バランススコアカード(05)重要成功要因の洗い出し

BSCバランススコアカード(BSC)の4番目のステップは、

重要成功要因(CSF)の洗い出しになります。

前のステップまでで、戦略マップと戦略目標までが明確になっていると思います。

その内容に従って、

例えば、

顧客の視点で「感動する品質でのサービス提供」という戦略目標を立案したとします。(あくまでサンプルです)

感動する品質を提供するための成功要因を関係者で話しあい、「これが成功するポイントだ」という点をまとめ込みます。

これが、「重要成功要因 CSF(Critical Success Factors)となります。

上層部だけ、現場だけでCSFを決めると、思いが一つになっていない可能性があります。
出来る限り衆知を結集するのが良いでしょう。

戦略マップ上に、多くの戦略目標が明示されていると思います。
この一つ一つについて、CSFを挙げていきます。

ということで、シンプルなステップですが、案外衆知を集めるのに時間がかかるかもしれません。

2016年6月16日 | カテゴリー :

バランススコアカード(04)戦略マップの作成と戦略目標の設定

BSCバランススコアカード構築の第3ステップは、
「戦略マップの作成と戦略目標の設定」です。

第2ステップの「重要成功要因分析による視点の洗い出し」において、
d-1.当社のBSCで採用する視点 や
d-2.それぞれの視点の戦略目標の候補 がアウトプットとして出ていると思います。
 もしかしたら、d-2は出ていないかもしれません。

さて、d-1でいくつかの視点が出ていると思います。
この個数はそれほど多くないい方が良いです。一般的には3~5個程度ということです。
標準的に提示されているのが
 財務の視点
 顧客の視点
 業務プロセスの視点
 人材と変革の視点
です。
では、これを最初から採用すれば良いかというと、実はそうでもありません。
その理由は、
 1.組織の実情にあっていない(かもしれない)
 2.関係者の合意ができていない(ことが多い)
からです。

関係者の思いを合わせて、組織の実情(理念・ビジョン等)に合わせた視点が定まると良いBSCの戦略が構築できるようです。

そして、各視点は相関関係があります。これも視点の検討で行っておきます。
例えば、財務的な目標を重要視するのであれば財務の視点を最上位に配置します。

ここまでが前回までの段階です。

そして、今回は戦略マップを策定します。
ということで今回のテーマで会議体を敢えて命名すると以下のようになります。
E:戦略マップ策定会議

出てくるアウトプットは、e:戦略マップとなります。

戦略マップは、上位の視点から戦略を考え、下位の視点の目標としてゆきます。
ここで、相互の影響を考える用途でシステム図(システムシンキング)を導入しても良いでしょう。
また、それぞれの戦略を評価するのにシステム図化するのも有効と思います。
戦略マップは、戦略の候補や代替案が百出するフェーズともなります。
各上位目標を実現する戦略の抽出や相関関係は、参加・検討する人たちの価値観やディスカッションそして合意の質に依存します。
価値観等をすりあわせた、素直な意見を表明して合意ができる会議が必要でしょう。

2016年6月16日 | カテゴリー :

バランススコアカード(03)視点の洗い出し

BSCバランススコアカード構築の第2ステップは、
「重要成功要因分析による視点の洗い出し」です。

バランススコアカードを聞いたことがある方は、以下の言葉を耳にされたこともあると思います。

財務の視点
顧客の視点
業務プロセスの視点
人材と変革の視点

バランススコアカードは、この4つの視点で考えると通常は言われています。
通常はということは、実は4個でこの内容に縛られる必要はありません。
例えば、「財務の視点」ではなく行政ですと「生活環境の視点」とか、「顧客の視点」でなく「住民の視点」とか、またはグループ企業を持っている会社であれば「関連会社の視点」が加わるかもしれません。

上記の4視点は、だいだいこの内容であればどこでも当てはまる可能性が高いというものと考えられます。

さて、この視点の内容と個数を導き出すのに、重要成功要因(CSF:Critical Success Factors)を洗い出します。

これは、第1ステップで決めた、「ビジョン」を「戦略を通して実現する」には、「こんな考え方の成功が重要だ」という項目を洗い出します。

その結果が「財務の視点」といった言葉になります。
従って、まずは「利益」等の身近で具体的な言葉が出ると思います。これをグルーピングできるような言葉にします。

さて、ここでの会議は名付けるとするならば、以下の感じになります。
(A-C,Dは会議体の通番です。C までは、トラックバック等で以前の記事を参照下さいね。)
D.CSF分析による視点検討会議

そして、アウトプットは、
d-1.当社(当組織)のBSCで採用する視点
d-2.戦略目標候補
です。

と言うことで、バランススコアカード解説のチャレンジは続きます。

補足
BSCでも、TOC、システムシンキングでも相関関係を示す図が出てきます。特性があります。ここもいつか解説できればと考えています。

2016年6月16日 | カテゴリー :

バランススコアカード(02)ビジョンと戦略の策定

BSCバランススコアカード(BSC)の作成における最初のステップは、「ビジョンと戦略の策定」です。

バランススコアカードを何かの動機で作成する場合、「アクションプラン」まで落とし込むと思います。アクションプラン、つまり行動計画まで落とし込むには、自分の進むべき道が判らないといけません。

BSCを、どの部署で策定するかによりますが、以下のパターンがあります。
①ビジョンがある場合は内容を再確認する
②ビジョンが無い場合は、策定する

企業全体のBSCの場合は、企業理念についてです。
企業部門の場合は、企業目標と部門目標となるでしょう。
自治体、病院やNPOの場合は、それぞれの目指すべき姿というようになります。

さて、ビジョンが曖昧であったり、無い場合は策定が必要です。

ビジョンの策定には、「SWOT分析」も使えます。

SWOT分析の方法は割合とシンプルです。
①外部環境分析
 自らの置かれている外部環境を分析し、「チャンス」や「脅威」と感じる部分についてリストアップします。
②内部環境分析
 自らの内部環境において、「強み」や「弱み」と感じる部分についてリストアップします。

これはシンプルなのですが、裏付けの数字や、判断の基準、表現の仕方によってとらえ方が変わってきます。(とらえ方の質とでも言えると思います)

これを4つのマス目に配置し、活用します。

例えばビジョンであれば、SWOTの状況と、関わっている人そして組織の価値観を勘案してビジョンを策定します。

戦略の立て方は、例えば
・強みとチャンスを活かす
・脅威を強みでカバー、、、、といった、ビジョンや価値観等で判断を行います。

と、簡単に解説しましたが、BSCは複数人で策定するのが大多数と思います。
ということは、ここまでで既に会議が何回も行われます。
(会議体にAから通番をつけていきます)
A.SWOT抽出会議
B.ビジョン策定会議
C.戦略策定会議

そして、アウトプットは、
a.SWOT分析表
b.ビジョン
c.戦略

(実は、ビジョンひとつとっても、策定するのに一仕事だったり、方法論は他にもあります)

少し横道にそれますが、ツールであるBSCも効率的で本質に向かえる会議ファシリテーションが行えるなら、共感・合意のできる、その組織の本質を突いた結果が出ると考えられます。

2016年6月16日 | カテゴリー :

バランススコアカード(01)流れ

バランススコアカード( BSC : Balanced Score Card)とは、経営戦略を行動にうつすためのツールです。

近年、企業のみならず病院や自治体も、「経営」という概念が使われ始めています。

企業経営の場合、「お金」が第一目標とされることが多いのですが、最近では「何かしらのメリット(利益)」を作り出すようにと変わりつつあります。
例えば、自治体経営は住民の利益のために。企業経営においても利益は上げないとならないのですが、まず社員満足度を上げようとすることや環境を考えた経営ということも叫ばれてきています。

さて、こういった経営戦略は、なかなか個々の部署や個々人の行動、行動プランに結びつけることができません。
経営戦略を、個々人の行動プランにまで詳細化して、行動の評価・フィードバックまで行いやすい経営管理手法がBSCです。
大規模な経営にも使えますし、小さな商店でも使えます。
「改めて言われなくても、昔からやっているよ」というところもあると思います。

さて、BSCでは、
「経営戦略」を「仮説」を経由して「行動目標(アクションプラン)」にして、実際に実行して、成果を上げる。
成果が上がらない場合は、何が悪かったを見直して(フィードバック)再度実行します。

アクションプラン作成までの流れは、以下の通りになります。

1.ビジョンと戦略の策定
  ↓
2.重要成功要因(CSF : Critical Success Factors)分析による視点の洗い出し
  ↓
3.戦略マップの作成と戦略目標の設定
  ↓
4.重要成功要因の洗い出し
  ↓
5.業績評価指標の設定
  ↓
6.数値目標の設定
  ↓
7.アクションプランの作成

BSCの各ステップは、あまり個人で行うものではありません。
各々のステップで、できるかぎり関係する方の思いを入れた方が良いBSCとなり、結果として良い経営が行われるようになります。

つまり、良いBSCが作れて・使えるようになれば、同時に良い組織にもなるという訳です。

BSCの第一人者である吉川先生から手ほどきも受けた際の話しです。

吉川先生も「ブレストや打合せの時、模造紙の周りにポストイットを持って、立って話し始めると良い結果となる」ことをおっしゃっていました。
会社の規模、やりたいこと(経営目標)に応じた関係者の巻き込みを、BSCというツールでまとめ込むと、良い経営結果がでると考えられます。

ということで、BSCの解説についてもチャレンジしていきます。

2016年6月15日 | カテゴリー :

質問(05)誰のため

質問質問の5回目です。

その質問、期待した返答があると満足かもしれません。

そこで、ちょっと立ち止まってみましょう。

その質問は、誰のための質問でしたか。

・XXXの知識が無いので教えてほしい。

 →質問で、自分の知識不足を埋めています。

・プロジェクトの状況がどうなっているのか教えてほしい。

 →質問で、プロジェクトの進捗状況に対する情報不足を埋めようとしています。
  ひょっとすると、進捗遅れなどがあるのは知っている上司が、部下に進捗遅れの
  原因分析をすることを気づかせる質問にもなっているかもしれません。

・XXXをどう思っていますか。
  
 →質問で、相手の意見を引きだそうとしています。
 意見を引き出して、自分の意識とすりあわせた上で話は展開してゆくでしょう。
 やはり、自分のためのようです。

質問は、種々あります。

その質問は、誰のためでしょうか。

一つの答えは、「発問者のため」 つまり『自分のため』でしょう。

ただ、
自分の知識だけのためか、
相手を慮るための自分の行動を満たすためか、
場の目的のために場の流れを変えようとする自分の行動を満たすためか

などによって、誰のためという意識は違ってきます。

自分のためだけの質問、、、ばかりよりは、他の人のためを考えた質問を心がけてはどうでしょうか。

2016年6月15日 | カテゴリー :

質問(04)立場

質問質問、その4回目です。

質問を発するとき、何かをしたいから質問をしています。

そして、そもそも『何のため』に質問をするのかを意識した方が良いでしょう。

何のためかは『自分の立場』を意識すると良いです。

自分は新人だから、仕事のやり方の細かいところまで質問する。
自分はエンジニアで、発注された機械部品の大きさを決めているが、お客様の用途が判った方が良いものができるので用途について質問する。

といったように、状況によってゆるやかに、そして急激に変わる自分の立場に応じた質問を意識してみてはどうでしょうか。

自分は、基本的にどのような立場か
そして、今何をする立場で質問を発しようとしているか

自分自身に一瞬問いかけた後で、発問してみてはいかがでしょうか。

2016年6月15日 | カテゴリー :

質問(03)何をしたい

質問質問、その3回目です。

質問、

もしかすると毎日質問しながら暮らしているかもしれません。

そもそも、質問とは何かを考え始めると深いテーマのようです。
判るところから整理をしてゆきます。

さて、日々質問をするときは、どのようなタイミングでしょうか。

判らないことがあった
人に気づかせるため
注意を促す
 等々あるでしょう。

質問をするとき、

「私は、これ、をしたいから質問する」というように

『何をしたい』かを思い浮かべた上で質問をすると良いでしょう。

なんとなく、ではなく、何をしたいから出発すると問う内容が変わってきます。

2016年6月15日 | カテゴリー :

質問(02)定義

質問、その2回目です。

今回は辞書的な定義を整理してみましょう。

質問

疑問または理由を問いただすこと
(広辞苑)

質す
・問うてたしかめる。質問する。
・罪過の有無を追及する。詮議(せんぎ)する。  等
(広辞苑)


斤(おの)と鼎の形。鼎に二ふりの斤で鼎に銘文を刻みつけること、銘刻して約束すること。
刻み込んだ契約の基本になるものであるから本質といい、基本にさかのぼって事を問うことを質問という。
(常用字解)


門と口を組み合わせた形。口は神への祈りの文を入れる器の形。門は神を祭る戸棚の扉の形。
扉の前で神意を問い、神の啓示を求めることを問と言う。
(常用字解)

質問に関係する言葉は他にもあります。
尋ねる、訊く、質す などです。言葉によって微妙に感触が変わりますね。

さて、英語にすると以下のようになると思います。

question
・A question is something that you say or write in order to ask a person about something.
・If you question someone, you ask them a lot of questions about something.
・If you question something, you have or express doubts about whether it is true, reasonable, or worthwhile.
  等々

inquiry
・An inquiry is a question which you ask in order to get some information.
・An inquiry is an official investigation.
・Inquiry is the process of asking about or investigating something in order to find out more about it.

query
・A query is a question, especially one that you ask an organization, publication, or expert.
・If you query something, you check it by asking about it because you are not sure if it is correct.
・To query means to ask a question.
(以上 Collins COBUILD)

今回は、質問に関する言葉の定義をまとめてみました。

日本語と英語、そして質問で英訳される単語間でも微妙に意味が異なるようですね。

2016年6月15日 | カテゴリー :

質問(01)質問とは

質問質問についてまとめてゆきます。まずは第1回。

普段質問をするとき、どのような感触があって質問をしているでしょうか。

「何となく」
「知りたくなったから」
「相手が知らないことを質問で気づかせてあげようとした」
「詳細を知らないと判断が下せない」

等々あるかもしれません。

心理学の世界では、

 人は欠けているものを埋めたがる性質

があるとしています。
言い換えると
 
 全体としてまとまっているものを好む

ということです。

この、全体のことを 「ゲシュタルト」と呼びます。
この言葉を使うと

 人間はゲシュタルトを志向する、  と表現できます。

ここから

 質問とは、
   欠けていると感じた部分を埋め合わせるための返答をもらう行為

となります。

ちなみに広辞苑では、
 「疑問または理由を問いただすこと」 と規定しています。

非常にシンプルですが、人の気づきや行動を促すような強力な働きがあります。

語義だけ、ではなく、質問について少しだけ探究してみました。

2016年6月15日 | カテゴリー :