ファシリテーターの役割の続きです。
○役割
2.プロセスを流します
ファシリテーターの活躍場面として、目につくところです。
華々しい場面でもありますね。
場のプロセスを運営するという表現でも結構ですが、運営という概念ほど
コントロールは行いません。
ダンスに例えると、場の流れと一緒にステップを踏む感じです。足を踏ん
ではいけませんね。
ジャズセッションの例えでも結構です。セッションがうまくゆくよう何か
サポートする感じです。
このようになるのは理想だとして、目安になる型は例えば以下の通りです。
①準備
参加への雰囲気作り、各種の事項を共有できるようにします。
説明や共有、確認を行うのに多少入り気味になります。
②広げる
目的やゴールに沿って議論を広げるようにします
議論を広がるように促した後は、ほとんど何も介入しません。
但し、自発性は平等性等のルールを見て場が流れていないと感じた場合は、
言葉かけ等で介入して流れを進めるようにします。
何か助け(手法や知識、基準等)を求められたら、流れを創り出すにの留意
して答えます。
③まとめる
広げた議論を整理します
参加者に、整理するように促します。
整理する手助けをします。
多少入り気味になります。
④終了
まとめたものに対して結論づけます。
場合によってはPDCAのPを行います。
分かち合いを行います
最後の締めの部分は、割合強く入っても良いです。
場の目的に応じた今回のゴールを明確にします。
○コメント
上記は、基本のプロセスにおける役割です。
場(会議)の内容やファシリテーターのスタイルによっては、役割が変わっ
てきます。
人や方法によっては、最初にプロセスを規定して極端に関与しない方法をとるコト
もあります。(本当に部屋から出たり、側で別のコトをしていたりします)
立ち位置はプロセスや場の状態に応じて変えた方が効果的です。
ファシリテーターの役割について解説します。
ファシリテーターの役割は、大まかには
「場の促進」
「参加者の支援」
となります。
もう少しかみ砕く前に、場とスタイルに留意する必要があります。
○前提
・場
場の内容、理想とする雰囲気、ゴールは明確にしてください。
・スタイル
ご自分の通常のスタイルを意識しておいてください。
(指示が多いタイプだとか、雰囲気を盛り上げるのが得意とか、、)
以下、とりあえず次のコトを前提にして解説します。
・ビジネスで何かを検討する会議の場
(教育とか、論争の場とか、屋外での活動等ではないです)
・参加者が自分たちから、自発的に参画して実行する雰囲気を理想
(連絡会、報告会、講演会等ではありません。
ファシリテーターが自分から内容に入ったり、引っ張ったりしません)
○役割
1.場のプロセスを設計します
内容の行き着く先を設計するのではなく、どのような流れだと場としての目的とゴールが
達成できるかを設計します。
設計する内容は、以下のようなコトです。
構造的なコト 目的、テーマ、ゴール、参加者等
手法的なコト プロセス、手法、ルール、役割等
会議の主催者(オーナー)が別にいる場合は、主催者と調整します。
その他、通達等の事前準備を行います。
ビジネスシーンにおけるファシリテーションに触れています。
今回は、役割についてです。
ビジネスにおけるファシリテーションは、会議形式のファシリテーションが多いでしょう。
ビジョン共有等のワークショップファシリテーションや研修系のファシリテーションもありますね。
さて、会議等のファシリテーションにおける役割は、例えば以下の通りです。
ファシリテーター
場の促進・支援役です。
専任のファシリテーターがいる場面はあまり無いと思います。
議長やリーダーが役割を担っても良いですし、ファシリテーターと名乗らなくても良いでしょう。
ファシリテーターになりたい訳ではなく、ファシリテーションのもたらす自律性や全員参画
のメリットを享受する等の目的に沿って動ければ良いと思います。
書記
板書係と言っても良いです。
板書の目的は、その場・その時点での共有です。
場の進行と同時に、内容を要約、要約した内容の記載を主に行います。
労力的には、一番大変かもしれません。
そして、裏のファシリテーターともなります。
共有するというコトが非常に重要となりますので、書記は重要な役割です。
事後に議事録を作る役割は書記の方が担っても良いですが、可能であれば
別の方が良いと思います。
タイムキーパー
時間について、報告をする役割です。
これも、役割を決めて時間を意識できた方が、良い流れの会議になります。
メンバー
メンバーも大切な役割です。
実質的な発案や、会議の流れはメンバーが行います。
メンバー以外の役割の方は、全員メンバーをサポートしています。
メンバーが場の主役です。
役割の総覧をしてみました。
もう少し詳しく触れてみようと思います。
会議やチーム運営等ファシリテーションを行う際に、
活動の『ルール』を定めた方が良いです。
そして、ルールを守ることに心を砕いた方が良いです。
ルールは、ファシリテーターを救いますし、会議を救います。ということは、メンバーも救います。
ルールを制定するなんて、そんな「大げさな」、とか「面倒」、「ルールを言えない雰囲気」等あると思います。
周知して守ってもらえるのが主旨ですので、守れる状況や自然なチェックができるようになれば良いです。
ただ、「ルールがあって、守ろうと努力する会議」と「ルールが無い、守ろうとしない会議」では、会議の生産性に差が出ます。
一度比べてみてはいかがでしょうか。
さて、ルールの内容やポイントは例えば以下の通りです。
皆さんで合意して、追加したり削ったり、表現を変えたりしてみてください。
●ルール例
・秘密を守る
・話しを最後まで聴く
・犯人捜しをしない
・端的に話す
・全員が発言する
(その他、グループで決めたルール等)
●ポイント
・周知する、合意する、使えるようにする
・「ルール」といわず、「規範」「エチケット」でも良い
・周知・合意のため、会議前に皆やファシリテーターが読み上げても良い
・会議中に意識するために、大きく印刷して掲げておいても良い
・何か脱線が始まったら、ルールに言及したり、指し示すと効果を発揮
ぜひ使ってみてください。
会議に焦点を当てた時、ファシリテーションの準備は次のようになります。
会議運営の段取りと言っても良いかもしれません。
段取り八分という言葉の通り、段取りがきちんと済んでいると八分方ものごとが完了しているのかもしれません。
さて、会議の場合例えば以下の段取りとなります。
①目的、テーマ、ゴールを決める
何のために(目的)、何を(テーマ)、どの範囲まで(ゴール)
②参加者を決める
深く話すのであれば6人程度+進行役・書記・タイムキーパーの3名程度です。
①を踏まえて、人数・人選が決まります。
また、人数と人選によっては①が達成できない場合もあります。
③日時、場所を決める
参加者の日程と時間調整です。
開催場所は会議室である必然性は無いかもしれません。
板書が出来る環境、広さ、照明の程度も踏まえた方が良いです。
1回の会議(休憩まで)は、最長で90分~120分が良いでしょう。
これも、①を踏まえて時間のデザインが必要です。
④通達する
主催要項や事前資料等を連絡します。
プロセスの設計や、会議の特徴によっては、事前調整も必要かもしれません。
⑤配付資料を作成する
配付資料や情報のとりまとめが必要な場合作業を行います。
会議の主催者としては、上記踏まえてさらに以下のポイントを検討した方が良いですね。
・進め方(プロセス、流れ)の設計
・進め方の手法や文房具等の道具立て
・会議の特徴
さて、上記は会議に焦点を当てた準備ですが、何か目的をもった場を作る時も、同様の準備が必要になります。
場の開催のための準備ですね。場をファシリテートするための準備と言い換えても良いと思います。
例えば、社内研修会等の教育ファシリテーションの場合は、参加者の興味範囲や問題意識の事前情報があった方がゴール設計(仮説の設定)が行いやすいです。
ということで、ファシリテーションの事前準備の解説でした。
ファシリテーションのプロセス(流れ)は、4つのステップに分けて考えると整理しやすいです。
1.準備をする ステップ
今から行うコトに対する共有と場の雰囲気作りを行います
2.広げる ステップ
行うコトに対して広がりを出すステップです
3.まとめる ステップ
広がったコトに対して、ゴールに向かう整理を行うステップです
4.終了する ステップ
整理をし終えたコトを結論づけて、分かち合うステップです
上記は、全てのステップを踏まなくてもファシリテーションになります。
ポイントは
①今回のゴールをどこに想定するか
②参加者が何に合意をするか
ということになります。
ファシリテーションは話し合いの技術の側面も多く持ちます。
上記はその視点で考えても結構ですし気付きを共有するワークショップのプロセスと考えても結構です。
ということで、ファシリテーションへの解説へのチャレンジが続きます。
例えば
リーダーがファシリテーションスキルを活用する
ファシリテーションスキルを活用する立ち位置
(ファシリテーターの立ち位置)
等々、、、
実践コミュニティの発展段階を解説しています。
潜在 → 結託 → 成熟 → 維持・向上 → 変容
今回は、第二段階 『 結託 』です。
一言にすると、「絆を深める」 こういった段階となるでしょう。
第一段階では、関心の分野があり、そこに仲間も加わった。お世話役もいるでしょう。面白そうな分野の対話が始まっている感じです。
そして第二段階では、何が必要になるでしょうか。
それは「信頼関係」です。
関心のある分野について「深い話し」をするときには、自分の価値観を話すのと同じになってきます。つまり自己開示です。
自己開示ができる他人は信頼関係のある人になるに違いありません。
従って、第二段階の実践コミュニティとなるには信頼関係が必要、とも言えます。
または、信頼関係が深まると第二段階の実践コミュニティになってくるとも言えます。
第二段階の「結託」の状態である実践コミュニティのポイントです。
・参加する根拠、価値観を明確にする
・コミュニティを立ち上げる
・コミュニティのイベントや空間を創る
・コーディネーターに正当性を与える
・コア・グループのメンバーのつながりを深める
・共有する価値のあるアイデア、洞察、実践を見つける
・文書化は慎重に行う
・価値を提供する機会を逃さない
・上司を巻き込む
関心のある領域と、それを話せる有能な仲間がいます。
「定期的に合って話しでもしてみようか」と話し合いや実践のコツの交換が始まります。
「では、このグループに◎◎◎という名前を付けようか!」とコミュニティが発足し、
「お世話役は、Aさんだとだれも文句は無いよな」と極々正当なコーディネーターが決まります。
「仲間になるには、△△を大切にしてもらいたいよ。そういう人に入ってもらいたいな」と参加・仲間への根拠が明確になり、信頼関係を増す様々な対話が起こります。
「電子メールか、掲示板、SNSで情報交換でもしようか」とコミュニティの空間ができ、「来月も集まろう」とイベントがリズムを与えます。
大切な関心分野を毎回深めて、加重な作業でいやにならない程度にまとめ(文書化)が起こります。
自分たちの存在意義を示せる時には十分にアピールし、上司や周りにコミュニティの価値を認めてもらうようにします。
どうでしょうか。
身近なグループで良いセン行っている集まりはありませんか?
その集まりは既に実践コミュニティかもしれません。
となると上記のポイントに気をつけると、コミュニティは「結託」の状態を経て順調に育ってゆくことでしょう。
実践コミュニティは、企業組織体と比較すると、自然なサイクルで生成と消滅をします。
それを「コミュニティの発展の5段階」と言っています。
潜在 → 結託 → 成熟 → 維持・向上 → 変容 です。
第一段階は、 『 潜在 』 です。
コミュニティの発展は、すでに存在する社会的ネットワークから始まる、ということのようです。
仲間が何人か集まっていて、「これって面白いよね」 ということは多々あるでしょう。
「困っているんだ・・・」「相談に乗るよ」
こんなことも多くあるかもしれません。
これだけで終わることもあるかもしれませんが、そのうちのいくつかは、
「仲間でも集めようか」 とか 「興味のある人と自然に集まった」
といった状態になることでしょう。
これが実践コミュニティの始まりです。
「何だ」という感想をもたれるかもしれません。仲良しグループでもよくあることです。
これを実践コミュニティとして形づくるには、
・関心を持つ領域の範囲を定義する
・仲間で知識共有を進める意義をお互いが気付く
・仲間がどのような知識を必要としているか割り出す
こういったことが必要になります。
さらに重要なのが 「コーディネーター」です。
リーダーと言っても良いかもしれませんが、どちらかと言うとお世話役になります。
コミュニティにおいて、みんなの関心領域の焦点がぶれないようにして、様々な手助けをします。
関心分野があって、多くの人が集まっていると、連絡一つや何かの日程決めを行うにしろ手数がかかるものです。
労を厭わないお世話役、周りにいませんか?
ネタ(関心分野)があって、仲間がいる、ネタのイメージもクリアで、実践で使える。そしてお世話役がいる。
徐々に実践コミュニティが育つ環境が出てきています。
技能の継承といったテーマが新聞を賑わすことも多くなってきました。
団塊の世代が多く退職することを受けて、技能伝承の隔絶、これへの対応がなされ始めています。
技能、英語にするとナレッジ(知識や知恵)でしょうか。
(知恵だとWisdomというお話もありますが…)
技能伝承を行う仕掛けとして、匠に学ぶ寺子屋や私塾を社内に作る試みもあります。
言わば現代の徒弟制度といったところでしょう。
技能伝承という表現をしていますが、技は個人ではなく集団に蓄積されていると見ても良いのだと思います。
さて、こういった集団を分析的に見て、知識を創造しようとする動きがあります。
知識が集団から創造されるという特性を活用しています。
そして、この集団は知識を使いながら、学びながら、身につけ、知識を創造して伝えることから
『実践コミュニティ』 という表現をしています。
では、実践コミュニティを育てるにはどのようにすればよいでしょうか。
書籍「コミュニティ・オブ・プラクティス」を参考にしながらまとめてみます。
今回は原則的な所から
実践コミュニティは、私なりにまとめると、
「何か使いたい、深めたい専門的な分野があり、多くの方との協力で使いながら深めてゆく」
といった特質を持っています。
そして書籍によると、実践コミュニティを育てる原則は次の7点です。
1.進化を前提にした設計を行う
2.内部と外部それぞれの視点を入れる
3.様々なレベルの参加を奨励する
4.公と私それぞれのコミュニティ空間を作る
5.価値に焦点を当てる
6.親近感と刺激とを組み合わせる
7.コミュニティのリズムを生み出す
実践コミュニティは、専門分野に関心のある人たちが集まってきます。
その専門分野のどのようなコト、どのような部分が大切か。
これが最も重要になってきます。
そして、コミュニティは会社の職制ではありません。人の出入りも関わりの濃さも自由です。
半年後には、業務多忙で関わりが薄くなるかもしれません。
そして、何か定期的な会合や飲み会、ネットでの会話やイベントが合った方が楽しいです。
直接会うとかなりの知的な刺激、関係性の刺激にも富んでいます。
そして、特に親しくなった人や、事務局がキーマンに下交渉する時もあるでしょう。
コミュニティ外の人との会話が、岡目八目、良い指摘になるかもしれません。
こういったことが、上記の原則となっています。
知識や実践、そして運営等の手間をかけることについて、テイク(取る)だけではなく、ギブ(与える)姿勢やギブしてくれることに感謝をすること大切でしょう。
ちなみに、実践コミュニティを作り上げる。と言った、上からの目線では、なかなかうまく行かないようです。
せいぜい、育てる。一緒に育てる。といった意識が良いようです。
近年、目に見える組織編制
だけではない、人と人とのつながりをビジネスの活動に活か
そうという動きがあります。
ビジネス組織・企業は、部・課・事業部・ビジネスユニット・海外法人といった形で組
織を編成しています。
企業に所属している人々によってビジネスは動いています。
所属している人の専門分野は多種多様であり、その人の専門分野の活動を通じてビジネ
スに貢献しています。
ここで、所属している人々の興味は自分の専門領域に向くことも多いことでしょう。
そして、同じ興味領域・専門領域を持つ人々が集まれば、専門分野の知識は実践への知
恵、新たな発想が生まれます。
職場の先輩や同僚、身近な環境に同じ専門領域を持つ人々がいれば相談することも多い
でしょう。
ところが、現在のビジネス環境では、「広い地域」「早い変化」「不明な原因」「狭い
専門性」といった要件により『お互いに切磋琢磨する仲間』が身近では集まりづらい状
況に陥っています。
ここで、現在有効と考えられているのが
実践コミュニティ community of practice です。
職制に縛られない、企業も、地域も跨いだ「専門領域の実践情報を共有するコミュニテ
ィ」がビジネス活動にも非常に有効であると注目されています。
とある大企業の例では、実践コミュニティを通じて数千万ドルの新規の売上とコスト削
減を達成できたということです。
ここまで具体的でなくても、社外勉強会が役に立つことが多い、、、知識だけでなく、
人脈や勉強会におけるコメントが役に立つ。
こういったことを感じる方もいらっしゃると思います。
こういった、実践コミュニティを実際に運営し始めているところが多くなっています。
私たちも、いくつかの実践コミュニティを主宰したり、参加したり、導入の支援をした
りしながら、その有効性をひしひしと感じています。
実践コミュニティl、運営のコツ、利点、欠点も当然あります。
一言にすると、盆栽やガーデニングにも通じるようにも思えます。