.組織風土づくり(03)組織風土の表われ

 

組織風土づくりの3回目です。

組織風土は、「組織に居る人々の思考・行動・価値観」としています。

 

但し、人の思考や価値観は見た目では判りません。
判るのは行動とその結果です。

行動の基になるのが、思考そして価値観です。

見えない思考や価値観を定めるのは何でしょうか。

 

それは、 「きまり」 と 「思い込み」 です。

 

明示的な規範、暗黙的な規範と言い換えても良いのですが、教科書的ですね。
規範とは規則、手本、従うものといった意味で使っています。

 

そして、組織風土の表われとしては例えば、

 

◎ビジョン
我が社は◎◎を目指す!
といったビジョン(目指す将来像)に表われます。

 

ビジョンで何が表現されているか
ビジョンはどのくらい共有できているか
も大切な視点です。

ビジョンは、提示されているのであれば明示的な規範、「きまり」です。

ちなみに、事業計画でも未来像が描かれます。
売上○割アップとか、業界ナンバーワンなど色々な表現があります。
ビジョンとして何を表現するかは様々ですが、会社や組織の社会的意義や意味を
捉えると皆さんやお客様との共感が広がるかもしれません。

ビジョンに加えて、会社の理念やポリシーも組織風土の表れです。
但し、その意味するところ、具体的な行動がどのように共有されているかも重要です。

 

○会話
雑談を含めて、職場での会話にも組織風土が表れます。

 

指示や報告以外あまり会話が無い組織もあります。
ふざけすぎる会話や電話越しにも聞こえるような笑い声。
仕事の内容や進め方の確認、前向きな情報共有や頻繁な報連相。
会社や仕事がより良くなる思いをもった雑談。

 

○仕事の進め方
仕事の進め方や意思決定の祭の自分の裁量にも組織風土が表れます。

上司の立場で表現すると、完全掌握、必要なポイントのみ押さえる
放任や無関心、部下の意見に流される などです。

個々の人、そして会社や組織としての仕事の進め方へのこだわりが
あればそれも組織風土ですね。

 

他にも、評価制度や賞罰規定など、行動を促し規制するものに組織風土は表れます。

 

また、「きまり」や様々な指示などから形作られる「思い込み」も組織風土の土台となります。

 

きまりや思い込みは、考え方や価値観が反映されています。

組織風土づくりに取り組む際は、組織の悩みや問題について自ら取り組み、未来に向けて決まりや思い込みを変化させる行動につなげることが重要です。

古典の力(40)かかわりを考える

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第四〇弾、孟子から

父子に親しみあり、君臣に義あり、夫婦に別(くべつ)あり、長幼に序(じゅんじょ)あり、朋友に信(まこと)あらしむ

親子の関係では親しむように、君臣の関係では義があるように、夫婦の関係では区別があるように、年長年下の関係では順序があるように、友達においては信頼関係があるように

原文は、

父子有親、君臣有義、夫婦有別、長幼有敍、朋友有信

となり、人倫を教える時には何を教えるかというくだりとなります。

昔から、倫理や徳性を考える際には、人と人とのかかわりに注目していたようです。

では、親とは何か、義とは何か、別とは何か、序とは何か、信とは何か

そして、今において、どうあったらよさそうか、一筋縄ではいかないようです。

少しずつ、もっと深めましょう。

気になる言葉(12)してくれない

気になる言葉、今回は 『 してくれない 』 です。

コミュニケーションの悩みを伺っていると、

  「~してくれない」

という言葉が出てくるときがあります。

「上司が○○してくれなくて」
「営業が△△の情報をくれなくて」

イライラしますよね。

自分はイライラしているのに、相手はのほほん、、ということもあるでしょう。

してくれない  は

XXを期待しているのに、行ってくれない

ということですね。
どちらも、本人にとってはイライラかもしれません。

ここで、1点注意点が

□□を相手が約束したのに、してくれない

は、相手が約束を守ってくれていない、ということです。

■■は約束しなかったけど、やってくれると勝手に期待していて、してくれていない

のは、自分の妄想です。

さて、どちらの場合も「自分ややっているのに」「がんばっているのに」という思いがあるでしょう。

約束不履行の場合も、妄想の場合も対応方法はありますが、まずは「そういった相手がいる」ということで「次の行動をとってみる」のも一つの手でしょう。

「してくれない」と言い続けると、、、、他人のせいにして自分が動かない、ということになりかねません。

ワールドカフェを使う(02)

ワールドカフェは、短時間で多くの方の思いに触れる対話手法です。

規模によっては、数百人で行う例もあります。

何回かのセッションが終わるとどうなるでしょうか。

みんな同じ思い、似たような思いを持っているのだなぁ

といった感想が出てきます。

かなり多くの方から出てきます。

そして、多くのテーブルで似たようなキーワードが徐々に顕れてきます。

ミツバチが自然受粉をして、花粉を自然に振りまくように、気になったテーマが伝播してゆきます。

集まった、参加した人たちの気になっている事柄が、特に話題に上がってきます。

そして、時間が経つと、「同じような、(印象的な)考えを持っている」と感じてきます。

ワールドカフェで起こること、その一つは  同じ思いを持てるようになる  ことです。

古典の力(39)反省

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十九弾、論語から

曾子の曰わく、吾れ日に三たび吾が身を省る。

吾れ日吾が身を三省す。でもシンプルですね。

曾子が言った、私は毎日何度でも吾が身について反省する。

1日に何度でもです。
ちょっとした区切りでも、「ああすれば良かった」ということは、確かにたくさんあります。

ここでは、どのような事を反省しているでしょうか。
自分のまごころについて、誠実さについて、習熟していなことを教えたのではないか

どきりとすることが続きます。

問題(08)本質

問題について、今回は問題の本質を発見するヒントです。

問題解決に取り組む際に、様々な問題が出てきます。

営業目標が達成できないのが問題
プロジェクトの進捗が遅れるのが問題
生産性が上がらないのが問題

種々問題はあります。

何かの宣伝ではありませんが、問題は「元を断たなきゃだめ」のようです。
今見えている問題は、単に現象の一部かもしれません。

問題解決を図るワークショップで、いろいろなグループで様々な表現の問題が出ていたことがありました。

そして、よくよく話してみると別々のグループでお互いに話し合った訳ではないのに、
 「コミュニケーションが取れていなかった」 という共通の認識に至ったこともあります。

見えている問題は、実は問題の一部、問題の別の見え方なのかもしれません。

では、問題の本質をとらえるにはどうすれば良いでしょう。

ヒントが2つあります

ひとつめは、
 「問題の状況をとらえる」

ふたつめは、 
 グループの話し合いや一人で考える際、適度に「そもそも」なんで問題かを考える

ことです。

状況を正確につかみ、そもそも何で・何が問題かを考えると問題の本質、問題の根っこに行き着きやすいです。

では、そもそもといった考え方に習熟してい無い場合、問題の状況がとらえ切れていない場合はどうなるでしょう。
表面的なとらえ方になり、解決策も表面的となります。
そして、検討している当の本人は大丈夫なようで、解決策を実施した後に、別の問題が出てきます。

妥当な深さで問題の本質をつかむ。

意識してはいかがでしょうか。

ちなみに、妥当な深さでと言った理由は、あんまり深く考えすぎると「人とは、、、」といった感じの思考に陥るかもしれないからです。陥るようになりがちであれば、問題の検討範囲を意識すれば良いでしょう。

2018年9月19日 | カテゴリー :

古典の力(38)口出し

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十八弾、老子から

大国を治むるは、小鮮を烹(に)るが若し。

大国を治めるのは、小魚を煮るようにする。

煮魚、調理したことはありますか?
鍋に水、みりん、醤油、みりんでしょうか。
ことこと煮ます。汁が行き渡るようにします。
ひっくり返したりもするかもしれません。

魚が小さいと、ひっくり返す時に頭が取れてしまったり、崩れてしまったりします。
大きな魚よりも、小さな魚の方が扱いが難しいです。

小さな魚は、ひっくり返すなど余計なちょっかいをせずに、じんわりしみこむようする方が良いでしょう。

大国、国だけでなく、会社や組織、自分のチームを治める時も、リーダーが「やいのやいの」とつついてばかりでは、じっくりとのびのびと良い活動ができません。結果、創造性も生産性も上がらないでしょう。

口出しをするのではなく、小魚を煮るように、味付けをしたらじっくりとうまくできあがるのを待ちましょう。

古典の力(37)体験学習

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第三十七弾、論語から

子の曰わく、学んで思わざれば則ち罔(くら)し。思うて学ばざれば則ち殆(あや)うし。

先生がいわれた、学んでも考えなければ、ものごとははっきりしない。考えても学ばなければ危険である。

本や外部からの情報だけで判ったような気がしても、自分で考えなければ借り物の知識です。
また、自分の独断だけで考えたものを盲信するだけでも危険であると言っています。

知識を実践する。実践を知識や情報と照らし合わせる。

知識と実践とで自分を高めるためには、両輪が必要です。
体験から学ぶ体験学習の神髄も見いだされます。

.組織風土づくり(02)組織風土を捉える

組織風土づくりの第2回目、組織風土を考えてみます。

組織風土をどのように捉えれば良いでしょうか。

前回、組織風土、組織文化、社風について簡単に触れました。

言葉の細かな定義よりも、まずは端的に表現してみましょう。

組織風土とは、

 組織に居る人々の思考・行動・価値観

となります。

企業や組織には、始まりがあります。

立ち上げた人、社長、中心人物が何かの思いを持って活動を行います。

それは、社長やカギになる人達の考えや感じ方に基づいたものになっているでしょう。

考え、思考や感じ方、価値観、それに基づく行動が組織の価値を生み出しています。

組織で行動するために、社則や事業計画、商品への考え方、販売の仕方、関係者との関わり方、描く未来、様々なことが共有されたり、独断などで進められます。

事業の日々の積み重ねの中では、様々な武勇伝も起こります。
朝礼などの儀式もあることでしょう。
コミュニケーションを重ねるうちに短縮語や隠語なども出てきます。
賞賛される言動や結果、さらには非難される言動や結果も出てきます。

このような積み重ねが組織風土となってきます。

これを従業員や職員の立場から捉えると、社風と表現されるかもしれません。
また、組織風土と組織文化を分ける考え方もあります。

暗黙や明示的なきまりに基づいて人は考え判断し行動します。

組織風土を自ら創ることを考える時、風土や文化といった言葉の違いよりも、どんな考えや何を大切にしているかを明らかにしていくことが大切です。

実践コミュニティ(06)発展段階5(変容)

学習する組織の実践コミュニティ、その発展段階を解説しています。

 潜在 → 結託 → 成熟 → 維持・向上 → 変容

今回は、第五段階 『 変容 』です。

一言にすると「別なあり方への脱皮」の段階です。

多くの仲間、専門家と続いてきた実践コミュニティ。集会や掲示板、メーリングリスト。

参加する人たちの業務の環境や生活の環境、そして実践コミュニティをとりまく外部環境の変化、コミュニティの様々な成果、徐々に状況が変わってきます。

実践コミュニティの発展段階の第五番目は、コミュニティの 『 寿命 』に着目しています。

どのような健全なコミュニティでも寿命を迎えます。

強固な地域コミュニティが疎遠になってしまう、などなどあるでしょう。

寿命を迎えた実践コミュニティは次のように推移するとのことです。

・衰弱する
 メンバーの活力が失われて、活動そのものが無くなってくる

・社交クラブとなる
 そもそもの目的・目標を目指さずに「集まること」が目的となる。実践も行われない。

・分裂や合併
 似たようなテーマのコミュニティが合わさったり分裂する。

・制度化
 公的な組織などに組み込まれて、コミュニティとしてあった繋がりが変わる。

できたものは他のものになるという点では、まさに諸行無常です。

悪い、といったことではなく、必要とされて続いてゆく時期が過ぎてゆくようです。

炭鉱の町が寂れてゆく、のようでもあります。

但し、なんとなく終わってしまうのではなく、「自分で終わらせる、区切りをつける」「手放す、引き継いでゆくものを明らかにする」ことも重要です。