ワールドカフェという対話手法、短時間で多くの人の思いに触れることができます。
1テーブルは、4人くらいです。
良く行われるワールドカフェは、1回話し合い(セッション)が終わると、1人ホスト役を残して3人が別々のテーブルに行きます。別のテーブルで2回目のセッションです。
別々のテーブルで、以前行われていることを聞いただけで、他の4人分のエッセンスを受け取ったことになります。
別々のテーブルで4人が集まると言うことは、1人はホスト役、2人目は自分、3人目、4人目は別のテーブルにいた人です。
3、4人目のメンバーもそれぞれ4人分の話題を持っています。
2回目のセッションでは、見知らぬメンバー3人からの話を聞きます。3人はそれぞれ以前のテーブルの話題をしょっています。
2回目のセッションのテーブルでは、4人で話しをしているようで16人分の話題が元になっています。
3回目に、元のテーブルに戻ってきたとします。
戻ってきたみんなは、各自12人分の新しい話題のエッセンスに触れてきています。
3回目のセッションで戻ってきたとすると、元の4人+12人分×4=52人分の話のエッセンスに基づいた話が展開されるわけです。
まさに、ミツバチを介して受粉するかのように話がいろいろな処に拡散します。
ワールドカフェの話し合いで起こる一つは、多くの人の話題にふれることができる、ということです。
ワールドカフェは、短時間で多くの方の思いに触れる対話手法です。
規模によっては、数百人で行う例もあります。
何回かのセッションが終わるとどうなるでしょうか。
みんな同じ思い、似たような思いを持っているのだなぁ
といった感想が出てきます。
かなり多くの方から出てきます。
そして、多くのテーブルで似たようなキーワードが徐々に顕れてきます。
ミツバチが自然受粉をして、花粉を自然に振りまくように、気になったテーマが伝播してゆきます。
集まった、参加した人たちの気になっている事柄が、特に話題に上がってきます。
そして、時間が経つと、「同じような、(印象的な)考えを持っている」と感じてきます。
ワールドカフェで起こること、その一つは 同じ思いを持てるようになる ことです。
ワールドカフェという対話の方法が注目されてきています。
茶飲み話でもするように、気軽に、リラックスして話すことができ、多くの方の話に触れる方法です。
ワールドカフェを使うと、どのようなコトが起こるでしょうか。
ワールドカフェでは、少人数で素直に話せるような場の仕立てをします。
大人数では引っ込み思案の人も、素直に話せる環境だと、ついつい興が乗ってきます。
あれっ、という感じで、つい素直に率直に話してしまう場になる。
これがワールドカフェを使った話し合いで起こることの一つです。
私たちも、ワークショップや研修、対話の会などで良くワールドカフェ形式を活用します。
日本に合うように、場に合うように、かなりのアレンジをしていますが、、、
大人数でお酒を飲んだり、宴会をすることも多いのでは無いでしょうか。
会場の都合で小テーブルに分かれて座ったりします。
そうして飲んでいると、「席を替わって話してみようか」なんて考えて席を移ることもあります。
行った先では、別の話題が進行しているのでしばらく黙って聞いてみたりします。
そのうち、話題が頭の中に入って、心の中で「そうそう」とか「これが言いたい」となると今いるメンバーに混ざって話し始めます。
既存のメンバーは、新しい切り口の話題が面白かったりします。
大人数の宴会でも、自分がちょこちょこテーブル移動したり、テーブル移動してきた人の話を聞くと新たな発見があります。また、直接会話はしなくても他の方の話題に乗せて自分の話しができます。
このような考え方で、小規模なグループの対話を大規模な対話に結びつける方法を
「World Cafe」と言います。
創始は、1995年。アメリカの物理学者のJuanita BrownとDavid Isaacsです。
この方の自宅で30人くらいの専門家の会議をしようとしたら、雨でゲストがやってこれない。なら、テーブルで会話でもしましょう。が始まりとのこと。
そのうち、テーブルを移動して話そうよ、とか。折角だから、部屋に「~Cafe(喫茶店)」と書いてみよう、等々。
そして、皆がテーブルを離れると話題がわからなくなるから1人は残ろうか。テーブルのナプキンに落書きしていたら参考になった。
そんな感じで、WorldCafeの骨格ができたとか。
ということで、World Cafeの特徴は
1.丸テーブルに4人で「テーマ」について話す。
2.1回の対話(セッション、ラウンド)は30分程度
3.1人(ホスト)を残して、皆別テーブルに行く
4.新しいラウンドでは、ホストが流れを要約、伝達
5.各テーブルは落書きできるようにしておく
6.部屋・テーブルの雰囲気はリラックスできる様
7.最後に、全体のダイアローグ(対話)
8.ファシリテーターはほとんど不要、事前設計が必要
かなりの大人数でも対話ができるしかけです。
世界的に見ると、1500人くらいのWorldCafeも実施されたことがあるとのこと。
私達も、強みやメリット共有といった場面の「ビジョン共有」に活用しています。
かなり面白い、有効な方法です。他の方法のいろいろな特性を踏まえて、皆様も試してみてはいかがでしょうか。
私たちは、AIなどホールシステムアプローチなども活用して、研修やワークショップを行っています。
今回は、4Dについて
4D フォーディと呼びます。 なんのことやらわかりませんね。
組織の本当の価値を見つけて可能性を広げるのがAIです。
組織と言うからには、組織に所属する多くの人が一緒に考えるという流れ・プロセスとなります。
一緒に考え体験する時間は、例えば
数十人で2~4日間程度一緒に考える
数百人で、分散して数ヶ月かける
少人数で、1回2~4時間の話し合いを10回くらい
など
様々なやりかたがあります。
実は、日数が重要な訳ではありません。
流れ、プロセスが目的や目標に対して自然になるのが大切なのです。
さて、その4Dの流れです。
ディスカバリー 発見
↓
ドリーム 夢
↓
デザイン 設計・構成
↓
ディスティニー 運命、実施と対応
さらに、ディスティニーから再度ディスカバリーとなります。
PDCAと似ていますね。計画、実施、評価、対策です。
組織のPDCAで問題になるのは、どこでしょうか。
Dだけ、PDだけという問題もあります。が、それよりも大きいのが
チームや組織で「共有」できていない。
のが問題な場合が多くあります。
PDCAは、管理された計画をどのように実施改善するかに重きがおかれています。
これに対して、AIの流れにおいては、自分・組織の得意を共に発見して共に夢見て共に計画実施する流れになっています。
AIは、PDCAでよく問題になる「共有」を自然と解決し、さらには共に創造するところに進んでいます。
さらに、個人や組織の得意を見つけ、創造性を喚起する工夫もされています。
さて、計画したことをを実施する上では、PDCAは重要です。
しかし、何のためのPDCAかを考えた時には大きな枠組みとしてAIや他の方法論で考えることも大切になってきます。
AIと声高に言わなくても、AIを活用すると日々の活動への目的や意義を理解して自分の仕事を進めることができます。
G・Shiftの研修やワークショップでは、個人やチームの力をど~んと引き出す仕掛けを使っています。
その手法の一つがAI(アプリシエイティブ・インクアイアリ:エーアイ)です。
組織やチームの活性化手法として、近年AIが良く使われるようになってきています。
4D(フォーディ)を回せばAIか、、、と言われると、そうではありません。
4Dを回すのが目的ではなく、「個人・チームが良くなること」が目的・方向性となるのが本来的な使い方と考えます。
G・ShiftでAIを使ったあれやこれやについてです。
AIといった手法の名称、英語では Appreciative Inquiry となります。
英語でよくわかりません。
Appreciative 肯定的な
Inquiry 問いかけ
名前が示している通り、肯定的な様々な問いかけ、そこからの流れを整えているのがAIの特徴です。
では、肯定的な問いかけによって、「どう」なるのか。
あえて一言にすると
得意
を引き出して、伸び伸びと使って、良くなるようにする。
AIによって、得意なことが皆で共有できて、得意を使って活動・成長してゆく。
こうなります
得意は、「強み」でも「良さ」でも「徳」でも構いません。
だめな事、欠落していることではなくて、できていることになります。
自分が今まで居るのも、会社が何とか今までやってこれたのも「何か良いところがあったから」です。
そこを、びしっと意識できれば(エッジが立つ、際立つ)もっと良くなります。
できていない、欠落したところに「ばかり」目がいくと、何もできなくなってしまいます。
AIを使うと、得意が見つかります。
得意が見つかると、機嫌も良くなりますね。そしてやる気も出てきます。
組織の真の価値が発見できるとされている方法があります。
アプリシエイティブ・インクワイアリ
(AI:Appreciative Inquiry)という方法です。
この方法は、肯定的な質問を行うことで組織の真の価値を発見して、可能性を広げる方法です。
提唱は、1987年にデービッド・クーパーライダー、ケースウェスタン大学教授、そしてダイアナ・ホイットニーらによって行われ、英国航空やNASA、ボーイング等に導入がされています。
ネーミングの通り、価値を認識して探求する方法であり、あえて要約すると未来志向(ビジョンアプローチ)の方法と言えるでしょう。問題点を問題点として把握し解決する問題解決志向(ギャップアプローチ)ではありません。問題点は認識しておいて、そのゴールとなる未来を目指して問題そのものも解決しようとする方法です。
AIの大まかなプロセスは4段階となります。
頭文字をとって、4Dサイクルという呼び方をします。
ディスカバリー(発見) ← テーマの選択(アファーマティブトピック選択)
↓
ドリーム(夢)
↓
デザイン(設計・構成)
↓
ディステニー(運命、実施と対応)
この4サイクルを循環させてゆきます。
ディスティニーは、現場での継続的な行動や活動になります。
さて非常に有用なAIですが、ドリームからデザインまで、通常おおよそ4日かかります。これは、長いようで真の価値、強みを見つけて夢に合意した後で計画を立てる、AIのフルコースとしては必要な日数でしょう。
組織の真の価値や強みが見つかり参加者が共有できるのであれば、4日はかかりますが、は非常に効果の高いプロセスだと考えられます。
問題が発生し、解決への組織力アップを依頼されることも多いです。
どうも問題点を問題点とだけ捉えると、問題にばかり焦点が当たって視野が広くなくなり、やる気も低下するきらいがあります。
AIのアプローチでは、問題は十分に踏まえますが未来の様子(ビジョンでもゴールでもドリームでも結構です)と強みを意識します。そうすると、気がつかなかった方策や再認識した強みをもとに、高まったやる気で行動ができます。
私達も、AIの様々な良いところも入れながら、現場に合ったビジョン共有に役立てています。
全体システムアプローチの第4回です。
全体システムアプローチ(ホールシステムアプローチ)は、複雑な問題、多くの利害関係がからむ問題など、一筋縄ではいかない事柄に取り組む際に使われることが多くあります。
例えば、
アパルトヘイトの南アフリカでの多様な民族や関係者での対話
米国マクドナルドや米海軍での意識共有やリーダーシップ開発
などです。
全体システムアプローチの手法は、AIやワールドカフェ、OST、フューチャーサーチなどあります。
そして、その活用分野の一つが 『 ビジョン共有 』です。
ビジョン共有に全体システムアプローチが使われる理由には次のようなものがあります。
1人の壁を越える
人数の壁を越える
論理の壁を越える
蛸壺の壁を越える
利害の壁を越える
もっと越えられるものもあるかもしれません。
さらに、今までかかっていた時間の壁を越える(以前より短時間)ことも挙げられるでしょう。
不確定な未来について、立場の違う人だからこそ感じることのできる問題意識やリソースへの認識をお互いに理解できることがビジョン共有に繋がります。
多人数でプロセスを工夫した率直な対話を行うと、自分のものの見方を多くの人に伝えることができます。
さらに多くの刺激によって新しい発見をして、同じ方向性のものの見方を持つことができます。
職場のちょっとした目標の共有や、もっと大規模なビジョンの形成や共有まで、全体システムアプローチを取り入れてみてはいかがでしょうか。
ビジョンの共有と大げさにならなくても、効果の上がる意識共有ができるようになります。
ホールシステムアプローチの第3回です。
AI(アプリシエイティブインクワイアリ)やフューチャーサーチ、ワールドカフェ、オープンスペーステクノロジーなど多くの方が一同に会して話し合って何かを得るやり方を、ホールシステムアプローチ、全体システムアプローチと呼んでいます。
用途としては、
ビジョンを共有・構築する
問題を共有する
解決策を考える
こういった用途に使います。
一人二人であれば、何もこういった手法を使う必要はありません。
一人で考え、二人で話し合うだけで事足りるかもしれません。
また「独裁者が指示すれば良い」と腹をくくって進むのであれば、悪影響は出ると思いますが上司の指示のみで動くのもあり得ます。
大人数の利害関係があり、複雑な問題であればあるほど、ホールシステムアプローチといった手法を使って取り組んだ方が物事が早く根本的に進みます。
では、どの程度の規模までこういった手法で取り組めるのでしょうか。
数百人から1500人の規模で開催した例も世界的にはあります。
100人だと体育館、パシフィコ横浜で500人、1000人だと球場や競技場での開催となるでしょう。
では、日数は?
日数も規模も、実は目的や目標などによって決まってきます。
ただ、どうしても1日でということであれば、未来や問題の意識の明確化やざっくりとした共有となるでしょう。
一度に500人、1000人で開催することもできますが、何のためにその規模の人が集まってどうなりたいのか、ここを考えてみることも大切です。
全体システムアプローチの第2回です。
全体システムアプローチの特徴の一つが
関係者です。
考える事柄に関わる人達(関係者)が、できる限り参加する
様々な事柄にいろいろな立場の人がいます。
賛成派も反対派もいることでしょう。住人や近所の人、会社のオーナーや作業員、協力している人々、など考えてゆけば様々な種類の関係者、立場の重複している人もいることでしょう。壮年、老年、学生や子どもも関係者かもしれません。
その事柄を 本当に 検討したいのであれば、こういった関係者が集まって
実際の社会全体、事柄全体 を表せるようにした上で、
率直に話し合って、解決や共有や創造といったことをしてゆこうとするのが、ホールシステムアプローチです。
とある所属の人達だけで話すと、話しそして考えの視点に広がりを持つことはできません。
恣意的に何か考えを一定方向にするのであれば、関係者を多様にしなくても良いでしょう。
しかし、本当に検討したいのであれば、多様な関係者があつまることが重要です。