ファシリテーター育成(13)ワークショップデザイン

ファシリテーター育成ファシリテーターとしての備えた方が良い事柄・姿勢・技法などなどまとめています。

今回は、ワークショップデザインです。

小さな会議から、半日の研修、3日間の合宿研修、問題意識をすりあわせるミーティング、などなど何かしらの『場』、ファシリテーターはこういった場を任されることが多くあります。

「現場の進行」を任されたと言っても仕事は、現場だけではありません。

事前の準備も必要です。
さらには、やりっぱなしとならないためには事後のフォローも必要となるでしょう。

そこで、場のデザイン、場の設計が必要になります。

ワークショップとして焦点を当てるならば、ワークショップデザインが必要です。

今まで、ミーティングデザイン、ギャップアプローチ、ビジョンアプローチ、対話技術などなど個別の事柄に焦点を当てました。

持っているやり方や経験を踏まえて

 そもそもどういった場となって欲しいか

を考えるのがワークショップデザインです。

考え方として、手順的に考えても、その場で起こることを大切にしても結構です。
(非構成的アプローチ、構成的アプローチ)

そもそもどういった場となって欲しいか を具体的にすると

誰のため、何のため(テーマ、目的、ゴール)を決めることとなります。

ファシリテーター育成(12)対話技術

ファシリテーター育成ファシリテーターへと育ってゆくことについてまとめています。

ここで触れているファシリテーターとは、

会議の進行役、ワークショップの司会、という意味ではありません。

もう少し幅広く、「ものごとの進行を促して、支援する人」といった意味でつかっています。

特に、企業などの組織活動を念頭に置いています。

さて、今回は対話技術です。

対話と言うと、何を思い出すでしょうか。

1対1、全校対話集会、タウンミーティング等々

広辞苑6版ではこんな感じです。

対話
 向かい合って話すこと。相対して話すこと。二人の人がことばを交わすこと。会話。対談。

近年、対話が非常に注目されてきています。
戦争状態の利害関係者を対話で創造的な解決に導くこともあります。
リーダーシップにおいても対話が重要視されています。

私見になりますが、対話とは、例えば「相手を深く判る話し合い」とでも表現できると思います。

さて、ファシリテーターとしては、

個人として、相手を深く判るような話し合い、ができる技能やコツ

そして、相手を深く判るような話し合い、の場を創り上げる技能やコツ

が必要になると考えています。

対話向けだけの技能ではありませんが、傾聴なども必要です。

対話の場ができると、創造的な結果が生み出される。
そんな事例は、書籍でも出てきています。
例えば「ダイアローグ」「出現する未来」など参考にしてみてはいかがでしょうか。
他にも参考になる書籍は、、、このブログでもご紹介できると思います。

ファシリテーター育成(11)対立解消

ファシリテーター育成ファシリテーターとなるために必要な技術、考え方の説明を続けています。

今回は 「 対立解消 」 について。

率直に語れる場ができて、良い進行役がおり、信頼感もあり、参画している皆さんで何か成し遂げようという意思が働いている時は、合意が進みやすいでしょう。

さて、実際は合意が進まずに、対立点に焦点が当たってしまう事もあるでしょう。

立場などの違いから意見が激しく対立してしまい、延々と時間を費やす。
このようなことに陥っていませんか。

このような対立が起こっている場合、ファシリテーターとしては 「対立解消の技術」 を使う場合があります。
それは、大まかには、

・事実を明らかにする
・感情と事実を切り分ける
・意見がかみ合うようにする

こういったことを

・対立や合意といったコミュニケーションの流れにおける人の感じ方(心理)の変化
・対立の解消手順やポイント
・対立解消への枠組み(フレーム)

などを使いながら、参加の方の話し合いが進むように促してゆきます。

ファシリテーターが解決するのではなく、流れや必要に応じて支援や促進を行って参加の方自身が解決できるように動きます。

リーダーや管理職の方がこういった方法・技術を使う場合は、職位を強調せずに対立に対して中立な姿勢・理性的な姿勢で取り組むのが良いでしょう。

また、対立解消の技術ではありませんが、対立解消時に有効な対処方法があります。
対処方法と言うよりは心理学の一分野の活用です。
対立が起こっている時は怒りも伴っていることがあります。感情的な対話から理性的な対話を行うために、TA(交流分析、心の状態に応じた対応方法などの心理的手法)を活用した対話方法を活用すると素早く・こじれずに理性的な対話ができるようになるでしょう。

対立解消の技術はファシリテーションの応用分野となります。
ファシリテーション応用(対立解消) といった研修で、こういった方法を学んでも良いかもしれません。

ファシリテーター育成(10)合意形成

ファシリテーター育成ファシリテーターとなるために必要な技術、考え方を説明しています。

次は、 『 合意形成 』 の技術です。

「合意」を広辞苑で見てみましょう。

合意 意志が一致すること。

シンプルですね。では「意志」とは。

意志 物事をなしとげようとする、積極的な志

ちなみに、

意思 考え。おもい。 です。

合意形成とは、「 積極的に物事を成し遂げようとする志を形作ること 」

となるでしょうか。

さて、ファシリテーションの基本的な流れにも合意はあります。

プロセス進行上の合意。
それと同時にそこまでの内容への合意。

さて、ここで掲げた合意形成の技術とは何でしょうか。
それは、

志をはっきりさせ、違いを越えて創造的に志を形作る流れを作る技術

ということのように考えられます。

もう少しシンプルな表現もあるでしょう。(少し、広辞苑的な表現になりました)

この中には、事実の認識、違いの認識、信頼感の醸成などなどの技術と具体化されてきます。
小さく捉えると、ファシリテーションプロセスの整理の段階におけるやり方とも言えます。
大きく捉えると、多人数で難しい内容を長期に合意を図るような流れとも言えます。

さて、合意形成やファシリテーションなど技術のように見えるコミュニケーションは、使う人の考え方や姿勢が問われます。

技術・道具を使うには良い心構えが必要なのかもしれません。
ナイフを使うにはナイフを使うなりの心構え。合意形成であれば、人の志を形作るという心構えがある方が良いでしょう。

ファシリテーター育成(09)心理学的スキル

ファシリテーター育成ファシリテーターに必要なスキル、次は『心理学的なスキル』です。

かなりぼやけた言い方をしていますが、例えば以下のような心理学的な分野の知識やスキルがあると、ファシリテーションやコミュニケーションにも余裕や幅がでてきます。

1.NLP(神経言語プログラム)
2.TA(交流分析)
3.社会心理学
4.認知心理学
5.エンカウンターグループ
 等々

(人間性心理学の分野を細かく分けていたり等、切り分け基準に大小はありますが。。。)

それぞれ、深く掘り下げると一生かかる分野ばかりです。
しかし、その一部を日常生活やファシリテーション等に活用することでより良いチーム活動等が行えるようになります。

ファシリテーター、リーダーの方はこういった心理学的な分野の知識やスキル、考え方、体験をするのも良いでしょう。

ということで、出だしで必要なスキルとコメントしましたが、知って使えるとファシリテーターとしてもリーダーとしても、基礎がしっかりして応用力もつく一回りも二回りもおおきくなることのできる事柄ということになります。

挑戦してみてはいかがでしょうか。

ファシリテーター育成(08)ビジョンアプローチ

ファシリテーターに必要なスキル、次は『ビジョンアプローチ』のスキルです。

何かしらの問題が起こることは多いと思います。
そして、起こっている問題に焦点を当てて、問題を中心に解決を図ろうとするのが、前回触れたギャップアプローチです。

今回は、AI等で出てくるようになりました『ビジョンアプローチ』のスキルについてです。

例えば以下のような流れになります。

1.関係者が集まり

2.現状を共有します(問題、強み、特徴を含めて)

3.価値観を共有します。

4.どうなりたいか(ビジョン)を探究します

5.ビジョンを実現するための方法を考えます

6.方法を具体化した最初の行動計画を立案します

ビジョンに焦点を当てて考えると言うことでビジョンアプローチと表現しています。

上記の流れを本格的に一通り行った上で結果を得るには3~4日の日数が必要な場合も多いです。
ちなみに、ギャップアプローチで問題の本質を踏まえた行動計画の策定も2~3日かかります。

重要なのは、「どうなっているのか」(現状認識)、「どうしたいのか」(夢)です。
夢を語るには、徹底的に肯定的な問いかけで考えるのが良いでしょう。

深刻な、重大な問題を考える場合も、現状認識の一つと考えます。問題が起こったのが問題なのではなくて、何かを行おうとして問題が起こったわけです。その「何か」の方に焦点を当てて行動を起こすことで、結果的に問題が無くなるというアプローチをとっています。
「急がば回れ」を地で行っています。

注意点です。ギャップアプローチができない方や問題への認識が薄い人だと、問題を含む現状への認識が浅くなり
ビジョンや実現方法も浅くなる可能性が大きくなります。
問題解決(ギャップアプローチ)に慣れた方は、まどろっこしさを感じるかもしれません。
「理想と現実は違うのではないですか。」というお話を伺うときもあります。しかし、現状を正確に意識して夢に向かって進むというアプローチはそれほど不思議でないように思えます。

過去・現在・未来といった時間軸、そして個人や集団での思考を繰り返すことで、未来を作るアプローチとも言えるでしょう。
AIやFutureSearchのタイムラインを再度このような視点で考えると、様々な発見があるかもしれません。

大きな蛇足ですが、ビジョンアプローチにおいては未来を語る際にはナラティブな方法をとることが多いです。工作、絵画、歌、語り、演劇等です。夢ははっきりと体感出来た方が実現に向かいやすいということでしょう。さらに、聴覚や視覚、体感覚といった得意な感覚器に合わせて表現した方が良いでしょう。

ギャップアプローチもビジョンアプローチも本格的に取り組んで結果を出そうとすると、日数がかかったりします。
しかし、短時間の会議やワークショップにおいても、「どの部分」を「どの程度」「どのような効果を狙って」というようにプロセスを設計して使うと、良い結果がえられるでしょう。

ファシリテーター育成(07)ギャップアプローチ

ファシリテーター育成ファシリテーターに必要なスキル、次は『ギャップアプローチ』のスキルです。

活動を行っていて、何かしらの問題が起こることは多いと思います。

この問題(ギャップ)に焦点を当てて、問題解決を図る方法です。

例えば以下のような流れになります。

1.関係者が集まり

2.問題点を列挙します

3.問題・課題等内容の意識合わせを行います

4.問題の本質を探究します

5.ゴールと現状を明確にします

6.ゴールに向かうための方法案を多く考え、採用するものを決めます

ギャップを先に意識する、もしくはギャップを解決するアプローチをとるということで
ギャップアプローチと表現してます。

ファシリテーターが会議において、ギャップアプローチで問題解決を図る際はおおよそ上記の流れで会議を進行させると良いでしょう。
重要なのは、内容そのものもそうなのですが、参加者の合意と共有です。
別な表現をすると、何が問題で、何がゴールで、何がどうギャップなのかが合意できれば、解決に向かう現状に合った行動計画がとれることでしょう。

注意点としては、犯人捜しに陥りやすい事、問題のとらえ方が深まらない場合が多い事があります。

こういった方法には、コンサルティング的な手法が多々あります。
ここの技術をご紹介する機会もあるとは思いますがありますが、実際の現場ではなるべくシンプルな方法で「合意と共有」を図るようにした方が実際的です。

問題点の列挙や意識すりあわせ等、会議の各部分で板書(ファシリテーショングラフィック)なども活用してみてください。

ちなみに、ギャップアプローチのギャップとは実は問題点そのものと言うよりは、理想と現状の差を指します。

ファシリテーター育成(06)ミーティングデザイン

ファシリテーター育成ファシリテーターに必要なスキル、次はミーティングデザインのスキルです。

何かしらの会議、ミーティングには目的があると思います。

企画会議、報告会議、検討会議、等々

ここで、単に会議を行うのではなく、事前にミーティングのデザインを行った方が良い会議ができます。

会議やワークショップも含めて活動のデザインと言っても良いかもしれませんが、今回は会議に焦点を当てます。

ミーティングデザインの留意点は例えば以下の通りです。

1.会議の目的、テーマ、ゴール

 会議を開催するからには、会議自体の目的、テーマ、ゴールがあると思います。
 まずは、目的、テーマ、ゴールを踏まえます。
 もしかしたら、そもそも集まる必要は無いかもしれません。
 これは、目的、テーマ、ゴールを検討する際に判ってきます。

2.参加者

 会議に参加する方は、会議の目的、ゴール、テーマに相応しい方が良いでしょう。

3.手段

 目的、テーマ、ゴールに応じたミーティングの手段はいろいろあります。
 選ぶ手段としては、例えば以下のものがあります。
  対話
  伝達
 手法の名前で選ぶならば、AI、WorldCafe、FutureSearch等の手法があります。
 どちらかと言えば、手法の名前より「目的、テーマ、ゴール」が重要です。
 目的、テーマ、ゴールに応じて、グループや個人がどのように理解や共有
 が進む動きを行えば良いか考えた流れ(プロセス)の結果が手段となります。

4.グループ

 これも、目的、テーマ、ゴールに応じて、グループの人数を決めます。
  少人数 × グループ
  中規模
  大人数

  グループ構成は随時変更することもあるでしょう。

  例えば、大勢での伝達会の場合は、大人数で1グループでしょう。
  大人数でビジョン共有を行う場合、例えば4人グループにして何回も違う
  グループで話す方法もあります。

5.場所

 開催場所も案外重要です。
 部屋によっては、使えない手法が出てきます。

6.時間

 使える時間によっても、手法やゴールが変わってきます。

7.文房具

 手段によっては、各種の文房具等が必要な場合があります。
 

このような点に留意しながらミーティングをデザインしてゆきます。

ファシリテーター育成(05)ファシリテーションプロセス

ファシリテーター育成ファシリテーターに必要なスキルを解説しています。

「ファシリテーターになる」という表現に違和感があるときは、支援型リーダー育成について語っている解釈いただければと思います。

『ファシリテーションプロセス』 に関するスキルも当然ながら必要となります。

ファシリテーションプロセスの解説自体は、別の解説を参照いただければと思います。

そして、ファシリテーションプロセスを学ぶ手段としては、

1.書籍などで学習する
2.研修で学ぶ
3.身近な他人をまねる

このような方法があるでしょう。
特に身近な他人と言っているのは、書籍等で学んで自分はできないけどこの人のこの部分はファシリテーター(と言うか、人や流れ等を促進する動きをしている)だと感じる時があると思います。そういった人のその行動をまねるのが良い学びとなるでしょう。

ファシリテーションプロセスを理解すると例えば以下のようなメリットがあります。

1.会議プロセスをファシリテートできる

非常に身近な例ですと、会議のような短時間の話しの流れを目的に沿って促進することができます。

2.プロジェクト等組織をファシリテートできる

プロジェクトの促進方法(プロジェクトマネジメント)そのものを学ぶわけではありませんが、関わる人が心地よく活動する感覚が組織のファシリテート、プロジェクトの促進に役立ちます。

何かモノゴトを進める上で、一定の流れに沿うコトによって、心地よく進行して多くの方が参画出来る一つの方法がファシリテーションプロセスです。

私たちが説明している、特にビジネス分野でのファシリテーションプロセスですが、活用する皆様のその時々に合った流れを使っていただくのが良いと思います。

そして、特にファシリテーションプロセスと呼ばなくても、「会議の流れ」等適当に呼んで現場で使っていただく方が使いやすいでしょう。

ファシリテーター育成(04)コミュニケーションスキル

ファシリテーター育成ファシリテーターにまず必要なスキルは、
『コミュニケーションスキル』です。

どのビジネスマンにも必要であり、スキルを深めるとなるとかなり練習や現場経験が必要だったりします。

ファシリテーターにとって必要なコミュニケーションスキルは、例えば以下のようになります。

① 観察

  一人ひとりの方の観察。グループの観察。
  場や周囲の観察です。

  ファシリテーターを経験すると、観察が非常に重要であることが判ってくるでしょう。
  場や人への行動は、観察から始まります。

② 傾聴

  一人ひとりの方に対する傾聴。グループや場に対する傾聴です。
  また、内容を詳細には傾聴せずに全体を感じることも必要です。

③ 伝達

  正確に内容を伝える。受け取り側が受け取りやすいように伝える。
  率直に伝えるスキルです。

④ 質問

  一人ひとりの方への質問、状況や探究等。
  場への質問、投げかけのスキルです。

  この質問のスキルもファシリテーターにとっては非常に重要なスキルです。

  例えば、
   観察してグループが停滞していることに気がつき、
   「どのような状態ですか」 と、まず確認の質問で注意や集中力を喚起する
  といった使い方になります。

コーチングやコーチのためのスキルとも重複する部分も多くあります。
また、深めてゆくとNLPや交流分析等の心理学的な技術の領域にも入ります。

ファシリテーターのコミュニケーションは、上記にも記載したとおり、次のようなことを意識するようになります。

 1.個人に対するコミュニケーション
 2.場に対するコミュニケーション

  場は個人の集まりなのですが、人に焦点を当てすぎない感じとなります。
  木を見て森を見ずという言葉があります。
  木を見る時もありますし、森全体を見る時もあるという表現が似ている感じがします。

まずは「観察」「傾聴」「伝達」「質問」の基本的な部分を意識してみてはいかがでしょうか。