システム思考(03)氷山モデル

システム思考元大リーガー 松井秀喜選手の座右の銘があります。

心が変われば、態度が変わる。
態度が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、習慣が変わる。
習慣が変われば、人格が変わる。
人格が変われば、運命が変わる。
運命が変われば、人生が変わる。

松井選手は、高校時代の恩師・山下監督からこの言葉を贈られたということです。

この言葉、アメリカの心理学者 ウイリアム・ジェームスの言葉です。1900年代初頭に活躍し、「経験と教育」でも有名なジョン・デューイと並ぶプラグマティストの代表です。

さて、この話図示してみましょう。心を出発点にして人生が変わってしまうよ、という箴言です。

人生
 ↑
運命
 ↑
人格
 ↑
習慣
 ↑
行動
 ↑
態度
 ↑
 心

下から出発して、上に当たるものが変わってくるという構造になります。

人生という結果が心という見えないところを変えることで変わってくると読むことができます。

目に見えているところが、実は目に見えないところに立脚していて、目に見えないところを変えることで見えるところが変わる。

こういった例えを  氷山モデル  と呼びます。

人材畑の方は、コンピテンシーの氷山モデルでご存じかもしれません。

さて、システム思考では、

 表面に顕れる事象(問題・課題)には、下に隠れたものがある 

という考え方をしています。

この、システム思考の氷山モデルの構造は、

  事象
   ↑
 行動パターン
   ↑
  構造
   ↑
意識・無意識の前提

と表現されます。

つまり、今一瞬の事象は、行動パターンの結果だという考え方をします。
そして、事象(問題)をモグラたたきするよりも、行動パターンを捕まえて、構造から変えよう。
構造の前の、意識・無意識の前提を見直すことで、事象を変化させようとします。

この方法で問題解決を進めると面白いことが起こります。

事象が問題だと思っていると、
行動パターンを見ようと行動パターンを分析して、構造が見つかります。
よーし、構造を変えるために、◎◎な考え方を変えるかと意識・無意識の前提を変えたりします。

そうすると、問題が解決、、、したのではなく、消滅したりします。

実は、問題は問題ではなく現象で、意識・無意識の前提の「◎◎」な考え方が問題の根っことなります。

問題はそもそも本当の問題か、問題への問い方と問題の表現を適切にすることで、問題の解決は近づきます。

こうなると、問題を様々な見方をして、図示することが有効になるのがあぶり出されてくると思います。

さて、ウイリアム・ジェームスのことば、ちょっとむりやりにシステム思考の氷山モデルに当てはめてみましょう。(表示が崩れなければ良いのですが、、、、)

人生 —+
 ↑   |→  事象
運命 —+    ↑
 ↑       ↑
人格 —+    ↑
 ↑   |→ 行動パターン
習慣 —+    ↑
 ↑       ↑
行動 —+    ↑
 ↑   |→  構造
態度 —+    ↑
 ↑       ↑
 心    意識・無意識の前提

案外と相似形のようにも感じます。
結果が(問題が)過去の行動の、過去の考えに対する当然の帰結であるのであれば、これも当然のように思います。

システム思考(02)分析と全体

システム思考アクアリウムをご存じですか?
水槽で水生生物を飼って楽しむことですね。

喫茶店で、見事なアクアリウムを見かけることがあります。水藻と淡水魚と小さなエビなどなど、見ていると落ち着きます。

アクアリウム、自分で作るとなるとなかなか大変です。
私は、小さな頃に金魚を飼った事ぐらいなのですが、お話を聞くとバランスがかなり大変だということです。

このアクアリウムは、一つの世界、一つのシステムと考えることができるでしょう。

この水槽で、魚を生き延びさせるには、と考えるとしましょう。

「魚が生き延びる」のを『魚』に注目すると、
魚の重さ、大きさ、どの位食べるか、運動量は、、、、などなど考えられるかもしれません。

こういった考えの方式は、分析的と言えるでしょう。

一方、「魚を生き延びさせる」ということを、『水槽全体で』考えてみると、
魚が食べるもの、酸素も生み出す、糞はどうなる、水が汚くなると住みにくい、、、

といった感じで、大きな視点、魚以外の様々な視点からも考え始めます

この考え方は『システム的』もしくは、全体的、俯瞰的とも言えるでしょう。

システム思考のお話をしているので、システム的とでもしておきます。

システム思考による物事のとらえ方、分析的と言うよりは、全体的俯瞰的に物事を捉える見方となります。

システム思考(01)システム思考とは

システム思考梅の木は根も梅なれば種も梅 枝も葉も梅花も実も梅

いきなり梅の木の話になりました。
二宮尊徳が自分の考え方を短歌にして伝えたもの(道歌)の一つです。

なんだ当然のことと思えますが一応解説を、、、、

梅の木というものは、根っこも梅である。種も梅である。枝も梅である。葉も梅である。実も梅である。

当たり前です。
種だけ見ると、桃だか梅だか判らなくても、全体を見れば間違い無く梅だと判ります。
一部だけ見ると見間違う可能性もあります。

その問題は、どの部分で見た時の問題でしょうか。

二宮先生の道歌からもう一つ、

天地(あめつち)の和して一輪福寿草 さくやこの花幾代経(ふ)るとも

天気の様々な影響、土地の様々な状態、その影響が一つとなって福寿草が咲いている。一年草の福寿草が来年も再来年も様々な天気と土地の環境で育つ結果、毎年咲いてゆく。

二宮尊徳は、農村の復興、農業改革家の一面を持っています。
米を育てる、人を育てる、村を復興することに生涯取り組んでいます。

そして、物事や問題を捉えるには、「全体」をがあること「変化」があること、「相互」に影響しあって「結果」が出ることを示しています。

全体のことを「一円」とも表現します。

二宮尊徳は、「全てのものはお互いに働き合い、一体となって結果が出る」ことを『一円融合』という考え方として今に伝えています。

そして、ようやくシステム思考です。

最近、地球環境問題などを、大局的全体的な視点で捉える考え方が使われています。

システム思考です。

システム思考とは、「ものごとをシステムで捉えられる考え方」です。

システムで捉えるので、
  一面的なものの見方になりません。
  短期的な見方になりません。
  浅い見方になりません。

ひっくり返すと
  多面的な見方で
  長期でも短期でもどのようになるか判り
  本質的な見方になります

(上手にシステム思考としての考え方をした時ですが、、、)

システム思考は、「成長の限界」などの報告・著作でデニス・メドウズ、ドネラ・メドウズを始めとした人達の活躍で広まってきています。
学習する組織、もしくは組織学習を促す道具、手法としての側面も持っています。

システムとは(広辞苑)
  複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。組織。系統。仕組み。

システム思考は、弊社開催のセミナーでもお世話になったチェンジ・エージェントの小田さん、枝廣さんが日本のトップランナーですね。

ここでも、小田さん、枝廣さんや海外の文献なども踏まえてご紹介して参ります。

対話(05)伝え合う

対話対話とは、

 向き合って、伝え合って、理解し合う話し合い

と、定義しています。

今回は、 伝え合う について

言葉を発すれば話しはできます。
それこそ発語できる方はだれでも話はできます。

その話は伝わっていますか?
伝わらなくても、言って満足する話でしょうか。

話すだけであれば、 会話 という言葉があります

一応広辞苑で確認します。

会話  二人あるいは小人数で、向かいあって話しあうこと。また、その話。

私たちは、会話とは、話をし合う くらいの意味で使っています。

内容や話をする姿勢、向き合い方、理解の程度はそれほど気にしていません。
言葉の用い方としてこのように使っています。

さて、話したからといって伝わるとは限りません。そもそも伝えたいかといったことも関係します。

対話のポイントとして「伝え合う」としているのは、

・伝える意図を持って話しをして
・相手に伝わって
・相手も自分に伝える意図を持って話しを伝える
・自分にも伝わる

こういったことを意味しています。
伝え合うことが進んでくると、独白のようになりつつも、皆で伝え合っているようにもなります。
そういった意味では、

「自分が」話す・伝える という段階
「相手に」伝える     という段階
(敢えて表現すると)「その場に」伝える   段階(話の流れに全員で乗っるような段階)

こういった段階を経て対話が成熟する、良い対話になってゆきます。

さて、最近、対話や話し合いの関する技術が種々でてきています。
ビジネスでも会議を含めた話し合いの進め方、会議ほどテーマを設定しないで、わかり合うことを重視した対話の重要性も叫ばれてきています。話すには、伝えるには、自分や相手の心の状態も関わって来ます。

そう考えると、対話に関係する技術は、どのくらいあるでしょうか。
例えば、次のような技術になります。

話し合いの進め方(ファシリテーション)、話し合いの見える化(ファシリテーショングラフィック)、AI、NLP、TA、ワールドカフェ、OST、フューチャーサーチ、アクションラーニング、アサーション、対立解消、U理論、・・・・

きりがありませんが、敢えて区分けすると次のようになるでしょう。

・心に関係する技術
・話の仕方に関係する技術
・小集団の話し合いの進め方に関する技術
・大集団の話し合いに関する技術
・合意形成に関する技術
・未来を描くことに関する技術
・深い理解に至る技術
・集団による学びの技術
 (敢えて重複を許した区分をしています。)

実際の対話環境は、目的や目標(やりたいことやゴール)を想定すると、実施できます。
別項でお話しましょう。

さて、 対話における 「伝え合う」 簡単な言葉で言い換えると

 ちゃんと聴いて、相手に配慮してちゃんと伝える

このようにも表現できます。

2016年6月13日 | カテゴリー :

対話(04)向き合う

対話対話とは、

 向き合って、伝え合って、理解し合う話し合い

と、私たちは定義しています。

なぜこのように考えているのか

今回は、 向き合う について

話をするとき、

部下と、上司と、同僚と、お客様と、出入りの業者の人と、パートナーと、、、、

向き合えていますか?

何かの理由で、相手の方がそこにいることを尊重できているででょうか。
敬意を払えているでしょうか。

言い換えると、「自分はこうだ・・・」という思いが強すぎることはありませんか。

話しをする場には、当然ながら自分以外の人がいます。

相手がいてこその対話です。
対話とは理解し合う、というところまでができて対話と考えています。

言いっぱなしだったり、命令、高圧、傲岸、、、、そして結果として自分しか見えていない、相手がいないとの同じ(無意識の無視とでも言えるでしょう)といった状態では、理解し合うといった対話にはなりません。

何かの伝達会議では、言いっぱなしといった状態もあるでしょう。

向き合っている状態とは、例えば、

お互いが受け入れられ、尊重されていて、お互いの発することを快く受け止めるよう、心の準備ができている状態

と考えています。

向き合えているとお互いに信頼関係が育まれます。

対話の環境が器という表現をされることがあります。
対話の場にいる人たちのお互いの信頼関係、受け入れれている、何かしゃべっても良いのだという感覚が強くなると、器ができるといった表現となります。

対話の場、器は、向き合うことで育まれます。

では、向き合う、対話できるようになるにはどうすれば良いでしょうか。
意識できるようにして場数を踏む、、、のが一つの手段でしょう。
やり方を学んで実践するのも一つの手段です。

2016年6月13日 | カテゴリー :

対話(03)人数

対話対話する。
対話とは、何人くらいで行うのが良いのでしょうか。

対話と言ったら二人だよ、、、という方もいらっしゃるかもしれません。

様々な見解がありますが、一つの答えは 10人程度 です。

但し、急いで補足をします。
私見ですが  何人でも  というところが本当ではないかと考えています。

なぜか。
「向き合って、伝え合って、理解し合う話し合い」ができれば対話だと考えています。

どの程度の話題に対する深さ、
どんな場所で、
どんな長さの時間でなどなど
は定めていません。

と言うことは、世界中でインターネットを使って1年間かける話し合いも対話となり得るでしょう。

とは言え、『やった感』、参加者がその場で声を交わして対話を実施したと実感できるのは、 10名くらいの話し合いとなります。
お互いが信頼、理解できている状況では、20人程度でも良い対話ができます。

では、50人100人、1000人では無理なのか、、、無理ではありません。

そこで、近年の様々な手法的な工夫を活かしてもよいでしょう。

ここにおいては、対話の場づくりの組み立て・設計が重要になってきます。
それは、とあるテーマ、とある時間で、何人の人が、どのようになっていたいかなどを検討することです。

本当に99人とは話せなかったけど、なんとなく全員と話したような対話の実感が持てる。そして対話した内容を全員が共有している。
このようなことも可能です。

問題意識を共有する、社の理念やビジョンを共有する、今思っていることを共にして仲間意識を深める。
どのような人数でも可能です。かけられる時間や場所、制限そしてゴールなどによって設計してゆきます。

じっくり話して、お互いが十分に何も言わないでもわかり合うような状態にまでなりたいのであれば、10人でも非常に時間のかかることでしょう。

日本人が古くから、十分に対話をしてきた、そんな痕跡があります。
宮本常一の忘れられた日本人に出てくる、寄り合いでじっくりと話をしている場面です。
お互いに、言い足りないことが何もなくなるまで言って、聴いて、そして考えて結論を出しています。

今だからこそ活用できる手法を織り交ぜながら、様々な人数で対話してみても良いでしょう。

2016年6月13日 | カテゴリー :

対話(02)対話の定義

e0007672_1225273.jpgビジネスの現場で、組織開発で、そしてワークショップやワールドカフェといった取り組みで、『対話』(ダイアログ、ダイアローグ)が注目されています。

今回は、その定義から。

対話(ダイアログ)の定義、それほど定まったものはありません。
ごくごく一般的にも、「対話」と呼んでる話し合いは行われています。

ここでは、学習する組織や組織開発、人材開発などの分野で、注目されてきている「対話」「ダイアログ」について触れます。

デビッド・ボーム は、

 共通理解を探し出す行為

アダム・カヘン は、

 対話には、一方的に話す対話、討論の対話、内省的な対話、生成的な対話があるとしています。

中原淳、長岡健(東京大学、産業能率大学) によると、

 共有可能なゆるやかなテーマのもとで、聞き手と話し手で担われる、創造的なコミュニケーション行為

広辞苑では、

対話 向かい合って話すこと。相対して話すこと。二人の人がことばを交わすこと。会話。対談。

そして、ここでは、

対話とは、

 テーマを持った率直で深く自由な話し合い  と定義します。

さらに表現を変えると、

 向き合って、伝え合って、理解し合う話し合い とも言えます。

形を表現するか、結果を表現するかなどによって、変わってくることもあるでしょう。

職場で人が動くことを考えると、
 指示命令では部下が動かない
 上司から指示命令されても自分は動くのに納得できない
 言われて動いても事態は複雑で困難
など、現在では様々な事態が起こっています。

私たちの行うワークショップや研修も多くの対話、対話の技術を活用しています。
対話という行動・行為は人が成長する場を作り出しやすいものにします。

対話の解説続けてゆきます。

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対話のまとめ ≪こちらのページです!≫

2016年6月12日 | カテゴリー :

対話(01)対話のプロセス

対話近「対話」が注目されはじめています。

書籍「手ごわい問題は対話で解決する」 から

対話のプロセスについて触れてみましょう。

アダム・カヘン氏そしてオットー・シャーマー氏は、対話における聴き方に着目して次のように聴き方の状態があることを指摘しています。

一つ目の聴き方  ダウンローディング

 自分からのものの見方だけ(自分の枠組み、価値観)で聴いている状態
 

二番目の聴き方  ディベーティング(討論)

 討論会や法廷のように、外側、第三者的に話しを聴いている状態

三番目の聴き方  リフレクティブ・ダイアローグ(内省的対話)

 自分自身の話を内省的に聴き、他の人の話を共感的に聴いている状態
 
 
四番目の聴き方  ジェネレーティブ・ダイアローグ(生成的な対話)

 リフレクティブに加えて、全体から聴いている状態

三番目までは判りやすいかもしれません。
四番目の聴き方は、お互いが話さなくてもわかり合っていると感じていて、言葉を発する度に創造的な対話になっている状態です。

オットー・シャーマー氏は、この考え方も踏まえて『U理論』まで発展させています。

U理論の原書は、今翻訳されているという噂を聞いています。

偶然にも感じている生成的・創造的な対話の流れ、これは作り出せるようです。

2016年6月12日 | カテゴリー :

アイスブレイク(20)並んだ行列

アイスブレイク自己紹介系のアイスブレイク、ネタが命だったりします。
ちょっとした工夫で、身近な様々なコトがネタになります。

[アイスブレイク]
 並んだ行列

[人数]
 5~10人程度、以上は複数グループ

[手順]
 1.自己紹介をしてもらう
    自己紹介のネタの中に、「今までで一番並んだ行列」を入れる。

このテーマを使う理由と効果を踏まえて、アイスブレイクを行うと研修効果が出ます。
語るポイントを踏まえると他にも応用できます

アイスブレイク(19)アイスブレイクを作る

アイスブレイク様々なアイスブレイクをご紹介しています。

ボーイスカウト等の活動で、様々なアイスブレイクをご存じの方もいらっしゃると思います。

実際にビジネスの日常的な会議やワークショップで使うには、他のアイスブレイクをまねしつつ自分で作り上げるのが良いでしょう。

そこで、自分でアイスブレイクを作るポイントです。

1.目的
 何のためにアイスブレイクをしますか?
 話しやすい場を創るため、等の目的があると思います。
 会議の場合は、話しやすい場、上下の意識をなるべく取り払う等あるかもしれません。

2.ゴール
 しゃべれば目標達成
 体がリラックスする
 信頼関係のきっかけを作る
 会話のきっかけをつくる
  等 ゴールを定めるのが良いでしょう。
 
3.つながり
 アイスブレイクを行う前はどんな状態ですか。
 アイスブレイクの後は何が続きますか。
  体を動かす、頭をリラックスさせる、会話のきっかけ等、後に続く内容の準備となる
  アイスブレイクが良いでしょう。

4.内容
 アイスブレイクの内容は、何にしますか?
 自己紹介、体を動かす、脳を使う、コミュニケーション、、、等々

 多くのアイスブレイクを体験して自分の引き出しを作っておくと、まねるとも言わず
 場に応じた内容を思いついてきます。
 こうなると、構えることなくアイスブレイクを作り出せている状態ですね。

 そこまでになる前は、つながり等を考えていくつかの案を事前に練っておくのが良い
 でしょう。静かな場合はこれ、等々事前に案出しておくと安心です。

5.変える勇気も
 実施時の大きなポイントとしては、常に現場は変わるということを意識して下さい。
 現場の空気を読んで、変えたくなったら変更しても良いでしょう。