組織風土づくりの5回目です。
組織風土を自分たちでつくる際、土台となる大切なことがあります。
信頼
です。
お互いを信じることができ、安心して働くことができる環境を少しずつ創り上げていくことです。
これは、最近注目されている「心理的安全性」でもあります≪参考:心理的安全性≫
また、心理的安全性を高めることは、成功循環モデルにおける第一歩「関係の質」を高めることに他なりません。
では、どのように心理的安全性・関係の質を高めるのが良いでしょうか。
まずは、自分たちがどの程度の心理的安全を持てているかを理解することが大切です。
お互いが安全とは感じられない、落ち着かない、とげとげしい環境である時は、心理的な安全を感じられるちょっとした第一歩を広めるところから始めるのが良いでしょう。
例えば、毎日周りの状況を確認しあうアイスブレイクの様な手法で関係性を徐々に育むといったことです。
また、対話型の組織開発手法を活用して、全員やリーダー層など大人数でお互いの状況や思い、目的などを共有すると同時に信頼感を一気に醸成するのも、スタートアップやスキル習得などの勢いをつける一つの方法です。
例えば、関係性を育み思いやビジョン、悩みなどを共有したい人が集まり思いを率直に伝え合うといったことです。
さらに、継続的な取り組みに向けて個々人のコミュニケーション手法やリーダーシップのあり方など、関係性に関わる方法を見直し変えていくことも有効です。
大切なのは
・段階を踏んで関わりを深める
・一人でなく仲間を増やす
・ワークショップや研修だけでなく、普段の業務を通じて地道に行う
ことです。
組織などの状況や、何のためにいつまでにどのような関係性(心理的な安全)となっていたいかによって、とりうる手段は様々です。
メンバーとして、リーダーとして、管理職として、社長としてなど、どのような立場で心理的安全、関係性の向上にかかわるかを意識して取り組んでいくのが良いでしょう。
古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。
第四四弾、孟子から
人には皆、人に忍びざるの心あり。
人には皆、他人に対して「忍びざるの心」がある。
「人に忍びざるの心」とは、他人の不幸や苦痛を見過ごしにはできない同情心を指します。
この心が、誰にも備わっているとしています。
これが、孟子の性善説のきっかけ、根本の言葉となります。
菅首相の「最小不幸の世の中」を目指すのも、不幸を見過ごさず可能な限り不幸を小さくしようとする「人に忍びざるの心」のような考えに見えます。
さて、人を性善説として捉えるか、性悪説として捉えるか、理屈では判然としない部分もあると思います。
動物行動学から考えると、他人の不幸を見過ごさず共感する行動から、性善説の方に分があるように感じられます。また、どちらか一色ということも考えづらいでしょう。
世の中の言説に対して、自分がどうありたいかを選ぶことはできるのではないでしょうか。
気になる言葉、今回は「何のため」です。
「何のため」 目的ですね。
広辞苑では、
もく‐てき【目的】
(1)成し遂げようと目指す事柄。行為の目指すところ。意図している事柄。
(2)〔哲〕意志によってその実現が欲求され、行為の目標として行為を規定し、方向づけるもの。
字解では、
「目」は目です。相手に対する最初の行為、精神的な交渉も意味します。
「的」は「まと」です。弓や銃で撃つ射的の「まと」です。
なぜ、この言葉「何のため」「目的」が気になるのかと言うと、、、、
何のためを明快に語れないことが増えてきている、からです。
失敗して反省する時を考えてみましょう、
「なぜこれをしたのだ!」と言うと、咎め立てているようです。物事の原因を問い詰める言い方です。
これはこれで必要な時もあるのですが、いつもいつも部下にこんな言い方をすると改善は進みません。
「何のためにこれをしたのか」と問うと、行動の目的が返答されます。目的が無い・薄いも判ります。
したこと(手段)が目的に合っていなければ、精度の良い改善が期待できます。
何のために、、、、、何をする。という意識付けがあれば、後でも今でも修正がききます。良い方向に進める確率が高まります。
ところが、
(いきなり、、、)、、、、何をする。と聞いたとしましょう。
周りからは「何で、それをするの?」と、突っ込みを入れたくなると思います。
仕事であれば、もしくは「良い行動・目的に沿った成果を出す」ためには、「何のため」を意識した方が良いです。
上司が部下に指示を出す時も、
「○○だから、これを明日までに、、、」と何のためを入れると部下も上司も指示の納得性が高まり、良い行動が期待できます。
「目的・何のため」は、いつも気にかけて、気にかけかけ過ぎることはない言葉です。
組織の習い性、第22弾です。
今回は、 自分から行動しない といった習い性です。
「部下が自分から動かないので、自主的・主体的に行動できるようしてほしい」
リーダーや経営者から良く伺う悩みの一つです。
部下が動かない のが問題だ、ということです。
この場合、部下のやる気を引き出すのが良いでしょうか。
それとも、上司の指導力を強化するのが良いでしょうか。
さらには、別の何かでしょうか。
「部下が動かない」と感じたとしても、部下を教育すれば大丈夫、とは限りません。
部下の教育では済まない、もっと別の原因が存在する可能性もあります。
例えば、次の様なことは無いでしょうか。
新人の頃は、質問が多かったり、やり過ぎの失敗も良くあったが、大人しくなった。
自分から行動するという社員が、圧倒的に少数派だ。
職場でほめられた記憶が無い。
他の現象もありますが、例えばこのような現象がある職場では
「部下が動かない」といったことが問題として浮かび上がってきます。
そして、その問題の原因は、部下の素質やスキルではなく、
「自主的・主体的でなくても良い」という、職場の環境・考えや上司の行動・指導パターンに原因があることが多いです。
この場合は、どのようにすれば良いでしょうか。
ヒントは、スキルとモチベート、そして広がりといったところになります。
古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。
愛敬、愛嬌(あいきょう)ではありません。
愛敬、熟語の読みとしては「あいぎょう」です。いつくしみ敬うことです。あいけい、で読む方が馴染みがあるのですが、、、
第四三弾、孝経から
親を愛する者は、敢て人を悪まず。親を敬する者は、敢て人を慢(あなど)らず。
親を愛する者は、必ずその親を愛する心を推し広めて他人を愛するから、決して他人を憎んだりしない。親を敬する者は、必ずその親を敬する心を推し広めて他人を敬するから、決して他人を軽蔑したりしない。
親孝行者が、表彰され非常に尊敬されるといったことを歴史上の事柄として見聞きすることがあります。
儒教の影響によるところも大きいのでしょう。
現代でも、「できた人」が実は親孝行していることも良く聞きます。
親へのかかわり方は、一事が万事、他人へのかかわり方の鏡かもしれません。
親へも「孝」を尽くそうと考えて行動しているならば、他の人へも「孝」を他人なりのかかわりの中で尽くそうと、行動や態度ににじみ出ることを指摘しています。
組織風土づくりの4回目です。
組織風土づくり、に自分たちで取り組んで行くにはどのような手法が考えられるでしょうか。
大規模に組織的なアセスメントを行った上で、分析を任せて取り組むのも一つの方法です。
しかし、自ら継続的に取り組んでいく方法としてお勧めの方法があります。
自分たちで悩みや問題を受けとめ、自分たちで取り組みを考える、という方法です。
これは、取り組みや継続の手法、関わりの手法を学び、自ら考え、行動策、継続策を考える方法です。
具体的には、次のような考え方や取り組み方となります。
・成功循環モデル
・対話型組織開発手法
・関係性向上手法
成功循環モデルは、MIT教授のダニエル・キムが提唱している組織の成功を継続的に進めるモデルです。
組織変革などの他のモデルよりも取り組みやすいものです。
対話型組織開発手法は、近年浸透してきている、より自然な意識変容や問題解決への手法です。
AI(アプリシエイティブ・インクワイアリ)やワールドカフェ、OST、フューチャーサーチや
システム思考など必要に応じて手法を組み合わせます。
関係性向上手法は、自分や相手の心理面なども考慮したコミュニケーションや思考の手法です。
組織風土によっては、心理面やコミュニケーションに一定の傾向がみられる場合もあります。
モチベーションやセルフコントロールも含めて、自分や相手、広くはモノゴトとの関わりも考える手法です。
ジーシフトでは、上記のような様々な手法を15年活用していますが、手法の良さやポイントなどについても機会があれば触れていきます。
また、上記の手法に加えて
・バランススコアカード(BSC)といった経営的な手法
の活用も組織風土づくりには有効です。
取り組むことができるのであれば、最終的にはBSCに落とし込むのも良いでしょう。
いくつか手法をご紹介しましたが、次のように言い換える事もできます。
「自分たちの未来のために、学び方を学ぶ」そのための手法。
古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。
第四二弾、中江藤樹 翁問答から
人間に用にたたぬものはなきものにて候。大工の家をたつる材木のつかひようにて合点あるべし。
(お判りとは思いますが、、、、)
用に立たない人間などはいない。大工が家を建てる際の木材の使い方が人材登用のコツとして納得できるであろう。
翁問答は、知恵者の翁・おじいさんにいろいろとアドバイスをもらう物語です。
このくだり、「臣下をばいかにつかいたるがよく御座候や。」といった問いに対するアドバイスです。
人にもいろいろいるよ、公明正大で慈愛をもって、さらに選び捨てるようなことはしないのが良い。
道徳才智のある人を上に、才徳無くても良いところはある。才智抜群でも不得手が必ずある。
といったアドバイスになります。
「木のいのち木のこころ」でも、人や人組のポイントを木や建物で表現していました。
適材かどうかよく観て、そして適したところで働くのが、昔も今も良いようです。
サーバントリーダーを育てる、増やす、こんな動きが広がってきています。
サーバントリーダー、もしくは奉仕型、利他的にも動けるリーダーです。
一つ一つの特徴、要素を伸ばす方法はあります。
今回は、共感について
相手の立場に立とう、とは良く聞く言葉です。
例えば、お客様の立場で考えよう、といった具合です。
こういった時に体感でも判る方法を使ってみるのも一手です。
子どもの立場、を判るためには、、、、、足をたたんで(しゃがんで)、手も短くしてみる。
目線が下からですね。手の届く範囲も狭いです。
高齢者の体の動きを体験できる衣類もありますね。
共感する力を磨くには、他の方法もあります。
自己移入して感じる
という方法です。
書くと単純ですが、
他人の立場や感情を「考える」ではありません。
どちらかと言えば、他人の立場や感情を「感じる」ということをじっくり行います。
他人の言説を理解したり、説明する、反論することは多いかもしれません。
それは、自分の理解の範囲、自分の価値観、自分の枠組みで考えるということです。
自分よりも他人の枠組みや立場で考えるきっかけは、例えば
同じ物事について多くの人の感じ方に触れる方法 や
じっくり対話する方法 また
状況を想定して、その状況について感じてみる方法
などがあります。
普段の生活の中でも、研修のように段階をふんで共感する練習をしてみるのも良いでしょう。
共感しすぎて我を忘れてしまっても良くありませんが、他人が別の感じ方をしていることを、「頭」ではなく「体」で感じる機会が多いほど共感する力は養われます。
古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。
第四一弾、二宮先生道歌選から
苦と楽と花さく木々をよく見れば 心の植ゑし実の生えしなり
(一読して読めるとは思いますが、次のような感じでしょうか)
現在の自分の苦や楽の状況をよくよく見てみると、自分自身の心が植えた苦の種楽の種の実がなっている
楽であるのは楽の種を撒いた結果
苦であるのは苦の種を撒いた結果
ということを示しています。
因果応報と一言にまとめ込むよりもこの方が、すっと入ってくるかもしれません。
ちなみに、因果応報は、善因善果であり悪因悪果ということです。
原因と結果の法則 の方が受け取りやすければそちらでも良いでしょう。
犬が西向きゃ尾は東 といったところでしょうか。
そして、苦の種を撒く瞬間が知覚できれば、、、、、どうにかなるかもしれません。
バランススコアカード(BSC)の7番目のステップは
アクションプランの作成 になります。
6番目のステップまでで、
戦略マップ、重要成功要因、業績評価指標、数値目標の洗い出しと合意ができています。
いよいよ、この計画を行動に移すプランを策定・作成します。
全社でのBSCを構築した場合、アクションプランはざっくりとしたものから、最終的には部門で行動する計画となります。
・戦略の整合性がとれるよう
・漏れがないように
・行動に必要な事項(6W2H等)
・KPI、KGIの測定方法
こういったことを策定します。
ここでも、各部門の状況等に応じたプランの調整が必要となるかもしれません。
アクションプランまで作成すると、あとは実行あるのみです!
PDCAのPに基づいて、DCAと進めてゆきましょう。