組織の習い性(09)自分だけ

組織の習い性組織の習い性 今回は「自分だけ」です。

皆様の職場では、仕事の役割、分担は決まっていますか?
そして、何か不測の事態や問題が起こった時には、協力がすぐにできるような雰囲気でしょうか。

今回の組織の習い性は、「自分だけ」です。

成果主義が導入され、賃金が個人の成果に応じて変動する、といった具合に運用されていることも多くあります。

役割・分担が定められ自分の成果で賃金が決まるといった、「自分」の範囲を強く意識するような環境になると、どのような職場になるでしょうか。

「自分だけ」良ければ良い、といった雰囲気になってきます。

そして、他人との協力関係が得られずに、個人的にオーバーワークになった人が非常に疲弊したり、責任の押し付け合いといった状況が起きてきます。

さらには、自分だけの役割だけを果たす、他人への役割や分担に手を出さない、他人は気にしない、といった発想では生産性が落ちます。

職場の雰囲気、やる気、生産性まで落ちるのが「自分だけ」といった考え方です。

このような時にはどうすれば良いでしょうか。

他人と連携して仕事が進んでいることを意識するような、向き合い方や対話から始めるのも一つの手でしょう。

そして、成果主義といった制度が「自分だけ」の雰囲気を助長している面は別に手当てした方が良いでしょう。

組織の習い性(10)居心地

組織の習い性習い性、染みついた習慣的な行動様式のことです。

今回は 『 居心地 』 について。

自分の席、居心地はどうですか?

自分の席なんで居心地が良いも悪いもなんもないよ、そんな方もいらっしゃるかもしれません。

いや、、、、何となく落ち着かなくて、、、という方もいるでしょう。

人間は、安全地帯があると安心できる、思い切った行動ができるという特性があります。

安全地帯となるような居心地の良い席とはどのような席でしょうか。

「何かしら自分の痕跡がある」ところが一つのヒントになるでしょう。

痕跡、私物のマグカップでも良いかもしれません。シールや人形もあるかもしれません。

最近は、フリーアドレスといった会社も多く見受けられます。
また、目の前のちょっとした間仕切りの壁の無い机の場合も多くあります。

今回の習い性、居心地をキーワードにすると「職場・自分の居場所の雰囲気がいつも良くない」ということいったことになります。

フリーアドレスでも間仕切りが無くても、自由闊達な会話などがあって、自分の場所で一生懸命に働いているのであれば気にする必要もありません。

しかし、会話が無くなる、静かになる、表情が暗い、勤務が終わると逃げ出すように会社から居なくなる人が多い気がする。派遣先に居る方が明るい雰囲気になって、そこに転職してしまった。
こんなことがある時には、どんな「居心地」で働けているかについて考えを巡らせても良いでしょう。

人間は理性的・合理的な動物でもありますが、理性的である前に安心した方が能力を発揮できる動物です。
安心できる居場所、そこへの工夫をすることは無駄ではありません。

組織の習い性(11)朝令暮改

組織の習い性習い性、染みついた習慣的な行動様式のことです。

今回は 『 朝令暮改 』 について。

朝に命令して、夕方には命令を変える

これが朝令暮改です。

悪い上司のクセの代名詞のようです。
「言ったことをすぐ変える」、、、といった不満の声も出てきそうです。

朝令暮改、言ったことがすぐに変わるのは、良い場合悪い場合があります。

信念や思いや価値観があって朝令暮改するのであれば、それは良いことかもしれません。
状況が変わったのに言った命令を遵守していれば滅亡してしまうことにもなりかねません。

今回、習い性として出てくる朝令暮改とは、、、、

自分の「信念、思い、価値観」を踏まえずに朝令暮改する、命令や言っていることが変わる習い性です。

上意下達などで、抑圧をされすぎたり、ダメ出しばかりの環境でどうして良いかわからない人が多い場合は、指示や命令がくるくる変わることも多くあります。

その行動は、そもそもの目的に向かって、目標を達成できるような行動になっているのでしょうか。

行動をする際、変える際は考えてみても良いかもしれません。

組織の習い性(12)建前

組織の習い性習い性、染みついた習慣的な行動様式のことです。

今回は 『 建前 』。

「建前」と、、、、と来ると、「本音」です。

最低限有っても良い建前もありますが、建前も行き過ぎるとどうなるでしょうか。

 何にも本音が出ない
 
 自分を出さない
 
 会話をしても壁を築いたような浅い内容
 
 考え方が伝わってこない
 
 第三者のような正論が出てきて、他人事のような表現ばかり
 
 身構えたような表情、笑顔が無い

例えばこんな感じになります。

壁があるとはどのような状態でしょうか。

例えば、防衛をしている状態です。

防衛ということは、何から、、、、自分の外界です。

建前、防衛ばかりの環境だと、、、、、

セクショナリズム
蛸壺現象
他責

こんなことになります。

このような壁はどうすれば良いでしょうか。
企業風土の改革、といった大上段の表現でも良いのですが、もう少し違う表現の方が取り組み易いですね。

雰囲気作り  でも良いでしょう。

では、その雰囲気作りとは、、、、例えば 職場にいる人が「仲間」になるような工夫を少しずつ始めるといったことです。

そのために、何かしらでじっくり「話す」機会を持つのが良いでしょう。

その機会、いろいろな方法があります。

組織の習い性(13)内向

組織の習い性習い性、染みついた習慣的な行動様式のことです。

今回は 『 内向 』。

外向きではなく、内向きということです。

内向きな状況と聞いてどのような場面を思い描きますか?

社外の人(お客様、発注業者など)との約束よりも、社内の約束や暗黙の了解などを優先させてしまう。

社外に関心が向かない、社内状況や社内の調整に力の大半を使ってしまう。

自分の役割や責任での考えよりも、上司に受け入れられるかが気になって意見表明などを手控えてしまう。

みんなで共通の目的・目標の何かに向かうより、自分の言われた分担だけが良ければそれで良いとして、手助けをしない。

他にもあるかもしれません。

内向きになると、「守り」に入って行動や言葉も「自分がする」から「自分はこれだけ」の方向が多くなってきます。
守ることも大事ですが、守りを固めるだけでは良い業務、良いコミュニケーションはできません。

内向の習い性が出ているかなと感じたら

 なぜあの人は内向きなんだろう
 実は自分に内向きなところがあるのでは

といったところから見つめてみるのも良いかもしれません。

組織の習い性(14)独断

組織の習い性習い性、染みついた習慣的な行動様式のことです。

今回は 『 独断 』

上司が独断で命令を下し続けることは無いでしょうか。

理由を伝えること無く、「あれをやれ」「ここはこうする」

信念や方針、理念に沿っていることであれば、独断であったとしても周りからは「なるほど」と理解もできます。

しかし、理由があまりにも不明で、意図が理解できないままの独断が続くと言うことは、、、、

 人を信じていない

という可能性があります。

言い換えると、他人に任せていない、と言うこともできるでしょう。

こういった独断が続く人や会社では、振り回されてばかりを我慢しなければならない、、、ばかりでもありません。

例えば、
指示や反応のパターンを見ながら、
 任せた
 任せてもらった
 仕上げた
 認める
といったサイクルを少しずつ築いてゆくのも一手です。

組織の習い性(15)内弁慶

組織の習い性習い性、染みついた習慣的な行動様式のことです。

今回は、『内弁慶』です。

本来の内弁慶は、内では威張り散らして外では意気地が無い、ということです。

外面と内面が違うということですね。

こんなことは、ありませんか?

仲間うちでは、わいわい活発な活動に発言をする。
ところが、オフィシャルな、公共的な場では、発言が極端に少なくなる。

仲間うちではこぼれんばかりの笑顔だのに、社の公共的な場では微笑みすら無くなる。

仲間うちと外で、ある程度態度が変わることは普通のことです。

しかし、一言の発言そして微笑みすらも無くなるような内弁慶の現象がおこってしまう組織は、どのような状態でしょうか。

かなりの統制や縛りがあって個性が発揮できない、活力が徐々に無くなって行く可能性が大きいです。

内面まで静かになってきたら、さらに要注意です。

活動や、発言、行動や裁量の自由度についてじっくりと見直してみる必要があるでしょう。

組織の習い性(16)判ったつもり

組織の習い性習い性、染みついた習慣的な行動様式のことです。

今回は、『判ったつもり』です。

部門の目標、社のビジョンなどは抽象的な言葉や要約された言葉で語られる事が多いです。

高品質を目指す
お客様主義
未来をつくる

 いろいろな目標や言葉で語られています。

こういった言葉があること自体は良いことです。

しかし、部門が、全社が一丸となって動かないと、この目標・ビジョンは達成できません。

さて、お題の「判ったつもり」です。

様々な言葉や指示、激励も判ったつもりで馬耳東風、少ししか、場合によっては全く効き目が無い組織ではどうなるでしょう。

「『高品質』を目指すんだ、、、なんとなく黙って自分なりの高品質を目指そう」というのが判ったつもりです。

「『高品質』って何だろう、どの程度なんだろう、皆で意識合わせしないとばらばらな品質になるな」と感じて行動すると意識が合うようになります。

では、意識が合うようになるにはどうすれば良いか。

それは、判ったつもりになることへの、確認です。

確認の方法、持って行き方はいろいろ工夫ができます。

組織の習い性(17)待てない

組織の習い性習い性、染みついた習慣的な行動様式のことです。

今回は 『 待てない 』です。

日々業務を行っていると、予定通りに仕事が進まないことがあります。

自分で予定を立てても、それを邪魔するかのように次々と仕事が割り込んでくる。
さらに言うと、仕事が割り込んでくるのが当たり前でそれを効率良く短時間で対応してゆく。

こういった状況の仕事が続くことがあります。

「早く」と言われ、「早くしよう」とばかり考えるとどうなるでしょうか。

早いことが判断基準の最優先事項、考える習慣、行動基準になってきます。

そうなってくるとできなくなるのが、早いの逆です。

時間をかけること、待つことがしづらくなります。

何のために早くしようとしているのでしょうか。
早くすることで次のことに取りかかれる。などなどあると思います。
その理由の多くは間違ってはいないでしょう。

そして、時間をかけるのも理由があります。

はいはい しかできない赤ちゃんに「走れ」とせかしても、どだい無理な話しです。
走れるようになるまで待って、歩き方、走り方を順番にできるようになるのを待つしかありません。

「どだい無理」が大切です。
言い換えると、合理的に考えると無理なことが判る、くらいでしょうか。

赤ちゃんでなくて、身近な大人だと「これくらいできて当然」と思い込みが働くかもしれません。

しかし、合理的に考えて無理なのであれば、待つことも手段として必要かもしれません。

待てない、という習い性の裏には、結果を急ぎすぎて少し短絡的な考えで、合理的(もしくは自然な流れ)に沿った考えまでは思い至っていない可能性があります。

処方箋は、何のために、という意識にあるかもしれません。

組織の習い性(18)伝えたつもり

組織の習い性習い性、染みついた習慣的な行動様式のことです。

今回は 『 伝えたつもり 』です。

社長、上司やリーダーから日々指示が出ています。

その指示で社員やメンバーは動けているでしょうか。

行動が始まらなかったり、違う方向に動いていませんか。

「伝えたのだけれど、動かない部下が悪い」と思い込んでいませんか。

伝えたつもりのその指示、本当に『伝わって』いるでしょうか。

上司が想定した指示の内容を部下ができなければ「伝わって」いません。

さらに、判らないことを質問させない雰囲気や文化があると、間違った行動が起こります。
もしくは、行動がおこりません。

その結果、上司の期待した結果が出ず、さらに部下を叱責することになります。
叱責で行動が直ると良いのですが、伝わっていない指示で叱責され問答もあまりできないようだと萎縮することも多くなります。

では、伝えたつもりへの対策は何でしょうか。

基本は、「確認」です。

復唱を促すのも良いでしょう。
レベルが上がると、要約した復唱、目的の確認まで含めた復唱など、やり方はいろいろ工夫できます。

さらに、指示には目的や意図があります。
目的や意図の共有、確認も有効でしょう。

では、その目的のさらに目的は、、、、事業目標や理念へとつながります。

ということで、理念やビジョンを普段から発信し、さらにお互いに思いをすりあわせておくことが大切になってきます。
目的やビジョンが暗黙知として普段から共有されている場合は、指示の意図を「自分で」「自主的に」理解して上司の想定した方向へと行動ができるようになります。