ファシリテーションの4番目のステップは「終わる」です。
このステップでは、まず『結論を出す』ことを行います。
会議系のファシリテーションで、各種整理ができた後に「さぁ、これで最後」といったキメのステップです。
○概要
この会議での結論を、ファシリテーターが支援・促進し、メンバーが決めます。
○ポイント
ファシリテーター
1.まとめるきっかけを作ります。
2.まとめる方法とゴールを提示します。
(行動計画を作る、5W1H,6W2H、グループの計画、個人の計画 等)
3.ルール等を守ってもらうこと等、場を保持することを続行します。
4.ファシリテーターは比較的、場に入る感じになります。
5.最後、合意を取ります
6.次のステップへの導入(次回日程や内容、場所)が必要な場合は次回へ繋げます。
書記
1.共有する事項があれば、板書を行います。
メンバー
1.整理に基づいた、決定項目(行動計画等)を各自、もしくはグループで立案します。
タイムキーパー
1.時間の報告を行います
ファシリテーターの指示通り時間の報告を行います。
(5分前、予定時間経過時 等)
2.メンバーと同等の役割を担います。
○コメント
前までのステップで整理したことは、この場のゴールに合わせてまとめを行います。
まとめのかたちは、事前に設計した通りで、行動計画や、問題点、企画案、合意案等々の何らかのかたちになります。もしかしたら、時間が足らない等の理由で予定したまとめのかたちにはならないかもしれません。
いずれにしろ、「最後のかたちを決めて合意する」ことが重要です。
これが、行動計画であれば次は行動が重要になります。企画案であれば企画の詳細化となるでしょう。その他様々です。このように、会議や実行等について次につなげます。
ファシリテーションの3番目のステップ「まとめる」の説明を続けます。
会議系のファシリテーションで、シンプルに「分けた」後の「整理」のステップです。
○概要
メンバーが主役となり、話題を整理し、グルーピング、要約、優先順位をつけます。
○ポイント
ファシリテーター
1.グルーピング、要約、優先順位付けのきっかけを作ります。
2.メンバーの要望があった時に分ける支援を行います。
(グルーピング、要約、優先順位の考え方等)
3.ルール等を守ってもらうこと等、場を保持することを続行します。
書記
1.整理に関する板書を続けます。
メンバーの方が書くサポートをするようであれば、一緒に作業を行います。
メンバー
1.会議のゴールに沿うように、グルーピング、要約、優先順位付けを行います。
タイムキーパー
1.時間の報告を行います
ファシリテーターの指示通り時間の報告を行います。
(5分前、予定時間経過時 等)
2.メンバーと同等の役割を担います。
○コメント
シンプルに分けた後は、会議のゴールや目的に沿って、整理して、概念やかたちを揃えてゆきます。
内容によっては、グルーピングや、抽象度を上げたり、具体化したり、優先順位付けを行います。
各ステップにおいては、扱っている内容が「企画」なのか「具体案」、「行動計画」、「問題点」なのかは問うていません。
話しの内容によって流れは多少変わると思われますが、流れの基本的なところを説明しています。
整理の手法は、コンサルタントの方が使うような手法も含めて使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
会議ファシリテーション3番目のステップは、「まとめる」です。
このステップでは、広げた話題を集約してゆきます。
○概要
メンバーが主役となり、話題を何らかの考え方でまとめてゆきます。
○ポイント
ファシリテーター
1.分けるステップのきっかけを作ります。もしくはきっかけをメンバーに
意識してもらいます。
2.メンバーの要望があった時に分ける支援を行います。
(分ける考え方等)
3.ルール等を守ってもらうこと等、場を保持することを続行します。
書記
1.整理に役立つように、マーキングや関連性の表記に留意して板書を
続けます。
メンバー
1.出てきた話題を、可能な限り切り捨てることなく分けてゆきます。
2.分け方のアイデア、考え方を示します。
タイムキーパー
1.時間の報告を行う
ファシリテーターの指示通り時間の報告を行います。
(5分前、予定時間経過時 等)
2.メンバーと同等の役割を担います。
○コメント
深い整理の手前の、非常にシンプルに「まとめる」ステップについて触れました。
話題は広がるだけ広がると、収縮してゆきます。
但し、収縮の機会を失うとあらぬ方向に発散してゆくかもしれません。
「広がる」流れから「まとめる」流れが意識できて、参加している皆さんが会議の場
という船の船頭や漕ぎ手のように感じられれば、わけるコトも難しくは無いと思い
ます。
ファシリテーションのステップ2「広げる」の続きです。
このステップでは、話題を広げるだけではなく、話題を深める方向にも向かうようにします。
○概要
(ステップ2 補足)
メンバーが主役となり、話題を広げます。
さらに、話題を深めます。
○ポイント
ファシリテーター
1.話題の流れに応じて、深まる発言が出てくるような問いかけを行います。
2.ルール等を守ってもらうこと等、場を保持することを続行します。
メンバー
1.話題を広げるだけではなく、話題を深める、探究する発言や問いかけを
行うように気をつけます。
人の話を「取る」意識ではなく、自分の思いを「乗せてゆく」感覚の方が
良いかもしれません。流れや話題を受け入れて、さらに場においてゆく
感じです。
タイムキーパー、メンバー
「広げる」場合と同等の動きをします。
○コメント
話題を広げるだけではなく深める対話は、会議の質を高めます。
話題を深めるには、信頼関係を築いたり、率直に考える場とする等が必要となってきます。
普段の会議において、話題を広げて深める場になっているようでしたらしめたものです。
ファシリテーションのステップ2は「広げる」です。
ファシリテーターの方の意識、そして参画している方の意識も広げる方向に向かうようにします。
○概要
メンバーが主役となり、話題を広げます。
○ポイント
ファシリテーター
1.全員が発言できるように促します。
2.ルールを守らせるようにします。
3.対立状態等が起こりそうな場合は、事実と感情を切り離すよう促します。
4.どのような意見や質問も受け入れられるように促します。
5.話題が進んでいる時はほとんど何もせず、場と人の観察を続けます。
話題が停滞している時は、書記の方への発言を促す等の行動をとります。
書記
1.板書を行う
・話しの流れを書き記します。
キーワードで構いません。
必要があれば、時系列や分割構造等で表現します。
タイムキーパー
1.時間の報告を行う
ファシリテーターの指示通り時間の報告を行います。
(5分前、予定時間経過時 等)
2.メンバーと同等の役割を担います。
メンバー
1.会議の主旨に応じて、話題を広げます。
会議の主役としての活動です。
これが円滑に進むように周りが場や流れを整え、促進しています。
注意 ルールを遵守するようにします。
話しを広げ始めると、端的な発言等ルールが守れなくことも多いです。
○コメント
ステップの1番目で場の共有を行った後は、実際に話題を膨らませます。
参加メンバーが場の主旨に合った話題を広げられるなら、ファシリテーターはほとんど何も行う必要はありません。
ファシリテーターがこの場面で必要とされるのは、やはり「全員の発言」と「ルールの徹底」です。
3~5のポイントは、この2点が十分に行えていればほとんど出番が無くなります。
と言うとは、「ファシリテーターは不要ではないか」と感じるのではないでしょうか。
これは『チームが成長したらファシリテーターは不要です』という答えとなります。
ファシリテーターが不要な状態となったチームは、お互いが成熟してモノゴトを自分達で共有し遂行出来るチームです。つまり、自立したチームです。
ファシリテーターが不要なチーム、もしくは全員がファシリテーターの動きができるチームを目指すと自立したチームができます。
広げるステップに話題を戻すと、自立したチームになるまでは話題の進行がぎくしゃくしがちになります。ぎくしゃくを無くして円滑に話題を進行させるためにファシリテーターが必要となるわけです。
ファシリテーションのステップ1は「始める」です。
準備ステップでは、「場づくり」と「共有」を行います。この内容を前回解説しました。
今回は、ステップ1の準備の結果、何を共有するかを再度まとめます。
●共有事項
○共有する内容
・テーマ
・ゴール
・目的
・役割
・時間(スタート、エンド、時間配分)
・進め方
・ルール
○板書する内容(常に意識する道具として)
・役割
・名前(複数グループ時はグループ名等)
・日時
・テーマ
・ゴール
・目的
・時間(スタート、エンド、時間配分)
・進め方
・ルール
板書するものは、並びが若干違っており、名前等が追加されています。
板書は話しの流れに沿って書いてゆくことを多少意識しています。
また、皆さんで意識できて、後で立ち戻るために書かれていなくても大丈夫であれば、書く内容は少なくなってきます。
会議等を進行、ファシリテーションすると、例えば以下のようなことを実感されると思います。
1.だらだらと話しをする
2.話しがそれる
3.何をやっているか判らなくなる
4.参加意識がいま一つ涌かない人がいる(自分も含めて)
等々
このようなことを防ぐ手段の一つとして、共有事項を板書しています。
共有事項を書かなくなると、上記のような状況が起こりやすくなるということは頭の片隅に憶えていた方が良いかもしれません。
会議等のファシリテーションは4つのプロセスに分けて考えます。
Step1 始める
↓
Step2 広げる
↓
Step3 まとめる
↓
Step4 終わる
その第1ステップは「始める」です。
○概要
場づくりを行い、共有します。
○ポイント
ファシリテーター
1.アイスブレイクを行う
2.役割分担を行い、役割を説明する
ファシリテーター、タイムキーパー、書記、メンバー
3.共有事項をメンバーに伝達する
・テーマ、ゴール、目的
・時間(スタート、エンド、時間配分)
・進め方
・ルール
4.伝達事項の確認(合意)をとる
書記
1.板書を行う
・役割、名前(複数グループ時はグループ名等)
・日時
・テーマ、ゴール、目的、時間、進め方
タイムキーパー
1.時間の報告を行う
ファシリテーターの指示通り時間の報告を行います。
(5分前、予定時間経過時 等)
2.共有事項を理解し、合意する
メンバーと同等の役割を担います。
メンバー
1.共有事項を理解する
ファシリテーターの説明を聞き、不明点は質問等を行う。
2.合意する
共有したことについては合意する
○コメント
なんとなく会議が始まる、といったことは多くありませんか。
会議の序盤で、このような場づくりと共有を行っておくと、これから行うことの準備ができます。
また、話し合いの前に場づくりとしてアイスブレイクを行っておくと、場がスムーズに回ります。
場づくりと共有の効果は、場づくりと共有を行った時と行わない時の会議の進み具合を、自分や参加者の言葉にしてもらうとはっきりと判るかもしれません。
会議等ファシリテーションを行う前に、主催者の方参加の皆さんには連絡を行うと思います。
前回、各種の事項に関して準備を行うと解説しました。
告知は、この一部を参加する方に伝えるようになります。
1.開催日時
2.開催場所
3.集まる主旨(会議の主旨)
4.主催者(主催部署)
5.参加者 司会進行役(ファシリテーター)やメンバーの所属や個人名)、役割
6.議事内容 テーマ、目的、ゴール
7.配付資料 (特に事前に配付した方が良いモノ等)
8.準備事項 (配付資料を読み込んでコメントを考える等の準備事項)
上記の内容を一気に伝えることは少ないかもしれません。
まずは、日時と場所だけかもしれませんね。
しかし、本来は、XXのために、YYの時点で、ZZの時間をとって会議が必要ということが周知できれば参画する気になるでしょう。
しかも、「あなたには、XXの役割が重要」と事前に言っておけば、役割を果たそうと会議が活発になるでしょう。
○コメント
前回、会議の主催者が検討するコトに触れました。
考えたことは伝えないと伝わりません。
目的は、良い会議等によって、何かを変化させる(プロジェクトを進行させる等)だと思います。
『なんで』皆さんのお時間をとって会議を行うのか。
そして参画してもらうために、「多くの方が参画できるような情報を伝えよう。」そう主催者が考えて告知するようになれば、良い会議も増えてゆくことでしょう。
現場でファシリテーションを行う前に、場を主催する方は様々な準備を行うと思います。
実は、事前の準備の重要性は、当日のファシリテーション(場の差配、進行と言っても良いかもしれません)に勝るとも劣りません。
逆に、事前の準備と周知がきちんとできているならば、場の進行はかなり円滑に行えます。
事前の準備としては、例えば以下の内容を検討するのが良いでしょう。
1.目的 何のために開催するか
2.テーマ 何を扱うか
3.ゴール どの程度どうなれば良いか、どの範囲までその場で扱うか
4.メンバー 目的、テーマ、ゴール等に合ったメンバーは誰か、人数を何人とするか
5.日時・場所 いつ、どこで開催するか、時間はどの程度とするか
6.進め方 どのような進行でゴールを目指すか
7.役割 進行の上で役割をどう割り当てるか
8.資料 資料はどのようにするか、事前、直前、不要等
9.準備物 その他進行に応じた準備物等
10.注意点 何か注意点があれば事前に考えておきます
○コメント
何となく必要と感じた会議で、とりあえず招集してみた、という経験はありませんか。
会議開催の意義が薄いのであれば、もしかしたら集まらない方が良いかもしれません。
会議等で人に集まっていただくということは、その人の時間を拘束することになります。もしも無駄な時間として拘束してしまったならば、主催者はその人の時間を盗んだことになるかもしれません。
意義のある会議となるように、目的、テーマ、ゴールは考えた方が良いです。
ついやってしまいがちなのが、目的・テーマ・ゴールは脇に置いておいて日時とメンバーだけを押さえてしまうことです。
主催者の方は、目的、テーマ、ゴールを少しでも想定した上で告知をした方が良いです。
そうすると不要な会議が減ってきて、その分皆さんが他の活躍ができます。そして、会議どころか業務の効率化の結末として業績が上がる。ということにも繋がるでしょう。
メンバーの役割について説明します。
○役割
メンバーの役割は『場への参画』です。
会議等のテーマはその時々で変わりますが、会議のテーマとゴールという期待があります。
この期待に応えるのがメンバーの役割です。
メンバー以外の方は食器で表現すると「器」が役割になります。メンバーは「中身」を満たすのが役割となります。
会議の目的に叶うゴールの内容を創り出せるように参画するのが良いでしょう。
器を整えるのは他の方に任せておくとして、メンバーとして気をつけた方が良いポイントがいくつかあります。
ルールにもなっているものもあります。
1.良く聴く
→ 聴く、観察するのが最初です。
2.受け入れる
→ 聴いた内容は、一旦は受け入れましょう
3.短く話す
→ 考えは伝えないと伝わりません。
但し、短く要約して話した方が伝わりやすく、他の方の想像力が
膨らみます。
短いと不安を感じると思いますが、判らなければ質問が出てきます。
また、どんどん率直に質問や発展させる発言の出てくる場の方の方が
活発な場でしょう。
長く話し過ぎると、他人の時間を余計に盗むことになります。
4.思いやる
→ メンバーや役割を持っている方、そして場やゴールを思いやる、
気を遣うようにしてみてください。
自分のその時の思い(発言したい、注意したい、だまっていたい 等)
だけで会議に参加することに比べて、良い場になります。
実は、気を遣うためには観察をしています。
5.真面目に楽しむ
→ 様々な場、会議があると思います。
どのような場でも、無駄な場にすると機会がもったいないです。
真面目に取り組んで、だけど楽しむと、メンバーとして良い参画ができるでしょう。
真面目すぎると堅苦しくなりますね。楽しむだけだと、ふざけるに行きがちかもしれ
ません。
その場を、真面目に面白がってみてください。
○コメント
会議はメンバーが主役です。
主役を引き立たせるために、ファシリテーター、書記、タイムキーパーがいると言っても過言ではありません。
メンバーが中身を創り出さないと誰も創り出しません。
そして、自分だけでなく他のメンバーも参画しないと良い場にはならないでしょう。
そのために、ポイントに気をつけてみてください。
このポイントの次として、発想を広げるポイントや方法、まとめたり整理したりするポイントも出てきます。
これは、役割と言うよりプロセスの部分で解説します。
メンバーのポイント、ぜひ活用してみてください。