古典の力(36)足元

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十六弾、孟子から

道は爾(ちか)きに在り、而(しか)るにこれを遠きに求む。事は易(やす)きに在り、而るにこれを難きに求む。

遠大で困難なことより、足元の身近なことにこそ、真の道の出発点はある。

学習する組織、も良いのですが、身近な報連相はできていますか?

報連相の前に、あいさつはわき起こっていますか?

あいさつの前に、、、、、

遠くの目標や夢、難しそうな事も、身近に始められる事から続いています。
言い方を変えると、今出来ることから始められない目標には行けません。そして、一足飛びにも行けません。

気になる言葉(11)信頼

気になる言葉、今回は 『 信頼 』 です。

コミュニケーションをテーマにすると、「信頼」という言葉が重要なポイントで出てくることがあります。

「あの人と信頼関係が築けていない」
「信頼を勝ち取った」
「信頼されているから大丈夫」

信頼を広辞苑で見てみましょう

信頼 信じてたよること

漢字そのままですね。

どういったイメージが湧きますか?
私には、お互いが安心して協力しあうような、見えなくても揺るぎないつながり、といったイメージのように見えます。

さて、信頼がキーワードとして出てくる状況とはどのような状況でしょうか。

その言葉が特別に出てくるということは、十分に満たされているか、欠けているかなどによって強く意識がされているということです。

信頼が、されていないとしましょう。

自分が相手を信頼するには、相手から自分を信頼してもらうには、第一歩としては何をすれば良いでしょうか。

と、このままでオープンエンドでも良いのですが、一つのヒントです。

お話は足りていますか?

古典の力(35)基準

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十五弾、二宮先生道歌選から

見渡せば遠き近きはなかりけり 己おのれが住処にぞある

遠いと言っても、近いと言っても、東西南北と言っても、自分を基準にした表現です。

自分基準の利害得失だけではなく、それぞれがそれぞれの基準で考えています。

と言うことは、相手の基準や物差し、距離感もあります。
全体を見渡して、様々な基準、多様な基準があることを意識することが必要です。

古典の力(34)浸食

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十四弾、易経から

臣その君を弑(しい)し、子その父を弑(しい)する、一朝一夕の故にあらず。

部下がその主君を殺害したり、子がその父親を殺害する、こういったことは一朝一夕に起こることではなく、かならず悪い積み重ねがあって起こることである。

最悪の結果は、いきなり起こるという訳では無いこともあります。
日々の積み重ねで、少しの行き違いや悪いことが、積み重なり積み重なりして最悪の結果へと繋がってゆきます。
従って、少し悪い、霜が積み重なり固く踏み重ねられるようなことに気が付いて、正すことが必要になってきます。

サーバントリーダーシップ(14)育む(傾聴)

サーバントリーダーを育てる、増やす、こんな動きが広がってきています。

放っておけば育つか、、、と言われると、そうではないでしょう。

サーバントリーダーを育てるため、、、と大上段にならなくても、

活力のある職場にするためのリーダーシップ を学ぶ会とか勉強会、研修会などで

例えば、サーバントリーダーの特徴の第1である、傾聴を学ぶのであれば、

傾聴とは何か
自分たちの職場では、人の話をどのように聴いているのか
聴くと何が良くなるのか、
我が社ではどのような変化が起こりそうか

こういった話題に加えて、 具体的な傾聴の方法 と 現場での実践計画

といった感じで、学んで、実践することを繰り返すことでサーバントリーダーは育ってゆきます。

別にサーバントリーダーになるのが、業務の目的では無いとも思います。
カタカナが判りづらければ奉仕型でも支援型でも現場活性型でも結構です。

サーバントリーダーになるための学びを行うと、自分が引っ張るのではなく、みんなで自律的に活躍できる、そして結果として会社が伸びる組織となる、このようなタイプのリーダーが育ちます。

傾聴の方法だけをスキル研修するよりも、育ってゆくためには以下をポイントとした学びが大きくなります。
・リーダーとして傾聴することで周りがどのように変わるのか
・知識(今回は傾聴)と現在の職場を結びつける機会
・実践に結びつく具体的な行動を促す工夫(計画や行動への動機付け)
・実際の行動へのフォローアップ(実践後の振り返りを共有する

勉強会などを実施する際は、留意した方が良いでしょう。

サーバントリーダーを育てる、ための勉強会のプラン案を10の特徴に従って展開してみましょう。
今回は傾聴でした、次は共感ですね。

古典の力(33)徳治

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十三弾、翁問答から

徳治は先我が心を正しくして人の心をただしくするもの也。たとへば大工のすみがね、その体ろくにして、もののゆがみをなをすがごとし、法治は我心は正しからずして、人の心をただしくせんとするものなり。

徳治とは、まずは自分の心を正しくして人の心を正しくする治め方である。たとえば、大工の墨曲尺というまっすぐな道具をもちいて、もののゆがみを直すようなものである。法治は自分の心は正しくは無いけど、人のこころを正しくしようとするものである。

自分が出来ていないことは、なかなか人に注意できるものではありません。
自分の心を正しくすると、大工の定規のようにゆがみを直すがごとく、人のゆがみを直すことができます。

では、その定規とは、、、、翁問答や藤樹先生の言説に触れると分かりますが、一つは孝行となります。
また、触れる機会もあるでしょう。

大人のまなび(10)心理的安全性

学びに限らず組織的な活動を行う基盤となる大切な環境があります。

 

「心理的安全性」:サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)

 

です。

これは、ハーバード大学のエイミー・エドモンソン博士が提唱し、グーグルにおける成功したチーム活動の分析でも活用されています。

 

博士は、チームの安全性を「所属のチームにおいて、対人関係で思い切った言動をしても大丈夫(安全である)という共通の信念」と定義しています。

 

例えば粗暴ということではなく、真っ当と思える批判や指摘、危なそうだけどチャンスを取りに行くような言動、共通の目的や目標に向かって信念に基づいた激しい論争、このようなことを行っても大丈夫と思えているか、というです。

 

安全と思えなければ、言い出せなくなります。

同僚や上司などへの真っ当な批判・進言・質問についても、自分の身分を賭けるような思いで言わないとならないかもしれません。
多くの人が言われたことだけ行い、様々な間違いや非効率が隠されてしまうようになります。

 

博士は、心理的な安全性を測る7つの尺度を提唱しています。(要約)

1.ミスをしたら非難されるか
2.困難な課題も提起できるか
3.違うからと言って排除されるか
4.安心して思い切ったことができるか
5.助けを求めにくいか
6.私の成果を無下にする人がいるか
7.私個人のスキルと才能は尊重され役に立っているか

 

この尺度などによって組織やチームの心理的安全性の状態を理解することができます。
そして状態に応じて、関わり方への自省や対応法を学ぶことで心理的安全性は高まってきます。

 

ちなみに、心理的安全性は、愛着行動における「安全基地」と同様の考え方となります。
安全基地の方が取り組みやすいかもしれません。

 

皆さんの心の安全基地はどこでしょうか。

まずは、ご自宅かもしれません。

そして、自分の同僚、職場の仲間、趣味の仲間かもしれません。

気が置けない、遠慮の要らない仲間は安全基地です。

このような仲間の輪が広がるほど、職場における業務は効率的となり、自分と仲間の業務を通じた学びも高まります。

組織の習い性(21)リスペクト

組織の習い性組織の習い性、第21弾です。

習い性、今回は少しポジティブな内容です。

 リスペクト について。 

(リスペクトが習い性?かどうかは微妙なところではありますが、、、)

NHKのニュース番組で福祉の職場の変化について小さな特集をしていました。

福祉の職場は、専門家同士のチーム活動といった側面を持っています。

所属も同じ組織の場合もありますし、違う組織の場合も多くあります。

医師が入っていたり、看護師やケアマネージャが入る場合もあります。

ここで特集されていた変化とは、福祉の職場で良いチームワークで良い結果を出すための変化です。

「これからのチームは、ヒエラルキーでは無い」ということが認識されてきています。

例えば、「医師が最も強い権限を持つかのように振る舞って皆が従う、といった図式にならない」ということです。

職種の壁を越えて、専門性を持ち寄って協力して結果を出すことが要請されているということです。

そのためには、今までの習い性・行動様式を変えて

 相手へのリスペクト  (尊敬、敬意) が大切であると指摘しています。

さて、相手をリスペクトするには、どのようにすればよいでしょうか。

仕事で相手に関わっていると、やっているようで抜けてしまいがちなところです。

 相手を良く知る   ということです。

相手の役割、専門性、状況、心根、をよく知ることが、チームで取り組み結果を出すポイントとなります。

さて、相手を良く知るには、さらに具体的にどのようにすれば良いでしょうか。

そこで、活躍するツールが  対話 や ファシリテーション となってきます。

相手の意見・考えを尊重し、受け入れ、知るといったことが自然とできてきます。

相手の尊重という点では、アサーションも良いでしょう。

自分が仕切り役、進行役だったとしても、支援・促進の立ち位置をとることで、参加者同士の共通理解を図ることができてきます。

ニュースにおいても、対話やファシリテーションのような相手を知るトレーニングがこれからのチームワークへの第一歩となることで結ばれていました。

相手を無視して自分の思いや指示命令を伝えるのではなく、思い・目的・目標を共有し相手を知りこちらからも伝えることが、結果を生み出す良い活動と認識されてきているようです。

ファシリテーション や 対話 そしてアサーションの特性が一つ表に出て来た、ということが少し誇らしいですね。

相手へのリスペクトが習い性となる、目指してみるのも良いのではないでしょうか。

古典の力(32)法治

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十二弾、翁問答から

本をすてて末ばかりにておせむるを法治といひて、よろしからず。法治はかならず箇条あまたありてきびしきものなり。法治はきびしきほどみだるるものなり。

本質を見ないで枝葉末節のようなことで治めることを法治と言って、良くない。法治は、かならず多くの条文があり厳しくこれを守らせる治め方である。法治が厳しいほど世の中は乱れる。

ルールがありすぎるところ、そのルールを金科玉条のようにかならず守れ守れとするようなところは、ルールで縛り治めようとする姿勢のあるところです。これを法治と呼んでいます。

厳しすぎる、多すぎるルールでは、ルールを憶える、ルールに気を遣う、ルールを守ることに消耗してしまいます。
また、多すぎるが故に普通の生活ができず、「まぁいいや」とルール違反を犯します。

多すぎるルール、厳しすぎる治め方には問題があります。

気になる言葉(10)だから

気になる言葉、今回は 『 だから 』 です。

「だから」という言葉、日常で良く使います。

○○だから、△△である。

△△の理由が○○だということを言っています。理由の使い方ですね。

「だから」という言葉、こんな時も使います。

○○だから、うちの会社ではできないんだ。

子会社だから、うちでは動きがとれないんだ。
人数が多いから、面倒が見きれないんだ。

確かに「理由」の使い方をしています、その上でもっと特徴的なことがあります。

 言い訳

です。

何かをするのに、しないのに、言い訳をしていることはありませんか?

何かと言うと「うちは●●だから出来ないんだ。」と言ったきりで何もしない、そんな風になっていませんか。

その「だから」は言い訳かもしれません。
言い訳をして良い状況であれば良いでしょう。

そうでなければ、変わった方が良いですね。

変わるためには、、、、例えば、言い訳の「だから」が出た瞬間に、その直前に感じている感情や考えた事柄を振り返ってみましょう。
その事柄への自分の反応パターン、思考パターンに言い訳への改善のタネが隠されているかもしれません。