バランススコアカード(09)BSCに見るコミュニケーション

これまで、BSC構築の流れを見てきました。
流れとは、以下の通りとなります。

1.ビジョンと戦略の策定
2.重要成功要因(CSF)分析による視点の洗い出し
3.戦略マップの作成と戦略目標の設定
4.重要成功要因の洗い出し
5.業績評価指標の設定
6.数値目標の設定
7.アクションプランの作成

また、上記の各プロセスにはそれぞれ検討結果としての書類が生産されると思います。
各プロセスは、書類(の中に込められた思い、考え)を引き継ぐ形で進んでいきます。

さて、BSC構築をコミュニケーションの視点でまとめると、例えば以下のように分類でき
ます。

①打ち合わせ
BSCの詳細テーマを検討する打ち合わせが行われます。

各打ち合わせには、打ち合わせの参加者(1部署、多部署)や
打ち合わせのテーマがあり、発散系の話題、行動計画策定系の話題等の
テーマの性格があります。
参加者の人数、部署(利害関係)の多様さ、話題によって打ち合わせの
会議設計(ミーティングプロセスの設計)が変わってくるでしょう。

②コミュニケーション基本スキルの活用
BSCは、各人の思いを集めて、合わせて、浸透させるプロセスとも言えます。
BSCの構築プロセスに参加される方は、以下のコミュニケーションを意識すると
円滑に進行するでしょう。
どれも基本的なスキルです。
聞く、話す、表現する、すり合わせる(調整する)

③部署間調整
特に全社でBSCを導入する際は、部署間の調整が欠かせません。
この、調整のコミュニケーションは以下のように分けられます。
インプット系 部署間・メンバー間の情報収集
アウトプット系 メンバーや部署への思いの浸透、調整

以上、BSCの構築はコミュニケーションの塊、とでも表現できるでしょう。

BSCを「ビジョン」と大きくまとめ込むとすると、BSCの構築は次のようにまとめられる
とも感じています。

BSC構築とは、「ビジョン共有」「ビジョン構築」「ビジョン浸透」を行うこと。

この表現はBSCの学術的な定義には、必ずしも沿っていません。
しかし、このくらい大掴みで取り組んで各プロセスをきちんと押さえると、良いBSCの構
築と実践ができるように思えます。

2019年10月29日 | カテゴリー :

古典の力(51)報徳

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第五一弾、二宮先生道歌選から

何事も事足りすぎて事足らず、徳に報ゆる道の見えねば

自分の現状や現在の世の中を当然のように思って不足不満足を訴えること、あるようです。

徳に報いて日々生きる道が見えなければそうなる、とこの歌では示しています。

徳に報いる、徳とは何か?

二宮尊徳は、どんなものにも徳があるとしていました。

恩義や良さと言い換えても良いでしょう。

親や地域、環境、良かったこと、苦い経験、何かしら「恩義」「恩徳」がある。

そして、現在の環境、状況、会社や上司、同僚、部下、お客様、道具にも「良さ」がある。
人であれば尊重できる「人格」、モノであれば使って良さを引き出せる「物格」とでも言える良さがある。

こう指摘しています。

自分を含めて「良さ」を十分に引き出すようにすることができれば、業務や活動は向上します。
二宮尊徳は、お互いの良さ「徳」を引き出す工夫をして、農政の変革を行っていました。

良さを意識する、伸ばす事は現在「ポジティブ心理学」といった分野でも注目を浴びています。

ハラスメント(04)ハラスメントの法令

ハラスメントという言葉が、報道などでも数多く出てくるようになりました。

来年2020年4月からは、大企業はハラスメントの対策が必要となってきます。

対策が必要になるということは、法律で定められています。

その法律とは、

労働施策総合推進法

です。

正式名称は、

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律

となります。(長いです)

この法律が2019年5月に改正され「改正労働施策総合推進法」となりました。

この中でパワハラの定義と防止も義務づけられるようになり「パワハラ防止法」とも呼ばれています。

改正労働施策総合推進法の30条の2第1項の条文です。

パワハラの定義は、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって,

業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」

となります。

就業環境が害されるといったこととないように、相談などの措置を講じることが規定されています。

気になる言葉(16)経済合理性

気になる言葉、今回は 「 経済合理性 」です。

原発事故、終息が見えません。まだまだ心配な時が続きます。

原子力発電所は経済合理性に優れているということが言われていました。

経済合理性、判るようであまり判りません。

いろいろと紐解くと次のような意味が読み取れます。

ある行動をとるときの判断基準として、「便益」が「費用」よりも高い時に行動し、逆に便益が費用よりも低い時は行動しないこと。
複数の選択肢があるときは、「便益-費用」が最大の行動を選択する。

言葉が難しいのであとでまとめるとして、次のような意味でしょう。

最も自分の金銭が儲かる行動をする

原子力発電所が最も儲かるか、誰にとって儲かるのかは少しずつ見えてきているようです。
気になる言葉の解説なので、言葉の解説を続けましょう。広辞苑などからです。

経済
 人間の共同生活の基礎をなす財・サービスの生産・分配・消費の行為・過程、ならびにそれを通じて形成される人と人との社会関係の総体。転じて、金銭のやりくり。

合理性
 道理にかなっていること。論理の法則にかなっていること。
 行為が無駄なく能率的に行われること。

便益
 都合が良く利益のあること

費用
 物を買い、または使用するために要する金銭。いりめ。
 特に、企業が収益をあげるために消費した財の価値や借りた資本の利子などの総称。

経済用語を広辞苑というのも何なのですが、一つの参考です。

さて、経済合理性に戻ります。
金銭が儲かれば良いのか、そして誰の金銭が、、というところに焦点が当たって来ているようです。
しかも、儲かっているのは幻想であったのかもしれません。

古典の力(50)富と名声

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第五十弾、論語から

富と貴きとは、是れ人の欲する所なり。其の道を以てこれを得ざれば、処らざるなり。

富と貴い身分とは、これは誰でも欲しがるものだ。しかしそれ相当の正しい方法(正しい勤勉や高潔な人格)で得たのでなければ、そこに安住できない。

商売や活動をすると富や名声を得られるでしょう。必ず得られるとは限らないのですが、、、
得られるには、正しい方法が必要だと指摘しています。そして、そうでなければ一旦得られても続かないとも指摘しています。

自分の状況や世間の状況で真っ当であるかを問い続けることが、よい商売の秘訣と論語もしてきしています。

ハラスメント(03)ハラスメントへのお悩み

ハラスメント研修などで伺うお悩みや問題意識には、様々なものがあります。

実際にハラスメント、パワハラなどがあるのであれば、それは重大事です。
研修やコンサルティングではなく、別の緊急対処が必要となるでしょう。

しかし例えば、次のようなことに悩んでいる方もいらっしゃいます。

「言いたいことが言えなくなった」などの悩みです。

これはパワハラになるのだろうか

昔の対応ではだめなのだろうか

と感じて、「どうしよう」と悩む状況になってしまいます。

他にも、状況によっては体制整備やメンタル面などで悩む方もいらっしゃいます。

お悩みには多くの場合共通点がありますが、素直に解決に向かうことができる悩みもあります。

基本的な知識の理解はもとより、ご自身の考え方、言動、判断、相手からの言動の感じ方、相手や環境への働きかけを変えることで解消出来る悩みも多くあります。

自分の行動変容で悩みが消える、軽くなる、悩まないで、相手や取り組む仕事と向き合えるようになるでしょう。

自分が働きかけることで、相手や環境も少しずつ変わることでしょう。
少なくとも相手や環境への自分のものの見方は変わってきます。

古典の力(49)リーダーの姿勢

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第四九弾、論語から

其の身正しければ、令せざれども行われる。其の身正しからざれば、令すと雖も従わず。

我が身が正しければ、命令しなくとも行われる。我が身が正しくなければ、命令したところで従われない。

リーダーが背中を見せる。という言葉を聞くことがあると思います。
リーダーが行っていることを見せる、取り組み方を見せると言うことです。
良い取り組み方をしていると、命令しなくても様々行われることでしょう。

逆に、言っていることとやっていること、言行不一致のリーダーに自分はついて行きたいでしょうか。そのリーダーの命令を聞きたいでしょうか。従わないことでしょう。何か抑圧的なことでもあれば、意にそぐわない状況でいやいやながら従うかもしれません。

サッカーの岡田ジャパンも、命令しなくても自分から動くようになってチームワークができあがったということを選手自身が語っていました。

企業でも様々な組織でも同様でしょう。

問題(09)視点

問題の現状を捉える時、

視点を変える

といった方法があります。

傍目八目のように第三者目線になると、ものごとがよく見えるといったことがあります。

それを意識的に行います。

例えば、
プロジェクトの進捗が遅れていて大問題になっている、、、

当事者として考えると、あれも問題これも問題と、なかなかげんなりしてしまいます。

そこで、 視点を変えて 『俯瞰』してみてはどうでしょうか。

言い方を変えると

上空5000メートルから見下ろしてみたら
鳥の目線になってみたら

この問題はどのように目に映るか

を考えてみてはどうでしょうか。

問題の現状がもっと見えてくるかもしれません。

この方法、問題の発見に使えるだけではありません。
視点を変える、いろいろと便利です。

2019年8月5日 | カテゴリー :

気になる言葉(15)がんば

気になる言葉、今回は 「 がんば 」です。

「がんば」末尾がありませんね、、、

日本中で、年々様々な災害が起こり何とか対応しようとしています。

被災した方も、そして被災はしていない自分たちも、やり遂げよう心を奮い立たそうという気遣いの言葉があふれてきています。

がんばれ、 がんばろう、 がんばりましょう、 がんばって、 がんばっていこう

どんな言葉が良いのでしょうか。

上記の言葉、どれも正解だと考えます。

「えっ、でもこの言葉はダメだと聞いた」という突っ込みがすぐに来そうですね。

ということは、どれも不正解かもしれません。

がんばっている人に、「がんばれ」と言うのは良くないという話しだと思います。

言葉掛け、言葉掛けをした相手にどうなって欲しいのでしょうか。

いろいろ考えた上で言葉掛けすると思います。

正解・不正解は、ひとつは相手の状況によるのではないでしょうか。

大変なことがあった直後の段階では「がんばれ」も有効でしょう。
放心している場合ではなく、気付けとして励ますための「がんばれ」ですね。
声をかけてくれる人がいるだけでも安心するかもしれません。

ただ、何日もずっと大変な状況だと「がんばれ」は反感を持たれる言葉に早変わりする可能性が大きくなります。
その場合は、そのままで良いといった思いが伝わる方が良いのではないでしょうか。

自分の思いは相手には届いているだろうか。役に立っているだろうか。

一人一人相手の境遇や状態が違います。自分の境遇も違います。

それでも、相手を慮って言葉を発することは大切なことだと考えます。

同じように声をかけても、伝わる場合伝わらない場合もあると思います。
それでもめげてられないので、相手を慮って言葉をかけ続ける、行動し続けるのだと思います。

で、「がんばれ」が良いのか「がんばっていこう」が良いのか、、、、

日本中の人がそれぞれの持ち場で十分にがんばっていることを頭に入れておいて、自然体で「がんばっていこう」くらいが今は良いのではないでしょうか。それぞれの持ち場で自分のできることでがんばり続けるのでしょうから。

言葉掛けをする時に、その言葉で思いが伝わるのか、ちょっとだけ考えてみても良いかもしれません。

古典の力(48)仕える

古典の力、日本や中国の古典からチームや組織の力を高める言葉に焦点を当てています。

第四八弾、孝経から

孝を以て君に事(つか)ふればすなはち忠、弟(てい)を以て長(ちょう)に事ふればすなはち順。

父に事える孝を移して君に事えると、君に対する忠となり、兄に事える弟を移して長上に事えると、長上に対する従順となる。

親に孝行の気持ちで事える、接するポイントは、愛することと、敬うこととと孝経では記されています。その孝から発展させて、自分の主人・職場のボスに仕える(事える)ポイントは、敬うことである。これが「忠」であるとしています。
そして、先輩に事えるポイントは、自分が弟だとして家族に兄がいるとして兄に従うようにすること、これが長上(年上)に対する従順となり、言い換えると「順」であるとしています。

現代社会で、そのまま押しつけても拒否されてしまいそうです。
しかし、親や兄弟、家族に愛情があって、その考え方感じ方を職場に推し及ぼすと、よりよい職場、よりよい仕事ができるのでは無いでしょうか。

そして、忠も順も、ただ単に従順なわけではありません。

君が、長上が間違っていると感じたならば、諫言することが孝です。