ファシリテーション(11)書記

ファシリテーション書記の役割について説明します。

○役割

書記の役割は「記録」です、当然のようですが。

但し、議事録のための記録ではありません。『その場の共有のための記録』です。

会議は目的に沿ったゴールに向かう場です。
これを実現する為に「その場での共有」をより効果的に行うために書記の方がいます。
議事録をとるのであれば、別に明確にすれば良いでしょう。

さて、書記のポイントはどういったところになるでしょうか。

表のポイント、裏のポイントがあります。

表のポイント

一言にすると、「共有を意識した記述」です。

①共有事項(ゴール、目的、ルール、メンバー等)を記述します

②話しの流れや文脈を記述します

③その人の意見やポイントを記述します

④場のツール(ブレスト等)によって、臨機応変に対応します

⑤皆が共有できるように記述します
 (1人で書くコトも、皆が書くサポートをするコトもあります)

⑥図示等を行い深い共有から理解促進まで行います
 (書記の役割に慣れてからで結構です)
 

裏のポイント

①話しのプロセスをサポートします

②ファシリテーターをサポートします

○コメント
 記述に関するコト(表のポイント)ができれば、議論は一段とかみ合って深まってきます。
 これに加えて、サポートに関するコト(裏のポイント)を意識したり、ファシリテーターと連携が取れるようになれば、鬼に金棒ですね。

 また、 リーダーでは無い方が、会議を活性化させる手段として、書記の役を買って出る場合があります。これは、書記が「書くコト」だけではなく、裏のポイントがあることを活用しています。

 事後に議事録をとる係は、別途決めておいた方が良いでしょう。板書のデジカメの場合もあると思います。清書する場合もあると思います。

ファシリテーション(12)タイムキーパー

ファシリテーションタイムキーパーの役割について説明します。

○役割

タイムキーパーの役割は『時間の報告』です。

微妙ですが、「時間の管理」まで行うとちょっと行き過ぎかもしれません。

会議の場は、皆さん内容に没頭します。
また、ファシリテーターもしくはリーダーの方は、一歩引くなり内容に入っています。

時間を気にすることがなかなかできない場合もあります。

そこで、時間担当のタイムキーパーを置きます。

まとめると、タイムキーパーの役割は2点です。

1.時間の報告

 ①定められた時間になったら時間を報告します。
   「あと5分です」「時間になりました」 等

 ②ファシリテーター等他の方から、時間を問われたら報告します。
   例えば、ファシリテーター「あと何分ですか」
       タイムキーパー「あと10分ですね」

 ③道具を使う
   時間の報告のために、キッチンタイマー等を使っても良いです。
   他にも、紙に「あと5分」と書いて指し示すのも良いでしょう。
   テレビ番組で見かける、ADが示すボードのイメージです。
   「こんな道具使います」と合意の上使ってみてください。

2.会議への参加(メンバーと同じ)
 
 メンバーの役割は次項で説明しますが、時間の報告以外はメンバーと
 おなじ役割を担います。

○コメント

時間を報告する役割だけを切り離していますが、メリットがあります。

1.時間を忘れない
 内容に没頭すると時間をどうしても忘れます。
 タイムキーパーが当初定められた時間の報告を行うだけで参加する皆さんが
 時間を忘れなくなります。

2.生産的な会議になる
 ファシリテーター、メンバー、書記がそれぞれの役割に没頭でき、
 より生産的な会議になります。

 例えば、ファシリテーターと兼任しても良いですが、頭のどこかで
 時間のことをいつも気にしていなければならないので、観察等の役割
 が手薄になる可能性があります。

3.参画意識が高まる
 役割があると参画意識が高まります。(役割効果)
 タイムキーパーも、時間の報告と共に内容への参画意識が高まります。

4.会議を客観的に見ることができる
 タイムキーパーが時間を報告するために、多少冷静でいなければなりません。
 冷静でありつつ参画するため、会議を客観的に見れるようになります。
 書記の時と似たような効果が得られるということです。

5.メンバー同士の支援を促進できる
 ファシリテーターが「時間です」と言うと、少し強権的です。
 これを、ファシリテーターがタイムキーパーに「あと何分ありますか?」
 「あと10分です」とクッションを入れると、「あと10分」という事実
 に焦点が当たりやすくなります。
 タイムキーパーを通して、メンバー同士の発言を促す形となり、メンバー
 同士の支援を促進できるようになります。
 メンバー同士の支援は、チームワークを醸成するきっかけとなるでしょう。

時間の報告のしゃべり口調は、その人のスタイルに合わせれば良いと思います。
場を和やかにする雰囲気の人は、時間の報告をするだけで場が和みます。

時間を報告する単純な役割ですが、この役割を活用すると、会議の安全弁と
して使えます。

ぜひ、活用してみてください。

ファシリテーション(13)メンバー

ファシリテーションメンバーの役割について説明します。

○役割

メンバーの役割は『場への参画』です。

会議等のテーマはその時々で変わりますが、会議のテーマとゴールという期待があります。
この期待に応えるのがメンバーの役割です。

メンバー以外の方は食器で表現すると「器」が役割になります。メンバーは「中身」を満たすのが役割となります。
会議の目的に叶うゴールの内容を創り出せるように参画するのが良いでしょう。

器を整えるのは他の方に任せておくとして、メンバーとして気をつけた方が良いポイントがいくつかあります。
ルールにもなっているものもあります。

1.良く聴く
 → 聴く、観察するのが最初です。

2.受け入れる
 → 聴いた内容は、一旦は受け入れましょう

3.短く話す
 → 考えは伝えないと伝わりません。
   但し、短く要約して話した方が伝わりやすく、他の方の想像力が
   膨らみます。
   短いと不安を感じると思いますが、判らなければ質問が出てきます。
   また、どんどん率直に質問や発展させる発言の出てくる場の方の方が
   活発な場でしょう。
   長く話し過ぎると、他人の時間を余計に盗むことになります。

4.思いやる
 → メンバーや役割を持っている方、そして場やゴールを思いやる、
   気を遣うようにしてみてください。
   自分のその時の思い(発言したい、注意したい、だまっていたい 等)
   だけで会議に参加することに比べて、良い場になります。
   実は、気を遣うためには観察をしています。

5.真面目に楽しむ
 → 様々な場、会議があると思います。
   どのような場でも、無駄な場にすると機会がもったいないです。
   真面目に取り組んで、だけど楽しむと、メンバーとして良い参画ができるでしょう。
   真面目すぎると堅苦しくなりますね。楽しむだけだと、ふざけるに行きがちかもしれ
   ません。
   その場を、真面目に面白がってみてください。

○コメント

会議はメンバーが主役です。
主役を引き立たせるために、ファシリテーター、書記、タイムキーパーがいると言っても過言ではありません。
メンバーが中身を創り出さないと誰も創り出しません。

そして、自分だけでなく他のメンバーも参画しないと良い場にはならないでしょう。
そのために、ポイントに気をつけてみてください。

このポイントの次として、発想を広げるポイントや方法、まとめたり整理したりするポイントも出てきます。
これは、役割と言うよりプロセスの部分で解説します。

メンバーのポイント、ぜひ活用してみてください。

ファシリテーション(14)場の設計

ファシリテーション現場でファシリテーションを行う前に、場を主催する方は様々な準備を行うと思います。

実は、事前の準備の重要性は、当日のファシリテーション(場の差配、進行と言っても良いかもしれません)に勝るとも劣りません。

逆に、事前の準備と周知がきちんとできているならば、場の進行はかなり円滑に行えます。

事前の準備としては、例えば以下の内容を検討するのが良いでしょう。

1.目的    何のために開催するか

2.テーマ   何を扱うか

3.ゴール   どの程度どうなれば良いか、どの範囲までその場で扱うか

4.メンバー  目的、テーマ、ゴール等に合ったメンバーは誰か、人数を何人とするか

5.日時・場所 いつ、どこで開催するか、時間はどの程度とするか

6.進め方   どのような進行でゴールを目指すか

7.役割    進行の上で役割をどう割り当てるか

8.資料    資料はどのようにするか、事前、直前、不要等

9.準備物   その他進行に応じた準備物等

10.注意点    何か注意点があれば事前に考えておきます

○コメント

何となく必要と感じた会議で、とりあえず招集してみた、という経験はありませんか。

会議開催の意義が薄いのであれば、もしかしたら集まらない方が良いかもしれません。
会議等で人に集まっていただくということは、その人の時間を拘束することになります。もしも無駄な時間として拘束してしまったならば、主催者はその人の時間を盗んだことになるかもしれません。

意義のある会議となるように、目的、テーマ、ゴールは考えた方が良いです。

ついやってしまいがちなのが、目的・テーマ・ゴールは脇に置いておいて日時とメンバーだけを押さえてしまうことです。

主催者の方は、目的、テーマ、ゴールを少しでも想定した上で告知をした方が良いです。
そうすると不要な会議が減ってきて、その分皆さんが他の活躍ができます。そして、会議どころか業務の効率化の結末として業績が上がる。ということにも繋がるでしょう。

ファシリテーション(15)告知

ファシリテーション会議等ファシリテーションを行う前に、主催者の方参加の皆さんには連絡を行うと思います。

前回、各種の事項に関して準備を行うと解説しました。

告知は、この一部を参加する方に伝えるようになります。

1.開催日時
2.開催場所
3.集まる主旨(会議の主旨)
4.主催者(主催部署)
5.参加者 司会進行役(ファシリテーター)やメンバーの所属や個人名)、役割
6.議事内容 テーマ、目的、ゴール
7.配付資料 (特に事前に配付した方が良いモノ等)
8.準備事項 (配付資料を読み込んでコメントを考える等の準備事項)

上記の内容を一気に伝えることは少ないかもしれません。
まずは、日時と場所だけかもしれませんね。

しかし、本来は、XXのために、YYの時点で、ZZの時間をとって会議が必要ということが周知できれば参画する気になるでしょう。
しかも、「あなたには、XXの役割が重要」と事前に言っておけば、役割を果たそうと会議が活発になるでしょう。

○コメント

前回、会議の主催者が検討するコトに触れました。
考えたことは伝えないと伝わりません。

目的は、良い会議等によって、何かを変化させる(プロジェクトを進行させる等)だと思います。

『なんで』皆さんのお時間をとって会議を行うのか。

そして参画してもらうために、「多くの方が参画できるような情報を伝えよう。」そう主催者が考えて告知するようになれば、良い会議も増えてゆくことでしょう。

ファシリテーション(16)ステップ1始める

ファシリテーション会議等のファシリテーションは4つのプロセスに分けて考えます。

Step1 始める
   ↓
Step2 広げる
   ↓
Step3 まとめる
   ↓
Step4 終わる

その第1ステップは「始める」です。

○概要
 場づくりを行い、共有します。

○ポイント

ファシリテーター
1.アイスブレイクを行う
2.役割分担を行い、役割を説明する
  ファシリテーター、タイムキーパー、書記、メンバー
3.共有事項をメンバーに伝達する
 ・テーマ、ゴール、目的
 ・時間(スタート、エンド、時間配分)
 ・進め方
 ・ルール
4.伝達事項の確認(合意)をとる

書記
1.板書を行う
 ・役割、名前(複数グループ時はグループ名等)
 ・日時
 ・テーマ、ゴール、目的、時間、進め方

タイムキーパー
1.時間の報告を行う
 ファシリテーターの指示通り時間の報告を行います。
  (5分前、予定時間経過時 等)
2.共有事項を理解し、合意する
 メンバーと同等の役割を担います。

メンバー
1.共有事項を理解する
 ファシリテーターの説明を聞き、不明点は質問等を行う。
2.合意する
 共有したことについては合意する

○コメント
なんとなく会議が始まる、といったことは多くありませんか。
会議の序盤で、このような場づくりと共有を行っておくと、これから行うことの準備ができます。
また、話し合いの前に場づくりとしてアイスブレイクを行っておくと、場がスムーズに回ります。
場づくりと共有の効果は、場づくりと共有を行った時と行わない時の会議の進み具合を、自分や参加者の言葉にしてもらうとはっきりと判るかもしれません。

ファシリテーション(17)ステップ1 共有事項

ファシリテーションファシリテーションのステップ1は「始める」です。

準備ステップでは、「場づくり」と「共有」を行います。この内容を前回解説しました。

今回は、ステップ1の準備の結果、何を共有するかを再度まとめます。

●共有事項
○共有する内容
 ・テーマ
 ・ゴール
 ・目的
 ・役割
 ・時間(スタート、エンド、時間配分)
 ・進め方
 ・ルール

○板書する内容(常に意識する道具として)
 ・役割
 ・名前(複数グループ時はグループ名等)
 ・日時
 ・テーマ
 ・ゴール
 ・目的
 ・時間(スタート、エンド、時間配分)
 ・進め方
 ・ルール

板書するものは、並びが若干違っており、名前等が追加されています。
板書は話しの流れに沿って書いてゆくことを多少意識しています。

また、皆さんで意識できて、後で立ち戻るために書かれていなくても大丈夫であれば、書く内容は少なくなってきます。

会議等を進行、ファシリテーションすると、例えば以下のようなことを実感されると思います。
 1.だらだらと話しをする
 2.話しがそれる
 3.何をやっているか判らなくなる
 4.参加意識がいま一つ涌かない人がいる(自分も含めて)
 等々
このようなことを防ぐ手段の一つとして、共有事項を板書しています。

共有事項を書かなくなると、上記のような状況が起こりやすくなるということは頭の片隅に憶えていた方が良いかもしれません。

ファシリテーション(18)ステップ2 広げる

ファシリテーションファシリテーションのステップ2は「広げる」です。

ファシリテーターの方の意識、そして参画している方の意識も広げる方向に向かうようにします。

○概要
 メンバーが主役となり、話題を広げます。

○ポイント

ファシリテーター
1.全員が発言できるように促します。
2.ルールを守らせるようにします。
3.対立状態等が起こりそうな場合は、事実と感情を切り離すよう促します。
4.どのような意見や質問も受け入れられるように促します。
5.話題が進んでいる時はほとんど何もせず、場と人の観察を続けます。
  話題が停滞している時は、書記の方への発言を促す等の行動をとります。

書記
1.板書を行う
 ・話しの流れを書き記します。
   キーワードで構いません。
   必要があれば、時系列や分割構造等で表現します。

タイムキーパー
1.時間の報告を行う
 ファシリテーターの指示通り時間の報告を行います。
  (5分前、予定時間経過時 等)
2.メンバーと同等の役割を担います。

メンバー
1.会議の主旨に応じて、話題を広げます。

 会議の主役としての活動です。
 これが円滑に進むように周りが場や流れを整え、促進しています。

 注意 ルールを遵守するようにします。
    話しを広げ始めると、端的な発言等ルールが守れなくことも多いです。

○コメント
ステップの1番目で場の共有を行った後は、実際に話題を膨らませます。
参加メンバーが場の主旨に合った話題を広げられるなら、ファシリテーターはほとんど何も行う必要はありません。
ファシリテーターがこの場面で必要とされるのは、やはり「全員の発言」と「ルールの徹底」です。
3~5のポイントは、この2点が十分に行えていればほとんど出番が無くなります。

と言うとは、「ファシリテーターは不要ではないか」と感じるのではないでしょうか。

これは『チームが成長したらファシリテーターは不要です』という答えとなります。
ファシリテーターが不要な状態となったチームは、お互いが成熟してモノゴトを自分達で共有し遂行出来るチームです。つまり、自立したチームです。

ファシリテーターが不要なチーム、もしくは全員がファシリテーターの動きができるチームを目指すと自立したチームができます。

広げるステップに話題を戻すと、自立したチームになるまでは話題の進行がぎくしゃくしがちになります。ぎくしゃくを無くして円滑に話題を進行させるためにファシリテーターが必要となるわけです。

ファシリテーション(19)ステップ2 深める

ファシリテーションファシリテーションのステップ2「広げる」の続きです。

このステップでは、話題を広げるだけではなく、話題を深める方向にも向かうようにします。

○概要
 (ステップ2 補足)
 メンバーが主役となり、話題を広げます。
 さらに、話題を深めます。

○ポイント

ファシリテーター
1.話題の流れに応じて、深まる発言が出てくるような問いかけを行います。
2.ルール等を守ってもらうこと等、場を保持することを続行します。

メンバー
1.話題を広げるだけではなく、話題を深める、探究する発言や問いかけを
  行うように気をつけます。
   人の話を「取る」意識ではなく、自分の思いを「乗せてゆく」感覚の方が
   良いかもしれません。流れや話題を受け入れて、さらに場においてゆく
   感じです。

タイムキーパー、メンバー
「広げる」場合と同等の動きをします。

○コメント
話題を広げるだけではなく深める対話は、会議の質を高めます。
話題を深めるには、信頼関係を築いたり、率直に考える場とする等が必要となってきます。
普段の会議において、話題を広げて深める場になっているようでしたらしめたものです。

ファシリテーション(20)ステップ3 まとめる

ファシリテーション会議ファシリテーション3番目のステップは、「まとめる」です。

このステップでは、広げた話題を集約してゆきます。

○概要
 メンバーが主役となり、話題を何らかの考え方でまとめてゆきます。

○ポイント

ファシリテーター
1.分けるステップのきっかけを作ります。もしくはきっかけをメンバーに
  意識してもらいます。
2.メンバーの要望があった時に分ける支援を行います。
  (分ける考え方等)
3.ルール等を守ってもらうこと等、場を保持することを続行します。

書記
1.整理に役立つように、マーキングや関連性の表記に留意して板書を
  続けます。

メンバー
1.出てきた話題を、可能な限り切り捨てることなく分けてゆきます。
2.分け方のアイデア、考え方を示します。

タイムキーパー
1.時間の報告を行う
 ファシリテーターの指示通り時間の報告を行います。
  (5分前、予定時間経過時 等)
2.メンバーと同等の役割を担います。

○コメント
深い整理の手前の、非常にシンプルに「まとめる」ステップについて触れました。
話題は広がるだけ広がると、収縮してゆきます。
但し、収縮の機会を失うとあらぬ方向に発散してゆくかもしれません。
「広がる」流れから「まとめる」流れが意識できて、参加している皆さんが会議の場
という船の船頭や漕ぎ手のように感じられれば、わけるコトも難しくは無いと思い
ます。