組織の真の価値が発見できるとされている方法があります。
アプリシエイティブ・インクワイアリ
(AI:Appreciative Inquiry)という方法です。
この方法は、肯定的な質問を行うことで組織の真の価値を発見して、可能性を広げる方法です。
提唱は、1987年にデービッド・クーパーライダー、ケースウェスタン大学教授、そしてダイアナ・ホイットニーらによって行われ、英国航空やNASA、ボーイング等に導入がされています。
ネーミングの通り、価値を認識して探求する方法であり、あえて要約すると未来志向(ビジョンアプローチ)の方法と言えるでしょう。問題点を問題点として把握し解決する問題解決志向(ギャップアプローチ)ではありません。問題点は認識しておいて、そのゴールとなる未来を目指して問題そのものも解決しようとする方法です。
AIの大まかなプロセスは4段階となります。
頭文字をとって、4Dサイクルという呼び方をします。
ディスカバリー(発見) ← テーマの選択(アファーマティブトピック選択)
↓
ドリーム(夢)
↓
デザイン(設計・構成)
↓
ディステニー(運命、実施と対応)
この4サイクルを循環させてゆきます。
ディスティニーは、現場での継続的な行動や活動になります。
さて非常に有用なAIですが、ドリームからデザインまで、通常おおよそ4日かかります。これは、長いようで真の価値、強みを見つけて夢に合意した後で計画を立てる、AIのフルコースとしては必要な日数でしょう。
組織の真の価値や強みが見つかり参加者が共有できるのであれば、4日はかかりますが、は非常に効果の高いプロセスだと考えられます。
問題が発生し、解決への組織力アップを依頼されることも多いです。
どうも問題点を問題点とだけ捉えると、問題にばかり焦点が当たって視野が広くなくなり、やる気も低下するきらいがあります。
AIのアプローチでは、問題は十分に踏まえますが未来の様子(ビジョンでもゴールでもドリームでも結構です)と強みを意識します。そうすると、気がつかなかった方策や再認識した強みをもとに、高まったやる気で行動ができます。
私達も、AIの様々な良いところも入れながら、現場に合ったビジョン共有に役立てています。
全体システムアプローチの第4回です。
全体システムアプローチ(ホールシステムアプローチ)は、複雑な問題、多くの利害関係がからむ問題など、一筋縄ではいかない事柄に取り組む際に使われることが多くあります。
例えば、
アパルトヘイトの南アフリカでの多様な民族や関係者での対話
米国マクドナルドや米海軍での意識共有やリーダーシップ開発
などです。
全体システムアプローチの手法は、AIやワールドカフェ、OST、フューチャーサーチなどあります。
そして、その活用分野の一つが 『 ビジョン共有 』です。
ビジョン共有に全体システムアプローチが使われる理由には次のようなものがあります。
1人の壁を越える
人数の壁を越える
論理の壁を越える
蛸壺の壁を越える
利害の壁を越える
もっと越えられるものもあるかもしれません。
さらに、今までかかっていた時間の壁を越える(以前より短時間)ことも挙げられるでしょう。
不確定な未来について、立場の違う人だからこそ感じることのできる問題意識やリソースへの認識をお互いに理解できることがビジョン共有に繋がります。
多人数でプロセスを工夫した率直な対話を行うと、自分のものの見方を多くの人に伝えることができます。
さらに多くの刺激によって新しい発見をして、同じ方向性のものの見方を持つことができます。
職場のちょっとした目標の共有や、もっと大規模なビジョンの形成や共有まで、全体システムアプローチを取り入れてみてはいかがでしょうか。
ビジョンの共有と大げさにならなくても、効果の上がる意識共有ができるようになります。
ホールシステムアプローチの第3回です。
AI(アプリシエイティブインクワイアリ)やフューチャーサーチ、ワールドカフェ、オープンスペーステクノロジーなど多くの方が一同に会して話し合って何かを得るやり方を、ホールシステムアプローチ、全体システムアプローチと呼んでいます。
用途としては、
ビジョンを共有・構築する
問題を共有する
解決策を考える
こういった用途に使います。
一人二人であれば、何もこういった手法を使う必要はありません。
一人で考え、二人で話し合うだけで事足りるかもしれません。
また「独裁者が指示すれば良い」と腹をくくって進むのであれば、悪影響は出ると思いますが上司の指示のみで動くのもあり得ます。
大人数の利害関係があり、複雑な問題であればあるほど、ホールシステムアプローチといった手法を使って取り組んだ方が物事が早く根本的に進みます。
では、どの程度の規模までこういった手法で取り組めるのでしょうか。
数百人から1500人の規模で開催した例も世界的にはあります。
100人だと体育館、パシフィコ横浜で500人、1000人だと球場や競技場での開催となるでしょう。
では、日数は?
日数も規模も、実は目的や目標などによって決まってきます。
ただ、どうしても1日でということであれば、未来や問題の意識の明確化やざっくりとした共有となるでしょう。
一度に500人、1000人で開催することもできますが、何のためにその規模の人が集まってどうなりたいのか、ここを考えてみることも大切です。
全体システムアプローチの第2回です。
全体システムアプローチの特徴の一つが
関係者です。
考える事柄に関わる人達(関係者)が、できる限り参加する
様々な事柄にいろいろな立場の人がいます。
賛成派も反対派もいることでしょう。住人や近所の人、会社のオーナーや作業員、協力している人々、など考えてゆけば様々な種類の関係者、立場の重複している人もいることでしょう。壮年、老年、学生や子どもも関係者かもしれません。
その事柄を 本当に 検討したいのであれば、こういった関係者が集まって
実際の社会全体、事柄全体 を表せるようにした上で、
率直に話し合って、解決や共有や創造といったことをしてゆこうとするのが、ホールシステムアプローチです。
とある所属の人達だけで話すと、話しそして考えの視点に広がりを持つことはできません。
恣意的に何か考えを一定方向にするのであれば、関係者を多様にしなくても良いでしょう。
しかし、本当に検討したいのであれば、多様な関係者があつまることが重要です。
近年、大人数で話し合うことで創造や解決を図る様々な手法が出てきています。
ワールドカフェ (WorldCafe)
エーアイ(AI) (Appreciative Inquiry)
フューチャーサーチ (Future Search)
オーエスティー(OST)(Open Space Technology)
U理論
他にも、見直されてきたものとして
ダイアログ (Dialogue)
といった手法です。(ダイアログは手法とはちょっと違いますが、、)
カタカナばかりで怖そうですが、対話を使った手法です。
対話の方法や段取り、進め方、表現や発想などを工夫すると
多くの参加者の率直な思いや考え方が共有でき、新たなアイデアを誘発して新たな変化が起こる
こういった手法です。
新たな変化とは、問題の本質の理解や共有であったり、新たなビジョンであったり、事業計画などであったりします。
こういった手法は、私達も数多く活用しています。
数人での深める対話や、百人以上での問題解決などなど様々です。
さて、こういった全体システムアプローチが有効だと考えられているのはなぜでしょうか。
その一つの回答は、今回のテーマでもある「全体」です。
物事を分析的に捉えたのでは限界があり、間違いや情報の切り捨ても多くなります。
そこで、分析的な捉え方をしても良いのですが、その後
全体として捉えてみる
全体を表現する、全体として捉える、全体性を大切にする、こういった取り組み方をすることで、抑圧などといった変な無理をすることなく自然と良い方向に向かうことが活用されています。
ビジョン共有について、第23弾です。
おかげさまで、農林水産省様といった行政や企業様で、ビジョンを描く浸透を図る、といったお仕事をさせて頂いています。
ビジョンの浸透を図る際には、他人の考え方や思いを自分の中でどのように理解し、位置づけるかといったことが行われます。
ここで、あまりにも固定観念が強すぎると、
相手の言っていることが理解できない。
相手の考え方が違う、間違いだと感じて聞き入れることができない。
となり、思いのすりあわせが一向に進まなくなってしまいます。
せっかくビジョン・思いをすりあわせようとしているのであれば、連想・発想が進む方法がいくつかあります。
既に2つ出ているので、3つめですね。
今回は、 『同じ』 ところを見つけてみる。
といったシンプルなものです。
話題が出てみたら、 「せっかく話しの流れで出て来た話題」ということで、『同じ』と思えるところを探ってみると一つのきっかけになります。
シンプルとは言え、 「違う」 という思いが強いと同じところはなかなか見えてこないかもしれません。
例えば、営業部と開発部は違うことは多いけど、所属している会社は同じ、お客様に提供しているものも同じです。
同じプロジェクトに参画しているのであれば、会社は違っていたとしても、プロジェクトの遂行といったことでは同じです。
どんな内容、どんなレベル、範囲、立場、意味で同じであるか、 思いをすりあわせる時に気をつけてみると突破口の一つになるかもしれません。
G・Shiftの、共有や浸透といったビジョン研修は、 ビジョンに関する知識ではなく、
今回のような「コツ」や、さらにビジョンを考える段階的な考え方や話し合いの方法といった、様々なアプローチでビジョンを創る・理解することに取り組みます。
「自分の職場で行うのも面白そう!」と思ったらお気軽にお問い合わせ下さい。
ビジョンの共有についていろいろと書き連ねています。
今回も連想を促すものについて触れてみます。
今回は、「興味」について。
連想は、相手や対象について思いや考えがつながってゆくことです。
つまり、相手や対象に興味や関心が無いと始まりません。
興味が連想につながるキーワードは、、、、
「面白い」 です。
この言葉、どんな時に使っていますか?
「この映画、面白かったよ」
「このお笑い番組、面白かった」
「面白い体験をした」
語義としては
・気持ちが晴れるよう。愉快。楽しい。
・心惹かれるさま。趣向がこらされている。
・一風変わっている。滑稽。おかしい。
・思うとおりで好ましい。
(広辞苑)
こんなところです。
連想を促すという主旨からすると、「心惹かれる」といった意味で主に使うことになるのではないでしょうか。
「面白い」という言葉、特別な言葉ではありません。
いつも使っていると思います。
ひょっとすると、積極的に使っているかもしれませんね。
さて、連想を促すキーワードとして「面白い」という言葉を使う時は、例えばこのようになります。
「私は、○○と思っているんだ。」
「それは面白い。それで、○○は、、、」と言葉を継いでゆきます。
じゃんじゃん連想したい時には「面白い」を連発してみるのも一手です。
どんな発言でも「面白い」と発言して引き取って、「○○の点で面白いね。」と続けるとどうなるでしょうか。
相手の発言に対して、半ば無理矢理興味を持って、かつ肯定的に捉えられる理由を無理矢理発見しようと脳が駆け巡ります。
面白いと思うだけよりも発言することで連想は広がります。
さらに、発言を書いてみると、考えがより明確になります。
会話に限らず、色々なことに面白がる。
面白いと発言してみる。
面白い理由をくっつけてみる。
発言を書いてみる。
興味を持つと、さらに知りたくなります。
知ると可能性に気づきます。
「面白い」で興味を持つと、連想はもとより色々な可能性がひろがります。
言葉一つで、思考や行動を促すこともできます。
「面白い」という言葉、意識して使ってみるのも良いのではないでしょうか。
ビジョンの共有についていろいろと書き連ねています。
今回は、ビジョン共有への「連想」を促す、いろいろなものに触れていきます。
連想を促し、ビジョン共有を促すもの、要素は色々あります。
今回は、「肯定」について。
「いいよ」「いいね」ということですね。
発する言葉、浮かんだ思い、相手への反応、こういった事柄を「肯定」的につなげると、一人はもとより多くの人での連想やビジョンの共有は進みます。
発想法であるブレインストーミングの方法でも「否定をしない」というルールがあります。
どんなにくだらないと思っても、「一旦」でも良いので肯定的に話をつなげていきます。
肯定ばかりしていると、話しがまとまらないのでは、、、、と心配されるかたもいるかもしれません。
心配は要りません。まとまってきます。ファシリテーションにおける収束を思い起こすとヒントになります。
さて、話し合いの中でこの考えを使うには、例えば、、、
「いいね。そして、○○・・・・」と 「いいね」で会話を受けて話しを広げる方法があります。
肯定的な話しのつなぎや言葉の使い方は、もう少し別の意味も持ちます。
例えば、「エラー率」という言葉があります。
どの程度エラーが起こるかを捉える言葉です。
100回に1回とか、1年で3日とか、計測する対象や計測の尺度は変わってきます。
通底しているのは、言葉の通りで「エラー・故障の起こる確率」です。
これをビジョン共有で使うことを考えてみましょう。
「エラー率を良くしよう。○○の程度に良くなればいいな」例えばこのような表現になります。
品質向上のためには、エラーが起こらないことは大切です。
そして、この大切なことの最良の状態は、エラーが無い、ゼロなことです。
そう、当たり前なのですが「エラーが0」であることが最良であり、限界でもあります。
ビジョンとしてエラー率を扱う際に、さらに発想・連想を進められる人は、エラーが0であることを踏まえて発想を進めることができます。
一方、エラーが0になったらもう安心、と発想が進まなくなる可能性も高まります。
「エラー・故障」という言葉が、否定的な意味を持っていることも手伝って発想が進まないということです。
これを「稼働率」とか「正常率」と表現を変えるとどうでしょうか。
稼働、正常であるのは、何かのためです。稼働し正常だから生み出される別の未来があります。
その未来がもっと良くなるように、連想を進めることが行いやすくなります。
否定的な意味でも連想は進めることはできますが、肯定的に捉え直した方が連想が進みます。
最後となりますが、品質管理においてはエラー率の把握は大切です。
より良い未来となるための、連想やビジョン共有においては、肯定的な捉え方を大切にした方が良いということです。
阻むものシリーズもありましたが、そこで取り上げていることも、、、、少し関連してきます。
また別項で触れていきましょう。
ビジョンの共有についていろいろと書き連ねています。
今回も、ビジョン共有への「連想」を阻む、じゃまするものについてです。
連想を阻むものを考える上で、ビジョンを創ろう・共有しようとする一人一人・個人に注目すると、
各個々人、そして自分が
「知っている」
という思いから抜け出せないことが、連想のじゃまをしてきます。
ビジョンについて、上司から聞いていたので知っている。
ビジョンとは何かを習ったので、定義や作り方を知っている。
あの人のビジョンは聞いたことががあるので、知っている。
組織のビジョンはちょっと検討したので、知っている。
知っているのは悪いことではありません。
知っているから、どうするのか。
それは、自分の将来像にどのような意味があるのか、、、、
何のために「知った」のか、知るだけで十分なのか。
を考えると、もう少し展開が進んできます。
ビジョンの共有についていろいろと書き連ねています。
今回も「連想」について触れましょう。
自分自身のビジョン・未来の姿を連想・空想・創造する際もいろいろと阻むものがあります。
1人でも大変なのですが、多くの人とビジョンを共にしようとすると、さらに阻むものが出てきます。
それは、「独り」です。
大人数で共にしようとしているのに、なぜかと言うと、、、、
共に同じ方向を向く、同じ夢を未来像を見ようとするときに、例えばこんなひっかかる事もおこってきます。
相手の言っていることが判らない
相手のこと、相手が語っている事に興味が無い
相手の言ったことに「違う」と感じてばかりいる
自分の言っていることを通したい、自分の方が正しい
相手の言ったことや居ること行いはどうでも良い
このようなことが起こると、話しが弾まない、連想が起きない広がらないとなってきます。
孤独であったり、独善であったり、自分の周りとのかかわりを大切にしていないと、このようなことが起こってきます。
こういった罠にはまらないようにすることが、連想やひいてはビジョンの共有へとつながります。