することで倫理違反を防ぎます。
このような、人間の自然な、もしくは無意識の認知を助ける方法を「認知修復」の方法と呼びます。
人間の認知を助ける研究・認知修復の研究は最近進んできており、倫理違反の起こりそうな場面に対して活用することで、
気まぐれ
出来心
魔が差す
といった≪魔の時間≫に、「少し思い起こす」(認知を修復する)ことで倫理違反を減らすことができます。
倫理教育では、規範的なこと、事例、規範に違反することで何を引き起こすかといったことを学ぶことで倫理性を高めようとすることも多いと思います。
知識や倫理意識を持てるよう対話する方法も大切なのですが、集合研修をあまり高くない意識で学んだり、e-ラーニングをながら見で学んだことにすることもある中で実際に倫理違反を減らすことを考えると、人間の認知など様々な方策をとっておくことも効果があると考えられます。
サーバントリーダーシップ(Servant Leadership)は、アメリカのロバート・K・グリーンリーフ博士が提唱したリーダーシップです。
グリーンリーフ博士が説いたのは
「Servant First」 まず相手に奉仕して、相手を導く という哲学です。
リーダーがビジョンやゴールを示し、ついてきてくれるフォロワーにまず尽くす、ここを重要視しています。
サーバントリーダーについては、10の特徴が挙げられています
1.傾聴 Listening
2.共感 Empathy
3.癒し Healing
4.気づき Awareness
5.説得 Persuasion
6.概念化 Conceptualization
7.先見力・予見力 Forsight
8.執事役 Stewardship
9.人々の成長に関わる Commitment to growth of people
10.コミュニティづくり Building community
グリーンリーフ博士が、サーバントリーダーシップを提唱したのは、1977年(昭和52年)の44年前です。
日本で「サーバントリーダーシップ」が出版されたのは、2008年のことでした。
リーダーシップの変遷としては、特性や行動、そして状況別のリーダーシップなどの後にサーバントリーダーシップが説かれています。
引っ張るタイプから、リーダーの個性を活かす、倫理性を高める等着目する点も様々あります。
危機的な状況下においては、衆議に依るよりもアーネスト・シャクルトンのような、強力に牽引するタイプのリーダーに一丸となって協力する方が危機を脱出できる可能性も高まるでしょう。
このコロナ禍でもそうあって欲しいとも思えます。
サーバントリーダーシップに話を戻しましょう。
サーバントリーダーシップは、フォロワーを大切にし、育て、組織化しつつ、ゴールを目指す一歩引いたところから導くリーダーだと考えます。
特に倫理性焦点を当てたリーダーシップがあります。
倫理的リーダーシップ(Ethical Leadership)です。
Brownの定義によると
「個人的な活動や個人間の関係を通じた、規範的で適正な行動の提示、および、双方向的なコミュニケーション・強化・意思決定を通じた、メンバーの規範的で適正な行動の促進」
となります。
研究によると、上司が倫理的であると
従業員の職務満足度が上がる
従業員の「仕事の意味深さ」が深くなる
ことが判っています。また、従業員個人が倫理的であることも、自分自身の職務満足度と仕事の意味深さを深める結果となります。
レシックらの研究によると、倫理的リーダーシップには4つの側面があるとしています。
Integrity 誠実さ (正直さなど)
Altruism 利他性 (寛大さなど)
Collective Motivation 集団的な動機付け(チームビルディングなど)
Encouragement 勇気づける(道徳性を涵養するなど)
倫理的なリーダーシップでは、教条的な倫理を理解するのではなく、倫理的にどのように自らと周りに影響を与えるかという点がカギになります。
また、様々なモラル、倫理道徳的なリーダーシップにおいては「利他性」が重要なカギとなってきます。