会議やワークショップなど何かのファシリテーションを行うとき、良いファシリテーションを行うコツは?
と問われると
感じる。 ことに気をつける。
というのがひとつの答えかもしれません。
いわゆるコツと言っても良いです。
感じてその後どうするか不思議に思うかもしれません。
何かするかもしれませんし、しないかもしれません。
例えば、とある人が発言しそうな表情をしていてだまっている時、
しばらく待つのも良い選択肢です。
場が流れたい雰囲気がする場合は、早めに促すかもしれません。
感じるためには、観察力が必要です。
但し、ある程度観察ができるようになれば、なんとなく全体を見ているという感じになります。
中には、場を信じてその場からいなくなるという方もいらっしゃいます。
特にAI,OST,FutureSearch,WorldCafeなどのホールシステムアプローチにおけるファシリテーションを含めた場の動きや手助けは、場や流れをを感じて素直に動くことがひとつのキーのようです。
会議などのファシリテーションにおいても、場や人そして流れを感じて、自分を信じて動いてもよいでしょう。また動かないのも良いでしょう。
内容ではなく、雰囲気や流れを感じることを意識すると、ファシリテーションが少しレベルアップするかもしれません。
ファシリテーションを活用した理想のチーム。
どのような姿、活動をイメージできますか?
リーダーがあれこれ指示をしている姿でしょうか。
一つの姿は、以下のような活動イメージだと考えています。
(但し、ファシリテーション、ファシリテーターのイメージが違う場合には、違う活動イメージになります)
自らが考え、自らが動き、支援し合い、チームで目標・目的に向かって活動する。
ファシリテーションスキルを、まずリーダーが活用すると、安心できる場や行動を促進できる場ができます。
これで、安心して相互にモノが言える場になります。
次に、誰かが調子が悪かったり(ミスや体調、業務ペース等)すると支援し合う促しを行います。
これで、お互いを気にかけたり、サポートを行う機運ができます。
さらに、リーダーは目標や目的のみを描いて、本当に必要な時以外はチームに任せるようになります。
こうなると、自分たちで考えて動くようになります。
ファシリテーションは、促進・支援の技術です。
会議の発言一つの促進・支援とも言えます。
そこから始まって、上記の姿はプロジェクトや組織の支援と進化を遂げるということになります。
これが、ファシリテーションの理想型、の一つと考えています。
お気づきになったかもしれませんが、ここまでに至るとリーダーはファシリテーションスキルの活用、というところを脱していて支援の姿勢でモノゴトに当たっていることでしょう。
これは、サーバントリーダーといった姿勢やあり方かもしれません。
カタカナを使わなくても、長老のようにどっしりと後ろで見守っているタイプのリーダーとも言えると考えられます。
ファシリテーションのステップ1ではアイスブレイクを行います。
アイスブレイクと言うと、ゲーム的なものを思い浮かべるでしょうか。
会議の手始めとしてのアイスブレイク、ファシリテーターとしてはどのようなものを選べばよいでしょうか。
これが正解、と言ったものはなく、場の目的やなっていたい状態、ファシリテーターの感性で選ぶのが良いでしょう。
ポピュラーなのは、「チェックイン」です。
場への参加表明となります。参加者が何を感じて場に臨んでいるかが判ります。
会議に関すること、今の感情、全然関係ないこと、、、場の雰囲気や信頼関係等に応じてテーマを決めれば良いでしょう。
見知らぬ人がいる場合は、「自己紹介」系のアイスブレイクが良いかもしれません。
見知らぬ人も含めて、場に臨む緊張感を取り除きます。
場が固い時は「体感型」のアイスブレイクが良いかもしれません。
「一人じゃんけん」のように、少し笑いを誘う程度のものもあります。
少し動く系統で「統計ライン」を入れてみるのも良いかもしれません。
いずれにしても、いきなり本題に入るよりは場をこなれたものにしたいな、発言しやすい環境、信頼のおける環境にしたいな、といった思いが起こった時にはアイスブレイクを活用してみてください。
「初めての人もいらっしゃるので自己紹介でも、、、」、とか、
慣れた仲間だと「では、チェックインから始めましょうか」と言うのも良いかもしれません。
皆さんのスタイルに合わせて活用下さい。
ファシリテーターは、場の支援と促進を行います。
そして、悩みどころになるのが、ファシリテーターの介入ポイントと介入方法です。
介入方法は、大きくは
① 説明する
② 質問する
③ 投げかける
④ 遮る
例えばこんな感じになります。
① 説明する
Step1 等で、流れやルールのを説明するような場面です。
② 質問する
これが非常によく使われる方法です。
③ 投げかける
質問と似ていますが、介入度の低い方法です。
独白の感じでも良いかもしれません。
④ 遮る
何かが合った際は、最終的には遮ることになります。
遮る程度が低い場合は、例えば質問の前の許可質問がこれにあたります。
場が壊れる、進まないような事態になる場合は、大きく遮る場面もあります。
さて、応用範囲の広いのが「質問」です。
Step2が順調に進み始めると、ファシリテーターは一見行うことが無くなります。
本当は、かなりの観察を行っています。
そして、何かが出来ていない状態、不足や欠けている状態を感知した際は、
質問の形で場に問いかけます。
感知する状態としては、以下のような状態です。
共有
合意
本質への深まり
チーム状態
プロセスの進行
このような状態で欠けているところを感知した時に、質問の形で場に問いかけます。
例えば、
だれか一人がしゃべりすぎている場合
→ 「チーム状態はうまくいっていますか」
ファシリテーターの方の使いやすい質問を使えばよいでしょう
ファシリテーションを行う上で、自分が拠って立つ位置を意識するのが良いでしょう。
今回は、ファシリテーションを行う時の立ち位置、ファシリテーターの立ち位置を考えてみます。
例えば、立ち位置を以下のように定めてみます。
■ : 強く場に働きかける、場の中に入る立ち位置
□ : 他の参加者と同じような位置から場に働きかける、場の周辺にいる立ち位置
△ : 一歩引いた位置から場に働きかける、場の少し外側にいる立ち位置
上記の立ち位置は、各ステップではおおよそ以下のように使い分けます。
第1ステップ 準備
10割■の立ち位置で、場の促進というか発進できるようにします。
第2ステップ 広げる
□と△が半々ずつの立ち位置で、何かの事態が生じると■となります。
場が進行しているならば、必要最小限の働きかけを行うといったイメージです。
第3ステップ まとめる
□と■が半々ずつの立ち位置で、収束を図るような力が加わります。
人に力を加えるというより、プロセスに影響力を与える(介入する)回数が増えると
いったイメージです。
第4ステップ 終了
おおよそ10割■の立ち位置で、場を終了させるようにします。
上記のように、ファシリテーションとはいえ、ほったらかしにするわけではありません。
「場の支援と促進」を行うように立ち位置を自分でコントロールします。
やや蛇足となりますが、立ち位置を応用的に使うと、例えばざっくりと以下のようにも考えられます。
「リーダー」の立ち位置を
引っ張る
みんなの前に出てリーディングを行う(ひっぱる)
結果を考える、目標を示す
(リーダーに求められる能力は多くのものがありますが、リーディングに焦点を当てています)
「コーチ」の立ち位置を
動かす
脇で併走する(目標を指し示し、激励し、方策を示す)
行動を考える
「ファシリテーター」の立ち位置は
見守る
必要であれば後ろから押す(考えさせ、支援する)
起こっている意味を考える、自己責任
例えばこんな感じに思われます。
ファシリテーターは、自在に立場を変えるのでリーダーやコーチの立ち位置も時と場合(意味)で使い分けます。また、メンターとの比較を行うのも良いでしょう。
今のリーダーは引っ張るだけではなく多くのことを期待されています。コーチングのスキルを身につけたリーダー、ファシリテーター型リーダーといった表現もされています。
今リーダーに求められているスキルは一旦置いておいて、いわゆるリーディング(ひっぱる)という事柄に対して考えます。
そうすると、ファシリテーターの立ち位置は見守ることを基本として、中にも入るような自在な立ち位置をとる役割と言えます。
今回は、ファシリテーションプロセスにおける立ち位置を解説してみました。
ファシリテーションの4番目のステップは「終わる」の追加説明です。
ファシリテーション(もしくは何か行った)最後には、皆さんからの『振り返り』を行う『分かち合い』のステップを入れると良いです。
○概要
会議の後で、参加者にこの場を振り返って感じたことをコメントしてもらいます。
○ポイント
ファシリテーター
1.感じたことが言いやすい場(サークルの形になる等)を創ります。
2.内容ではなく、プロセスや感じたことを振り返ってもらうようにします。
3.発言順は自由意志に任せます。(発言しないようだと、多少促しを行います。)
4.言いっぱなしの状況・場をつくるようにサポートします。
書記
1.記録の必然性があれば、板書を行います。
メンバー
1.内容ではなく、その場を終えて感じたこと、今感じていること、
言い足りなかったこと、流れ(プロセスについて)等について思うところを
コメントします
2.他人のコメントに口ははさみません
タイムキーパー
1.役割はありません。
もしも必要性があれば、ファシリテーターの要請に応じて時間の報告を行います
○コメント
前までのステップとはうってかわって、内容には一切触れずにそのほかのことを聞きます。
積み残しや感情、流れ(プロセス)について思うところを「言いっぱなし」します。
言いっぱなしても、皆さんが聞いているには違いがないので、それぞれの胸に去来するものがあります。
来ないかもしれませんが、来るとすれば
「この人はこう感じた」
「次はこのように気をつけよう」
「自分の気付きが深まった」等々、様々な気付きがあると思います。
こういった時間を持つと、思った以上に自分の気付きが深まり、チームワークも出てきます。
一言で言うと、チェックアウトを行っています。
ぜひお試し下さい。
ファシリテーションの4番目のステップは「終わる」です。
このステップでは、まず『結論を出す』ことを行います。
会議系のファシリテーションで、各種整理ができた後に「さぁ、これで最後」といったキメのステップです。
○概要
この会議での結論を、ファシリテーターが支援・促進し、メンバーが決めます。
○ポイント
ファシリテーター
1.まとめるきっかけを作ります。
2.まとめる方法とゴールを提示します。
(行動計画を作る、5W1H,6W2H、グループの計画、個人の計画 等)
3.ルール等を守ってもらうこと等、場を保持することを続行します。
4.ファシリテーターは比較的、場に入る感じになります。
5.最後、合意を取ります
6.次のステップへの導入(次回日程や内容、場所)が必要な場合は次回へ繋げます。
書記
1.共有する事項があれば、板書を行います。
メンバー
1.整理に基づいた、決定項目(行動計画等)を各自、もしくはグループで立案します。
タイムキーパー
1.時間の報告を行います
ファシリテーターの指示通り時間の報告を行います。
(5分前、予定時間経過時 等)
2.メンバーと同等の役割を担います。
○コメント
前までのステップで整理したことは、この場のゴールに合わせてまとめを行います。
まとめのかたちは、事前に設計した通りで、行動計画や、問題点、企画案、合意案等々の何らかのかたちになります。もしかしたら、時間が足らない等の理由で予定したまとめのかたちにはならないかもしれません。
いずれにしろ、「最後のかたちを決めて合意する」ことが重要です。
これが、行動計画であれば次は行動が重要になります。企画案であれば企画の詳細化となるでしょう。その他様々です。このように、会議や実行等について次につなげます。
ファシリテーションの3番目のステップ「まとめる」の説明を続けます。
会議系のファシリテーションで、シンプルに「分けた」後の「整理」のステップです。
○概要
メンバーが主役となり、話題を整理し、グルーピング、要約、優先順位をつけます。
○ポイント
ファシリテーター
1.グルーピング、要約、優先順位付けのきっかけを作ります。
2.メンバーの要望があった時に分ける支援を行います。
(グルーピング、要約、優先順位の考え方等)
3.ルール等を守ってもらうこと等、場を保持することを続行します。
書記
1.整理に関する板書を続けます。
メンバーの方が書くサポートをするようであれば、一緒に作業を行います。
メンバー
1.会議のゴールに沿うように、グルーピング、要約、優先順位付けを行います。
タイムキーパー
1.時間の報告を行います
ファシリテーターの指示通り時間の報告を行います。
(5分前、予定時間経過時 等)
2.メンバーと同等の役割を担います。
○コメント
シンプルに分けた後は、会議のゴールや目的に沿って、整理して、概念やかたちを揃えてゆきます。
内容によっては、グルーピングや、抽象度を上げたり、具体化したり、優先順位付けを行います。
各ステップにおいては、扱っている内容が「企画」なのか「具体案」、「行動計画」、「問題点」なのかは問うていません。
話しの内容によって流れは多少変わると思われますが、流れの基本的なところを説明しています。
整理の手法は、コンサルタントの方が使うような手法も含めて使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
会議ファシリテーション3番目のステップは、「まとめる」です。
このステップでは、広げた話題を集約してゆきます。
○概要
メンバーが主役となり、話題を何らかの考え方でまとめてゆきます。
○ポイント
ファシリテーター
1.分けるステップのきっかけを作ります。もしくはきっかけをメンバーに
意識してもらいます。
2.メンバーの要望があった時に分ける支援を行います。
(分ける考え方等)
3.ルール等を守ってもらうこと等、場を保持することを続行します。
書記
1.整理に役立つように、マーキングや関連性の表記に留意して板書を
続けます。
メンバー
1.出てきた話題を、可能な限り切り捨てることなく分けてゆきます。
2.分け方のアイデア、考え方を示します。
タイムキーパー
1.時間の報告を行う
ファシリテーターの指示通り時間の報告を行います。
(5分前、予定時間経過時 等)
2.メンバーと同等の役割を担います。
○コメント
深い整理の手前の、非常にシンプルに「まとめる」ステップについて触れました。
話題は広がるだけ広がると、収縮してゆきます。
但し、収縮の機会を失うとあらぬ方向に発散してゆくかもしれません。
「広がる」流れから「まとめる」流れが意識できて、参加している皆さんが会議の場
という船の船頭や漕ぎ手のように感じられれば、わけるコトも難しくは無いと思い
ます。
ファシリテーションのステップ2「広げる」の続きです。
このステップでは、話題を広げるだけではなく、話題を深める方向にも向かうようにします。
○概要
(ステップ2 補足)
メンバーが主役となり、話題を広げます。
さらに、話題を深めます。
○ポイント
ファシリテーター
1.話題の流れに応じて、深まる発言が出てくるような問いかけを行います。
2.ルール等を守ってもらうこと等、場を保持することを続行します。
メンバー
1.話題を広げるだけではなく、話題を深める、探究する発言や問いかけを
行うように気をつけます。
人の話を「取る」意識ではなく、自分の思いを「乗せてゆく」感覚の方が
良いかもしれません。流れや話題を受け入れて、さらに場においてゆく
感じです。
タイムキーパー、メンバー
「広げる」場合と同等の動きをします。
○コメント
話題を広げるだけではなく深める対話は、会議の質を高めます。
話題を深めるには、信頼関係を築いたり、率直に考える場とする等が必要となってきます。
普段の会議において、話題を広げて深める場になっているようでしたらしめたものです。