メンタリングの話題、第6弾です。
メンタリングでは、提案やアドバイスなどを行う事で、後輩・部下が自立・自律するための支援を行います。
つまり、自主性が湧き出るようにして自分から動くように促します。
では、メンター (上司や先輩)は、どのようにして自主性が湧き出るようにするのでしょうか。
行動を起こすきっかけは、「動機」です。
そして、「動機づけ」には、2種類あります。(もっと多く分類される場合もあります)
内発的動機づけ
自分の内面に湧き起こった行動への要因
好奇心、関心、信念など
外発的動機づけ
人為的な外部からの刺激による行動への要因
義務、賞罰など
自主性が高まり、成長が促されるのは「内発的動機づけ」です。
メンターは、内発的な動機づけができるように支援することで自主性を高めていきます。
また、外発的な動機づけを一切使わないのではありません。
傍目から見ても判る外発的な動機づけだけに偏るのではなく、相手の内面に湧き起こる行動への要因を大切にするようにします。
では、内発的動機づけを高めるにはどうすれば良いでしょうか。
それは、内発的動機づけの説明に表れています。
例えば、「好奇心」を判ってあげる、ということになります。
さらに、「好奇心」を判ってあげるには、と続きます。
自主性が湧き出る動機づけ、としました。
自主性を「引き出す」という言葉を使うこともありますが、「引き出す」はいかにも上位者・権力者が外部から操作することを意味するようです。
上司が「引き出す」と、部下から「湧き出る」、言葉遣いに注意を払っても良いかもしれません。
同じ意味だと感じるようであれば、ちょっと立ち止まって何が違うのかを感じてみましょう。
「成功循環モデル」は、組織活動が成功し継続するモデルです。
様々な組織活動に活用ができます。
昨年2015年の話になりますが、看護管理者向けの専門誌で、組織の成功循環モデルを取り入れた看護管理のマネジメントについて4回連載をさせていただきました。
日総研出版の 「継続看護時代の外来看護」の夏号から4回となります。
ご興味のある方は、ご覧下さい。
成功循環モデルでは、関係の質を出発点として、
「関係」→「思考」→「行動」→「結果」の順で取り組みを進めると良い結果が出るというモデルです。
これとは逆に、現在出た「結果」(たいがい悪い結果)を見て、「『行動』を直せ」というアプローチは最悪の循環となります。
「関係」の質の見直し、「思考」の質の見直し、「行動」の質の見直しと続くようにマネジメントすると良い循環となり、徐々に良い結果となってきます。
また、マネジメントにおいては、人財育成やサービス提供の視点、会社であれば財務の視点、病院の場合は患者の方の受けたサービスの視点との相関関係も大切になってきます。
マネジメントにおける施策の要因や相関関係はBSC(バランススコアカード)によって、分析や立案、実施がなされます。
話は少し飛びますが、マネジメントサイクルについては成功循環モデル、利益やサービス提供における施策の相関関係はBSCを利用して業務をチェックすることで日々のマネジメントと提供業務の質の向上につながってきます。
今回は、看護のマネジメントモデルということで、私どもの看護の現場におけるマネジメントの5年の支援を元にして、看護の業務のBSCと成功循環モデルについて連載をさせていただきました。
企業経営上のマネジメントも同様の方法で取り組むことで業務の成果(結果の質)が高まることが期待できます。
古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。
第十七弾、易経 繋辞下伝から
君子は機を見て作(た)つ。日を終うるを俟(ま)たず。
君子は機(事のきざし)を見て機敏に行動を起こし、一日もぐずぐずしてはいない。
リーダー、経営者が問題に対処する、よくあることだと思います。
問題が起こってから対処する、問題への対応として一般的な流れです。
病にも予防策があります。
問題への対処も、事前予防をするようになります。起こりやすいパターンに対して防護策を準備するといったことです。
問題への対応、さらに別の考え方があります。
ものごとへの兆し、事前にわずかに見えること、雨の前触れの夕焼けのようなことがらを察知して手を打つ。
先行指標(KPI:KeyPerformanceIndicator)に異常を感知したら行動に移る。
ものごとへの兆しを察知したら、洞察して手を打つ。
リーダーの観察力、洞察力の重要性を説いています。
2016年12月5日
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カテゴリー : 古典の力
バランススコアカード(BSC)の5番目のステップは、
業績評価指標の設定になります。
前のステップで、戦略目標に沿ったCSF(重要成功要因)が導き出せれていると思います。
その内容に従って、CSFを計測できる指標を選びます。
例えば、顧客の視点の
戦略目標 感動する品質でのサービス提供
重要成功要因 期待以上のサービス提供
と、仮になっている場合は、アンケートやお客さまの振るまい、XX提供率や稼働率といったCSFを測定できる業績評価指標を選びます。
どのような指標がCSFを計測できる結果となるか、自分達が可能なことか、戦略に合致しているかといった事項は、再度衆知を結集するのが良いでしょう。
各CSFや組織の状況そして事業の構造によって、似たようなCSFでも違う業績評価指標が出てきます。
2016年11月25日
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カテゴリー : BSC
古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。
第十六弾、老子から
上善は水の若し。水は善く万物を利して争わず、衆人の悪む所に拠る、故に道に幾(ちか)し。
最上の善なるあり方は水のようなものだ。水は、あらゆる物に恵みを与えながら、争うことなく、誰もがみな厭だと思う低いところに落ち着く。だから道に近いのだ。
仕事の進行や上司やメンバーとのやりとり、「自然に、うまくいっているな」と感じることはないでしょうか。
逆に、「物事が進むのに、ぎくしゃくしてうまく進まない、進みづらい。」と感じることはないでしょうか。
ポイントを押さえて考える、指示する、行動するとうまく行くことが多いです。
ポイントとは、本質であったり、5W1Hだったり、誰かが言ったマーケティングの理論だったりします。
ポイントを押さえるととたんに流れるように動きます。
老子では、よいあり方は水のようと表現されています。
うまく進むよう、水のように流れるには、、、と考えるとものごとが動くヒントになるでしょう。
この章、次のように続きます、一部ご紹介します。
心は淵を善しとし、与(まじわ)るは仁を善しとし、言は信を善しとし、事は能を善しとし、動は時を善しとす。
心の持ち方は静かで深いのがよく、人とのつき合い方は思いやりを持つのがよく、言葉は信(まこと)であるのがよく、ものごとは成り行きに任せるのがよく、行動は時宜にかなっているのがよい。
2016年11月18日
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カテゴリー : 古典の力
対話について、ちょっと久しぶりです。
対話とは、 向き合って、伝え合って、理解し合う話し合い です。
さて、話をしていると「沈黙」する、「沈黙」が起こることがあります。
もしかすると居心地の悪い瞬間かもしれません。
沈黙が起こると、どのようにしていますか?
話をしている相手や状況によっても当然違うでしょう。
こんな時、つい言葉を継いでしまうということはありませんか?
日常的な会話、指示や報連相、商談、そして職場から離れた雑談でも沈黙は起こります。
沈黙の起こるきっかけも様々あります。
ここで、深く話をしている、対話しているときの事を思い浮かべてみて下さい。
キャンプファイヤーを囲んだ時といったことでも良いでしょう。
何だか、心の奥底の深い所まで話せているかなと感じている時、
ふっ、と静かになることがあると思います。
沈黙です。
何だか自分から言葉を継ぐのをためらってしまう気持ちになるかもしれません。
少しでも理解し合いたい、対話したいと感じた時は、対話の中で浮かび上がった「沈黙」を大切にした方が良い時があります。
何の脈絡もなく押し黙る訳ではありません。
また、どんな沈黙でもいつも大切にした方が良い、という訳でもないでしょう。
「沈黙」の瞬間を大切にする理由、答えと言うか、考えはまた後日にしてみましょう。
「沈黙が起こったら、その瞬間を大切にするかどうするか考えてみようか」などなどと試してみると、案外すぐに判ると思います。
気になる言葉、今回は
しかない
です。
「~するしかない よね。」
「~しか仕方がない だろ。」
もう少し具体的な言い回しにしましょう。
「今の状況だと、こうするしかない。」
「目標を達成するには、ああするしか仕方が無いよね。」
これは、周りの環境が悪い、自分は悪くない、意に沿わない外部環境だから自分の行動が定まってしまう。
ということを表現しています。
他人のせいにしている、 他責 の状態です。言い訳とも言えるでしょう。
さらには、周りの環境のせいにして、何かを自ら行うことを あきらめ ている状態とも言えるでしょう。
しかない、仕方が無い の連発が気になったら、他人の責任にして職場の雰囲気が沈滞していないかどうかチェックしてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、この言葉、意識してちょっと言い回しを変えると行動も変わってきます。
「~するしかない、から私は(自分は、私たちは)~する。」
行動を自分で選んで実行します。
「~しかない」という言葉がクセになっているならば、続ける言葉で行動を修復する意図です。
そして、次は「~するしかない」という言葉を除きましょう。
「~だから、私は~する」というようになります
さらには、そもそもこの言葉が出てきた根本を考えてみると良いでしょう。
根本、根っこへの対処が進むと、こういった表面の問題、表面の減少は治まります。
古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。
第十五弾、孟子 公孫丑篇から
力を以て仁を仮る者は覇たらん。覇は必ず大国に有(よ)るべし。徳を以て仁を行う者は王たらん。王は大を持たず。
力を背景にして仁政のまねをするものが覇者である。従って、覇者は大きな国土を地盤とする必要がある。徳によって仁政を行う者が王者である。王者になるには大きな国土による必要は無い。
強権高圧的な統治を行っている国は大国志向、そして道徳的な統治をしている国は必ずしも大きな土地を必要としない。ことを言っています。
この話の続きとして、強権的なところでは本心から従っていない、そして徳のあるところでは本心から従っている、と続きます。
強権 ・・・ 膨張志向 ・・・ 心からは従っていない ・・・ 覇者
道徳 ・・・ 膨張はどちらでも良い ・・・ 心から従っている ・・・ 王者
単純化するとこのようになるでしょうか。
2000年以上昔のいつも戦争をしていた頃から、リーダーシップのありかたはこのように対比されてきています。
現代のチームや組織のありようにおいても参考となるでしょう。
2016年10月13日
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カテゴリー : 古典の力
サーバントリーダーの10の特徴についてコメントしています。
9番目は、人々の成長に関わる Commitment to growth of people です。
言葉を確認してみましょう。
commit コミット は、英和辞典だと、関わる、罪を犯す、確約する といった意味です。
コウビルドでは、この使い方がしっくりきます。
If you commit yourself to something, you say that you will definitely do it. If you commit yourself to someone, you decide that you want to have a long-term relationship with them.
長いつきあいをしようと決める、考える、といった感じです。
ということは、9番目の特徴は、
人が成長するということに対して気長に、地道に関わるということですね。
サーバントリーダーの特徴、いくつも見てきました。
先頭を切ると言うより、後ろからサポートして皆が自分の力を発揮できるように立ち回る。
それは、メンバーの潜在能力を信じて、潜在能力を発揮できるようにもしています。
それはとりもなおさず、メンバーが成長して、伸びて成果が上がるということです。
リーダーは、よい後継者を育てるのも仕事です。
社長の仕事は次の社長を育てること、ということも良く聞きます。
サーバントリーダーの特徴として、スピアーズは人を育てるといった部分にも着目しています。
円滑なコミュニケーションを考える時、どのような点に注目したら良いでしょうか。
コミュニケーションは、相手があってこそ成り立つものです。
その相手をどのように捉えるかが、大切となってきます。
相手のとらえ方には、いくつもの方法が考案されています。
方法によっては、精密な評価・アセスメントが必要なものもあります。
ここでは、長時間のアセスメントなどを行わずに現場で実践しやすいものをご紹介していきます。
今回は、「心理構造分析」です。
これは、人の心を分析して構造的に捉え、構造の特性を円滑なコミュニケーションに活かそうとするものです。
この、人の心を構造的に分析する方法は、交流分析と呼ばれています。
心理構造分析では、人の心を5種類の要素として分析します。
それは、厳格さのCP、慈愛のNP、冷静さのA、従順さのAC、自由さのFC です。
この心理構造は、詳細にアセスメントを行うと、親や上司などからの影響も踏まえた分析ができます。
しかし、毎度毎度詳細なアセスメントを行うことは、あまり現実的ではありません。
そこで、概略的なアセスメントや言動パターンで類推できる方法もあります。
概略アセスメントと言動パターン分析を実践することで、職場での活用ができる対人対応の方法となります。
心理構造分析を活用したコミュニケーションの一例です。
例えば、上司である自分が厳格な言動が多いとします。ここに、自由奔放に振る舞う部下がいたらどうなるでしょうか。
この場合のコミュニケーションは、円滑では無く、対立などが起こるまずいコミュニケーションのパターンとなります。
心理構造分析を活用するコミュニケーションでは、このような場合でも円滑に指示や対話などが行うことができるようになります。
これが、人の心の構造や状態に対応した対人対応の方法となります。
2016年9月25日
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カテゴリー : 対人対応力